あ〜あ〜また上でティガとかフルフルとか狩らなきゃ…(1面に降臨
「執事さんっ、とっ、お仕事〜」
「執事さんっ…とっ…お仕事〜」
ロムもラムが歌いながらスキップして雪山を進む。
こんな突き刺さるような寒い中でも子供は元気だなあ……とかジジくさいことを感じてしまう。
もちろん、この国で暮らしてるから寒さに慣れているというのもあるんだろうけど。
「そんなにうるさいと、モモンガが逃げるわよ」
「それはやだ〜!静かにする!」
「してる……」
ブランが注意すると2人がピタッと口を閉じる。
ブランは2人を保護するように2人の間に入り込んでいる。つまり……。
(僕を近づける気は、ないね……)
ガッカリはしていない。むしろやる気が出てる。目の前にやりがいのある問題が転がっていて、それを解きたくなっている。
アレだ、相手が強ければ強いほど燃える、みたいな。
「ところで、モモンガってどのあたりにいるの?」
「保護区の中は安全でしょうから、私達はその外を見回ることになるわ。だから……山を上に登ることになるわね」
冬だからと言って山は加減してくれない。スキー場と違って木々もたくさん生えていて葉は落ちているとしても邪魔だ。おまけに道も雪が積もっていて歩きにくくなっている。
「わざわざこんなところまで密猟なんて……。ご苦労様だよ」
木々をかき分けて上へ上へと登っていく。どうやらまだまだ時間はかかりそうだ。チャンスもそのうちに見つけよう。
ーーーーーーーー
「…………」
山を登りながら後ろのミズキの気配を背中で感じる。
赤くなった顔は寒さと誤魔化せるだろうか。マフラーで顔は隠せているだろうか。
こうして避けるようなことをしているのは申し訳ないとも思う。けれど、仕方ない……という意見には納得してくれるだろうか。
隣にいたら知らず知らずのうちに顔を見てしまうに決まっている。目が合えば一巻の終わりだ。何が終わるかは知らないが。
「お姉ちゃん、まだ〜?」
「……あと少しよ。もうすぐで小屋が見えるはず」
ラムがダレ始めた。
子供にこの山は少々キツイかもしれない。しかも女の子に。
「疲れた……」
「飛んだ方が楽なんじゃない?」
「……見えたわよ」
2人が変身して飛んだ方が楽なんじゃないかと言い始めたが、それと同時に雪原の中に立つ小屋が見つかった。
「やた〜!」
「ついた……!」
今までの疲れは何処へやら、さっさと走っていく2人。
………ん?走っていく、2人?
「………計画通り」
「⁉︎」
ボソッと呟いた声が聞こえた。幻聴じゃないと信じたいが幻聴じゃない。
背中にオーラを感じる。なんだろう、敵に背後を取られた獣ってこんな感じなのだろうか。
振り向きたい。振り向きたいが振り向けない。まるでホラーだ。振り向いたら何かが起こってしまう。
「………あのさ、ブラン」
「………なにどすえ」
「口調、口調。キャラがぶっ壊れてる」
いいのだ、白の女神だから顔が白くても。
だが舞妓の顔は真っ白でも、唇だけは鮮やかな赤色。私の顔だって、多分真っ赤っか。
「だからね、ブラン」
「……仕事」
「ん?」
「仕事、あるでしょ」
「……ふぅ〜ん……へぇ〜……」
「公私を混同してはいけないわ」
「じゃあ、仕事終わったら2人で話していいの?」
「…………」
「沈黙は肯定と受け取るけど?」
「……昔から言うわよね。雄弁は銀、沈黙は金って」
「確かに言うね」
「つまり私は金よね」
「今若干銀になりかけてるけど、まあ確かに金だね」
「金イコール金メダルよね」
「まあ否定はしないよ」
「つまり私が1位よね」
「金メダル貰えるのは1位だけだろうね」
「つまり私の勝ちよね」
「1位ってことはそうだろうね」
「じゃあ私の言うことを聞いてもらうわ」
「……ん?」
「たとえ私が銀だとしてもよ」
「う、うん」
「確かに銀メダルは2位よ」
「それは当然だね」
「でも、○魂っていうでしょ?」
「金○ってのもあるけどね」
「セクハラね、訴えるわ」
「誘導だ!」
「それはさておき、坂田銀時は有名よね」
「実在してるしね」
「人気は坂田金時より上よね」
「………いや、別にそんなことは」
「上よね」
「……はい」
「つまり私が銀○よ。私がジャ○プよ。ドゥーユゥーアンダスタァァァァンドゥッ⁉︎」
「『スタンンンンドゥッ⁉︎』ね」
「そんなことはどうでもいいわ。つまり私が言いたいのは最近人気漫画が終わって悲しいということだけで……」
「それだけ?」
「…………」
「…………」
「行くわよ」
「……ねえ、ブラン」
少し強めの語気のミズキの声についうっかり振り向いてしまう。
咎めるような目でこちらを見るミズキの目を見て、すぐに下に下げた。
「……ごめん、なさ」
「謝んなくていい」
「…………」
ミズキの声に肩がピクリと震える。ミズキが怖いだなんて、そんなこと思いたくなかった。
まるで、幼い子供が大人に怒られるように下を向いていた。そうすれば顔を見ないで済むからだ。その分傷つかなくて済むから。
けれど、ミズキはそんな私の頬を両手で掴んで上を向けさせた。
「ブランっ」
「っ………」
1歩踏み込んだミズキと目が合う。いや、強引に合わせられた。
冷気が直接当たって冷えていた頬がミズキの手の体温で温められていく。まるでミズキが溶け込んでくるように。
それを感じながらもブランは目をそらした。
「ブラン、僕は、僕は……」
やめて、ほしい。
その先を聞きたくない。
その先に待っているものがわからないから。
「ミズ、キ……」
言って欲しい言葉がある。
けど、言って欲しくない言葉が出てくるかもしれない。それが怖い。
臆病なだけ、そうして壁を作る。それでもミズキはするりとその壁をすり抜けてきた。
壊すでもなく、優しく、ゆるりと、溶かすように。
それでも私はそれを跳ね除けたくなってーーー。
「お姉ちゃ〜ん?執事さ〜ん?」
「っ………」
「…………」
その声が聞こえるとミズキはブランの頬から手を離す。
危なく、跳ね除けてしまうところだった。跳ね除ければ、きっと溝ができていた。辛うじて溝ができなかったのはブランにとっては嬉しくもあり……しかしこの先の言葉が聞けなかったのは残念でもあった。
「あの、ごめ」
「謝らないでって。……その言葉は今、1番聞きたくないんだ」
眉尻を下げながら笑い、ゆっくりとブランの頭を撫でる。その手つきは優しくて、温かくて、思わずそのまま身を委ねたくなってしまう。
「お姉ちゃ〜ん?執事さ〜ん?」
「……今行くよ!」
ミズキはブランの横をすり抜けてラムの元へと小走りで向かう。
その背中を見てから、顔が寒いことに気付く。離れることがもうこんなにも寒く感じるようになってしまった。
離れるのは嫌だ。彼に離れられたら、きっと凍え死んでしまう。もう、彼がいない時間何をしていたかわからないほどに、私の中で彼は大きい。
けれど、近付かれるのは怖い。体験したことのない何かは、誰だって怖いものだ。けれど、こんなに恐れていいのだろうか?こちらに近づこうと努力する彼を恐れるだなんて、その時点で彼に近付かれる資格など……。
「自分勝手、ね」
自己嫌悪に陥る。
このまま止まっていて欲しい時も止まってくれない。止まっていて欲しい距離も変わっていく。
その流れに流されぬよう、意識して雪を踏みしめた。
短めですね。mk2の追い込みでペースが落ちてます。許してヒヤシンス。
ちな僕は2G至高勢です。害悪と罵ってください。3DSとか扱いづらすぎる…。武士道スタイルとかなんなんだよ。愛とか宿命とか言ってるんですかね…(偏見
雪山…凍傷…女と2人きり…ビームサーベル…。
訓練されたガンダマーのみなさんならこれだけでもうあっはんうっふんが察せるかと。
あ〜あ〜冬か〜クリスマスか〜今年もザク改だな。