超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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ぬうううわぁぁぁんテスト期間やだもぉぉぉん!
家で勉強三昧なので書くスピードが落ちる→追いつかれる→歌舞伎役者 is dead……。


回れ右して戻ってらっしゃい

ネプギアがふと目を覚ます。

夢を見ていた気がするが……内容が思い出せない。どんな夢だったっけ……。

 

「ん……あ、ああ!」

「ん……どうしたのよネプギア……」

「ふぁぁ……おはようさんですぅ……」

 

2人も寝ぼけ眼を擦って体を起こす。

しかしネプギアの目はパッチリと開いていて眠気などすっ飛んでしまっていた。

ネプギアの目は時計に向いていた。

 

「ええ⁉︎も、もうこんな時間⁉︎」

「お、お寝坊しちゃったです!」

「い、急いで支度しなきゃ!」

 

3人は朝から大慌てのようだ。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「………それで、慌てて来たってことかい?」

「そうなります……」

「お恥ずかしいですぅ……」

 

気付けば昼前、3人は大慌てで教会に向かいケイと話していた。ケイの手にはNギアが握られている。

 

「これを返すよ。すまないね、返すのが遅れて」

「あ、そうだ。倒れてたって聞きましたけど……」

「大したことないさ。そう、“頭痛”が酷くてね……」

『…………!』

 

ほんの一瞬だけケイがアイエフとコンパを見て「頭痛」の部分を強調して言う。

それだけで2人は察したようだ。

 

(ミズキ、アナタ……)

(うん、戻ったよ。僕のことは全部話した)

(でも、その、大丈夫だったですか?)

(たくさん僕と接したわけじゃないから、2人ほどではなかったよ。でも、やっぱり苦しいとは思う)

 

頭の中を無理矢理かき混ぜられたのと同じようなことだ。苦しい辛い以前に不快感が襲うはずだ。

それに耐えて今も涼しい顔をしているケイは立派だと思う。

 

「それと、ユニなら随分前にモンスター退治に行ってしまった。行き先はリピートリゾートだが……見つけられるかな」

 

リピートリゾートは広い。それはもう広い。リピートリゾートと一口に言っても無数の分かれ道がある中、ユニがいるブロックを見つけると言うのも難しいだろう。

 

「帰ってくるのを待つ方がいいわね。素材もまだ集まってないわけだし」

「おや、集まっていないのかい?」

《集まってなかったの?》

「おかげさまで、寝坊するまで探したわよ……!」

 

アイエフのこめかみに血管が浮かび上がる。

 

《やっぱり厳しいよね……。せめて探す場所を絞らないと》

「何処で見つかったとか、わからないですか?」

「ふむ、聞いてみようか。今職員に訪ねてくるよ」

 

ケイが奥の方へと向かう。

 

《3人とも、お疲れ様》

「いえ、そんな。結局1機も見つからなかったんですし……」

「スミキさんこそ、お疲れ様ですぅ。その、いろいろ……」

《大したことないよ。大丈夫》

 

絶対大したことあるのに、ミズキは平然な声色で誤魔化す。狂っている……というか、なんというか。おかしくなっているのは、ミズキだって同じだということがわかる。

こうして強がるのはいつまで続くのだろう。女神達が帰ってくるまで?だとしたら、早く女神達を連れ戻さないといつかミズキは壊れてしまう。

これがノワールがかつて言っていた、お互いに壊れるということの意味なのだろうか。

このままではミズキを壊さまいとする私達まで壊れる……のだろう。

 

「すまない、待たせたね。彼が事情を知っているらしい」

 

そんなアイエフの思考を裂くようにケイが青年を連れてやって来た。

 

「こんにちは。えと……擬似太陽炉とガンダニュウム合金でしたっけ?」

「ええ、そうなるわね。悪いけど、何処から見つかったか教えてくれないかしら?」

 

すると青年が苦笑いをしてケイを見た。ケイは素知らぬ顔で微笑している。

 

「ケイ様……あのですね……」

「いいだろう?僕の仕事も減って、僕を案じてくれる君からしたら万歳する出来事じゃないか」

「そういう問題ではなく……!はあ、わかりました、私の負けですよ」

「わかればいい。ほら、みんなも待ちわびているよ」

 

お手上げ、というように手を上げて青年はアイエフの方を向いた。

 

「まず……そもそも、この2つの素材はまだ1度しか発見されていない。つまり、レアもレア、スーパーレアな素材ということ」

「そ、そんなものだったんですか……」

「私も最初聞いた時びっくりしたよ。そんな見つかるはずもない素材を探させるなんてね……」

 

まるで竹取物語のようだ。情報とはかぐや姫と同じくらいのモノなのだろうか。

 

「……で、その見つかるわけもない素材は何処で見つかったのかしら?」

「何処で……というよりはやっぱり構成員を追うのが効率的だと思う。とりあえず行方がある程度わかっている構成員はこの2人……いや、1人と1匹」

「ん?」

「え?」

《あっ……》

 

1匹と聞いた瞬間にネプギアを除いた3人が察した。もしかしなくても……あの……。

 

「このリンダって女の子と……」

 

『ワレチュー……』

 

「ん?ああ、そうそう。よく知ってるね」

 

2人が頭を抱えて……ミズキも次元の向こうで頭を抱えてその名前を呼ぶ。

 

「やっぱりいるわよね。そりゃいるわよね……」

「ネズミさん、なんていうか、もう……」

《安定だよなあ……この小悪党な感じ》

 

溜息をついて呆れる。

 

「ワレチューはラステイションで確認されている。国を出たって情報もないから、まだラステイションにいるはずだよ」

「下っ端はどこにいるんですか?」

「国を出たという報告がある。行き先はプラネテューヌ」

「プラネテューヌ……⁉︎」

 

ネプギアが驚きの声を上げる。

 

「はあ、放っとくわけにもいかないわね。下っ端がそんなレアな機体を操るとは思えないけど……」

「やるしかないです。すぐ戻りましょう」

《そういうわけです。一旦僕達はプラネテューヌに戻ります》

「脱出のルートからすると、まだバーチャフォレストの最深部にいるはずだ。急げば間に合うと思うよ」

「気をつけて。素材が見つかることを期待しているよ」

「期待しないで待ってなさい!」

 

アイエフがそう言い残してから3人は教会を走って出て行った。

それから青年がケイをジト目で見る。

 

「ケイ様……。もしかして、適当にあしらってるんですか?」

「そんなことはないよ。彼女達なら集めてくれると信じているさ」

「……気のせいだと信じたいんですが、機嫌が良く見えます」

「おや、わかるかな?君は僕を良く見ているのだね」

「見ていなくてもわかります。頬が緩んでいらっしゃいますよ?」

「ふふっ、勘違いしているようだけど、別に『ざまあみろ』って思ってるから機嫌が良いわけじゃないよ」

「では何故……」

「ノワールが生きてたんだ。……こんなに嬉しいことはないだろう?」

 

そう言って青年の顔を見る。

生きているならきっと帰ってくる。生きているなら希望がある。そして奇跡はまた彼が起こしてくれる。

青年は少し驚いた顔をしていた。

そして口をパクパクさせた後にようやく言葉を発する。

何だか不自然にオロオロしている。ノワールが生きていて驚いているのだろう、と思っていたが……。

 

「ケイ様……その、あの……これを」

 

青年はポケットからハンカチを取り出してケイに渡した。

 

「あ、あの、それはまだ、今日は使っていませんので!では!」

 

青年は逃げるように何処かへ行ってしまう。

ポカンとそれを眺めているケイだったが、ふと自分の頬を伝うものに気付く。

 

「ん………」

 

水、なわけないか。いや、確かに水かもしれないが、これは涙だ。無論自分の目から流れたに違いない。

 

「は、はは……。泣いていたのか、僕は……道理で……」

 

トントンと叩くようにハンカチを目に当てて涙を拭く。ほんの少しだけハンカチが湿った。

 

「……洗って返さなきゃ、いけないだろうね」

 

あと何かお礼をしなければならないだろう。それ相応の対価は渡さなければならない。何かお菓子でも渡してあげよう。

ふと、そのハンカチを見ると端っこにイニシャルが記されていた。

I.R……?

 

「そういえば、彼の名前も知らなかったな」

 

また会った時に返そうとケイは思うのだった。




青年とケイの絡みがないようであるような香りだけして嬉しかった人です、はい。

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