俺の家に魔王が住み着いた件について   作:三倍ソル

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ちょっと特別回が投稿される前に息抜きに掌編をば。


フウ語

 ハロー、私はフウだよ。脇役にも関わらず今んところ唯一語り部をしたことがある珍しい奴だよ。

 そんでもって、何で今回は私が語り部をしているかというと、んまあそれは所謂スピンオフってやつらしいんだ。といっても15センチ定規の長さにも満たないほどの短さなんだけどね。

 この話はフウマも魔王も出てこないんだよ。んでもって私が主人公なんだよ。面白いでしょー?

 じゃあ、ベッドから起きるね。

 

 

「ふぁ~あ……」

 

 起きました。私は太陽光を浴びると弱くなるタイプだから、フウマの様に太陽の光が差し込んで目覚めるなんてことはないんだ。もし浴びようものなら布団被ってもっと寝ちゃうかも。

 目が覚めてリビングに向かうと、そこには私が来るのをもう既に予知してたかのように朝ごはんがテーブルに並べられている。おふくろの気遣い、温かいなあ。

 私は何でも食うけど常に栄養バランスには気を付けているから、寝る前とかに自分の栄養バランスを能力で確認して、お母さんに明日作ってもらう朝ごはんを予約してるんだ。もちろん無理のない範囲でね。

 ごちそうさまと言った後は歯磨きをして着替えて、会社に向かうよ。ちなみにやってることと言えばフウマの仕事の後処理とか手伝いとかなんとか。一応部長に特別許可を貰ってるから、本来行けない会社に行けるんだー。ここだけの話、私19歳だよ。

 会社に行ったらまず課長やらに挨拶を欠かさない。しなかったら多少叱られる。

 …そういえばここのパソコンまだvistaなんだよね。とっくにサービス終了してるのに、変える予算無いんだか。今度寄付でもしてみようかね。3円ぐらい。

 ……んー、パソコンのデータに書類がバックアップとられて保管されてあんね。なんかもう大体完了してるみたいだし、誤字とかあったら直して印刷しとこっと。

 

「……あ、フウじゃん」

「おおーレン。お久しぶりですねー。彼女の調子はどうだい?」

「揶揄うな。まあ順調だけどさ。そっちはどうよ、兄との調子は」

「冗談キツイね。私がブラコンでも思ってるのかい?」

「仕返しだ、仕返し」

 

 この前まで私はレンに弁当を配達するために会社に通勤していたのもあったのだが、なんか彼女が出来てから自分で弁当を作るようになり、私は弁当を作る必要が無くなったらしいんだ。いやー楽だね。誰かのために奉仕するのも悪くないけど、こう何というか自由を得られたのがね。

 だけど一応栄養状態は確認しておかなくては。

 

「んーあれだね、最近寝てる? 血圧高いんだけど」

「寝てない。昨日なんか徹夜したし」

「そんなんじゃ駄目だねー。寝てないと起きたりする時刻が段々不規則になって睡眠相後退症候群とか不規則型睡眠覚醒パターンとかの障害を引き起こすんだよー」

「すいみんそうこうたい……え? それ日本語?」

 

 他人の健康を気にするようになってから血眼になって人の健康に対する知識を得たものだよ。お陰でこんな知識まで知ってるんだ。ちなみに立ち眩みの正式名称は眼前暗黒症なんだよ。かっこよくない?

 …どうでもいっか。

 

「書類印刷してくる」

「オッケー。…しっかしまあ、フウマが羨ましいな…。こうやって細かい手伝いをしてくれる妹がいてさー?」

「レンのやつだって手伝ってもいいんだよ?」

「マジで?」

「だけどその時は自分の成績が下がることを覚悟しとくんだね」

「俺のはちゃんとやるつもりないのかよ!?」

 

 コピー機へと向かう。

 ……あれー? インクがないねー。

 

「すいませーん部長、コピー機の黒いインク無いんですけどー」

「……ああ、ええ? …あ、フウか。インクならあそこにあるぞー」

「ありがとーございます」

 

 部長に話しかけたのは何気に初めて。まあ面識はあったし、特にしかめっ面もされずに会話することが出来た。

 なんやかんやあってフウマが来るまで仕事を済まし、そして家へと帰る。

 

 私の家はフウマの実家でもあって、フウマが今住んでいるところは会社への通勤用と自立したいという願いのもと借りた家であり、前まではフウマもここに住んでいた。

 その証拠に今でも部屋は残っている。私のためなのか知らないけどフウマに関するグッズがかなり残っていて、特にあれだね、その中で一番大好きなのは木刀かな。学生時代のころに修学旅行の帰りとしてお土産に買ったらしくて、よくそれを自慢げに掲げてたのを思い出すよ。フウマの若かりし頃はかっこ良かったなあと懐古気分に浸ったところで自分の部屋へと戻る。

 そのまま自分の部屋へと戻って、やることがどうやら見つからないみたいなので寝ることにした。

 じゃあね。




なんだこの中身カラッポな回は。

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