超次元機動戦士ネプテューヌ   作:歌舞伎役者

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mk2開始。
しばらく暗くて暗くて仕方がないです、はい。


1章〜絶望に包まれゆく世界。差し込む一筋の希望〜
捕囚の女神


………私達の世界には、ガンダムというアニメがあります。

アブネス、という人がアニメ化して大ブレイク。今や世界中の国民的アニメとなっています。

少し街を見渡せば張り紙はガンダム。中には銅像がある場所だって。

ゲームも小説など様々なメディアミックスもしていてその人気はとどまるところを知りません。

でも、どうしてか、なんででしょう。

私はそのガンダムを見るたびに。

頭が、痛くなって……。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ゲイムギョウ界は犯罪組織マジェコンヌの脅威にさらされた。

ショップは枯れ、クリエイターは飢え、あらゆるギョウカイ人が絶滅したかに見えた。

だが、女神達は滅んでいなかった。

平和な世界を作っていた女神達だったが突如として4国の中心に現れたギョウカイ墓場とそこを治める犯罪組織マジェコンヌの登場以降、シェアがマジェコンヌに奪われて急速に衰退していく。

マジェコンヌが売り出す違法コピーツール、『マジェコン』などが主な原因だ。

事態を重く見た女神達は連合軍を結成。犯罪組織マジェコンヌへとプラネテューヌの女神『ネプテューヌ』、ラステイションの女神『ノワール』、ルウィーの女神『ブラン』、リーンボックスの女神『ベール』、それにプラネテューヌの女神候補生である『ネプギア』を加えて戦いを挑む。

…………その戦いから、3年。

未だ女神達は、帰ってこない………。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ギョウカイ墓場。

暗く寂しい場所だ。その儚さと肌にまとわりつくような怖さはまさに墓場と呼ぶにふさわしい。

ところどころに壊れた機械、割れた大地、倒壊したビル、湧き出すマグマ。

そんな人が寄り付かないような場所に2人の女の子が歩いていた。

 

「…………あいた!」

「し〜っ!静かにしなさいよ……!」

 

足元のコードに足を引っ掛けてすってんころりん。

思わず声を上げてしまった女の子をもう1人の女の子が諌める。

転んでしまった女の子の名前はコンパ。諌めた方はアイエフだ。

 

「もう、邪魔になるなら連れて行かないわよ」

「ご、ごめんなさいですぅ。でも、ここ……」

 

コンパが周りを見渡す。

 

「……ここが、もともとプラネテューヌの街だったとは、思えないですぅ……」

「………やめなさい。ここは今、マジェコンヌの領土なの。取り返したいなら、まずネプ子達を取り戻すのよ」

 

こんな場所でも、3年経っても、まだほんの少し生活の跡が残っているのが胸に響く。

 

「きっと、生きてるですよね……。そうです、ねぷねぷも、ギアちゃんも、女神さん達も取り返すですぅ!」

「だから大声を出さないの……!」

 

大声を張り上げてしまうコンパ。

アイエフはもう2度とコンパと潜入はしないと心に決めて……本当に強く心に決めて先に進んだ。

 

 

 

「結構歩いたわね……」

「はいですぅ……。疲れたですぅ」

 

「………ぅ………」

 

「ひっ⁉︎」

「……コンパ、だから……!」

「ち、違うです……!こ、声がしたです……!ほら、耳を澄ますですぅ……!」

「……………」

 

半信半疑でアイエフもじっと黙って耳を澄ます。

すると確かに丘の向こうから小さな呻き声が聞こえてくる。

 

「……確かに、聞こえるわね……」

「だ、誰でしょう……。も、もしかして幽霊とか……!」

「いや……違うわ、この声……!」

 

聞き覚えのある声だ。

アイエフは声が聞こえる丘を駆け上がる。慌ててコンパもついてきた。

その丘の下にあったのは、触手のようなコードに囚われたネプテューヌ達の姿であった。

 

「ネプ子!」

「ねぷねぷ!ギアちゃんも!女神さん達もいるですぅ!」

「……ぅ……あいちゃ……コンパ……」

 

ネプテューヌが微かに目を開けてまた閉じる。

他の女神達も目を閉じているが、死んではいないようだ。

 

「ネプ子、ネプ子!しっかりしなさいよ、ネプ子!」

「ねぷねぷ!ねぷねぷ!」

 

アイエフとコンパが必死に呼びかけるが、応えない。まさに瀕死といった様子だ。

 

「……ダメね、気を失ってる。なんなのよ、この触手みたいなのは!」

 

アイエフが女神を捕らえるコードに切りつけるが、傷もつかない。

 

「っ、無理か……!コンパ、シェアクリスタルを!」

「は、はいですぅ!確か、カバンの1番下に大切に……」

 

コンパがゴソゴソとカバンをいじり始める。

するとアイエフはピクリと何かに反応する。

 

「コンパ!」

「えっ、きゃあっ!」

 

上から巨人が飛び降りてきた!

アイエフは咄嗟に飛び退くが、コンパはその風圧と揺れでゴロゴロと転がってしまった。

 

「……ククク……ハァーハッハッハァ!」

「何者⁉︎」

「俺はマジェコンヌ四天王が1人、ジャッジ・ザ・ハード様だ!クク……3年!この時を3年待った!命知らずが無謀にも女神を助けにくる、この時をなァッ!」

 

ジャッジ・ザ・ハードと名乗る巨人はまるで化け物のような姿をしていた。黒い体に光るライン、足はなく空中に浮き、禍々しい翼と斧と槍を合わせたような武器を持っている。

 

「幹部クラスじゃない……!コンパ!私が時間を稼ぐから!」

「は、はいですぅ!」

 

アイエフが袖口からカタールを出して構える。

その隙にコンパは1番近いネプギアへと駆け寄った。

 

「ギアちゃん、ギアちゃん!」

「……ぁ……コンパ、さん……?」

「こんなところで死んじゃダメですよ!まだ、会わせたい人もいるんです!」

 

コンパがカバンの中からシェアクリスタルを取り出す。

その光をネプギアに浴びせるとネプギアを捕らえていたコードが崩れ落ち、ネプギアが解放される。

 

「よ、良かったですぅ!大丈夫ですか⁉︎」

「私は、大丈夫です……。それより、みんなを……!」

 

「きゃあっ!」

 

他の女神にもシェアクリスタルの光をあびせようとした瞬間、アイエフの悲鳴が聞こえる。

振り返るとアイエフがジャッジに吹き飛ばされているところだった。コンパとネプギアはアイエフに駆け寄る。

 

「あいちゃん!」

「大丈夫。けど、あいつの強さ……ハンパじゃないわね」

「私も手伝うです!」

「……私も……私も、戦います!」

 

ネプギアが前に出た。

アイエフとコンパは少し驚いた顔でネプギアを見るが……すぐにジャッジを見据えた。

 

「なら、しっかりついてきなさいよ!3年間寝てて体なまってるでしょうしね!」

「やるですよ、あいちゃん!スキルを使うです!」

「フン、その子娘1人では手応えがなかったところだ……。お前達は強いのか⁉︎」

「手応えないなんて、言ってくれるわね。コンパ、もしもの時は頼むわよ!」

「任せるですぅ!」

「任せたわよ、EXAM……!」

 

 

ーーーEXAMシステム、スタンバイーーー

 

 

「ううっ、くぅ……!やっぱ、キツイわね……!」

 

アイエフの目が赤く光り、構えを取る。

 

「やるわよ、EXAM!」

「雑魚が……。雑魚は何をしようと雑魚だ!」

 

アイエフの動きが変わった。ジャッジが手の武器を振り下ろしてもそれを最小限の無駄のない動きでかわす。

 

「ぬん!」

「はっ、ふっ……!そこっ!」

 

素早い動きで攻撃をかわしてジャッジに切りつける。だが傷1つついていない。

 

「フン、確かに動きは変わったが!」

「くっ!」

「あいちゃん!」

「っ、コンパさぁんっ!」

 

横薙ぎに振るわれる斧をコンパが入り込んで腕で受ける。

普通なら体が真っ二つになっているところだが、なんとコンパは傷1つなくその上ジャッジの斧さえ受け止めている。

 

「私に攻撃は通じない、ですぅ!」

「なに⁉︎」

「今よ、ネプギア!」

「は、はい!M.P.B.Lの最大出力で……!」

 

ネプギアがM.P.B.Lの出力を最大にしてジャッジにビームを浴びせる。

当たる寸前にコンパとアイエフは飛び退いてジャッジから距離を取る。

 

「ぬ、ぬぅ!」

「やった……⁉︎」

「……弱い!弱すぎるぞォッ!痒くて痒くて、笑ってしまいそうだ!」

「そんな……!」

 

ジャッジがもともと強いのもあるが、大きく開きすぎたシェアのせいでネプギアの攻撃は全く通じない。ネプギアの全力の攻撃でさえ、ジャッジには効かなかった。

 

「それで終いか?ならば……死ねェッ!」

「っ!」

 

ジャッジが斧を振りかぶり、ネプギアに向かって振り下ろしてくる。

 

(やだ、また、私……!)

 

何もできないで。

また負けちゃうんだ。

そんなの、そんなの……!

 

「いや……!」

「ハッハーッ!」

 

瞬間、ネプギアの体が光り輝いた。

 

『やめろォーッ!』

 

「ぬ、なっ⁉︎」

 

ネプギアの体から透明な男の子の影が出てジャッジに向かって突進する。

それはジャッジの体を突き抜けて消えていく。

 

「うっ、な、なんだ、これは……⁉︎」

 

ジャッジの体に傷はないが、フラフラとまるで目眩でも起こしたかのように頭を抑えている。

 

「な、なに⁉︎」

「っ、ギアちゃん!」

「……っ………」

 

ネプギアは男の子の影が出たと同時にまるで魂が抜けたように倒れる。

アイエフとコンパはネプギアに駆け寄った。

 

「ネプギア、ネプギア!ダメ、起きない……!」

「っ、くっ、どこだぁっ!出てこぉい!」

「み、見境なしですぅ!」

「くっ、今は逃げるわよ!」

「でも、ねぷねぷ達は……!」

「これを見て。多分、今ので……」

 

アイエフの手にはシェアクリスタルの破片が握られていた。粉々になって輝きを失い、とてもまだ力が残っているとは思えない。

 

「そんな……」

「ネプギアが助けられただけでも報酬よ。少なくとも、『彼』にはいい話ができる!」

「……わかりました、ですぅ」

「うっ、くっ……!結構重いわね……!」

「ぬうううっ!逃げるなァァッ!俺と、戦えぇぇぇっ!」

 

アイエフが気絶したネプギアを背負って走り始める。

後ろには暴れるジャッジと……何より、女神達。

 

「これは、私達の力が足りなかったからよ……!この悔しさは、私達のせいなんだから!」

「絶対、絶対また助けに行きます!だから、だからそれまで……!」

 

どんな理由があろうと、アイエフとコンパは友の前から逃げるのだ。今も命の危機に瀕しているであろう友の前から逃げるのだ。

だが2人の覚悟はとうに決まっていた。

薄情と罵れ、阿呆と蔑め。

それでも、みんなを助けられるたった少しの可能性のために。

それで皆が助かるのなら、安いものなのだ。




EXAM発動。アイエフが高笑いしながらモンスターぶん投げる姿とか…。
え?ガンダムはさすがにこんなに人気じゃないって?何言ってるんすか、これくらいだって(狂信者

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