超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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なんで戦艦にはGNフィールド装備しないんだって思った歌舞伎役者90の冬。嘘です90歳とかじゃないです。


もうたくさんだ

 

《…………》

 

フレキシブルアームで象の鼻のようにしなやかに大型GNキャノンが4人に向けられる。

その砲口が粒子を収束し、スパークして光り輝いた。

 

《逃げてッ!》

 

ハッと我に帰った3人が蜘蛛の子を散らすようにその場から離れる。

ミズキが咄嗟に上に変形しながら飛んだ瞬間、ビーム砲が放たれた!

 

「……なっ、によ……この威力……」

 

縦に薙ぎ払われるように撃たれたビームは地面を溶かし、大きく抉る。

さらにそのビームが当たった壁はすでに原型はなく、赤熱するだけの丘になっていた。

 

《アルヴァトーレ、だって……⁉︎》

「くっ、牽制します!」

 

ネプギアのM.P.B.Lからビームが撃たれた。しかしビームが当たる寸前にアルヴァトーレをキラキラ光る金色の粒子の壁が覆った。

 

「また弾かれた……!」

「なら、お注射でいくですよ!」

 

コンパの注射器がガトリングのように液体をアルヴァトーレに向かって連射した。しかしそれも粒子の壁に弾き返されてしまう。

 

「お、お注射もダメですか⁉︎」

「拳銃、は!」

 

アイエフが数発拳銃をアルヴァトーレに向かって撃つ。それすらも粒子の壁に弾かれた。

 

「無理か……!」

《あの壁は万能のバリアだ!どの物体が透過するとかはない!》

「じゃあ、どうすれば⁉︎」

《何か絶大な威力を持つ武器をぶつけることができれば……!》

「その武器って何よ!」

《くっ……!メガ・バズーカ・ランチャーなら、あるいは……!》

 

4人は動きを止めないように左右に分散しながら一定の距離を保つ。

しかし、アルヴァトーレの側面のGNビーム砲が牽制のビームを撃つ。

 

《どちらにせよ、こんなんじゃビームを撃つ暇がない!》

「M.P.B.Lの最大出力なら、どうですか⁉︎」

《あの貫通力なら……⁉︎っ、来た!》

 

両側面で22門あるビーム砲は牽制の弾でありながらも、当たればタダでは済まない。

その上、アルヴァトーレの機体後部から6基の大型GNファングが射出された。

 

「まずは、これを撃ち落とすです!」

「っても、すばしっこいわよ!」

 

デルタプラスは変形を解除してグレネードをGNフィールドに向かって撃つが、やはり阻まれる。

デルタプラスに装備されている武器の中でモビルアーマーに効く威力を持っているのはビームライフルとグレネード弾くらい。つまり、デルタプラスは攻撃を封じられたと言ってもいい。

 

《せめて実体剣があれば……!くそ、せめてファングは!》

 

デルタプラスが自分につきまとうファングを見る。素早い動きで撹乱し、ビームを連射するがデルタプラスに見切れないスピードではない。

 

《撃ち落とす!》

 

動きを見切ったデルタプラスの見越し射撃が命中し、一撃で金色のファングは砕け散った。

気を緩めずにGNビーム砲を避け続け、もう1基のファングに狙いを定める。

 

《遠くても、このデルタプラスに詰められない距離じゃない!》

 

後退しながらビームを撃つファングを追い詰める。ビームライフルで行き先を限定し、左手でビームサーベルを掴む。

 

《落ち……ッ⁉︎》

 

斬りつけようとしたデルタプラスが悪寒を感じる。

悪寒を感じた方向ではアルヴァトーレが大型GNキャノンをこちらに向けていた。

 

《誘い出された⁉︎》

 

咄嗟に変形してファングとすれ違うように加速する。その直後、デルタプラスがいた空間をファングごと太いビームが飲み込む。

 

《くうううっ!》

 

さらに照射はそれで終わらず、デルタプラスを追いかけてビーム砲が薙ぎ払う。

 

「スミキさんっ!はああっ!」

 

しかしデルタプラスを追いかけるあまりフレキシブルアームがGNフィールドの外に出てしまっている。

それをネプギアが狙って正面から突撃した。

 

「ネプギア!」

「小さいのをお願いします!」

「ああもう!これじゃダーツ大会よ!」

 

アイエフが投げたスティレットがファングにあたる。少しスパークしたファングはじきに地面に落ちた。

 

「今しか……ッ!」

 

機体中央に配置された2門のGNビームライフルがネプギアの行く手を阻もうとビームを撃ってくる。しかしネプギアはそれをスルスルと避けていく。

 

「この攻撃をッ!ねじ込むッ!」

 

M.P.B.Lを持ったネプギアがフレキシブルアームに向かって切りつける。

 

「もらった……!あぐっ⁉︎」

《ネプギア⁉︎》

 

しかし、その剣があと少しで届くというところでクローアームがネプギアの体を挟み込んだ。

 

「そんな……武器、隠してたなんて……ううっ!」

 

ギリギリとクローアームがネプギアの体を締め付ける。

そして思いっきりネプギアを壁に向けて投げつけた。

 

「うあっ、あうっ!かはっ……!」

 

きりもみしながら壁にめり込んだネプギアの肺の空気が全て抜ける。地面に落ちるネプギアに大型GNキャノンがデルタプラスへの照射をやめて狙いを定めた。

 

「ぎあちゃんは、やらせないです!」

 

コンパが槍のように細長く尖った注射器を持つ。

 

「お注射、ジャベリンですぅっ!」

 

槍投げのように投げられた槍がアルヴァトーレへと向かう。しかし、それもクローアームが握りしめてしまう。

 

「そんな!」

「くそっ、ネプギア逃げて!」

 

アイエフが拳銃を撃つが、悪足掻きにもならない。硬い装甲に阻まれて大型GNキャノンには傷1つつかなかった。

 

「あうっ、くっ……」

《ネプギアぁ!》

 

スパークしている粒子が完全解放されれば、ネプギアはチリも残らず消え去ってしまうだろう。

しかし、そのビームが発射される寸前にデルタプラスが接近してくる何かを確認した。

 

《新手が2機⁉︎いや……!》

 

接近するのは小さな機影ではなく、人間。

 

《まさか、2人⁉︎》

 

「アンタ、ネプギアに何してんのよっ!」

「ぎったんぎったんにしてあげるから……!」

 

《⁉︎》

 

高速で接近していたのはロムとラム。アルヴァトーレもそれに気づき、咄嗟に大型GNキャノンを2人に向ける。

 

「ロムちゃん!」

「ラムちゃん……!」

 

大型GNキャノンから放たれたビームの奔流が2人を飲み込もうと空間を焼き払う。

しかし2人はビームの周りを滑るように紙一重でそれを避けた。

 

「アイス・コフィン……!」

「砕けちゃいなさい!」

 

ビームが途切れた隙に巨大な氷塊がアルヴァトーレの巨大GNキャノンに向かって飛んでいく。

アルヴァトーレはクローアームで払い避けようとするが、氷塊の質量に叩き割られる!

 

《⁉︎⁉︎⁉︎》

 

「やったぁ!」

「ネプギアちゃん、大丈夫……⁉︎」

「あ、ありがと……」

 

ネプギアが立ち上がるのをロムが助ける。ラムもネプギアに飛び寄ってネプギアを守るようにアルヴァトーレの前に立ちはだかった。

 

「ネプギアちゃん、私達ね……全部思い出したの……!」

「ごめん、ネプギア!酷いこと言っちゃった……ごめんっ!」

「え……?」

 

アルヴァトーレは氷塊の威力に吹き飛ばされ、地面にその体を擦り付けた。

 

《今だ!》

 

ファングが行く手を阻むが、デルタプラスにとって大した障害ではない。

すれ違い様に1基のファングを切り落とし、アルヴァトーレに肉薄した。

 

《落ちろ、落ちろ!》

 

デルタプラスがバツの形にビームサーベルで傷をつける。最後にビームサーベルで切れ込みを入れながらアルヴァトーレとすれ違った。

 

《⁉︎⁉︎⁉︎》

 

「まだ動けるわよアイツ!」

「おいしいところはいただくです!」

 

無茶苦茶に側面のGNビーム砲を乱射するアルヴァトーレ。それを難なく避けながらコンパが注射器を構えた。

 

「傷口は消毒するです!」

 

ジャンプしてデルタプラスが作った傷の中に注射器の針を突っ込む。

 

「普通なら針が折れちゃうですけど!」

 

そこからたっぷりと液が注入されると、傷口は煙を上げて融解し、大きく開いた。

 

「ナイスよコンパ!これを!」

 

アイエフが投げるのはダイナマイト。3本まとめた真っ赤なそれを火をつけもせずに投げる。

コンパはそれをしっかりとキャッチした。

 

「了解です!ば、爆発はまだ待ってくださいね⁉︎」

 

傷口に開いた穴にダイナマイトを挟み込ませるが、アルヴァトーレが浮遊し始めた。

 

「きゃあっ⁉︎」

 

足場が揺れ、コンパは地面に落ちてしまう。

 

「チッ……!」

《逃すかァッ!》

 

GNフィールドを展開する寸前、デルタプラスのグレネードが放たれた。

ギリギリでフィールドの中に入り、装甲に命中して爆発したグレネードの爆風は……!

 

《⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎》

 

「やった!」

「いたた……お尻痛いですぅ」

 

ダイナマイトへとたどり着き、装甲を内部からバラバラに砕く!

いくら巨大なモビルアーマーと言えども内部からの爆発には耐えられず、煙で機体を包みながら地面に落下した。

 

「思い出した……って……」

「探し物、見つかったの……!ごめんね、ネプギアちゃん……。今まで忘れてた……」

「敵とか言っちゃったし、攻撃もしちゃったし……。その、ごめんなさいっ!」

「そ、そんな!忘れてたなら、仕方ないよ……!それに……」

 

ネプギアは謝る2人を抱きしめた。

 

「思い出してくれて、良かったから……!」

「ネプギアちゃん……」

「許してくれるの……?」

「うん、うん……」

 

ネプギアが2人を離す。

少し泣きそうになっている2人が、ネプギアに何か言おうと口を開いた瞬間ーーー。

 

 

「ーーーっ」

「あっーーー」

 

 

「えっ………?」

 

ドサリと倒れる。

背中からブスブスと煙を上げ、肉が焦げた匂いがネプギアの鼻を刺激する。

虚ろな瞳が状況を把握するのには、そう時間はかからなかった。

 

撃た……れた………?

 

《ロムッ、ラムゥッ‼︎》

 

ネプギアの耳をスミキの声が通り過ぎていくが、それもネプギアの頭の中までには届かない。

声もあげずに倒れた2人の親友の呻き声だけが耳を通じて頭に届いた。

 

「う……っ…………」

「ぁ…………」

 

「ロムちゃん、ラムちゃん………?」

 

《……………》

 

アルヴァトーレの中から現れたのは新たな金色のモビルスーツ、アルヴァアロン。2枚のウイングを広げた機体はアルヴァトーレの副砲を兼ねていたGNビームライフルを持ってーーー。

 

《ッ!》

《!》

 

右手のビームライフルが切断された。

神速とも言える速度で接近したデルタプラスの一太刀によるものだ。

 

《もう……もう……ッ!》

 

さらに続ける剣は避けられた。

しかし、まだ接近してもう1度。

 

《誰かを傷つけるなよッ!もう、たくさんなんだよォォッ!》

 

アルヴァアロンが引き抜いたGNビームサーベルで受けられた。

それでもデルタプラスは前に進むのをやめない。対抗するアルヴァアロンをジリジリと後退させていく。

 

《僕の前から、みんなを消して……!みんなの中から、僕を消してさぁッ!》

 

蹴飛ばしてさらに追撃。

後退するアルヴァアロンにビームライフルを乱射するが、アルヴァアロンが作り出すGNフィールドで阻まれる。

 

《もうたくさんだって、言ってるだろ⁉︎引き金を引くなァーーッ!》

 

怒りのままにビームサーベルを叩きつける。

しかし、GNフィールドはビームサーベルを通さずにデルタプラスを弾き飛ばした。

 

《くっ、そぉぉぉっ!》

 

弾き飛ばされたデルタプラスをアルヴァアロンが追う。

その横から迫る誰かを感知したアルヴァアロンが即座にGNフィールドを展開して速度を落とす。

瞬間、アルヴァアロンはGNフィールドごと殴り飛ばされた。

 

《⁉︎》

 

「はっ、はっ、はっ、はっ………」

 

ネプギアがさっきまでアルヴァアロンがいた場所にいる。

手にビームのグローブを展開して胸を大きく上下させる。

その目に涙が滲んでいた。

 

「よくも、よくも、ロムちゃんとラムちゃんを……!」

 

ネプギアが足にビームをまといながらアルヴァアロンに向けて飛翔する。

アルヴァアロンが放つビームを蹴りや突きで弾き、その眼前にまで迫る。

 

「今の私は……ッ!」

 

GNフィールドが展開されていようと関係ない。

弾かれようと阻まれようと無駄だろうとその壁に拳で何度も何度も殴りつける。

 

「女神すら凌駕する存在ですッ!」

 

その形相はとても優雅ではない。拳を叩きつけ、感情に任せて拳を振る姿は、まるで……。

 

「鬼………」

 





ブチ切れネプギアとミズキ。
ブチ切れて1番ゾワッと来たのはフリット君ですかね〜。ユリンが可愛かったし。

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