Hyskoa's garden   作:マネ

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人に解けない問題を作るのと、その問題を解くのとでは、どちらがむずかしいか
ただし、解答は存在するものとする


No.065 Hyskoa's × ILLUSION

 傍生はからかいがいのある人物だ。おもしろいように策にはまり、最高のリアクションをしてくれる。それも最強クラスの才能を持ちながら。こんなサンドバッグはない。

 

 カストロとの戦いをみて確信した。

 

 ヒソカは必ず傍生とのバトルを楽しむ、と。

 

 そして、手の内をさらすこととなる。

 

 念能力のバトルは相手の能力を知ることで勝率が飛躍的に上昇する。クラピカは落ちた。ヒソカ、おまえもクラピカ同様に丸ハダカにしてやろう。ハダカじゃ戦えないのだから。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「スーパーアンデッドスリー! スカイウォーカーモード!!」

 

 

「へぇ♣ ちょっとはボクのことを考えてくれたのかな? すごくうれしいよ❤ 大人のプレイを楽しもうじゃないか」

 

 ヒソカは頬を染めて、テレているようにもみえる。気色悪い顔だ。

 

「ハァハァハァ……」

 

 やはり息が切れる。

 

 一転、ヒソカの表情が曇った。苦しそうな表情だ。

 

 なんで、おまえはここでそんな表情ができるんだよ。ほんとバカだろ。

 

 あぁ。いいぜ。

 

 ヒソカ、おまえに俺のすべてを捧げてやるよ。正真正銘、俺のすべてを。

 

「行くぜ!」

 

 天空闘技場の外壁を蹴って、ヒソカに突っ込んでいく。ダークライトセイバーというオーラを振動させる剣を振りかぶって。ヒソカはバンジーガムを壁面に張りつけて、その収縮力を使って、ひらりとかわす。

 

 ヒソカは天空闘技場の『枝』の部分に逆さまに立つ。

 

「余裕そうだな、ヒソカ?」

「うん♣」

 

 傍生はコメカミに血管が浮き出るような感情。

 

「みせてやるぜ。この姿の能力を」

 

 傍生は外壁から飛んだ。ヒソカは天空闘技場に付着させたバンジーガムを縮めて逃げる。傍生はヒソカを追いかけて、空中歩行(スカイウォーク)で飛ぶ。天空闘技場につけられたバンジーガムを切断しながら。

 

 ヒソカのバンジーガムは速い。だが、バンジーガムを付着させるために飛ばすバンジーガムはそれほど速いわけではない。

 

 これまでの武空術ではできなかったが、ヒソカから発射されるバンジーガムよりスカイウォークのほうが速い。つまり、追いかけつづければいずれヒソカを捕えることができる。

 

 これはバンジーガムを切断できるダークセイバーを有する傍生にのみ許された戦術。ゆえにダークセイバーは対バンジーガムの能力という。

 

 行き場を失ったヒソカは空中に逃げる。ヒソカからバンジーガムは出ていない。

 

 さっきと同じ状況。

 

 今度は外壁から飛んで、確実にヒソカを始末する。

 

 傍生は外壁から飛んだ。

 

 ダークセイバーが完全にヒソカを捉えられる位置に傍生はいる。

 

 初見殺しは初見殺しでしかないんだ。2度も同じ手が通用すると思うなよ。ヒソカ。

 

 今度こそ、これで終わりだ!!

 

 

 

 傍生はダークセイバーを振るった。

 

 ダークセイバーがかき消えた。

 

 

 

 傍生がバンジーガムでひっくり返されていた。傍生の背中にバンジーガムがついていたのだった。オーラに質量はない。円を使わないかぎり、気づくことはできない。バトル中に円なんて使わないのが普通だ。

 

 ダークセイバーは『葉』を叩いていた。『葉』は無敵バリアを張っているのでどんな攻撃も無効化する。

 

「同じ手が通用するはずがないだろ?」とヒソカ。

 

 くっ……。

 

「ヒソカ、おまえはいったいなんなんだよ!!」

 

「ヒソカだけど何か?」

 

 ネテロがあっさり負けた理由がわかったぜ。

 

 ヒソカには武術も剣術も通じない。ヒソカは純粋な念能力バトラー。

 

 俺が積み上げてきたものが……いや、人類が積み上げてきたものが……ヒソカの前ではまったく意味をなさない。念能力というものが広く、人類に広まれば、ヒソカも倒せるかもしれないが、現段階では……。

 

 みていた景色が反転する。

 

 傍生はバンジーガムに拘束されて、天空闘技場の凸部分に叩きつけられる。

 

 天空闘技場の壁は念能力によって特殊加工がされている場所がある。天空闘技場の強度を保つために。

 

 ゆえに硬い。

 

「がはっ……ぜぇ……ヒソ……カ……」

 

 

 

「へぇ◆ これで仕留められないなんて、さすがに頑丈だね❤」

 

 

 

 俺に何度もダメージを与えておいて、得意げにならないなんて……俺を褒めてくるなんて……。

 

「予言しよう。キミは灰になって落ちる。地上の上にね♠」

 

「俺も予言するよ。おまえは俺に真っ二つにされる。戦術には限りがある。もう、おまえも出し尽くしただろう?」

 

「それはどうかな?」

 

 最終局面だ。

 

「もう背中にバンジーガムなんて着けさせない。スカイウォークでおまえを追い詰め、確実に真っ二つにする」

 

「それ、いいね❤」

 

 どういう意味だ?

 

「くっくっく……♣」

 

 ヒソカは口角をあげて、狂ったような笑みを浮かべる。

 

 いずれにしても、スーパーアンデッドスリーはもう長く持たない。ここで決めなければ時間切れで俺の敗北だ。ヒソカの予言通りに俺は灰になるだろう。この攻撃が最期になるかもしれない。

 

 少なくとも、ここで俺がヒソカの能力の謎を解いてやる。

 

 例え、ヒソカに敗北したとしても……。

 

 ここでヒソカを無力化する。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 ヒソカも他の能力者と同じように、二つの能力を有している。バンジーガムとドッキリテクスチャーだ。バンジーガムには呪霊錠という相手の承諾を得た場合のみ発動する追加効果を有する能力がある。

 

 そして……。

 

 ヒソカの能力の真実はそんなところにはない。

 

 

 

 ボクは最強だ。

 

 このモードでも……。

 

 ボクに勝てるのはボクだけだ♠


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