その戦いは譲れないものを守るために。
そして勝った方は言うんだ。
「私が正義だった」と。
そして負けた方は言うんだ。
「僕は間違っていたのか」と。
でも、本当は気付いてる。
どっちも間違いだったって。
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ーーーー『DECISIVE BATTLE』
GNソードと太刀がぶつかり合い、火花を散らす。その反作用を利用して2人とも間合いを取り、またぶつかる。
2人の体を雨が容赦なく打つ。
ネプテューヌとエクシアの戦いは空中戦になっていた。
激しい雨で2人の戦いが地上から見えないことは不幸中の幸いだった。
何故なら2人の戦いが、野次馬のせいで止まることはないからだ。
「どうしたの⁉︎その程度⁉︎拍子抜けね!」
《っ、くっ………!》
ネプテューヌの太刀の一振りがGNソードで受けたミズキを吹き飛ばす。
後退しながらGNソードを折りたたんでライフルモードにする。
そしてビームを乱射するが防御魔法で防がれてしまった。
「このっ………!」
ネプテューヌは足元の円陣を蹴って急加速。ビームをかいくぐってミズキに飛び蹴りを浴びせる。
《くうっ………!》
GNシールドで受けるが衝撃はいなせない。蹴飛ばされた。
「結局、その程度ってことでしょ⁉︎ミズキの覚悟は⁉︎」
《ンッ…………!》
その攻勢を途切れさせはしない。
すぐに間合いを詰めて太刀を振るう。
間一髪でGNソードを展開して受け止めた。
《くそっ………!ネプテューヌ、わかってよ!君のためなんだ!》
「ミズキこそ!私は、ミズキのために……っ!」
ギャリギャリと擦れ合う刃が火花を散らす。
「やっぱり、私達のこと友達だなんて思ってないんでしょ⁉︎たかが1ヶ月の付き合いってことでしょ⁉︎だから、こんなに簡単に私達を捨てるんでしょ⁉︎」
《そんな………ことっ!》
「私も!ネプギアもあいちゃんもコンパもいーすんも!みんなみんな、ミズキのこと好きなのよ⁉︎それをミズキは捨てたいの⁉︎」
《違うっ!》
「私達のこと、大っ嫌いだって言いなさいよ!」
《っ!》
「私達のこと、大っ嫌いなんでしょ⁉︎全部嘘だったんでしょ⁉︎元の次元の友達の方が良かった⁉︎私達の、こと……っ!」
《やめろッ!》
GNソードの一振りが膠着状態にあった2人の間合いを取る。
《はあっ、はあっ、はぁ………っ!》
「……なによ、やっと本気?いいわよ、切れるものなら切りなさいよ!私は絶対に、負けなんかーー」
《ネプテューヌはっ!》
「…………!」
《僕が、本当に君達のこと嫌いだと思ってるのかっ!》
「…………そんなの……!」
《僕が!君達のことを嫌いなわけ、ないだろッ⁉︎》
「そんなの、知ってるわよ!分かってるわよ!でも、そう言ってもらわないと納得できないじゃない!ミズキに行って欲しくないの!」
《ネプテューヌ!》
「ミズキ、さん……?お姉、ちゃん……?」
《⁉︎》
声のする先を見るとそこにはネプギアが屋上からこちらを見ていた。その瞳は動揺に揺れている。
「余所見なんて、いい度胸じゃない!」
《はっ、うわっ!》
「ミズキさんっ!」
その隙を突いてネプテューヌは間合いを詰めてエクシアを蹴飛ばす。
「はああっ!」
そしてもう1度ネプテューヌがエクシアを追って空の円陣を蹴って急加速する!
「これで終わりよっ!クロスッ・コンビネーッションッ‼︎」
《!》
十字の斬撃がエクシアを襲う。
確かに、金属を断ち切る感覚。
(手応え、あった!)
だがネプテューヌの目の前にあったのは十字の傷を受けたエクシアではなかった。
「盾……⁉︎」
断ち切られていたのは捨てられた盾だった。4つに割れた盾が爆発する。
ハッとネプテューヌは顔を上げる。
そこには雨をその身に浴びながら赤く輝くエクシアかいた。
ーーーー『TRANS-AM RAISER』
「トランザム、システム……!」
《……僕は、幸せ者だ。僕のために、ここまでしてくれる友達を、持てた……》
エクシアがGNソードを展開する。
《約束する、ネプテューヌ。僕は必ず生きてここに帰ってくる。だってここはもう、僕の家だから……》
「っ、そうよ!ここが!プラネテューヌが!ミズキの家よ!」
《ネプテューヌ。君がくれたキーホルダー、失くさない》
エクシアが急加速する。
(速い!)
GNソードを展開しての切り抜け。ネプテューヌは全く反応できなかった。辛うじて太刀で斬撃を防ぐがあまりの勢いに吹き飛ばされる。
「くっ!」
《僕は、君の元気な姿にいつも励まされてた!》
折り返したエクシアがGNソードを横に2度振る。
ネプテューヌの背中に3倍の速度の斬撃が2度浴びせられた。
そして体を回転させてローリングソバットでネプテューヌは蹴飛ばされる。
「うあっ!」
わかってた。勝てっこないって、最初から。それでも、止められたら良かった。止めたかった。無理だってわかってても、諦めきれなかった。
《みんなと過ごした日々は、僕を温めてくれるような日々だった!》
腰のGNダガーを2本、ネプテューヌめがけて投げる。
振り返ったネプテューヌは防御魔法で防ぐがGNダガーが防御魔法に突き刺さる。ミズキはそれを狙って折りたたんだGNビームライフルを前進しながら撃つ。それはGNダガーに当たり、GNダガーは爆発した。
「ああっ!」
「お姉ちゃん!」
《君を、傷つけたくなんかない!だけど、僕は君を守りたいんだ!》
GNブレイドを両手に持って縦に振り下ろし横に切る。井の字の斬撃だ。
「くっ、うっ!」
《君だけじゃない、ネプギアも、アイエフも、コンパもイストワールも!女神のみんなだって、僕は守る!》
GNブレイドを捨て、GNビームサーベルを2本引き抜く。
それを大きく振りかぶって縦に振り下ろした。
ネプテューヌは太刀を横に構えて受け止めるが………。
「………っ、あっ………!」
「お姉ちゃんっ!」
太刀ごと叩き斬られてネプテューヌの体にまで斬撃を食らわす。
それを斜め下、屋上に向かって蹴飛ばした。
さらにそれをトランザムの加速で追う。
《ぬあああああああッ!》
『ミズキ!』
『ミズキ?』
『……ミズキ!』
《うわああああああッ!》
その笑顔を振り切って、ミズキはGNソードでネプテューヌを切り抜けた。
「……………っ………」
ネプテューヌは光と共に女神化が解けて真っ逆さまに屋上に落下した。
「っ、お姉ちゃんっ!」
そこにネプギアが駆け寄る。続いて赤い閃光をまとったエクシアが屋上に降り立つ。
エクシアを包んでいた赤い光は消えて元の青と白を基調にした機体に戻った。
「お姉ちゃん、お姉ちゃん!」
ネプギアがネプテューヌの上半身を抱え起す。
(生きてる……!気絶してるだけだ……)
安堵したのも束の間、乾いた笑い声がその空間に響いた。
《ふふ………ははっ、はは……っ!》
「ミズキさん……」
《バカみたいだ、僕は……!こんなに、大切な友達を傷つけて……!それで、友達を守るためだなんて、ははっ………!》
機械の顔からは表情はわからない。だけど、きっと悲しい顔をしているのはネプギアにだってわかった。
《ははっ、くっ、はははっ……!うっ、ぐっ、ははっ、僕は、僕は……!僕、は……!うっぐ、うわああああああああああ!》
空を見上げて叫ぶ。
「ミズキさん……泣いてるん、ですか……?」
《うぐっ、ふはっ……!そうだよ、僕は適当なこと言って、泣かせて、傷つけた!その上勝手に、泣いてるんだ……!》
涙は出ていない。だが空から降り注ぐ雨はミズキの涙のようでもあった。
《………ネプギア、僕は、君との約束を忘れないから……》
「ミズキさん、どこへ行くんですか……?」
《………さよなら》
背中を向けたミズキ。その背中をネプギアは追うことが出来ない。
そしてミズキが空を飛び、雨の中に消えてもネプギアはずっとずっとその虚空を眺めていたのだった。
次回予告
「私、わからないよ、ミズキ……!私、ミズキに会いたいよ……!帰ってきてよ、ミズキ……」
ミズキがプラネテューヌから消え、ネプテューヌは塞ぎ込んでしまう。
「EX種……?」
そして各国に出没する赤黒い個体、EX種。
「ここが私の国、シェア保有量No. 1の国、ラステイションよ」
そして舞台はラステイションへ。
ミズキの行方は?EX種の謎は?ラステイションの森を、トリコロールの機体が駆け抜ける!
「クスキ・ミズキ。ストライク、行くよ!」
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うわさっむ。自分で見返して嫌になりました。(´・_・`)