超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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直前にジョジョを読んで書いてました。7部。


トールギス

目の前には巨大な氷柱。

いや、氷の森。氷の神殿。そう言えるほどの神々しい氷が目の前に出来上がっていた。

あらゆる物体を絶対零度に叩き落とし、全てのエネルギーを奪うようなこのビームを喰らい、無事な者などいない。

 

「ふん、死んだか……?」

「………?」

 

ロムがふと、弾かれるように上を向いた。

 

「いいえ、まだです」

「なに?」

 

トリックがそう聞き返した瞬間、Gビットが1機、突如爆発する。

 

「な、なんだ!?」

「ついていけない……」

「脅威、確認……!」

 

残るのは爆発音と肌を切るような風。

 

「発見!」

「全機、攻撃開始……」

 

ロムとラムが夜空に見つけたのは白い流れ星。

しかしその速さ、尋常ではない。

 

「目で追い切れない……」

 

ロムですら、目で追うことが難しい。ニュータイプとして敵の気配を感じることの出来るロムでさえ、目で追うのが難しいのだ。

 

Gビットの射撃は流れ星には当たらない。

ゆうゆうと逃げおおせてしまっている。

その流れ星は、またこちらに向かってきた。

 

「っ、迎撃……!」

 

Gビットはビームサーベルを引き抜いて迎撃の準備をする。

しかし、引き抜いた瞬間には胴が真っ二つに切り裂かれている。

 

「ううっ!?な、何事だ!」

 

気がつけば、倒れていたアイエフとコンパがいない。

そして今頃、ロムが後ろに気配を感じて振り返った。

 

「…………!」

 

倒れたアイエフとコンパ、そして尻餅をついたネプギアを守るように立ちはだかっていたのは、トールギス。

 

《間に……あった……うっ、ゴホッ!》

 

しかし、機械の体で咳をするように膝をつく。

 

《さすがに、殺人的な加速だ……。リミッターをかけてこれか……!》

 

「何者だ、貴様!」

《人に名前を聞く時は……まず自分から名乗るものだよ》

「ロム」

「ラム」

「うっ……フン、俺はマジェコンヌ四天王が1人、トリック・ザ・ハードだ!」

《うん、全員知ってた》

「なっ……!?」

 

立ち上がってトールギスはトリックを見つめる。

 

《僕の名前は……クスノキ・スミキ。1つ、質問だよトリック》

 

トリックの顔に指を指してトールギスが尋ねる。

 

《みんなを……女神を傷つけたのは、君かい?トリック》

「女神?残念ながら違うな、アイツらを倒したのはマジックだ」

《マジック、ね……。覚えた》

 

瞬間、トールギスから放たれるオーラが変質したのを感じ取った。それは何の才能もなくても感じられる、雰囲気と呼べるもの。

純粋な、怒り。

 

《倒したはずの君に何があったのかは知らない。みんなを傷つけたのはその、マジックってヤツなのはわかった。けど……》

 

トールギスのスーパーバーニアが展開した。

 

《みんなを傷つけて……2人を操った。そんなことをさせたのは……許せないっ!》

 

「来るっ」

 

まるで稲妻。

辛うじて今度の動きは見えたものの……速すぎる。

気がつけば、Gビットが1機、トールギスの飛び蹴りを受けて頭部を完全に破壊されていた。

 

《おおおっ!》

 

そして肩に担いだドーバーガンで胴部も完全に破壊。

即離脱した。

 

「速い……」

「圧倒的な、脅威」

「俺が相手をしよう!援護しろ!」

 

トリックが前に出て空中のトールギスへと舌を伸ばす。

 

《っ、速い……けど!》

 

トールギスがドーバーガンを両手で構えた。

狙うはトリック。

 

《たかが!たかが、マジェコンヌ四天王1人!それに、ロムとラム……!》

 

ドーバーガンが最大出力で放たれる。

 

「んなっ!?くくぐっ!?」

《僕が勝てないとでも……!?》

 

受け止めたものの、トリックは衝撃に腕の痺れを感じた。

 

「なんという威力……この俺の手を痺れさせるとは!」

「ご主人様を……撃つな」

「もうその速さには慣れた。殲滅を開始する」

 

Gビット、残り9機。

それがさっきよりも正確にトールギスを狙って射撃を行う。

 

「す、スミキさん……!」

 

ネプギアがその戦いを目で追う。

後ろには倒れたアイエフとコンパ。そして目の前には新たなM.P.B.L。

 

「これ……を……」

 

生まれ変わったM.P.B.Lを握りしめ、後ろを向いたロムとラムに向けた。

この引き金を引けば、きっと気絶してくれる。

 

(………っ、っ……!)

 

「………」

 

しかし、その気配を察知したロムが振り返った。そしてそれにつられてラムも振り返る。

 

「っ!」

「こいつ……」

「いい。いつでも殺せる。それより今は、脅威の排除」

 

しかし、冷ややかな目で2人は再びトールギスの方を振り返る。

それを見たネプギアは引き金を引くことすらできない。涙を流してM.P.B.Lを手放す。

 

「うっ、ううっ、う……!」

 

私の力は限界にまで達した。

こんな力じゃ、2人に勝つことは出来ない。

自分には何も出来ない?

 

こんなんじゃ、例えお姉ちゃんに出会えたって……っ!

 

「お願い、スミキさぁん!私、強くなりたい……!教えてください、どうすれば、強くなれますか……っ!?」

 

《っ、ネプギア……》

 

悲痛な泣き声がミズキの胸を打つ。

 

「余所見してる場合かぁっ!?」

《うるさい、黙っててよ!》

 

ドーバーガンが連続で撃ち込まれ、トリックの周りを砂埃で満たす。

 

《ネプギアの声が聞こえない……!》

 

「私、これが限界で……!でも、これじゃ、勝てない!お姉ちゃんも、助けられない……!」

 

《ネプギア……》

 

「もっと、強くなりたいっ!」

 

《っ……その言葉、確かに聞き届けた……!》

 

トールギスがドーバーガンを肩にかけ、ビームサーベルを引き抜いた。

そして急降下し、地面を滑るように迫ってくる。

 

「なっ!?」

 

すれ違い様にGビットが2機、切り裂かれた。

そして再度、ネプギアの前に立つ。

 

《まずは涙を拭いて。そして立つ。それからだ!》

「ぐすっ、スミキ、さん……」

《君の進化、step2だ!大丈夫、君はまだまだ強くなる……!》

 

トールギスがドーバーガンを動いたら撃つと言わんばかりにトリックに向ける。

 

《僕達の命の見積もりが甘かったこと、証明してみせるよ!》




短め。トールギスはいい。IIIもいい。だがII、お前はフルブーストのトラウマがあるからダメだ。IIIはまだ使いこなすのが難しいからいいけど。Ⅰはいい加減ネクストプラス以降の参戦をしてくれ。

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