ゴトラタンがビームライフルを連射してくる。背中に背負ったメガビームキャノンのおかげで機動力が上がり、それを生かしてロムとラムへ熱線を放っている。
「っ、大したことないわね!」
ラムが展開した防御魔法はビームライフルを容易く弾いた。
それを見たゴトラタンはメガビームキャノンを腹に構える。
「させない……っ!」
しかしロムが飛ばす氷塊がそれを邪魔して、ゴトラタンは発射をやめて2人から離れる。
《…………》
「私達に勝てるわけないでしょ?」
「氷以外の魔法だって、使えるんだから……!」
ロムが念じるとロムの目の前に炎の球体ができた。
「フレイム……!」
《…………》
それはゴトラタンに命中する。
「やった……!」
「これでお終いかしら?」
しかし、ゴトラタンはやられていない。炎の中から現れたのはメガビームキャノンを構えたゴトラタンだった。
《………》
「っ、ガード!」
「私も……!」
ゴトラタンはビームシールドで炎を防いだのだ。
ゴトラタンは一瞬の隙をつき、メガビームキャノンを放つ。
ロムとラムは防御魔法を重ねてガードしようとするが……!
「は、反射した⁉︎」
「打ち消されないなんて……っ!」
メガビームキャノンから放たれたビームは防御魔法に弾かれたものの、その勢いは失わずに拡散するようにビームをまき散らした。
「きゃあっ⁉︎」
「あ、危なっ!」
「ごめんなさ〜い!」
「やっちゃった……」
拡散したビームは味方には当たらなかったようだ。当たりかけたけど。
ロムとラムはテヘペロと舌を出す。
「っ、ロムちゃん!もう1回来る!」
「今度は、避ける……!」
ゴトラタンが放つメガビームキャノンを避ける。
しかし、避けたら避けたで今度は洞窟の壁に当たり瓦礫を落としていく。
「あ、危ないですぅ!」
「ちょっと、危ないじゃない!」
「どうすりゃいいってのよ!」
「もう撃たせない……!」
「賛成!」
ラムが杖の先を凍らせて、打撃力を増す。
ゴトラタンは近寄らせまいとマイクロミサイルをラムに向けて放つが、ロムの雹のような氷が全て撃ち落とす。
「いける……」
硬く凍った杖の先はそれだけで武器になる。
ゴトラタンはメガビームキャノンを背中に背負い直し、ラムの攻撃に備えた。
「ええ〜いっ!」
《…………》
振り下ろした杖はゴトラタンには届かない。
ゴトラタンが腕のビームトンファーで受け止めたからだ。
「この、このっ!」
しかしラムは何回も杖を叩きつける。
「ラムちゃん、どいて……っ!」
ロムが杖の先に氷塊を作り出す。ラムはそれが自分に当たる寸前に避けた。
《!》
ゴトラタンは氷塊を避けられず、ビームトンファーで受け止めたものの腕が弾かれてしまう。
「今ね!それっ!」
ゴトラタンがノーガードになった隙を突き、ラムが杖で殴ろうとしたが……!
《…………》
「トサカ⁉︎きゃあっ!」
ゴトラタンの頭部から展開したビームカッターが油断していたラムの腹にもろに突き刺さる。
「ラムちゃん……!」
「だ、大丈夫!」
吹き飛ばされたラムをロムが受け止める。
しかし、2人はメガビームキャノンに狙われていた。
「しまっ……!」
「させない……!」
ロムが前に出る。しかしラムがそれを咎めた。
「ダメ!防御魔法じゃ、また……!」
「大丈夫……!ビビッと来てたから……!」
ロムが作り出したのは防御魔法ではなく、アイスコフィン。
メガビームキャノンほどの威力のビームがアイスコフィンに当たると、さしもの大きさな氷塊も瞬間的に沸騰して蒸気になる。
「んん、ん……!」
メガビームキャノンの照射が終わる。
2人は蒸気に覆われて完全に見えない。ゴトラタンは注意深く蒸気を見つめていた。
《……………!》
「今ねっ!」
「行くよ……!」
突如、蒸気の中からロムとラムが飛び出して来た。
「準備万端!アイス・コフィン!」
「私も、アイス・コフィン……!」
ロムとラムは同時に氷塊を作り出して撃ち出すが、両方ともあらぬ方向に飛んでいる。
《…………》
「やああっ!」
それに気を取られたゴトラタンは前から来ていたラムに一瞬反応が遅れる。
再び凍らせた杖の攻撃を危なっかしくもビームトンファーで受け止める。
「引っかかったわね?」
しかし、2人の作戦はそこで終わりではなかった。
単にアイスコフィンを使った陽動ではなかったのだ。
その証拠にゴトラタンの後方ではアイスコフィン同士がぶつかり合う鈍い音がしていた。
《⁉︎》
「当たれ〜ッ!」
反射したアイスコフィンがまるでピンボールのようにゴトラタンの背中に突き刺さる。
《!》
ゴトラタンはメガビームキャノンを犠牲にして上へと脱出する。
しかし、上にはロムが待機していた。
「逃がさないよ?」
ロムがゴトラタンに思いっきり氷塊を叩きつけた。
ビームシールドで受け止めたゴトラタンだったが、吹き飛ばされる。吹き飛ばされた先はマグマの海だ。
《…………!》
全力でゴトラタンはマグマに沈むまいと逆制動をかける。なんとかマグマには落ちず、そのスレスレを滑空するように移動したゴトラタンだったが、ロムとラムもマグマのすぐ上を滑空して迫る。
「逃がさないって、言ったよ……?」
「マグマさえ凍らせる、私達の全力を焼き付けなさい!」
2人が滑空しながらマグマに杖をかざすとそこからマグマの表面が凍りついていく。
一瞬のうちに氷は広がってあたり一帯をスケートリンクへと変えてしまった。
「ロムちゃん!」
「ラムちゃん……!」
2人がマグマの上の氷に足をつけ、一流のスピードスケート選手のように素早く滑る。
即興の氷のリングは2人が滑った端から溶けていき、2人が滑ろうとした先に氷ができる。
《………!》
「当たらない当たらない!」
「氷の上で、私達に勝てるわけない……!」
ゴトラタンが後退しながら放つビームライフルは全てロムとラムに踊るように避けられる。
そして猛スピードで加速する2人はついにゴトラタンの眼前に迫った。
《!》
「遅いわ!」
「いまさら……」
ビームトンファーを避け、2人は凍らせた杖でゴトラタンの両腕を思いっきり殴る。
ゴトラタンの両腕はスパークして力なく垂れ下がった。
《……!》
「その手は2度と食わないってのよ!」
悪足掻きのビームカッターも軽く避けられる。
そしてゴトラタンの脇腹に2人の杖の先がコトリと触れた。
「芸術品にしてあげる……!」
杖の先から冷気がほとばしり、ゴトラタンの脇腹を徐々に凍りつかせていく。それに気付いた時にはもう遅い。
《⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎》
『これで……フィニッシュ!』
ゴトラタンは完全に氷塊に閉じ込められた。
2人は床の氷を蹴って回転しながらジャンプ。足場に小さな氷を作ってそこに着地した。
「氷の上じゃ……」
「無敵なんだから!」
2人して決めポーズを決めると凍りついたゴトラタンはマグマの海へと沈んだ。
ーーーーーーーー
無線式で動くビーム内蔵式ショットクローがネプギアを襲う。
放ってくるビームを防御魔法で受け止め、挟み込もうとしてくるそれをM.P.B.Lで受け止める。
「くっ……!」
《…………》
「ネプギアはやらせないって言ってんのよ!」
そのネプギアにビームライフルを向けたリグ・コンティオだったがユニの射撃で中断せざるを得なくなる。
「こっちよ、牛かカニもどき!」
ユニが注意を引く。
リグ・コンティオはネプギアを一瞥した後ユニにビームライフルを向けた。
「それでいいの!当たれっ!」
ユニがX.M.Bを放つが軽々避けられる。
「こうも容易く避けられると自信無くすわね……!」
リグ・コンティオのビームを避けながら射撃のチャンスを伺う。
ビームが途切れた瞬間、ユニがX.M.Bをリグ・コンティオに向ける。
「今度こそ……!」
「ユニちゃん!そっちにいった!」
「え?くっ!」
ネプギアの方に目を向けるとショットクローがユニの眼前にまで迫っていた。
「うっ、きゃっ!」
ショットクローのビームを防御魔法で受けざるを得ない。しかし、ショットクローはそのまま突進してユニの右腕を挟み込んだ。
「うぐっ!」
《…………》
「ユニちゃん!」
ネプギアがM.P.B.Lでショットクローを切り裂く。
ショットクローは爆散してユニの腕を解放する。
「っ、ネプギア!」
「っ⁉︎」
しかし、リグ・コンティオがその隙を狙っていた。
ネプギアにヴァリアブルビームキャノンが向けられている。
「しまっ……!」
《………》
「きゃあああっ!」
咄嗟に防御魔法を展開したものの、あまりの威力にネプギアは防御魔法ごと吹き飛ばされてしまう。
《………》
リグ・コンティオはなおもビームサーベルを引き抜いて追撃をかけようとする。
その前にユニが立ちはだかった。
「ネプギアはやらせないわ!」
ならば、とリグ・コンティオは目標をユニに変えてビームサーベルを振り下ろす。
(やれるわよね、私……!)
ユニはX.M.Bをかざす。
すると、X.M.Bはみるみるうちに小型化していき、背中には新たなコーン型のプロセッサユニットが装着された。
「ビーム・ジュッテを舐めないで!」
X.M.Bの銃底にビーム刃が展開され、ビームサーベルを受け止めた。
「ぐぐぐっ……!」
その隙にネプギアは態勢を立て直す。
「ユニちゃん!」
「私は大丈夫!それよりコイツを!」
ネプギアがリグ・コンティオに迫ろうとするとリグ・コンティオはユニをネプギアに向けて蹴飛ばした。
「っ、きゃあっ!」
「ユニちゃん!」
ネプギアはユニを受け止めるが、それと同時にリグ・コンティオの胸が光っているのも見ていた。
(来る……ッ!)
直感で感じる。
あのビームは肩のヴァリアブルビームキャノンよりも威力は上だ。受け止めても2人揃って吹き飛ばされてしまうだろう。
(なら避ける!)
ネプギアの両手両足に羽根のようなプロセッサユニットが咄嗟に展開した。
ユニを抱えたまま、ネプギアの全てのプロセッサユニットが唸りを上げる。
「スパロー!」
ユニを抱えているとは思えないほどのスピードで急上昇したネプギアは辛うじて胸部ビーム砲を避けた。
「はっ、はっ、ふっ……」
「あ、ありがとネプギア。って、また増えたわね、その変なの」
「うん。この時なら私は速いから、撹乱するね」
「わかったわ!」
ネプギアとユニが離れる。ユニは距離を取り、ネプギアはM.P.B.Lを逆手に持って接近した。
《…………》
リグ・コンティオはネプギアにビームライフルを撃つが、ネプギアの上下左右前後に不規則に動くステップで当たらない。
「この動き、アナタに追いきれますか⁉︎」
「ここは、ネプギアに隙を作ってあげる……!」
小型化し、連射力の上がったX.M.Bで遠距離からリグ・コンティオへ射撃する。
後退を許さないかのように誘導する射撃は、徐々にネプギアとリグ・コンティオとの距離を詰めさせていた。
「無駄です!私の速さは、アナタを完全に上回ったんです!」
機敏に動くネプギアにビームライフルの銃口が追いついていない。
「そこっ!」
ネプギアが一瞬の隙を突き、急接近して斬りかかる。
リグ・コンティオのビームライフルが切り裂かれて爆発した。
《………》
「一撃、離脱の戦法なら!」
すぐにネプギアは反撃を食らわないようにそこから離れてまたさっきと同じようなフォーメーションを組む。
しかし、リグ・コンティオの瞳が怪しく光った。