超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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EX化って言うとウルトラ怪獣が出てきますね。僕のトラウマはシルバーブルーメです。


緑の提案

誰か、彼の名前を教えてください。

 

私は彼に感謝したいのです。

 

誰か、彼の名前を教えてください。

 

私は彼に助けられたのです。

 

誰か、彼の名前を教えてください。

 

彼は、死んでいたのです。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「まず、私達はEX化したパワフルコングの討伐をしていたの」

 

「そしたら、EX化したエンシェントドラゴンのつがいが現れた」

 

「ここまではいい?」

 

「大丈夫です」

「大丈夫ですぅ」

 

ノワールの確認にアイエフとコンパが返事をする。

 

「ネプギア、EX化って?」

「あの、赤黒いモンスターいたでしょ?アレのことだよ」

「ああ」

 

ネプテューヌが閉じこもっていた時期に決まったことなのでネプテューヌはそれを知らなかった。

 

「私もその時にこの手首の怪我をしてて結構危なかったの。その時に助けてくれたのが、変身したミズキだったわけ」

「青色と白色だった?」

「………いや、違うわね。胸のあたりが赤かったわよ」

「私達が知ってるのと、違う機体……?」

 

ネプギアとネプテューヌが首を傾げる。

 

「で、ミズキに怪我の手当てとかしてもらったからそのお礼に教会に招いたの」

「あ!だから!その包帯の巻き方……」

 

アイエフが声を上げる。

 

「あいちゃん、どうしたですか?」

「その包帯の巻き方、どっかで見たことあると思ったらコンパの巻き方よ。ほら、パーティの時にコンパが応急手当したでしょ?」

「はい、したですぅ」

「その巻き方、ミズキは覚えてたのよ。それで………」

 

探せば探すほどにミズキの残響が聞こえる気がする。ミズキの手がかりが見つかる。

 

「それでその夜から私はミズキさんに稽古をつけてもらったの。次の日の……昼前までやってたかな」

「そこまでは読者もわかってるよ!その後だよ、後!」

「ど、読者……?えーと……」

 

ネプギアのメタ発言にユニもドン引きしている。

 

「確か、やらなきゃいけないことがあるって言ってたよ。それを終わらせてからじゃないと、帰れないって……」

「やらなきゃ、いけないこと……?」

「なんだろう……?」

 

ネプテューヌとネプギアが悩む。

だが、それがわからないから悩んでいるのだ。

 

「何か、心当たりはありませんか?」

「どんな些細なことでもいいですぅ」

「それについては私も何も知らないけど……」

 

でも、当分の目的には心当たりがある。

 

「実はEX化したエンシェントドラゴンは1匹逃げたの。多分、それを討伐しに行くんじゃないかしら」

「そうだね。ボロボロだったけど、危険だもんね」

 

片腕と片目と肩翼を失ったとはいえ、恐ろしいモンスターだ。

 

「それは、何処にいるの⁉︎」

「わからないわ。見かけたらすぐ報告するように国民には言っているけれど、エンシェントドラゴンの件は1つもないわ」

「そんな………」

「何処かに隠れて傷を癒しているか、何処かでのたれ死んだか……」

 

そのどちらかだろう。

 

「………ノワール……何とかならない?」

 

エンシェントドラゴンを見つければそこにミズキはいるかもしれない。だがミズキはもうエンシェントドラゴンを倒して何処かへ行ってしまったかもしれない。

ネプテューヌは祈る気持ちでノワールに縋る。

 

「………エンシェントドラゴンの件は私達にも放っておけない件よ。そのうち、討伐しようと思ってたわ」

「え……?」

「強くなって、ミズキを見つけたいんでしょ?なら、手伝いなさい。モンスター退治よ」

「の、ノワール様それは一体……」

「モンスター退治に出かけるの。モンスターを退治しながらエンシェントドラゴンないし、ミズキを探す。そうすれば、強くなりながらミズキも探せるんじゃないかしら」

「………うん!ありがと、ノワール!」

「別にアンタのためじゃないわ。そんな顔見てると私の寝覚めが悪くなるからよ」

「もう、ノワールは素直じゃないなあ!そんなんだからボッチなんだよ!」

「だから!ボッチじゃないわ!」

 

また言い争いを始めたノワールとネプテューヌ。

その脇でユニがネプギアにそっと話しかけた。

 

「大丈夫よ、ネプギア。きっと見つかるわ」

「うん……だよね。きっと見つかるよね」

 

するとネプギアの『Nギア』から着信音が鳴り始めた。

 

「あれ、メール……。ロムちゃんから……?『私がラステイションにいるって知ってる』……?」

「私が知らせたの。凄い羨ましがってた。後でミズキを見つけたら連絡するようにも言っておくわ」

「うん……ありがとね、ユニちゃん」

 

ワタシタチハテキ!

ユウコウジョウヤク!

 

「あの2人はまだやってるの……?」

「まだまだ時間がかかりそうですぅ」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ラステイションから遠く離れた白の国、ルウィー。1年を通して雪が降り積もる国だ。

その教会でロムはネプギアにメールを送った端末を閉じる。ラムは不機嫌そうに足をタンタンと鳴らしていた。

ロムとラムは白の女神ブランが治める国、ルウィーの女神候補生だ。2人は双子で外見は瓜二つ。だが、性格は真逆と言っていいほど違う。

姉のロムは無口で大人しい。逆に妹のラムは活発で元気だ。だが2人はいつも仲良し。育ち盛りの子供だ。

 

「いいなあ……。ネプギアちゃんとユニちゃん、一緒に遊べて……」

 

ロムはボソリと呟く。

それは近くでマウスをクリックしているブランにも聞こえたのか、少しクリックが荒くなる。

 

「……………」

「お姉ちゃん、どうして私達は他の国に遊びに行っちゃいけないの⁉︎」

 

ラムがついに振り返ってブランに抗議する。

ブランは静かにマウスを握って静かに言い返した。

 

「………ワガママ言わないで……」

「私もネプギア達と遊びたい!」

「……ミズキを連れて来るって、約束したはずよ……」

「ミズキって人、いつまで経っても来てくれないじゃない!もう式典から1週間経ったのよ⁉︎」

「しばらくはミズキだって疲れてるでしょう?今日、ネプテューヌに連絡してみるから……」

「イヤ!今がいい!」

「………仕事の邪魔………」

「どうして、どうして、どうして⁉︎」

「……………」

 

ロムがちらりと2人を見る。

 

「ねえ⁉︎」

 

駄々をこねるラムについにブランの堪忍袋の尾が切れた。

振り返って座っていた椅子の肘掛を叩く。

 

「うるっせえ!仕事してるって言ってるだろッ⁉︎」

 

だが言ってからブランはハッと我に帰る。目の前には声を荒げたブランから怯えたロムを庇うようにラムが立っていた。

 

「………お姉ちゃんのイジワル」

 

ラムはそれだけ言い残す。

 

「行こ、ロムちゃん」

「あ、待って、ラムちゃん……」

 

2人は門を開いて部屋を出てしまった。

それからブランはパソコンに振り返った。

 

「悪いわね、騒がしくて」

《いいえ。いいんですのよ》

 

パソコンにはとある人が映し出されていた。

緑の女神、ベール。ベールは画面の向こうで腕を組んで優しい笑顔をしていた。

 

「互いに戦っていた私達と違って、妹さん達は無邪気ですわね」

 

そのセリフはベールの治める国にだけ妹がいないことから出たセリフなのだろうか。

ネプテューヌにはネプギア、ノワールにはユニ、ブランに至ってはロムとラムという双子までいるのに、ベールには妹がいない。

そのためにベールは裏でネプギアを妹にしようと企んでいるのだが……それはまた別の話。

 

「私達も、もっと仲良くなれるのかしら」

「武力の行使をやめたからといって、いきなり『良き隣人』になるわけではないわ。そんなことより………」

「ええ。では、提案の続きをお話ししますわね」




良き隣人ってのはキリスト教でよく使われますね。他の宗教でも使われるかもしれませんが。

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