超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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キャラ崩壊してるかも。許してちょ。


ひたむきな心と負けん気

切り捨てるなんて、そんなことできない。

 

やるんだよ。仕方のないことだ。

 

それでも私は、そんなことできない。

 

ダメだ。仕方のないことだ。

 

じゃあ、なんで。

 

それが、生きるということだろう?

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「こんにちは、ミズキさん。3日ぶりですね」

「こんにちは。大丈夫だった?」

「はい」

 

ユニとミズキが話している。

ノワールは気になって聞いた。あの、機人のこと。

 

「あれが、ミズキの変身?」

「うん。ガンダムだよ。ごめんね、エンシェントドラゴン、逃がしちゃった」

「……呆れた。そんなこといいのよ。むしろ、助けてもらったのは私達なんだし」

「あ、そ、そうでした。ありがとうございました!」

「ううん。元はと言えば、あのドラゴンをここまで追い込んだのも僕だから……」

「いいのよ。とにかく、ありがとうね」

 

素直にお礼を言う。ユニは頭を下げてノワールは微笑んだ。

 

「それじゃあ、ユニ、帰りましょうか。ミズキもプラネテューヌに帰るんでしょう?」

「……………っ」

「ミズキ?」

「………ううん、なんでもない。でも僕は、まだプラネテューヌには帰れないんだ」

 

ミズキは微笑んでいるがその顔に力はない。

 

「帰れない、ってどういうことですか?」

「ネプテューヌと喧嘩でもしたの?」

「………うん、そんなとこ、かな」

 

はあ、とノワールはため息を吐く。

ネプテューヌが追い出したかミズキが出て行ったかは知らないが大変なことにはなってるらしい。

 

「じゃあお礼もしたいし、教会まで来る?」

「………え、いいの?」

「いいわよ。どちらにしろ借りは返すつもりだったし。ユニもいいわよね?」

「うん、もちろん!」

「………クス、ありがと。それじゃ、ついて行こうかな」

「そうしなさい」

 

ノワールが先頭になって歩き始める。

するとノワールの右手首がドキンと痛んだ。

 

「………っ……!」

 

「ノワール?」

「………どうかした?」

 

ノワールはミズキの声に振り返る。できるだけ、なんでもない顔を作ったつもりだったが。

 

「はい、ダウト」

「う」

「え?お姉ちゃん、どうかしたの?」

「な、なんでもないわよ」

「はい、ダウト」

「う」

 

連続でミズキに否定されて観念する。

 

「ほら、その手首。怪我してるんじゃないの?」

「………そうです」

「よろしい」

 

右手首を押さえているのはバレバレだったらしい。

 

「ほら、見せて」

「痛っ……」

 

ノワールを座らせて手首を見る。手首を持ち上げようと触っただけでノワールは顔をしかめた。

 

「お姉ちゃん、大丈夫?」

「ええ、心配いらないわ。これくらい……」

「ウソつかない」

「いたたたたたたっ!いたっ、いた!やめてやめてやめて!」

 

掴んだノワールの腕のまったく捻挫とは関係ない場所の皮をつねる。

 

「ジャック、いい?」

「ああ。何か用か?」

(いったいどこから?)

 

いつの間にかそこにはジャックがいた。

 

「氷と袋、あるかな」

「一応、ある」

 

空間からビニール袋の中に入った氷が出てきた。それを掴んでノワールの手首に優しく置いた。

 

「冷たっ………」

「我慢して。ウソついた罰だよ」

 

意地悪な顔でそんなことを言うミズキ。

手首は冷たいのに、ミズキに触れている手のひらは温かい。そのせいでノワールの体温は冷やされているはずなのに上がっていく。

 

「ノワール?顔が赤いよ?」

「な、なんでもないわよ!ちょっと血を浴びすぎただけ!」

「なんかカッコいいね⁉︎」

「そうよ、血を浴びすぎただけで……スイカの食べ過ぎとかじゃないんだからねっ⁉︎」

「知ってるよ⁉︎まずその可能性はないと思ってるよ⁉︎」

「うう……顔から赤い髪をした白雪姫が出てきそう……!」

「顔から人出せたらそれはもう悪夢だよ……」

「じゃあシ○ンクス」

「覇王色!」

「2人ともなんの話をしてるの……?」

 

ユニが困惑した目でこちらを見ていた。

 

「そういえば、ユニ。あの狙撃、凄かったね」

 

動きが単調だったとはいえ、目を正確に狙った狙撃。

 

「ノワールもそう思うでしょ?」

「え?そ、そうね。でも、弾切れの時はヒヤッとしたわよ」

「あ〜……う、うん……」

 

パワフルコングを相手にしたときのこと。お姉ちゃんがいなかったら、どんなことになってたかわからない。

 

「ユニ」

「あ……。で、でもね、お姉ちゃん。次は頑張るから!」

「……ええ、その意気よ(もうこのテンションにも慣れたわね)」

 

シジミ!シジミタベロ!アツクナレヨ!

 

「ところでミズキはしばらくラステイションにいるの?」

「そうだね。ここでやらなきゃいけないことがあるから」

「やらなきゃ、いけないこと……?」

 

あれ、ラステイションにはネプテューヌと喧嘩して来たんじゃ……。

 

「あ、あの……。ミズキさんに頼みがあるんですけど……」

「ん?なに?改まって」

「あ、あの!私と付き合ってくれませんか⁉︎」

 

「」

 

「一応確認するけど、練習とか特訓に、だよね?」

「?はい、そうですけど?」

「紛らわしい言い方はやめようね。ノワールが真っ白になってるから」

「ああっ!お姉ちゃん!」

 

黒の女神なのに真っ白とはこれいかに。

 

「お姉ちゃん、しっかり!」

「世界と人々を救いましょう」

「白い!心まで白いよお姉ちゃん!」

「洗濯科学のアリエー○……」

「漂白剤!」

「私は、ゲーム最強……」

「それは白!映画化!」

「私、どーなつの誓いを……」

「それはSHIROBAKO!」

「そうだ、敵国から国を守る建物を……」

「それは城!同音異義語まで⁉︎」

「チェスの……」

「それも城!ルークだよ⁉︎」

「あの人は犯人じゃないみたいね」

「シロ!」

「無限の剣を作って……」

「それは士郎!っていうかお姉ちゃん、正気に戻って!」

「あはは………」

 

そんなこんなで結局帰るのは夜になってしまった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「ごちそうさまでした」

「はい、お粗末様」

 

夜ご飯を食べて一息つく。

久々に美味しいご飯を食べた。

クエストでお金を稼いで適当なご飯を買うばっかりだったからなあ。

 

「おや、新顔かい?」

「あ、こんにちは。お邪魔してます」

 

やって来たのは中性的な外見の……外見の……男かな、女かな。

 

「僕は神宮寺ケイ。よろしく」

「僕はクスキ・ミズキ。よろしくね」

 

「似てる……」

「似てる……」

 

ノワールとユニが同時に漏らす。

結局ケイの性別はわからないままさっさと何処かへ行ってしまった。

 

「そ、そうだ。約束ですよ、ミズキさん。特訓しましょう」

「ああ、うん。もうちょっと待ってね。さすがに食後は厳しいよ」

「あ、そうですね。じゃあ私、それまで書類仕事してます」

「うん。準備出来たら呼びに行くよ」

「はい!」

 

ユニもたったかたーっと走って行ってしまう。

 

「だいぶユニに懐かれてるのね」

「クス、そうかな」

「そうよ。なんていうか、憧れてるって感じね」

「憧れてる、か」

 

確かにユニは憧れていた。

魔法のような言葉を授けてくれて、強くて、優しくて。

まるで兄ができたようにユニは思っている。

 

「………そんな、憧れられるような人じゃないよ、僕は……」

「そうかしら?あの言葉教えたのもミズキでしょ?」

「あの言葉?」

「最近ずっと言ってるのよ、『ひたむきな心と負けん気』って」

「……クスッ、覚えてたんだ」

「もうそのせいでユニが暑っ苦しくて。大変よ」

「クスクス。ノワール、顔が嬉しそうだよ?」

「………うるさいわね」

 

プイッと顔を背けるノワール。

 

「それじゃ僕はユニのところに行ってくるよ」

「そういえば、ミズキは夜どうするつもり?」

「夜?…………やん」

「そういうことじゃないわよ!」

 

肩を掴んでザビエルのポーズ。

 

「夜、泊まるアテはあるのかって聞いてるのよ」

「え?特にないけど……」

「それじゃ今日はここに泊まって行きなさい」

「え?いいの?」

「遠慮しないでいいわ。アナタ達が特訓してる間に部屋は整えとくから」

「ありがとね、ノワール」

「いいのよ。ついでに、この国をよく見て行きなさい」

「この国を?」

「そう。ここが私の国、シェア保有量No. 1の国、ラステイションよ」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「狙いが甘い!」

「くっ、これならっ!」

 

ライフルの弾を乱射して牽制して距離をとる。その隙に狙いを定めて、撃つ。

だがライフルの弾はビームサーベルで消し炭になってしまった。

突進してくるミズキを牽制しようと引き金を引くが、

 

「弾切れ⁉︎」

 

カチリカチリと引き金を引く音がするだけ。

 

「自分のライフルの残弾数くらい、体で覚えて!」

「きゃあっ!」

 

模擬戦用に熱量を絞ったビームサーベルで切られてしまう。

 

「接近された時のために最低限、剣術も出来るように、ね」

「は、はい……」

 

尻餅をついたユニの手を取って引き上げる。

 

「さあ、まだいけるね?」

「は、はい!」

「よし、その意気だ」

 

教会の草原で特訓している2人をノワールはベランダの上から見ていた。

 

「今度は防御が甘い!」

「は、はいっ!」

 

「ユニ………」

 

本当に最近のユニの成長は凄まじい。もともと素晴らしかった事務仕事はさらに早さ、精度が上がっている。事務仕事に限って言えばもう私は追い越されているかもしれない。

このままならきっとユニは女神化もすぐ出来るようになる。

だけど、なんだろう、この不安感は。

ユニが遠いところへ行ってしまう気がする。

このままユニが女神化出来るようになるのは嬉しいことだ。嬉しい、はずなのだ。

 

「ユニ……アナタは私に守られてればいいの。私がずっと、守るから」

 

ノワールは振り返ってベランダを後にする。ノワールは2度と、ユニの特訓を見ようとは思わなかった。

 




ノワールヤンデレ疑惑。
え?なんのことですか?別に未来日記とか見てないですよ、ええ。

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