超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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焼け付く息でなんで麻痺するんでしょう…。


新たなEX

アナタの目の前に赤と青の箱があるわ。

 

赤にはアナタの大切な人が入っているわ。

 

青にはワタシの大切な人が入っているわ。

 

さて、アナタはどちらを切り捨てる?

 

……フフッ、青よね。

 

じゃあ、赤を捨てましょう。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「はあっ、はあっ、はあっ、ふぅ〜……っ!」

 

アイエフはその場にへたり込む。

もうナスーネ高原にはモンスターは1匹たりともいなかった。

 

(集中すると……疲れるのね……。次からは適度に気を抜かないとダメね……)

 

集中して疲れるのは心のはずだが不思議と体まで重くなっていた。自分は案外スタミナがないのかもしれない。

 

「はふぅ……」

 

コンパは粘液だらけの体のまま倒れこむ。頭には触手の残骸が残っていた。

 

「もう……ダメぇ……」

 

ネプギアも倒れこむ。ネプギアも精神力を使ったせいか酷く疲れた。

でも、まだまだだ。あれくらいの敵に手こずるようじゃ、ミズキには勝てない。

 

(そうだ、今日ユニちゃんに模擬戦の相手してもらおう……)

 

アイエフさんにも。もっともっと頑張らなきゃ。

 

「はあ〜、鞭も触手も私の趣味じゃないよ〜……」

 

ネプテューヌは乱れた服を直そうともせずに座り込んだ。そこにノワールがやってきた。

 

「どうして女神化しないの。変身すればあんな奴ら、簡単に……」

「まあ、ほら、なんとかなったし?」

「他の人になんとかしてもらったんでしょ⁉︎」

「うう………」

 

それもそうだ。ネプテューヌは何も言い訳できない。

でも………。

 

「ミズキならきっと、変身しなくても倒しちゃうから……。私も、そうならなきゃって……」

「っ、そんなんだから……」

 

シェアが、ミズキは。そう言いたいところをぐっとノワールは飲み込んだ。それはきっと、ネプテューヌ自身が1番わかっているはずだから。

 

「せいぜい休んでおきなさい。私はトゥルーネ洞窟へ行ってくるわ」

「え、でもノワール手首は……」

「モンスター退治くらい、大丈夫よ」

「それじゃ、私も……」

 

ユニがノワールを手伝おうとするがノワールに一蹴された。

 

「大丈夫よ。ユニはネプギア達を介抱してあげて」

「あ、うん……」

「それじゃ、トゥルーネ洞窟へ案内してくれるかしら」

「あ、はい………」

 

ノワールは住人の1人に連れられて行ってしまった。

 

(私、ダメだなぁ……)

 

1人でやれるべきだった。ぎゅっと地面の草を握り締める。ブチブチと音を立てて足元の草が千切れる。

 

「あ、ユニちゃん、写真どうなった?」

「ん、撮れてるわよ。はい、返すわ」

 

ネプギアがユニからNギアを受け取って先程の写真を見る。

 

「……………」

「どうかしたの?」

「あ、ううん。フォームに無駄があるかなって……」

 

ネプギアはNギアを操作して自分のメアドに写真を送る。あの時は無我夢中といった感じだったが、見返してみればなんと無駄の多い。

 

「あの〜、ユニ様……」

「あ、はい。どうかしましたか?」

 

住人の1人がユニに控え目に近付いて話しかける。

 

「アレは一体なんでしょうか……?」

「アレ?」

 

住人が指差す方向はネプテューヌ達が戦っているところから少し離れた丘の上。

ユニとネプギアは顔を見合わせて住人と一緒に丘の上に登っていく。

そこから見下ろした先には驚くべき光景が広がっていた。

 

「ウソ⁉︎」

「これって……!」

 

その下には巨大なドラゴンの足跡。草を踏みつけ、地面を凹ませたのがはっきりわかる。

 

「エンシェントドラゴンの足跡⁉︎」

「この方角……トゥルーネ洞窟の方角だよ!」

 

まさか、あのEXエンシェントドラゴンが⁉︎

生きていて、トゥルーネ洞窟で休息を取っているのだとしたら……!

 

「お姉ちゃんが危ない!」

「知らせなきゃ……!」

 

すぐに振り返ってネプテューヌの元へと向かう。

だがネプテューヌとネプギア達の間の地面が大きく盛り上がり、その行く手を阻まれる。

 

「ねぷっ⁉︎なになに⁉︎」

 

地面を突き破って巨大なキノコ型のモンスターが飛び出てきた!

その体は、赤黒い。

 

「EX種⁉︎今、このタイミングで⁉︎」

「早くお姉ちゃんに知らせなきゃいけないのに!」

 

だが、こんな巨大なキノコ型のモンスターなど見たことがない。EX種への変化は一体どれほどの謎を秘めているのか。

 

「早く!逃げてください!」

「私についてくるですぅ!」

 

コンパとアイエフが怯える住人を先導して避難させる。

だがEXキノコは体中から胞子を放出した。

 

「なに⁉︎」

「この風向き……!逃げて!」

 

胞子は風に吹かれてネプテューヌ達へと向かっていく。

アイエフとネプテューヌは咄嗟に口をコートや手で覆うが他は間に合わない。

コンパと住人達を胞子が包み込んだ。

 

「きゃあっ!……あっ、あ……!」

「コンパ!くっ……!」

 

コンパと住人達は皆苦しんで地面に倒れる。

 

「体が、痺れるですぅ……」

「まさかの痺れ粉⁉︎あいちゃん、注意を引くよ!」

「わかってる!」

 

ネプテューヌとアイエフは左右に離脱して胞子から逃げる。

 

「こっちこっち〜!」

「アンタの相手は私よ!」

 

キノコ型モンスターはその赤黒い手を精一杯伸ばしてネプテューヌを叩きつける。

だがネプテューヌは後ろにジャンプしてかわした。

 

「へっへ〜ん!大したことないみたいだね!さっさと倒しちゃおう!」

 

ネプテューヌは太刀を引き抜く。

丘の上でユニは痺れ粉を見て、キノコの正体を見破る。

 

「まさか……あのキノコ、ユメミダケ⁉︎」

「ユメミダケ?それが、あのキノコ?」

「そう。胞子をばらまいて仲間を増やすんだけど、その胞子には麻痺効果と幻覚効果があるの!」

「幻覚効果って……」

「幻を見るってことよ!」

 

バッと痺れ粉を吸ってしまった人達を見る。その人達は何かにうなされているようにも見えた。

 

「あぅ、来ないでください〜!いや、いや……!」

 

「大変、すぐに助けないと……!」

「ネプギア、風向きに気をつけてね!いくわよ!」

 

ネプギアとユニも左右に分散する。

EXユメミダケは周りを囲む敵を認識したようだ。その手で皆を叩き潰そうとするが動きは鈍い。当たれば致命傷だが、当たりはしない。

 

「オロ、オロロ!」

 

「こっちよキノコ!」

 

ユニが手の射程外からライフルを撃って牽制する。パワフルコングやエンシェントドラゴンには通じなかったが、EXユメミダケには効いている。

 

「オロロロロ!」

 

「何度やっても無駄だよ!今だっ!」

 

ネプテューヌは身軽に攻撃を避けて叩きつけてきたユメミダケの手を太刀で切りつける。

 

「オロロッ!オロオオオオ!」

 

「やったね!」

 

ユメミダケは両手を自分の近くの地面に叩きつけた。

誰かを狙ったような攻撃ではない。まるでフラついたから手をついたような動作だ。

 

「あれ?もうやられちゃうの?」

「………なにか、くる?」

「っ、みんな危ない!」

「えっ?」

 

ボコボコボコボコ!

 

ユニが叫んだ時にはもう遅かった。

ユメミダケの周りを囲うようにキノコが槍のように突き出てくる。それはどんどん円周を広げていった。

 

「逃げ場が……ない……!」

 

そのキノコは高さ数mはあるだろう。そのキノコはネプテューヌ達の目前にまで迫った。

 

「ねぷっ!」

「きゃあっ!」

「あうっ!」

「みんな!」

 

離れていたユニを除いた全員にキノコの槍が直撃する。

全員キノコの槍に絡まって身動きが取れなくなっていた。

 

「ヤバい……このままじゃ……!」

「ねぷっ⁉︎こ、これ、さっきの……!」

「痺れ……こ…な………」

 

そのキノコの槍からも胞子が飛び出した。ネプテューヌ達はさっきよりも大量の胞子をゼロ距離でなす術もなく吸ってしまう。

 

「あ………ダ……メ………」

 

体が痺れて言うことを聞かなくなる。視界がだんだんと狭まっていく。

 

「ミ……ズ……キ………」

 

(助けて………)

 

最後の言葉は発せられることはなかった。




キノコさんはノワールが洞窟で倒してたキノコです。アレがEX化したのがこのキノコ。名前はわからなかったので適当につけました。

キノコが出てくるなら植物型のモンスターの方が都合いいかなって。あんまりアニメのままでもアレですしね(言い訳

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