超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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12月になるとクリスマスを意識しますね〜。雪国のルウィーに到着したこともありますけど。ガンダマーあるいはネプテューナーのみなさんはいかがお過ごしでしょうか。
訓練されたガンダマーである私はもちろんザク改に乗ってサンタ祭りですわ。リア充爆発の意思を込めたグレネードを撒いて撒いてサンタ風船でキリスト様の誕生を祝福します。


シロの国

さラステイションの教会。その玄関のドアを開いてネプギア達が中に入った。

 

「あ、いたいた」

 

すぐ前にケイが後ろを向いて立っているのに、アイエフが気付いた。

 

「……終わったみたいだね。お疲れ様」

「あの、一応報告に来てるんだから、先回りしないでくれるかしら?」

「すまないね。けど、あれだけのシェアが一気に上がる事があればさすがに気付くさ」

「……まあ、そうかもしれないけど……」

 

これでは報告に来た意味がないではないか、と思う。

 

「あの、ユニちゃんは……」

「ああ、わかっているよ。ユニなら君達が来て、そこに隠れた」

「そこ……?」

 

ケイが指差す先には……なんだろう、アレは。

 

「アナログテレビ、ね。近頃はほとんど見ないけど。地デ○カなんて珍しいマスコットキャラもいたわよ」

「あいちゃん、私知らないですよ?」

「そりゃ、私達が生まれる何十年も前の産物だもの。私だって実物を見るのは初めてよ」

 

無茶苦茶分厚い。というか、箱?画面は小さいくせして奥行きはあるし、ネプギアはこんなテレビを見るのは初めてだ。

 

「へえ〜……。これなら、私も作れるかな……」

「ところで、ユニちゃんは本当にそこにいるですか?」

「ああ。確かにそこに隠れた」

「え?ああ、もしかしてスクリーンを外せば中に入ってるとかそういう……」

 

 

クルー!キットクルー!

 

 

「……ん?」

 

アイエフが不穏なBGMに眉をひそめる。

 

 

クルー!キットクルー!

 

 

「ヴォォォォォ………!」

 

「きゃあああぁぁぁぁあああぁぁぁぁ‼︎」

 

「て、テレビから這い出て来たですぅ!這い寄ってくるですぅ!でも髪は真っ黒ですぅ〜っ!」

「お、落ち着きなさい!別にアレはクトゥルフの神でもないしましてや○子でも……!」

「ちょっと!ケイ、なんでバラすのよ!」

「すまない、そういう契約だからね」

「契約って……!」

「いや〜!喋らないで!来ないで!触らないで〜っ!」

「いた、痛い痛いネプギア痛い!な、殴らないでよ!触ってるのはネプギアからで……!」

「悪霊退散!南無阿弥陀仏!南無妙法蓮華経!十二王方牌大車併!震天烈空斬光旋風滅砕神罰活殺撃!」

「か、漢字言えばいいってわけじゃ……!い、痛いってば〜っ!」

 

正座。

説教。

深呼吸。

落ち着いた。

 

「……で、なんであそこに隠れたのよ」

「ち、ちょうどいいところにアナログテレビがあったからよ。それに、隠れてなんかないし」

「ちょうどいいところにアナログテレビがあるわけないでしょ」

「『待った!』ですぅ」

「それは僕が置いた」

「判決死刑」

「はは、手厳しいな」

「ブレ○ドさんですか?」

「その言い方だと仮面ライダーみたいね」

「あの……私達はいつまで正座していれば……」

「そのまま膝が溶けて朽ちてなくなって上半身だけになるまでよ」

「し、死んじゃいますよ!」

「足なんて飾りなんです。偉い人にはそれがわからないのですよ」

「飾りじゃないです!足がないとダメですよぅ!」

「特別に両腕を取り外し可能にすることも認めてあげるわ」

「なんの意味があるんですか⁉︎」

「………そのうち、ハン○・ハンマとかロー○ン・ズールとかが出来るんじゃない?」

「ていうか、マジで足ヤバくなって来たんだけど……!」

「はいはい、解いていいわよ」

 

2人がようやく正座を解くことを許してもらえたが、足が痺れて動かない。

 

「ふえぇ……痺れるよぉ……」

「ぐぐ……足が、動かない……」

「ほれほれ、ここか、ここがええんか?」

「あうっ、やめっ、ひゃっ」

「ちょっ、それ、びりってするから、らめぇ〜っ!」

 

アイエフのイタズラに2人が息をぜえぜえと切らす。

 

「な、何はともあれ……また会えて良かった、ユニちゃん」

「う……ネプギア……」

 

足を子鹿のように震わせてネプギアが立つ。ユニも足を震わせながら立ち上がった。

 

(しまらないですぅ……)

 

足はガックガクのブルブルなのに顔だけは真剣。シュールここに極まれり。

 

「あの、もう1回だけ聞くけど……一緒に来てくれない?私達と一緒に、お姉ちゃんを助けるために……」

「ダメ!今は、その、無理……」

 

まだ戦う理由が見つけられない。いや、その理由のために必死になれない。

出会ったこともない人のために命を賭して戦える気がしない。

それはつまり、心で負けているということ。心で負けるということは、腕っ節以前の問題だ。

全人類のために戦えなくたっていい。身近な人を守れればそれでいい。きっと大体の人はそう思ってる。けど、それじゃあネプギアにも勝てない。

 

(今の私じゃ、足手まといになるだけ……。だから………)

 

「うっ……うえぇ……」

「うぇっ⁉︎ちょ、なんで泣くのよ⁉︎」

「だって……ぐすっ、3年ぶりに会ったのに喧嘩しちゃって……仲直りも、ふぇっ、できなくてぇ……っ」

「いや、別にアンタが嫌いだから一緒に行かないってわけじゃないわよ!」

「ふぐっ、本当……?」

「……嫌いなら、お見舞いになって行ってないじゃない」

 

確かに、帰って来たのがノワールではなくネプギアだったことに少し妬みを感じた。

けれど、その感情は彼の言葉で吹き飛んだ。ひたむきな心と負けん気。不貞腐れたりしない、ましてや負けてもいいなんて思ってない。次こそはって、勝ちに行く。

 

「じゃあ……また、会ってくれる……?」

「え?いや、別にアナタが会いたいって言うなら会ってあげないことも……」

「会ってくれる……?」

「や、だから、ネプギアが……」

「会ってくれる……?」

「〜〜〜〜!」

 

そんな子犬みたいな目で見つめられても、困る……!

 

「……ワザとだったら相当にタチ悪いわよ」

「え?何が……?」

(まあネプギアに限ってそれはないか)

 

どうやら素直に言うしかないらしい。これもひたむきな心というヤツでやるしかないのだろうか。

 

「……わかった、わかったわよ。会うわ。会ってあげる。……これで満足?」

「……!うん、うん!ありがとね、ユニちゃん!」

「く、くっつくな!」

「はははっ、ユニにあんな顔をさせるなんて、彼女は大した人だね」

「……わかってるでしょ。それとも、3年前まであんな顔しなかった?」

 

じゃれ合う2人に聞こえない声でアイエフが呟く。

 

「……いいや、していたよ。昔はこれが通常運転だった」

「元どおりになってきた、ってことですか?」

「まだまだよ。いない人が、多すぎるわ」

「でも、まだ全て取り戻せるよ」

 

決して、諦めはしない。3年前の記憶を取り戻した者として、絶対に女神達を取り戻してみせる。その決意はネプギア達に勝るとも劣らない。

 

「……ギアちゃん、別れを惜しんでいる暇もないですよ。そろそろ出発しないと」

 

コンパが笑顔で言うとネプギアがユニから離れて身支度を整え始めた。

いつの日か、私達がネプギアに真実を偽らなくて済む日も来るのだろうか。

 

「必要だったとはいえ、長い時間拘束して悪かったね。アナタ達のこれからの旅の無事を祈っているよ」

「次はルウィー。ロムちゃんとラムちゃんに会えるんだ……」

「2人にもよろしく言っておいて」

「うん、言っておくね」

 

ユニとネプギアがバイバイと手を振り合う。

 

「ところで、ミズ……スミキは?さっきから喋っていないようだけど」

「最近電波が安定しないのよ。今も、ほら」

 

Nギアのアンテナが1本も立っていない。圏外の状態だ。

 

「ふむ、おかしいね。前はシェアが戻ると通信が安定したんだろう?」

「そのはずです。でも、あっちで復旧作業はしてるですから、すぐ回復すると思うです」

「そうか。……ルウィーではどうするつもりかと思ってね。もちろん、リーンボックスでも」

 

どうするつもりとは記憶のことだ。

ケイは違和感を抱いて……その違和感すら消されているのにもかかわらず、違和感を覚え続けてイストワールに相談することで、記憶を取り戻した。

果たして、ルウィーの教祖である西沢ミナとリーンボックスの教祖である箱崎チカには?

ロムとラムには教えないものとして、2人は記憶を取り戻せるのだろうか。恐らく、彼女らは何ら記憶に関して違和感を抱いていない。

 

「それは、どうでしょうね」

「……もし、教えないならそれでもいいが、これだけは伝えておいてくれ。求めなければ、手に入らないよ」

「『ねだるな、勝ち取れ。さすれば与えられん!』ですか?」

「そのセリフは知らないが……聖書にこうある。『求めなさい。そうすれば与えられる』とね」

「……わかったわよ。言葉通りの意味で捉えていいのよね?」

「もちろん。待つだけでは手に入らないものもある、そう伝えておいてほしい」

「確かに承ったです!」

 

ビシッとコンパが敬礼した。

 

「それじゃ、行くわよ。ルウィーへ」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「うぅ……寒い……」

「ルウィーは寒いですからね。後で上着を買ったほうがいいかもしれないです」

「それは後回しね」

《まずは情報収集から、だよね》

「ええ」

 

ジョースター御一行間違えたネプギア御一行はルウィーに無事到着した。

地面にはうっすら雪が積もっていて踏み出す度にサクサクと小気味いい音がする。

 

「またギルドに行くんですか?」

「いや、今回は直接教会に行きましょう。ここの教祖は悪い噂聞かないし」

「そうなんですか?」

《西沢ミナって人が教祖なんだ。穏やかで、人当たりがいいというか。母性溢れる人、って感じかな》

「西沢、ミナさん……。優しい人、ってことですよね」

《そういう捉え方でいいよ。クスクス……》

「ったく、適当にも程があるでしょ」

 

というわけで教会に向かって歩く。

すると騒がしい声が耳につく。なんか聞いたことあるような、ないような……。

 

「なんでしょう、あっちが騒がしいですよ」

「放っときなさいよ。今は寄り道してる暇は……ん?」

 

 

「は〜い、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。楽しい犯罪組織マジェコンヌだよ〜」

 

 

「下っ端……」

《まあ、いるんじゃないかとは思ったけどね……》

 

アイエフは頭痛がするらしくこめかみを抑える。

 

「今なら、マジェコンも安く売ってるよ〜。これさえあれば、遊びたいゲームが遊び放題!」

 

媚びた笑顔で街行く人にビラ配り。あれだけ声を出して、立派なものである。マジェコンの宣伝でなければ、だが。

 

(はあ、なんで私がこんなことしなくちゃいけねぇんだ……)

 

しかし当のリンダ本人も不満タラタラ。

本人的にはこう……こんな地道で地味な仕事ではなく、もっと派手な、パーっとした仕事がしたいのである。成果が目に見えてわかるような、やりがいがあるような。

無論、みんなそんな仕事はやりたいし誰かがやらなきゃいけない仕事なのだから仕方ないのだが、どうしたって鬱憤はたまる。

 

「それもこれもあいつらのせいだ!」

「あいつらって、私達のことですか?」

「そう!ちょうどお前らみたい……な……?」

「?」

「………バイビー」

「あ、逃げたですぅ!」

「待ちなさいよ、この!」

「お、置いてかないでください〜!」

《……変わらないなあ》





地デジカとか死語ですねはい。
やっぱ教祖の中じゃケイが1番好きですね。ミナの別にダメじゃないのにダメな感じも大好き。みなさんはどこの教祖がお好きですかね。小さいいーすんとかほざいた人は通報します。

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