超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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ゼータの機体は画期的な変形が多いですねぇ、Zも特に。あとガブスレイとか。


進化の時間

(なに、今の……?)

 

我に返れば不思議な力は消え去っていた。

まるで、夢から覚めたように元通り。あの時の速さも強さも声も何もかも幻だったかのようだ。

 

「進化、する……更なるステージ……先に、先に、先に……」

 

あの時の声を反芻する。

 

「私はまだ、劇的な進化を残している……?そっか、わかった、わかる……!」

 

不思議と、消えた記憶のことを理解した気がする。

記憶がなくなっていたとして……その内容は私にはわからない。けれど、確実に記憶がなくなっていたことがわかる。

 

そしてその中で私は成長していた!

私は時間と一緒に進化も失った……。けれど、それを私は取り戻しつつある!

ノーマルも、スパローも、タイタスも、私の一部分でしかない!さらに、さらに、その先はある!それを取り戻す!

 

「わかりました!私はまだ、進化する……!」

 

 

 

ーーーー『運命の先へ』

 

 

 

ネプギアがヒラリと空に舞い上がる。

それを見たガザCが思い出したようにナックルバスターを放つが、ネプギアは全てを避けてM.P.B.Lの射撃でガザCを貫く。

 

「今から、私の全ては進化します!」

 

あの時、あの一瞬で感じることのできた力……それを掴み取るまで!

 

「強く、速く、硬く、重く!」

 

ネプギアがガザCに切りかかる。ガザCはビームサーベルを引き抜いて斬撃を受け止めるが……!

 

「私は、強くなる!」

 

ビームサーベルごと押し込まれ、ガザCが切り裂かれた。

瞬間、ガザCごと撃ち抜こうと放たれたナックルバスターを避ける。

 

「感じて、感じて……!」

 

雨あられのように降り注ぐビームの合間を踊るように避け続ける。

そして、ビームを撃てるほどの小さな隙間がその雨の中に見えれば……!

 

「当たれっ!」

 

素早く引き金を2回引く。

何れもガザCに命中して爆散させていく。

 

(編隊移動をとっているんだ……!密集してるってことは攻撃が辛いってことだけど!)

 

「的が大きいってことなんですよ!」

 

再び撃たれた弾丸がガザCを貫く。

 

「まだ、まださらにその先……!やれる、私なら……!」

 

地に降りて駆け出したネプギアはタイタスへと換装する。

しなやかな獣のようにビームを避けながらネプギアは森へと向かう。

 

(戦場を利用して戦えば、勝てる!)

 

森の中に入ったネプギアへとガザCの射撃が向かうが、さっきよりも精彩を欠いている。

ネプギアは高速で動いても木々には当たらず、まるで住み慣れた土地のように木と木の間を縫うようにくぐり抜け、あるいは飛び跳ねていく。

 

「ビーム・ブーツ!」

 

ネプギアが勢いを緩めずにビームを纏った飛び蹴りを放つと抵抗もなしに大木がへし折られた。

ブレーキをかけたネプギアがその大木を抱き上げる。

 

「これを武器に出来る力を……!」

 

どくん。どくん。

 

「ていやぁっ!」

 

《!?》

 

そのまま槍のように放り投げた大木が上空のガザCへと命中する。

それに驚いたガザCにもすかさずネプギアの射撃が命中する。

 

「感じる……!アナタ達の気配を感じます!」

 

ネプギアの射撃をガザC部隊は避けて、散り散りになる。

各機モビルアーマーへと変形してネプギアを包囲するように動く。

 

「早い……!でも、早くとも!」

 

ネプギアがくるりと回ればスパローへと換装している。

変形したガザCに負けないほどのスピードでネプギアが宙を舞う。

 

蝶のように舞い蜂のように刺す。

それを体現するようにネプギアはガザCの真後ろにピッタリとついた。

 

「ふっ!」

 

一瞬のうちにX字に斬撃を叩き込み、離脱。

近くのガザCを踏み潰し、それを踏み台にして飛翔し、また別のガザCが細切れになる。

 

(もっと、見るんだ……。見て、聞いて、感覚を研ぎ澄ませて……)

 

どくん。どくん。どくん、どくん!

 

ネプギアの頭に全てのガザCの機動が見えた。

上下左右前後、全ての機体の動きを同時に把握出来たのだ。

 

「そこ……」

 

自分でも驚くほどに落ち着いている。

まるで、暖かな春の日にこぼれ落ちた花弁を手のひらで受け止めるようにネプギアはM.P.B.Lを投げた。

 

《……!?》

 

ガザCに当然のように直撃。

やすやすとガザCの薄い装甲を貫いたM.P.B.Lをネプギアが急接近して掴む。

 

「倒せて、当然……」

 

キンッ、とほんの少しだけ装甲が無駄な抵抗をする音が響いて継いで爆発音が響く。

 

「ま、まさか……も、もう9機もやられたっチュか!?」

 

さっき集中砲火を受けていたネプギアとは別人のようだ。

まだほんの数分しか経っていないのに、数10機はいたガザCは半分以下に減っている。

 

「や、ヤバいっチュよ……!ええい、なら、まだ!」

 

 

ーーーー『モビルスーツ戦』

 

 

「………?」

 

ネプギアが急接近する機体の気配を感じた。

 

「っ、来るなら!」

 

発射される黄色のビームを避ける。

そして敵の姿を視認した。

 

「紫と、茶色の機体!」

 

こちらにやってくるモビルアーマーが合計3機。

紫の機体、メッサーラと茶色の機体、ガブスレイだ。

 

(あの3機、格が違う……!)

 

メッサーラからミサイルが放たれた。

片肩9発、合計18発のミサイルがネプギアへと向かう。

 

「慎重に動かないと、やられる!」

 

後退しながら冷静にミサイルを撃ち落とす。

すると2機のガブスレイが前に躍り出た。

 

《………》

 

2門の肩部メガ粒子砲の弾幕がネプギアを襲うが、ネプギアはそれを牽制であると見抜いている。

 

「本命は食らいません!」

 

同時に放たれたフェダーインライフルを跳ねるように上に飛んで避ける。

そしてガブスレイとすれ違い、メッサーラへと向かう。

 

「落とさせてもらいます!」

 

可変機の射角外、真上から強襲をかける。

メッサーラはなんの抵抗もできずに落とされてしまうように見えた、が!

 

「っ!?」

 

その間、わずか0.5秒。

ただそれだけの時間でメッサーラは変形を終了させ、ネプギアのM.P.B.Lをビームサーベルで受け止めて見せた!

 

(やっぱり、他とは別格……!)

 

ネプギアのM.P.B.Lを強引に振り払い、距離を取る。

ネプギアにはメッサーラを大きく見せるような真っ黒いオーラが見えた気がした。

 

(これが、スミキさんが感じるものなの……!?)

 

直感で感じる。あの中、誰かがいる!

 

(これが、スミキさんの視界……スミキさんの世界!)

 

後ろからガブスレイが旋回して戻ってきた。

2機のガブスレイが連携を取りながら肩部メガ粒子砲を放ってくる。

 

「落と……くっ!」

 

逃げて距離を取ろうとするが、逃げられない。

モビルアーマーは、速すぎる!

 

「逃げられない、追えないッ!?」

 

ガブスレイAが目前に迫る。

そしてそのクローアームでネプギアの腕を握りしめた。

 

「うあああっ!?」

 

ギリギリとネプギアの腕を締め付け、骨が軋む音が聞こえた。

 

「離してっ!」

 

すかさずM.P.B.Lで切り裂いてクローを外すが、動きが止まった隙を狙われる。

 

(狙われた……!?)

 

ネプギアの後方、モビルスーツ形態へと変形したガブスレイBがフェダーインライフルを構えている。

 

(アレは……!)

 

「アレにだけは、当たれない!」

 

M.P.B.Lを構えた瞬間、フェダーインライフルが放たれた。

 

「最大出力!」

 

そしてM.P.B.Lを最大出力で発射される。

2つのビームはぶつかり合い、スパークして相殺しあった。

 

(M.P.B.Lの最大出力を受け止める威力だなんて!)

 

しかし、危機はまだ終わらない。

後ろからメッサーラが近づいている。

 

《………》

 

腕のバルカン砲を放ちながら前進される。

M.P.B.Lの刀身でバルカンをガードするが、それをクローアームで掴まれた。

 

「何を!」

 

《………》

 

メッサーラのクローアームの内側のグレネードランチャーが連続で火を吹いた。

 

「しま、きゃああっ!」

 

M.P.B.Lが粉々に砕かれてしまう。

その余波を食らってネプギアも吹き飛ばされてしまう。

 

「ああっ!」

 

ネプギアが地上に叩き落とされた。

 

「M.P.B.Lが……!でも……!」

 

M.P.B.Lがなくなったって戦える。

 

「タイタス!」

 

迫るモビルアーマー達に立ち向かうべく、タイタスへと換装する。

しかし……。

 

「えっ……!?」

 

タイタスへの換装が行われない。

 

「タイタス、タイタス!そんな……!?」

 

それどころか、変身が解けてしまう。

 

(変身が……そんな!)

 

《………》

 

「きゃああっ!」

 

メッサーラから放たれたメガ粒子砲がネプギアの足元で爆散する。

ネプギアは崩れ落ちると自分の手を握りしめた。

 

「なんで……!?どうして、変身ができないのっ!?」

 

メッサーラが迫る。

変形した。

ビームサーベルを構えている。

 

「なんで……っ!?」

 

ビームサーベルを振り下ろしてくる。

それをビームソードで受けたが、吹き飛ばされる。

 

「あうっ!」

 

先に、先に、先に。

更なるステージへ。

進化する。

 

(違うでしょ!?)

 

先に行くのは私。

更なるステージに立つのは私。

進化するのも……他でもない私!

 

「そうだ……ほんの少しだけ、理解できた気がします!」

 

あの言葉の本当の意味を!

 

砂埃だらけの服と髪を散らしながら立ち上がる。

 

「変身ッ!」

 

しかしそれでもネプギアの姿は変わらない。

それでも、それでもネプギアの瞳の光は消えていない。

 

メッサーラが腕のグレネードランチャーを向けた。

それが発射されてもネプギアの瞳は揺るがない。

 

そして……!

 

《!?!?》

 

天から眩い光の柱が降りてネプギアを覆い尽くす。

グレネードランチャーは光に遮られ、爆発する!

 

ネプギアの体が光に包まれ、通常の変身を終了させた。

しかし、変身はまだ続く。

 

ネプギアのプロセッサユニットが追加され、さらにネプギアのスーツに幾重にもスーツと装甲が厚く装着されていく。

両手にはシールドが装着され、ネプギアが空に舞い上がる。

 

「この私の名前は……フルグランサ!」

 

ネプギアのプロセッサユニットに装備された砲台が脇の下をくぐってそれぞれガブスレイを向く。

砲の名前はグラストロランチャー。

 

《!》

《!》

 

ガブスレイがそれぞれフェダーインライフルを構えた。

生半可な射撃など打ち消し、さらにそれごとネプギアをチリにしてしまうつもりだ。

 

だが、この2機の判断は誤っていた。

 

「グラストロ……ランッ、チャァァーッ!」

 

放たれたフェダーインライフルとグレネードランチャー。

それは相殺しあい、ビームを完全に消し去った。

 

《……!》

 

グラストロランチャーは通常の射撃でM.P.B.Lの最大出力と同じ威力があるのか。

瞬時に機体はネプギアへの認識を改める。

 

「逃がしません!」

 

ネプギアの背に新たに装着されたプロセッサユニットが唸りをあげる。

ガブスレイはすかさず変形してネプギアから逃げるように後退する。

 

「M.P.B.Lも進化した……!盾の機能までついてるなんて!」

 

シールドを2機のガブスレイに向けると、そこから螺旋を描くビームが発射される。

ガブスレイは互いに不規則な動きでそれを避けた。

 

「……っ、後ろ!」

 

ネプギアがメッサーラの気配を察知した。

後ろから変形して迫るメッサーラの肩からミサイルが発射される。

しかし、ネプギアはガブスレイに迫りながらメッサーラの方を向く。

すると、ネプギアの肩と膝の装甲が展開してミサイルが露出した。

 

「火力だって……上がってるんですからァッ!」

 

発射されたミサイルがメッサーラのものとぶつかり合い、消えていく。

それどころかさらに発射されたミサイルはメッサーラのミサイルの弾幕すら乗り越えてメッサーラの鼻先へと迫った。

 

《!》

 

メッサーラにミサイルが直撃する。

たまらずメッサーラは変形を解除して態勢を立て直す。

 

《!》

《……》

 

それを見たガブスレイがフェダーインライフルを構えた。しかし、その気配もネプギアに察知されている。

 

《………》

 

「当たりません!)

 

フェダーインライフルを華麗に避け、ガブスレイへと肉薄する。

そしてシールドライフルの銃口からビームサーベルを発振させた。

 

「これは……剣にだってなるんです!」

 

不意をつかれたガブスレイの左腕が肩から切り裂かれた。

もう一撃加えようとしたネプギアだったが、ガブスレイは右手で持ったフェダーインライフルを構えた。

 

「ンッ……!」

 

フェダーインライフルの後部からビームサーベルが発振してネプギアのビームサーベルを受け止めた。

剣にも銃にもなる武器を持っているのはネプギアだけではないということか。

しかし、怯んでいる暇はないのだ。

 

「無駄、ですよっ!」

 

残った片手の盾で殴りつける。

ガブスレイの首のコードがブチブチとちぎれ、吹き飛ばされた。

 

「っ!」

 

そのままグラストロランチャーを発射。ガブスレイはビームに飲み込まれ、跡形もなく消え去った。

 

《………!》

 

残ったガブスレイが激昂するようにネプギアへと迫る。

フェダーインライフルを捨て、ビームサーベルを引き抜く。

ガブスレイに装備されているビームサーベルは全部で4本。両手と両足のクローアームにそれらを握らせ、MAとMSの形態の間、中間形態とも言える姿でネプギアに切りかかった。

 

「来ないでくださいよッ!」

 

振り返ったネプギアはミサイルを一斉発射。

ガブスレイはミサイルを切り裂きながら迫るものの、限界がある。ついにガブスレイにミサイルが命中する。

 

《!》

 

「落ちたいんですか……!?」

 

シールドライフルの弾丸がガブスレイを貫いた。あっけなく、まるで砂上の楼閣が崩れるように儚くガブスレイが爆発する。

 

「チュ、チュ……?」

 

メッサーラが残ったガザCをまとめあげ、ネプギアに弾幕をはる。

ワレチューは目の前で何が起こっているのか理解しきれていない様子だ。

 

「………ふっ、はっ……」

 

後退しながら弾幕の間をくぐり抜ける。

 

「隙ができた!」

 

片方のグラストロランチャーを発射してガザC2機が消えていく。

焦るように前進しながらナックルバスターを撃つガザCの動きはもう完全にネプギアに読まれている。

 

「機械の心なんて、相手じゃないんですよ!」

 

シールドライフルを撃てばまたガザCに直撃する。

もはやただの厚い弾幕でネプギアを倒すのは“不可能”になっていた。

 

《………》

 

メッサーラもそれを悟り、変形してネプギアへと急接近をかけた。

 

「くっ!」

 

放たれる背中のメガ粒子砲を避けながら体制を整える。

しかし、メッサーラは別格だ。ネプギアには再びメッサーラを包む黒いオーラが見えた。

 

「負けられない……っ、もっと強く、速く、硬くッ!」

 

避けきれずにメガ粒子砲を盾で受けてしまう。

その衝撃で後退したネプギアをメッサーラが追い詰める。

モビルスーツへと変形しながらビームサーベルを引き抜いてネプギアの目前へと迫った。




あり?AGE2じゃない?フルグランサになっちまったよ。
カポエラーにしたかったのにサワムラーになった気持ち。
ちなみに戦艦の残骸を跡形もなく消し去るフェダーインライフルは6.6mwとか。ハイメガキャノンは50mwです。ぶっ飛んだ兵器だこと。

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