Hyskoa's garden   作:マネ

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 ヨークシン編のあと、ヒソカは天空闘技場でフロアマスターへ挑戦するつもりだったが独自解釈という謎の力により、べつの事件に巻き込まれていた。それ(何の構想もないけど)が解決して、休む間もなく、クロロから「会いたい。今すぐ」という電話がかかってきた。ヒソカはクロロのもとへと飛んだ。


幕間劇
No.006 依頼×報酬


 それは心を許し合って対等に交わっている人。

 それは互いの痛みを自分の痛みに感じられる人。

 

 それは自分が窮地のときに思い出す人。

 それはその人が窮地のときに駆けつけたくなる人。

 

 それは殺せるか殺せないか試したくなる人。

 

 大切なものは、欲しいものを手に入れたあとで気づく。それが足りない風景をみて。

 

 今度は……。

 

 

 ◆  回想  ◆   ヨークシン編の一ヶ月後

 

 

 ヒソカの心は躍っていた。オーラも充実しているのがわかる。

 

 ヒソカがマンションの一室のドアを開ける。フローリングの部屋。クロロは椅子に座っていた。すこしやつれているようにみえる。クロロの足元にはゲーム機が転がっていた。配線されていないが動いている。あきらかに念能力だ。クロロの除念に必要なアイテムなんだろう。

 

「やぁ、一ヶ月ぶりだね、クロロ❤」

 

 クロロから連絡があることはわかっていた。クロロは除念に動くしかない。旅団との接触を断たれているから、信じられて、しかも頼れるのはボクしかいない。除念のめどが立てばボクに連絡がくる。そして、来た。ボクを頼ってくれたことがうれしいね。

 

 報酬……クロロがボクにあげられるものなんてアレしかない。

 

「ハンター専用ゲーム……グリードアイランド……ヨークシンの東に実在する島を舞台にしたゲームだ」

 

 フェイタンとフィンクスが話していたな。表のオークションに出品されたはずのものだ。おそらく二人なら落札者から奪っているだろうがクロロは二人に接触することができない。自分で手に入れるしかなかった。やつれているのはそのためだろう。

 

「手に入れるのに苦労したようだね♣」

「この中に除念師がいる。みつけ出してオレに刺さった念の刃を除念するように交渉してほしい」

 

 念能力者しか入れない島か。

 

「除念師への金はいくらでも出す」

「ボクには?」

「オレが報酬だ。それがおまえの望みだろう? 除念に成功したらオレを好きにしていい」

 

 ズキュウウウウゥン。

 

「オ、オーケーだよ。ゴホッ……クロロが除念されてるところを想像したら興奮しすぎちゃったよ。そして、除念のあとは……♠」

 

 ゾクゾクゾクゾクウゥーーッ。

 

「……………………」

「楽しみだね♣」

「……………………」

 

 グリードアイランドにはフィンクスたちがいる。彼らと接触できれば容易に除念師をみつけることができるだろう。問題はどうやってフィンクスたちをみつけるか。行ってから考えようか。

 

「ゲーム機の前で発を行えばゲームスタートだ」

「ふ~ん」

 

 ヒソカはゲーム機の前に立つ。

 

「そうだ。クロロ?」

「なんだ?」

 

「クロロ、好きなトランプのカードを言ってみて」

「……ダイヤのキング」

 

 ヒソカはトランプを二つに分けて、その一方のカードの表をみせる。それはダイヤのキングだった。

 

「ジョーカーも含めて、すべてのカードで同じことができるんだ。奇術の基本。スキルハンターのページを開くとき、一瞬で開けるほうがいいよね。ボクとのデートのときに絶対役に立つと思うんだ。覚えておくといいよ」

 

「ヒソカ?」

「なんだい?」

 

「…………いや、なんでもない。頼む」

 

 首を傾げるヒソカ。

 

「じゃ、行ってくるね、クロロ❤」

 

 ヒソカは発を行った。

 

 ――これからオレたちは殺し合うんだぞ。わかっているのか。なぁ、ヒソカ?

 

 聞こえたクロロの声は彼の幻聴だったのだろうか?

 

 

 ◆

 

 

 大切なものを失ったことに気づくのは、いつも欲しいものを手に入れたあとだった。


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