審判との戦い
翌日の夜、ネプギア達はプラネテューヌ教会の奥に集まっていた。
「これが、シェアクリスタルです」
イストワールから渡されるシェアクリスタルは今まで受け取ったものと比べ物にならないほど大きい。
各地に残されたシェアクリスタルに及ばないが、これだけあればきっと女神を回復させることも可能だろう。
「これで……お姉ちゃんを……」
「準備は、万端ですね?」
出撃するメンバーはネプギア、ユニ、ロム、ラム、アイエフ、コンパの6人。
その6人がコクリと頷いた。
全員が決戦用の装備を整え、いつもよりも重装備だ。
「それでは、みなさんをギョウカイ墓場へと転送します。付いてきてください」
イストワールに付いていき、教会の下の下、地下に設置された部屋に行き着く。
そこは司令室となっていて、様々なコンソールが光を放っていた。
「スミキさんが出撃する時に使っていた場所です。みなさんはそこのドアを潜ってカタパルトに行ってください」
「これで飛び出すの?」
「ちょっと危ない……?」
「いえ、直接飛び込んでもらうことになります。そもそも、みなさんでは足をカタパルトに固定できませんし……」
それもそうだった。
もしカタパルトで射出しても女神候補生はまだしもコンパとアイエフは空中に投げ出されるだけになる。
非常口のようなドアを開けるとそこにはカタパルトが広がっていて、奥にはかつてスミキが使っていた機体が並んでいる。
その中にはボロボロになったスサノオも並んでいた。
「……私、頑張りますから……」
「アンタだけで行く訳じゃないの、もうちょっと肩の力を抜きなさい?」
「そうです。怪我をしたら、治してあげますから!」
カタパルトの先を見るが、そこにはまだ何も無い壁が広がっているだけだ。
司令室では教祖達が散らばって機器の確認を行っていた。
「6人をまとめて転送できるだけのエネルギー、か……。ラステイションの協力があってようやくギリギリなんてね」
チカが溜息をつきながらコンソールを叩いていく。
ラステイションが保有していた全ての擬似太陽炉、そしてここにある機体の全ての動力炉を使ってようやく6人と女神達の行き帰りの分のエネルギーが確保できたのだ。
「座標確認、次元ゲート、開きます」
ミナがスイッチを押すと壁の手前に虹色に輝く円形の穴が開いた。
「あまり時間はありませんよ。激励をするなら……」
「その必要は無いよ。もう済ませた」
「……そうですか。では」
イストワールがマイクを握ってカタパルトの中にいる6人に声を送る。
《準備は整いました。みなさんは急いでその穴に飛び込んでください》
「うぇ〜……なんか酔いそう」
「大丈夫……毎回スミキさんが通ってきた道、でしょ……?」
6人が穴の前に立った。
《それではみなさん。……幸運をお祈りしています。……行ってらっしゃい》
「……はい!行ってきます、いーすんさん!
ネプギアが勢いをつけて次元の穴へと飛び込んでいく。
飛び出したネプギアは虹色の穴の中に吸い込まれ、消えていった。
ーーーーーーーー
「っ、と、と」
急に現れた大地にネプギアがつまずきながらも着地する。
後続の邪魔にならないようにその場からどくとネプギアがいた場所に次々とみんなが飛び降りてきた。
「っしょ」
「ん……おっけ……」
「っとと……」
「ん」
「あわわ、あうっ!」
コンパだけ尻餅をついてしまった。
全員が揃ってから改めて周りを見渡すと、そこはもう同じ星とは思えない場所だった。
吹き出るマグマ、体を焼く熱気と不快な湿気。地面はでこぼこしていて歩きにくく、ありもしない瘴気を感じるほどだ。
「ここが……ギョウカイ墓場……」
「暑い……」
「ここに、お姉ちゃんがいるのね!」
「道案内は私達がするわ」
「付いてきてくださいです!」
先に歩き出したアイエフとコンパに付いていく。
大きな丘を超え、凹んだ土地を抜け、ギョウカイ墓場の奥地へと進んでいく。
「この丘を超えると見えるはずよ」
「静かにして、様子を伺うです」
数年ぶりに姉の顔が見れる喜びで声を出しそうな女神候補生を抑えて、ゆっくりと音を立てないように身をかがめる。
「っ!」
「んっ……!」
その瞬間、ネプギアとロムを青い光の筋が襲った。
2人はそれを感知して避けたものの、青い光はその場にある岩を軽々と両断してしまう。
「なによこれ!?」
「っ、丘から離れて!」
「えっ?」
「早く!」
ネプギアに従って青い光を避けながら丘から走って離れる。
次の瞬間、丘は大爆発を起こす。
「きゃああっ!」
衝撃で吹き飛ばされたがダメージはない。
それより驚くべきは目の前にあった小高い丘が綺麗さっぱり消え去っていたところだ。
「一体何が起こってんのよ!」
「わからない、けど……!」
女神候補生4人の体が光り輝いた。
「私達はお姉ちゃんを助けに来た……!だったら、降りかかる火の粉は全部払い除けなきゃ!」
ネプギアが青い光をH-M.P.B.Lで受け止めると、そこには四角い刀のような物体があった。
そしてユニがそれに目すら向けないで銃口を突きつけ、弾丸を打ち込む。
刀のようなものは壊れはしなかったものの基部を割られてしまい、地面に落ちた。
「クククッ……!ク、ク、ハアッハッハッハッハァッ!」
大きな笑い声のする方声を見る。
そこに立っていたのは黒い巨人。足がない特殊な姿で宙に浮き、手に持つのは巨大なパルチザン。
「ようやく来たぜぇ……!エサに釣られてよってくる、バカどもがよぉぉぉぉっ!」
「ジャッジ・ザ・ハード……!」
「でも、前とは姿が違うです!」
胸には巨大なAのような文字が光り、目に透明なバイザーをつけ耳の横にはアンテナがついている。
しかし、みんなの目を引いたのはそれだけではない。ジャッジの後ろ、そこには捕えられた女神達がいた。
「…………」
「お姉ちゃんっ!」
「通しはしねぇっ!ここで戦って戦って戦って……そして、死ねぇぇぇっっ!」
ジャッジがパルチザンの柄を地面に打ち付けると、強烈な波動がネプギアとロムを襲う。
「うっ……!」
「な、なに……!?」
「ロムちゃんっ!?」
「ネプギア、どうかしたの!?」
「わかんない……けどっ、波動を感じる……よ!」
「あの人も……人の心を感じることが、できる……!けど、なのに……っ!」
「アハハハハハッ!殺してやるよ……!殺せ!Cファンネルッ!」
ジャッジの背からいくつもの青い光が現れた。それはCファンネルという兵器だ。
敵に接近し、切りつけたり攻撃をガードできるほどの硬さを持っている。
「来るわよ!」
「ネプギア!」
「うん……!やろう!やるよ、みんな!」
ネプギアの両肩にもH-M.P.B.Lが装備された。さらに両手にもH-M.P.B.Lを装備した姿は、ダブルバレット!
「準備はいいですか!?」
「当然!撃ち落とすわよ、ネプギア!」
ユニのX.M.Bも小型化し、背中にコーン型のプロセッサユニットが装備される。
そしてユニは肩に弾帯をかけ、X.M.Bからも弾帯がはみ出ている。
「贅沢に使うわよ……!落ちろ落ちろ落ちろっ!」
「最大出力の……フル、バーストッ!」
ネプギアの4本のH-M.P.B.Lから螺旋を描くビームが発射され、Cファンネルを範囲攻撃で巻き込む。
ユニのX.M.Bからは散弾が連続で発射され、Cファンネルの基部を手当りしだいに破壊していく。
「行くわよコンパ……!最初から本気で!」
ーーーEXAMシステム、スタンバイーーー
「はいです!みなさんは目の前ですから!」
アイエフが持っていたのはサブマシンガン。それを両手持ちにしてジャッジへと発射しながら突撃していく。
「なるほど、強烈な波動ね……!けど!」
サブマシンガンを腰にぶら下げ、コートの中からダイナマイトを取り出し投げつける。
「ああん?」
しかしそれはCファンネルにより切り裂かれてしまう。
「雑魚はどいてろぉっ!」
「うっ、ああっ!」
ジャッジが放つ波動だけでアイエフが吹っ飛んでいく。
「あいちゃん!」
「大丈夫!」
「ロムちゃん、大丈夫!?」
「大丈夫……!けど……」
ロムとラムが抜群のコンビネーションでCファンネルを落としていく。
「これじゃ、サテライトキャノンが撃てない……」
「このウザったいのを全部落とす必要があるわね!」
「ネプギア、キリがない!これ、無限に湧いてくるんじゃないの!?」
「だったら……!これの対策は、もう知ってるんです!」
ネプギアがジャッジに向かってストライダーフォームで駆け出した。
ユニもネプギアに続いてジャッジにビームを浴びせていく。
「ぬっ、ん、テメエっ!痒いンだよおぉぉぉっ!」
「当たってるって証拠よ!遠慮せずに受け取りなさい!」
「はああっ!」
ネプギアがH-M.P.B.Lで切りつけるとジャッジはパルチザンの柄で受ける。
「どけよぉぉぉっ!」
ジャッジがネプギア1人に強烈な波動を浴びせかけるが、ネプギアは退かない。
それどころか、ジャッジを押していた。ストライダーフォームの推力は巨体のジャッジを退けるまでのものなのだ。
「ぐ、ぐ……おおおっ!」
「スラッシュ……!」
ついにネプギアがジャッジを押し切った。
パルチザンを弾かれ、ガラ空きになった胴に向かって懇親の一撃!
「ウェーーッブッ!」
「ぐおおっ!」
ネプギアが全体重を乗せて肩のH-M.P.B.Lでジャッジの腕を切り落とす。
「やった!」
「………ふ、ハッハッハ………!ヒーヒャハハハ!学習した、学習したぜぇっ!学んだことは……生かさなきゃなぁぁぁっ!」
しかし、ジャッジは痛みを感じていないのか逆に大笑いする。
全員が身構える中、ジャッジの胸のAの文字が光り輝いた。
「AGEシステム……!さあ、進化しろっ!」
その瞬間、ジャッジの腕は一瞬で再生し、ジャッジの体を覆う装甲がさらに強固なものへと変わっていく。
「アハハハハハッ!アハハハハハハハハッ!」
「コケ脅しを……!」
「待ってユニちゃん!アレは、見掛け倒しなんかじゃない!」
「よくわかってんじゃねえか……。じゃあ死ねよっ!」
「っ!」
突撃してきたジャッジのパルチザンを4本のH-M.P.B.Lで受け止める。
しかし、今度はネプギアが押し切ることが出来ない。
(なんて、パワー……!)
「吹っ飛びなぁぁぁっ!」
「あああっ!」
ネプギアが吹き飛ばされ、岩に体をぶつける。
「ネプギア!」
「テメエも、ウザってえんだ!」
「この、的ばかりデカくて……!」
ジャッジは今度はユニに向かう。
ユニはX.M.Bを構え、ジャッジの振るうパルチザンに狙いを定めた。
「目つぶっても当たるわね!」
ユニのX.M.Bの最大出力がジャッジの右手に当たる。
いくら堅牢な装甲になろうと、ユニのX.M.Bは防げない。
「このまま砕く……!」
「ダメ、ユニちゃん!壊しちゃダメ!」
「ネプギア!?」
しかし時既に遅く、ユニのX.M.Bはジャッジの右腕を完全に砕いた。
「ハァッ……!感謝するぜぇ?また進化できるからなあっ!」
「えっ……!?」
またジャッジの右腕は再生し、装甲が1段と堅牢なものになる。
「どういうことなんですか!?」
「壊す度壊す度、アイツの体は再生して、さらに強くなるってことよ!」
「じゃあ、どうすれば……!」
「一撃で体を消し去るしかないでしょ!」
そしてそれができるのは……!
「私達ってことね!」
「援護して……!カチンコチンにしちゃうから……!」
「お前らよぉ……相手にして1番怖いヤツってのはどんなヤツか、知ってるか……?」
ジャッジが地面に落ちたパルチザンを拾い上げ、高々と掲げた。
「それはな……主人公だ!ヒャハハハハ!!」
ジャッジには改造手術で様々な能力が付加されました。
まずは強化人間の手術。
次にAGEシステム。これは原作のAGEシステムとは違い、食らった攻撃を単純に上回るパワーや装甲を装備させるシステムです。
そして迅速に装備させるためのミズキやビフロンスに施されたものに近い、不老不死の手術。回復速度はビフロンスを上回る程ですが、代償はあります。代償はまた後で説明。
それとミューセル。これは脳を電磁パルスで刺激してXラウンダー能力を強制的に引き出すもの。アセムが付けてたやつですね。
+NT-D。
もう全部乗せです。