たまに見てみると、短編が増えてるかもしれません。
出来るだけ全ての話を読んだ後に読むといいです。
後書きに謎の記号が出てますが特に気にしなくていいです。
短編集
目次PCじゃないとイミフだと思います
・怪談
・駄洒落
・台風
【魔王紹介 1】 11/5
魔王は、いつも興味津々である。
具体的に言うと、数百年ぶりに壺から解放された魔王は、その数百年前から大きく変わり果てたこの世界に驚きっぱなしで、いつも俺にこれは何かと聞いてくる。目に映るもの全てに興味を示す。
教えている方は、まるで自分の赤子に物事を教えているようだから、何か違和感しか感じないのだけれど。
「フウマ!!これは何だ!?これは何だ!?これは何だ!?」
「えーっとえーっと……同時に言うなっ!!」
気になったもの全てに指をさし、俺に聞いてくる。全てのモノに一々指をさすその姿は、まるで人差し指をつきたてながら空気に向かって北斗百裂拳をぶちかましているようにしか見えない。
だが、慣れと言うものは怖く、いつの間にか条件反射で答えられるようになってきた。
「フウマ!!」
「アレはシュールストレミングだな。」
しかし、なんで俺の方もシュールストレミングという世界一臭い燻製食糧の名前を答えているのだろうか。
【魔王紹介 2】 11/5
魔王は、デリケートである。
失言一つ、腹パン一回。多分無理矢理押し倒そうものなら、翌日にはボコボコにされるだろう。
魔王と書くと随分と大それた存在をイメージしそうだが、そのイメージとは超正反対の場所に居て、背は小さい顔は童顔声は幼女と、かんっぜんにロリそのもの。魔王要素を強いてあげるならば、一人称が『我』という点だろうか(といっても暴走する時には一人称が『私』になるが)。
いやそれでも、はっきりとした根拠にはならないだろう。ところがどっこいすってんてん、もう一つある。
実は、パンチの威力が見た目では予想出来ない程異様に強い所だ。
だから、そのパンチで股間を攻撃されようものなら、もうゴールドなボールはギッタンギッタンにされ、男性にとっては欠かせないあのペニ…立派な竿はシャウエッセンのウインナーを折った時に鳴る音と似た音を出し、使い物にならなくなる。
魔王はその気になれば、その拳一つで男性の敵になるのだ。
今日だって…。
「なあ魔王。お前って将来結婚しようとか考えたことある?」
「…んなっ!?急に何てこと聞くんだフウマ…。」
「だってさ、この世界で生きていくためには自分の子孫を残さなきゃいけないし、あとはうんぬんかんぬん…。」
「…~~どーでもいいっ!!こんな背丈の我じゃあ結婚なんて出来ないだろ!?」
「まあな。でも大きくなっても胸の大きさはそんなに変わらnグフッ!?」
こんな感じでね。自業自得だと言われればそうなのだが、俺も結構デリカシーが無いって自覚してるから…。
ちなみにゴールドなボールは誤ってぶっ壊してしまうと300万以上の罰金(慰謝料)が科せられるそうです。
【フウマ紹介】 11/5
フウマは、デリカシーが無い。
とにかく言いたい事思った事口から洩れる洩れる、もう少し我という名の女の気持ちも考えてほしいものだ。
我は元々封印される前からこんな姿なのだが、現代においてはこれはコンプレックスと重々成り得るものである。もう年齢は人間の平均寿命を問うに越してるというのに、背丈だけは大人女性の平均身長は愚か、女子中学生の平均身長とほぼ一致している程度。お陰で養子扱いされるわ色気魅力が無いわで、散々。
そんな我の古傷を、もうこれでもかというほど抉る役がフウマ。正直言って少し嫌いだが、そんなこと言って彼の元を離れてしまうと一気にこれからの人生が誰かに養われない限りサバイバルと化すので、出来る限り離れたくない。
だから、このかろうじて残っている魔王の力で強い拳骨を食らわしている。それをすればフウマ…いや大抵の人間は吹っ飛び、同時に憂さも晴らすことが出来る。だからって、多用は禁物だ。何故なら、フウマの家で過ごすための条約の三、常にフウマに感謝しながら過ごす事。我は魔王。自分より下級存在の人間に感謝して過ごすなど言語道断と言いたかったところだが、フウマ以外にも行く当てが無さそうなので仕方なくそれに従っている。話を戻すと、その条約があるせいであまり暴力は振るえない。主に対しては。
え?つまり、何が言いたいのかって?
我の立場を少しは考えてこれからもこの物語を読んでほしいってことだよコンチクショー!!
【マイナーパロディその1】 7/17
「よし、魔王、今夜は飲み会だー!」
「よっしゃー飲むぞー!!」
テーブルの上にビールとおつまみを二人分置いて、俺らは一斉に飲んだ。
暫くして、俺らはある違和感を感じた。
「「泡立ってる麦茶なんだけどこれ!?」
【怪談】 7/17
「よし魔王、暑いから怖い話をしてあげよう」
「怖い話をして何になるんだ?」
「ほら、怖くなったら寒イボが立って体温が下がったように感じるじゃん?まあ所詮暗示だけどな」
「へー、いいぞ、してみろ」
まあクソ短い話なんだけどな、と俺は付け加えて一つ咳払いをする。
そして俺は幽霊を見つめる時のような虚ろな目で、こう語り始めた。
「俺が会社で休憩していた時の話だ――俺は本を読もうとした」
「ふむ」
「丁度その時皆は外へ出てて、会社の室内には俺しか居なかったんだ」
「雰囲気あるな」
「若干悪寒がしたが、それは気のせいだと思い込み、俺はしおりを挟んでいた本のページを開けたんだ…」
「……で?」
「……なんと、ページのど真ん中に潰されたコバエの死骸があったのだよ…」
「………寒いなあ」
「おっ、怖がってくれたのか?嬉しいなあ」
「…主にこんな全く怖くない話を真剣な顔で話し続けてたフウマが」
「辛辣!?」
【マイナーパロディその2】 7/23
「もうすぐ日曜日が終わる……」
「日曜日が終わるとどうなるんだ、フウマ?」
「知らないのか」
フウマはキメ顔で振り返って、我にこう言った。
「月曜日が始まる」
そしてその顔はキメ顔から悲哀に満ちた表情へと変化するのであった。
【もしもボックス】 7/23
「フウマ、もしもボックスってなんだ?」
「…もしもボックス? えーと、何か公衆電話みたいなやつで…。受話器に向かって『もしも○○だったら…』とか言うと実際にその世界に連れてってくれる奴だ。ドラえもんの秘密道具だから架空なんだけどな」
「へえ」
「もし魔王がもしもボックスを使うとしたら、どんなことを言う?」
「『もしも、もしもボックスがこの世に存在していたら』と言う」
「……? ………!?」
頭がショートした。
【駄洒落】 7/29
「なあ、フウマ。駄洒落って漢字、無駄に洒落てるって意味だよな?」
「どうしたんだ急に。…いや、そうだけどな?」
「なのに洒落てないどころか洒落てなさ過ぎてエターナルフォースブリザードが発生するよな」
「中二病ご用達の代表的な魔法の呼び方を何故知っている」
「だからさ、新しい簡易詠唱として駄洒落による氷魔法の詠唱をアド(魔王のお母さん)に報告しようと思うのだが」
「ふむ、それで効果があるならな。なんか駄洒落言ってみ?」
「布団が吹っ飛んだ」
数秒後、ちょっとカーディガンを羽織れば耐えれるぐらいの寒さがこの家全体を襲った。
こんな感じの駄洒落ではまだまだ足りないということか。
「なるほど、効果ありだな」
「ああでもいい感じに涼しくなった。丁度暑かったしサンキュー」
「どういたしましでんでん虫」
「…………………」
時が凍った。
「………あっ、すまん凍ってた」
「遠まわしじゃなくて正直につまらないって言えよ!」
どうやら駄洒落は氷魔法の呪文ではなかったらしい。
【ポピーザまオーマー】 8/3
「見てみてーフウマ、仮面見つけました」
「………唐突極まりないな」
「これさー、つけた人の感情によってお面に書かれている表情がコロコロ変わるんだってさ」
「へー」
ちなみに今はニコニコした表情をしている。それが何だか不気味だけどな。
「じゃあ泣いてみ?」
直後にお面が泣いた表情に変わった。秦こころみたいだなコイツ。
「笑ってみ?」
またニコニコした表情になった。
「怒ってみ?」
阿修羅も裸足で逃げ出す恐ろしい憤怒の表情に変化した。
「ドヤ顔してみ?」
物凄くうざったい殴りたくなるドヤ顔の表情。
「俺の従僕になった顔してみ?」
直後、放っておいたら俺の靴を舐めかねないほどに上目遣いの恍惚とした表情になった。よく見てみればちょっとかわいく見えてこなくもない。
俺はそいつを舐めまわすような表情で見てこう言った。
「はい、『私はあなたの奴隷です』」
「そんなこと命令させるなよ!?」
あ、怒った顔になった。
【ニュートン太郎】 8/5
フウマがどうやら一般的に提唱されている万有引力の法則に自己流を法則を見つけたらしい。一般サラリーマンが提唱する万有引力の法則なんてどうせたいしたものではないだろうが、暇なので聞いてみることにした。
「まず、ニュートン太郎は木に林檎がぶら下がっているのを見つけました」
「待て!?ニュートン太郎ってなんだ!?」
「ニュートン太郎はそれを見て何かをひらめいたように、林檎の真下にペンをぶっ刺しました」
「何で!?」
「そしてニュートン太郎は更にその林檎の真上にパイナップルが実っていることに気付きました」
「確かにどっちもバラ科だが何で同じ木に違う実が生る!?」
「そしてニュートン太郎はその木の上に昇り、パイナップルに向かってペンを先を尖った方を真下にして落としました」
「え、とすると…?」
「見事に林檎とパイナップルが両側からペンで串刺しになった」
「ペンパイナッポーアッポーペン!!」
「どうだこの説、結構有力だと思わないか?」
「一回人生やり直して来い」
「はい☆」
まず時代遅れだし。
【ユーファザーファッカー】 8/7
「漫画でよく見る"You mother fucker!!"とか言ってるじゃん?あれどういう意味なんだ魔王?」
「フウマから質問とは珍しいなあ。きっと『この近親相姦マザコン野郎!!!』って意味だと思う」
たぶん違う。
後に調べてみたらただの相手を蔑む意味だった。
【サボタージュ】 8/21
我は洗面台を目の前にして、こう思った。
「あー歯磨き面倒臭いなー…」
一体なぜ今の人類はこうも歯を磨くというめんどくさい作業を毎晩毎晩やってのけるのだろうか? 我にはとても理解に苦しむな。歯を磨くだけというこんなに退屈な作業を毎日している人間の気持ちが分からないな…。
あ、そうだ。サボろう、歯磨き。今日くらいは別に問題ないだろう。
「………」
歯ブラシが乾いたままだといずれバレてしまうだろう。ここはひとつ、一回水に濡らして……よし、これでいいな。戻ろ戻ろ。
「…………」
コップも使用済みっていう状態にしとかないと。とりあえず一回濯ぐだけでいいや。
「……………」
普段鈍いフウマでもひょっとしたら天文学的な確率で我が歯磨きしていないことを察しそうだし、念には念を込めて歯ブラシを本当の意味で使用済みという状態にしておこう。
ちゃんと完璧に使用済みという状態になる様に、歯磨き粉を付けて、奥歯までちゃんと磨いて、そしてうがいしておけば……サボったってこと絶対にバレないだろ。
ふふふ、これで完璧………。
「………結局、歯磨きしちゃったじゃないか」
…………。
「ま、いっか」
【台風】 9/19
「うわー、なんか窓がガタガタいってる」
魔王が窓に手を当ててそう言っている。よく見てみると、雨がざあざあ降っていて、どうやら台風が来ているらしかった。
「なんだ台風か……ここには滅多に来ないんだけどなあ」
「台風ってあれか? ハリケーンのことか?」
「んん、まあソッチの言葉ではそう言うのか…」
台風か……憂鬱だなぁ。別に俺の街は洪水になったりしないんだけど、こう…外から一歩も動けないのはちょっとやだなぁ。買い物とかしなきゃいけないのに。
「確か温帯前線と寒冷前線があーだこーだしてるんだっけか」
「うろ覚えで知識を語るなフウマ。ちなみに位置によってそれの構造は変わるらしいから、我はハリケーンの事しか知らんよ」
……なんか上手いこと言おうとして、かなり面白いのを思いついた。普段クールなテンションを保っている俺だが、流石に今回は少しおちゃらけてもいいだろう。
「家から一歩も出れなくて閉塞前線! ハッハッハ」
「うるせぇ思考が停滞前線」
魔王からもっとうまい事を言われて意気消沈する俺であった。