超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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ようやくアニメ1話の半分を超えた。あと少しで戦闘です。ラステイションに相応しいあの機体が登場の予定。


ネプテューヌの国、ノワールの国

昔、こんなお話がありました。

 

神様が悪い街を滅ぼそうとしましたが、人間がそれを止めようとしたのです。

 

神様、あの街にいい人が100人でもいれば街を滅ぼすのをやめてくださいますか。

 

許そう、私は街を滅ぼさない。

 

神様、あの街にいい人が10人でもいれば街を滅ぼすのをやめてくださいますか。

 

許そう、私は街を滅ぼさない。

 

神様、あの街にいい人が1人でもいれば街を滅ぼすのをやめてくださいますか。

 

許そう、私は街を滅ぼさない。

 

結局、街は滅んでしまいましたとさ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ノワールはマウスをクリックして国民からのモンスター退治の依頼を見る。

モンスター退治というのは対症療法である。

ある程度モンスターを事前に倒すことはできるものの、モンスターの動きなどを把握できているわけではない。

つまり、依頼が尽きない。

 

「そう、ね……。ラステイションの東の遺跡でエンシェントドラゴンを見つけて……。その後アイツは南に逃げたから……」

 

大まかではあるがエンシェントドラゴンの動きを考える。傷ついたドラゴンが休息を取るとしたら、何処に隠れるだろうか?

さらにそれプラス、モンスター退治の依頼やネプテューヌの経験になるほどのモンスターがいる場所の兼ね合いも考える。だが危険すぎてもいけない。さらにクエストの優先度も考えて………。

 

「………むむむむ」

 

ノワールの中ではミニノワール達があーでもないこーでもないと会議を繰り広げていた。

 

「何よ!ネプテューヌなんかのためにそこまで考える必要があるの⁉︎」

「いや、待とう。これはミズキのためでもあるんだ」

「確かに……。ミズキのことは、ちゃんと考えなきゃ……」

「それに、国民のためでもあるんじゃなーい?」

「あのドラゴンを蔓延らせてしまってはならない」

「結局、何を1番優先するかでしょ?」

「ねえそこのノワール。アナタ好きな人とかいる?」

「私は国民を愛しておりますわ。ノワールこそ、好きな人はいますの?」

「そこ!無駄話しない!」

「だから、まず最初に考えることは……!」

「そこから決めないと……!」

「饅頭食べたい……!」

「だから無駄話はしない!」

「どうでもいいけどマカロン」

「言わせません!」

「私寝ていい?」

「ザメハ!」

「はっ、ここは誰?私は何処?」

「言ってることがメチャクチャよ!」

「こ、こう……こうして……コロンビア」

「悩むほどのこと⁉︎」

「この、顔の角度がね……?」

「そんなことはどうでもいい!」

「あ!そろそろ新しいドラマが始まるわよ」

「え、マジ?録画しといてー」

「私はリアルタイムで見ます!そういうこだわりなのです!」

「だーかーらー!話を聞きなさーい!」

 

ドカーーーーン!

 

「わわっ!ノワールの頭がボンバイヤーだっ⁉︎」

「お、お姉ちゃん⁉︎」

「我ながら、役に立たない私ね……」

 

嫌気がさす。もうちょっと使えると思ったが。ネプテューヌの怪電波とか放射能とかを受信した挙句、巨大化して目覚めてオキシジェンデストロイヤーで殺されてしまうのだろうか。

だがその可能性は今自分でミニノワール達を爆破したので消えた。良かった、この先怪獣は生み出されないみたいね。

 

「世界からシン・ゴ○ラの脅威は去ったわ……」

「ノワールは何を言ってるの?」

 

ネプテューヌですらドン引きする有様。ノワールは達観した顔で空を眺めていたがそのうちパソコンをまた弄り始める。

 

(そうよ、簡単なことじゃない)

 

ネプテューヌのことは一旦頭から追い出そう。追い出して捕まえて魔女裁判にかけた末に一生バームクーヘンを水なしで食べ続ける刑にして干からびさせて天日干しして日保ちがするようにすればいいのだ。

 

「なんか失礼なこと考えてない?」

「そんなことないわよ」

 

ネプテューヌがカッピカピになる姿を想像すると頬が緩む。

心なしか上機嫌になったノワールは目当てのクエストを見つけた。

 

「これでいいんじゃない?」

「なに?そのクエスト」

「ナスーネ高原でモンスターの大群が出現したの。多分、EX種の影響だと思うわ」

「モンスターの大群が出現したことと、EX種の存在って何か関係があるんですか?」

「いくらモンスターだって、何もないところから一箇所に大発生はしないわ。多分、EX種に住処を追われたのよ」

「あ、なるほど……」

「だから、近くにもしかしたらEXエンシェントドラゴン、そしてミズキがいるかもしれないわね」

 

無論、推測の域を出ないが。

 

「モンスターは大したことないからレベルアップにはならないと思うけど……それでもいい?」

「うん、いいよ。レベルアップは二の次だもん。まずは、ミズキを見つけること!」

 

ネプテューヌはミズキに会えるかもしれないと張り切っている。

 

「それに、プラネテューヌの国境にも近いしね」

「え〜⁉︎それってもしかして、その足で帰れって言ってるの〜⁉︎」

「当たり前じゃない。まさか、ミズキが見つかるまでここにいるつもり?」

「そのつもりだよ!こればっかりは譲れないからね!」

「やめてよ。アナタがいると仕事の邪魔なのよ」

「最悪野宿だってする覚悟だよ、私は!ミズキだって何かやり遂げるまでは帰ってこないって言ってたんでしょ?だったら私だって、ミズキを連れ帰るまではプラネテューヌには帰れないよ!」

 

普段はおちゃらけているネプテューヌだが……大事なところは芯が通っている。その芯が、譲れないところだと叫んでいるのだろう。

 

「………わかったわよ。勝手にして」

「よ〜し!じゃあみんな!モンスター退治に出発だよ〜!」

「お〜!……ってなんでアンタがリーダーみたいになってんのよ〜!」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ノワール達、モンスター退治一行はナスーネ高原へと向かう森の中を歩いていた。先頭はノワールとユニが歩いて道を案内する。

だが。

 

「いい?そもそもナスーネ高原には約5種類のモンスターが生息していて……」

「お姉ちゃん」

「つまり……ん、何よ」

「誰も聞いてない……」

「え⁉︎」

 

姉の後ろを控えめに歩いていたユニが言い辛そうに言う。実際言い辛かったのだが。

ノワールが振り向いた先にはプラネテューヌからの御一行がそれはもう思い思いに過ごしていた。

 

「はふぅ、疲れたですぅ」

「大丈夫、コンパ?」

 

丸太に座って休憩するコンパと心配するアイエフ。これはまあ、許そう。

 

「はっ!これは幻の後ろから見ると読めない看板ッ!」

 

シャキーーン!

 

………………。

 

「お姉ちゃん、看板って基本そうだよ……」

 

ビシッとポーズを決めながら言ったネプテューヌに浴びせられるのは容赦ない静けさの洗礼。ネプギアだけがようやくそのツッコミを口に出せた。

 

「ちょっと!」

 

というわけで反省タイム。

 

「いいっ⁉︎」

「ほら、ペース落ちてる」

 

ノワールが最後尾になって1番後ろのネプテューヌを棒でつついて前に進ませる。

 

「もう〜、ノワールってば真面目なんだから〜」

「悪い?」

「いっつもそれだと、疲れちゃわない?」

「疲れるくらいなんてことないわ。私は、もっともっと良い国を作りたいの」

「そりゃあ私も良い国作りたいけど〜、楽しい方がいいな〜」

「アナタはそれでいいの?」

「うん、いいの」

 

ネプテューヌは少し前に走ってノワールの方を振り返る。

 

「ミズキが手紙でそう言ってくれたから。ミズキは私の政治が好きだって。人を笑顔にさせる、楽しい国を作ろうとするその政治が好きだって、ミズキは言ってくれたの」

「…………………」

「だから私は、私が間違ってるとは思わない。私は私の作りたい国を貫き通せるんだ」

「…………ネプテューヌ」

「あ!だからってノワールの政治が間違ってるって言ってるわけじゃなくて!」

「ペース落ちてる」

「あいたぁ⁉︎」

 

ネプテューヌの腹に棒が刺さった。

そうこうしているうちに森の向こうから歓声が聞こえてきた。

ノワールは走ってその歓声の原因を確かめる。

そこにはナスーネ高原で暮らす人々がノワールに向かって手を振っていた。

 

「女神様だ……」

「ブラックハート様がいらっしゃった……」

 

ノワールもそれに手を振って返す。

だがハッと何かを思い出す。

 

「いけない!アクセス!」

 

ノワールの体が0と1の数列の中に包まれた。

 

「ええ⁉︎変身今やっちゃう⁉︎」

 

ノワールの服が消え、代わりに体を新しいタイツのようなスーツが覆っていく。髪を留めていたリボンを外すと真っ黒だった髪が真っ白になって輝く。その背中にはプロセッサユニットが装備された。

 

「女神はいつも国民に威厳を感じさせることが必要だと私は思うわ」

「だからって、わざわざ変身は……」

「ネプテューヌはどう思うの?」

「私?私は……」

「ミズキが好きだったのは、アナタがどんな風に国民に接する姿だったのかしらね」

 

ノワールはそう言って宙を飛んで国民の元へと降り立っていく。

 

「みなさん、モンスターについて聞かせてくれるかしら?」

 

ネプテューヌは省みる。いつも私はどんな風にプラネテューヌの人と接していただろう。どんな風にミズキと接していただろう。

ただ、それと同時に。ふと、思うこともあったのだ。

 

「目の前で変身しても威厳とかなくね?」

 

とりあえずネプテューヌはそれが言いたかった。




ミニノワール、全滅。仕方ないね。
ネプテューヌか天日干しされる姿を想像して笑ってしまった俺は末期だと思います。

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