Hyskoa's garden   作:マネ

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幕間劇 - ダークナイト - レオリオ×ライオンキング戦 -
No.073 陰獣×獅子王


 ◆  グリードアイランドの回想

 

 

 

「オレら、天空闘技場で、四大行を教えてもらったんだけど、そのレオリオってやつ、裏ハンター試験で、纏しか教えてもらってなかったんだって。これ笑えんだろ?」

 

 キルアはあははと笑った。

 

「レオリオも、ビスケから教えてもらえばよかったのにね。ね、キルア?」

 

「そだな」

 

「あは……あはは……」

 

 ビスケは苦笑いした。

 

「おほほほほほ……さて修行の続きをしましょうか」

 

「オス!」

 

 

 

 ◆  ◆

 

 

 

 念の戦いは精神力の戦い。纏や練の強さが気休めにもならないというのはそこに起因する。圧倒的オーラを誇るアランカルが敗北している理由でもある。精神力を支えるのは日々の鍛練、修練に他ならない。しかし、それだけではない。

 

 揺るぎないおのれへの自信。

 

 

 

 ◆  ◆

 

 

 

「行くぜ! ブランク・ジャンク!! オラオラオラオラオラオラァァァアアア!!」

 

 レオリオが床を叩くと銃を構えたアランカル兵が次々に床下から現れたコブシにぶっ飛ばされていく。床に倒れ伏せるアランカル兵士たち。

 

 残るは指揮官のみ。

 

「貴様にオーラは残っていないはず! なぜだ?」

 

 床を叩いたレオリオは膝をついている。

 

「ふしぎだろ? なんてことはねェ。スタミナ切れは吐き出したオーラを回収していなかっただけの話さ」

 

「ふざけんな! そんな基本中の基本を知らないわけがない」

 

「そいつが知らないんだな」

 

「そんなバカな師匠がいるか!」

 

「そいつがいるんだよ」

 

 レオリオは深いため息をついた。

 

「オレってそんなに才能ないんかな?」

 

 レオリオの手のひらの上に、癒しの色を秘めたオーラが浮かぶ。そのオーラの塊を身体に入れる。

 

 レオリオの身体の傷がなくなっていく。まるで回復魔法。

 

 纏!!

 

「残るはテメェだけだぜ」

 

 レオリオは床に手のひらを置く。

 

「ハンタァァァァー!!!」

 

「あぁ、オレはハンターだ! テメェを狩るハンターだ!」

 

 レオリオは床にふれた右の手のひらにオーラを込めて放った。床を伝って、アランカル兵のリーダーを下から撃ち抜いた。

 

 アランカル兵リーダーは空中に飛ばされる。床に叩きつけられる。

 

「ぐはっ」

 

「おまえらの正義なんて知らねェ!」

 

 レオリオは叫んだ。

 

「だがな、こんなやり方に正義があるとは思えねェ。こんなやり方で手に入れたもんに、おまえらは胸を張れんのかよ! 誇りを持てんのかよ! ほしいもんは正々堂々、真正面から奪い取りやがれ! それがハンターってもんだろうが!」

 

 レオリオは乱れた髪をかき上げる。

 

 ドスンドスンという音が近づいてくる。

 

 レオリオがそちらをみると巨大な影があった。

 

「おいおいおい……マジかよ」

 

 10人くらいの人間をその背中に乗せられそうな巨大なライオンが現れる。

 

 鋭い爪。鋭い牙。

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 ライオンが天井に咆哮を上げる。場の空気が割れるような感覚。

 

 凝を使ってなくてもわかる。全身から迸るようなオーラ。

 

 

 

 こんなバケモンに、オレが勝てるわけねェ。

 

 

 

 どうやって逃げる? どうやって逃げる? どうやって逃げる?

 

「兵士どもをやったのはオマエか?」

 

「あ……あぁ」

 

 そのライオンは爪を舐める。

 

「俺様は新生マフィアンコミュニティの十老頭実行部隊の陰獣シシオウ=ルッチ様だァアアアアッ!! なんだぁ? ビビってんのかァ?」

 

 シシオウは再び咆哮をあげる。

 

 陰獣って、幻影旅団とやり合ったっていう怪物じゃねェか。

 

 いや、それより、どういうこった? マフィアンコミュニティはクラピカが所属している組織だ。今や、クラピカは陰獣のリーダー格。このテロはクラピカが引き起こしたってことか? んなわけあるか。じゃあ、どういうことだ?

 

 わけわかんねェ。

 

 前の陰獣は幻影旅団に全滅させられたらしい。オレなんかが勝てる相手じゃねェ。

 

 俺はヒソカみたいな化け物とちがんだ。

 

「天空闘技場のコントロールルームに行きたいんだろ?」

 

 おそらくクラピカもそこをめざしているんだろう。

 

「そこに行くためのルートは二つ。一つは壁面を登っていく。もうひとつは俺の後ろの通路の奥にある貨物用エレベータで行くルートだけ。俺様はその番人をしている」

 

 レオリオは初めて正面からシシオウを見上げた。

 

「そっかァ。こりゃ、引けねェわな。ここで引いたら、何のために天空闘技場(ここ)に来たかわかんねェ」

 

「おい。この俺様とやり合おうってのか?」

 

 オレのブランク・ジャンクは物質を貫通する。一撃でもブチ込めりゃ、勝ち目もあるかもしんねェ。

 

「あぁ。テメェを倒して、オレはコントロールルームへ行く」

 

「チッ。モードチェンジ!」

 

 シシオウの形態が変化する。シシオウは立ち上がり、人型へとその姿を変える。

 

「指銃!」

 

 シシオウは親指でオーラを弾く。レオリオは足踏みしながら、ギリギリで交わす。

 

「嵐脚!」

 

 シシオウの脚からオーラの刃のようなものが放たれる。レオリオはしゃがんだり、飛んだり、寝転んでクルクル回転したり、なんとか交わす。

 

「マヂカルラブリーかっ! ちょこまかと逃げやがって。思わず、ツッコんじまったぜ。そうだ。泣いて謝るなら、見逃してやってもいいゾ」

 

「やっぱダメだわ」

 

「あぁ、そうだ。あきらめろ。俺様に六王銃を使わせるな」

 

「ヒソカ相手でもそうだった。誰が相手だろうと、やられっぱなしでいられるほど、オレは人間できちゃいねェんだわ」

 

「クソが。そうか。なら、みせてやる。俺様の真の姿を。生命帰還解除。ガアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 

 シシオウが一回りも二回りもデカくなる。シシオウの両手が輝きだす。

 

「オマエの命もこれまでだ」

 

 これで終わってもいい。

 

 レオリオは精神的なリミットを解除した。

 

 制約と誓約!

 

「みせてやるぜ! 最大輪六王銃をな!」

 

 オレの命を燃やして、コイツだけはここで倒す!

 

「練!」

 

 レオリオのオーラが少しだけ迸る。

 

 シシオウの尻尾がレオリオに絡まる。

 

「しまった。動けねェ」

 

 レオリオは必死でもがく。しかし、絡まった尻尾はほどけない。

 

「くらえっ! 最大輪六王銃っ!」

 

 シシオウの六王銃をレオリオは食らってしまった。腹のところのシャツが消し飛ぶ。

 

「がはっ」

 

「ハァハァ……これが陰獣シシオウ様の力だ。勝った」

 

 レオリオはフラフラしている。レオリオは後ろに倒れそうになるが、ギリギリのところで踏みとどまる。

 

「うぉおぉぉおおおぉぉおおおおおぉぉぉぉおおおおおおぉぉっ!!」

 

 レオリオは雄たけびを上げる。

 

「バカなっ」

 

「BJ! ガトリング!!」

 

 レオリオの発がシシオウに炸裂する。

 

「鉄塊!」

 

 レオリオの放出系オーラの一撃一撃がシシオウの身体をとらえる。シシオウが後退していく。壁まで追い込まれた。

 

「うぉおぉぉおおおぉぉお……ダラァッ!!」

 

 レオリオは最後の一撃を床にぶつけた。

 

「ガトリング・クロス!」

 

 シシオウは正面と壁の両側からレオリオの攻撃を受けた。シシオウは白目をむいている。

 

「ぜぇぜぇ……その手には乗らねェぜ。オレのコブシ、効いてねェんだろ?」

 

 シシオウの目に生気が戻る。

 

「オレは医者志望でね。相手の身体にオーラを流すとだいたいわかるんだよ。臓器の位置はもちろん、いろいろ手に取るようにな。てめェの本体は胴体(そこ)じゃねェ!」

 

 レオリオはシシオウに突っ込んでいく。

 

「貴様ァ!」

 

「ここだァ!!」

 

 レオリオとシシオウのコブシが交錯する。レオリオはシシオウのコブシを交わし、シシオウの顔面をぶん殴る。レオリオの右ストレートのクロスカウンターが決まった。

 

「ふんぎぃいいいいいいいいいいいいいいッ!」

 

 シシオウは床に撃ち倒された。

 

「オレの武器は瞬間移動パンチなんかじゃねェぜッ!」

 

 レオリオは自分の胸を親指で指す。

 

「これがオレの最強の武器だ!」

 

 シシオウの身体が変化していく。

 

 元の姿に戻るのか?

 

 シシオウの身体がどんどん縮んでいく。

 

 ゴンたちより小さいくらいだ。

 

 もしかして、これが本当の姿!? いったい本当はどんなツラしてやがるんだ?

 

 こ、こいつは!

 

「それがテメェの本当の姿か? ようやくわかったぜ」

 

「みるなぁぁぁぁ!」

 

 レオリオはハンター試験トリックタワーでクラピカが戦った囚人のことを思い出していた。

 

「オレの勝ちだ!」

 

 どんっ!!




レオリオは制約と誓約が使えません。あれはただの気合いです。

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