超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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男のロマンを。発進シーンはいつ見てもカッコいいです。
SEEDの「○○、行きます!(ピッ、ピッ、ピッ、ピーン!)」も好きですし、00の「発進タイミングを○○に譲渡します」も好き。オルフェンズの2期オープニングの指をピッってするのも好き。
でも、やっぱ最高の発進シーンは分かりきってますね。

「出ろォォォォォォォッ!ガンダァァァァァァムッ!」




百式

「そうだ、そうだ〜!もっと壊しちまえ〜!」

 

リンダの号令で赤いモビルスーツと青いモビルスーツがビームを放ち、バーチャフォレストの木々を焼き払っていく。

 

「ったくよぉ……。ラステイションの仕掛けは無事完了したのはいいものの……。あいつらが来るときは仕事が失敗するようになっちまって……」

 

あいつらの顔を思い出すと頭痛がする。それが気に入らない。

 

「憂さ晴らしだ!やっちまえ〜っ!」

「させません!」

 

頭上からビームがリンダに向かって飛んで来る。

すかさず赤の機体から円盤状の物体が空中に放たれ、その幾つかの間にバリアが作られた。

 

「っ、てめえらは!」

「ビームが、弾かれた……⁉︎」

 

ビームを放っていたのはネプギアだ。しかしそれも赤い機体の作ったバリアに阻まれてしまった。

 

《バカな!あの機体は……!》

「スミキ、見覚えあるの⁉︎」

「あいちゃん、来るですよ!」

「んっ!」

 

地上から走り寄る2人に青い機体が大きなビームキャノンを構える。背中の円形の大型ジェネレーターからコードを通じてエネルギーが送られ、2人に向かって撃たれた。

 

「アイエフさん!コンパさん!」

「何ともないですぅ!」

「にしても、なんて威力……!」

 

2人は左右に飛んで避けたが、ビームキャノンが直撃した床は赤熱して融け落ちてしまっている。

 

「今回ばかりはてめえらに勝ち目はねえぞ!なんてったって、こっちには最強の盾と矛があるんだからな!」

「スミキ、なんなのよあの機体は!」

《ヴァイエイトと、メリクリウス!気をつけて、性能はそこらのモビルスーツと比にならない!》

 

赤い機体がメリクリウス、青い機体がヴァイエイトだ。常に2機1組での連携運用を前提とし、最高の攻撃力と最高の防御力をそれぞれに分担して持たせたのだ。

 

メリクリウスがビームガンでネプギアに射撃を繰り出す。ネプギアは難なくそれを避けてM.P.B.Lでビームを撃つが……。

 

「くっ、なんてバリア……!」

 

メリクリウスのバリア、プラネイトディフェンサーがビームを弾いてしまう。

 

「コンパ、行くわよ!接近戦なら……っ⁉︎」

「ふええっ⁉︎危ないですよ!」

 

ヴァイエイトがビームキャノンを連射して来る。連射とはいえどもその威力は凄まじく、1撃だけでも致命傷を負ってしまうだろう。

 

「あんなの、チョバムアーマーでもガード仕切れないですよ!」

「EXAMしか……⁉︎」

「私が、接近戦を仕掛けます!」

 

ネプギアがM.P.B.Lを振りかざしてメリクリウスに接近する。ビームガンの牽制を避けて斬りかかるが、

 

《……………》

「っく、盾から、剣が⁉︎」

 

メリクリウスの防御に隙はない。手持ちのクラッシュシールドの中央からビームサーベルが発振され、ネプギアのM.P.B.Lを受ける。

 

「危ない、ネプギア!」

「青いのが!」

「っ、しまっ……!」

 

鍔迫り合っているとメリクリウスの背中からヴァイエイトがビームキャノンをこちらに構えていた。

 

「やめなさいよ!」

《…………》

「あああっ!」

 

アイエフが拳銃を撃つがビームキャノンの引き金が引かれる方が早い。

ネプギアは防御魔法で受けるが、たまらず吹き飛ばされて地面に落ちる。

 

「硬い……!仕方ないか……!」

 

拳銃の弾もガンダニュウム合金製の装甲に弾かれてしまう。

アイエフがEXAMシステムを使おうとした矢先、Nギアから声が響いた。

 

《僕が出る。数秒、持ち堪えて!》

「スミキ⁉︎出れるの⁉︎」

《百式が使える!メガ・バズーカ・ランチャーの火力なら、プラネイトディフェンサーだって……!》

 

ブツリと通話が途切れた。

アイエフとコンパは後退してネプギアを庇うように立つ。

 

「ネプギア、大丈夫⁉︎」

「腕が痺れてますけど、まだ……!」

「ギアちゃん、数秒だけ持ちこたえるですよ!」

「数秒……?」

「スミキさんが、来るですぅ!」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

プラネテューヌの教会、その地下が慌ただしい機械の駆動音を響かせていた。

それを窓の向こうからジャックとイストワール、アブネスが見ている。

 

《出動の要請だ。イストワール、簡易次元ゲートは安定しているか?》

「はい、安定しています。Nギアをマーカーにして座標も特定しました」

「凄いわね〜……。なんか、男の子じゃなくても憧れるわね!女の子として、1度オペレーターってやってみたかったのよ!」

《ならやってみるか?1番いいところを譲ろう》

「いいの⁉︎じゃあ遠慮せずにやらせてもらうわ!」

 

窓の向こうにはカタパルト。懸架されて運ばれてきた金色の機体がカタパルトに脚部を固定する。そして瞳のツインアイが赤く光った。

機体の名は百式。全身は金メッキで覆われたように金に光り、背中の大きなウイングバインダーと肩に刻まれた『百』の文字が目立つ。背中にはビームライフルとバズーカを背負っていた。

 

《メガ・バズーカ・ランチャーも頼むよ!》

「アンタを送り出したらすぐに射出するわ!」

 

アブネスがマイクを握りしめて窓の向こうの百式に音声を送る。本来カタパルトの終わりはただの壁のはずなのだが、簡易次元ゲートによりそこには大きな虹色の穴が開いていた。

 

「いいわよ、ミズキ!行っちゃって!」

 

百式が膝をかがめて発進の体勢をとる。

 

《クスキ・ミズキ、百式!出ます!》

「出撃!」

 

アブネスがタッチパネルに触れるとカタパルトが動いて百式を送り出す。タイミング良く飛び出した百式が次元ゲートの向こうへと消えた。

 

「次!メガ・バズーカ・ランチャー!」

 

隣からメガ・バズーカ・ランチャーが移動して来る。青色で人間ほどの大きさがある巨大な砲台だ。

 

「準備できました。いつでも行けますよ?」

「了解!それじゃ射出!」

 

またアブネスがボタンを押すとメガ・バズーカ・ランチャーが凄まじい速度で次元ゲートの向こうへと消えて行った。

 

「……くぅ〜、いいわね!この、なんていうか、司令塔ポジションも悪くない!」

《気持ちはわからんでもない。が、基地がこれではな……》

 

次元ゲートが消えてしまった。

 

「これでは、ってどういうことよ」

「まだ今の技術では次元ゲートの連続使用ができないんです。今回はイフリート改の核融合炉のエネルギーを使いましたが……」

《次元ゲートはせいぜい開いて2分だな。出ないと帰る分のエネルギーがなくなる》

「まだまだ不完全、ってこと?」

《そうだな。俺も昔はこうしてみんなの出撃を見ていたが……足りないものだらけだ》

 

この地下のカタパルトは記憶を取り戻してからイストワール達が作ったものだ。各国の中心に位置するマジェコンヌは何処の国を襲うかわからない。だからプラネテューヌ地下に出撃のためのカタパルトを作ったのだ。

ちなみに次元ゲートの技術はかつてジャックが小さい方のイストワールに教わったものだ。

 

「そういえば、別次元の女神さんには救援を頼めないの?」

《無理だな。ミズキを別次元に送った影響でこの次元は歪んでいるのだ。普通の生活に支障はないだろうが、他次元とは未だ通信もできん》

「じゃあなんでミズキとは通信できるのよ」

《それもミズキの努力あってこそだ。あいつが今次元の彼方で何をしているか知っているか?》

「え?そりゃあ……脱出しようとしてるんでしょ?」

《具体的には?》

「え?う、ん〜……さあ……」

《クク、聞いて驚け》

 

ジャックが手をギュッと握った。

 

《次元の壁を、殴っているのだ》

 

 

ーーーーーーーー

 

 

空中に虹色の穴が開き、そこから金色の機体が現れる。ブースターを使いその場に浮いていると、すかさず次元ゲートからメガ・バズーカ・ランチャーが現れた。

 

《いた、あれか……!》

 

百式が見る向こうにはヴァイエイトとメリクリウスの弾幕から必死に逃げる3人の姿。

 

《木々の、間を……ここで!》

 

メガ・バズーカ・ランチャーが展開して砲身が伸び、ステップアームが伸びて百式がそこに左足を引っ掛ける。百式本体にアームが固定され、エネルギーが充填され始めた。

 

《やはり、重力に引っ張られて狙いが定まらない……でも!》

 

 

《…………》

「あん?どうした?って、なんだありゃ!」

 

ヴァイエイトとメリクリウス、リンダが遥か遠方に百式を見つけた。

 

「あれは……!」

「2人とも、退がるわよ!あんなの巻き添えになったらシャレじゃすまない!」

「に、逃げるですぅ!」

 

3人は後退する。

 

「へへっ、けどこっちにはバリアがあるんだ!」

 

メリクリウスがプラネイトディフェンサーを展開してバリアを覆う。

 

《メガ・バズーカ・ランチャー……発射!》

 

メガ・バズーカ・ランチャーから極太のビームが発射された。

メリクリウスはプラネイトディフェンサーで受けるが、

 

「いいっ⁉︎な、なんだこの威力は……熱い!」

 

早くもプラネイトディフェンサーのバリアは割れかけていた。メリクリウスはさらに多くのプラネイトディフェンサーを使って高密度のバリアを張るが、それすら貫通しかけている。

 

「こ、こいつはヤベェ!」

 

リンダはバリアがまだ保っているうちに逃げ出した。

ヴァイエイトも射線上から逃げ出す。

 

《あまり、加減は出来ないよ!装甲は融解してから集めることになるかもね!》

 

やがてバリアは金色のビームに飲まれる。

メリクリウスもそのビームに飲み込まれていく。

 

《⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎》

 

「っ、なんて威力……!」

「これも、スミキさんが……⁉︎」

 

メガ・バズーカ・ランチャーが縮小して巡行形態に戻る。それに百式は手を引っ掛けてこちらに向かってくる。

 

《……………》

 

「っ、やらせません!」

 

ヴァイエイトが百式にビームキャノンを向けたのを見てネプギアが飛び出す。

不意を突かれたヴァイエイトはネプギアが乱射するビームを避けられない。

ガンダニュウム合金は数発のビームは防いでくれたが、やがて砕け始める。

 

「えええいっ!」

 

ネプギアがM.P.B.Lで斬りかかる。

ヴァイエイトは咄嗟にビームキャノンで受けたが一瞬受け止められただけですぐに切り裂かれてしまう。

 

《…………》

 

ヴァイエイトの武装はビームキャノンのみ。

武装を失ったヴァイエイトは後退しようとしたが、上から百式がおどり出る。

 

《逃さない!関節部を!》

 

百式が上からヴァイエイトの首にビームサーベルを突き刺す。

ヴァイエイトは少し蠢いた後、アイカメラが光を失って倒れた。

 

《………これで、依頼の半分は達成だね》

 

空中からメガ・バズーカ・ランチャーが降下してきた。それが地面に着地する。

 

《ついでにジェネレーターも手に入れられたよ。儲けものじゃない?》

「でも、赤い方はもうダメですよね?」

《ううん、僕の見立てじゃそんなことはないと思うよ》

 

メガ・バズーカ・ランチャーが直撃したメリクリウスはもう影も形もないと思っていたのだが……。

 

「うえっ、まだ原型あるじゃない!ホント、恐ろしい装甲ね、これは……」

 

倒れていたメリクリウスの装甲は多少融けているとはいえ、まだ原型を残していた。あれだけのビームを受けてこの程度のダメージしかないのだから、ガンダニュウム合金とは本当に恐ろしい。

 

「また、スミキさんに助けてもらっちゃいました。ありがとうございました」

 

ネプギアが頭を下げる。

 

《いいよ、それより3人とも怪我はない?》

「みんな怪我はしてないと思うですぅ」

《良かった。それじゃ僕は……》

 

百式が去ろうとするとピクリと止まる。

同時にNギアから着信音が鳴る。どうやら通信機能は同期されているらしい。

 

《もしもし?ケイ?》

《やあ。今いいかな?》

 

ケイの声がNギアから響く。

 

《構わないけど、どうかした?》

《ワレチューの居場所が判明したんだ。それを知らせようかと思ってね》

 

百式が目で……というよりツインアイでネプギア達にアイコンタクトを送る。

どうする?と聞いているのだろう。

3人は顔を見合わせた後、行くと言わんばかりに頷いた。

 

《わかった。今から向かうよ。場所は?》

 




みなさんはどの出撃シーンが好きですかね。作品ごとに微妙に違いがあって好きです。シーンでも違いますしね。出撃のセリフも。

売るよ出る出ます行きます行く行くぜイキスギィ!……ん?

特にお気に入りの出撃シーンとかあったら聞かせてください。
クアンタ出撃のシーンだったりユニコーンの初出撃だったりνガンダムの初出撃だったりF91の出撃だったりゼロカスタムの出撃だったり。
活動報告でもお待ちしてます。

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