Hyskoa's garden   作:マネ

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天空闘技場フロアマスターメンバー

No.001 メシアム=ウォーカー
No.002 エデン
No.003 クミング=リング
No.004 ベルーリオ
No.005 スカラ
No.006 セツナ
No.007 ヒャダルコ
No.008 オルガ=トリンク
No.009 バギ
No.010 カンジル

No.011 ラリホー
No.012 テナガーン
No.013 マヌーサ
No.014 イオラ
No.015 ホイミ
No.016 エリマキ
No.017 ピオリム
No.018 マリアン=ローズ
No.019 サイユウ=ソン
No.020 ズシ=カーライル

No.021 ヒソカ


No.035 天空闘技場×制圧②

 キルアとゴンはネテロ専用のVIPルームにいた。

 

 ネテロの表情が変わった。

 

「ネテロさん、どうしたの?」

 

 キルアも妙な気配を感じた。隣りでゴンも感じたようだった。臨戦態勢に入る。

 

 扉が蹴破られた。

 

 二十代前半の男と十代後半の少女が入ってきた。

 

「おぬし!」

 

 男が異様なオーラを立ちのぼらせた。少女の両手から触手のようなオーラが伸びてきた。ネテロはキルアとゴンを突き飛ばした。触手がネテロを絡めとる。

 

 ネテロは壁に磔にされた。

 

 それは一瞬の出来事だった。

 

 なんで、こいつら、ここまで誰にも気づかれずに来れたんだ? 警備員がいたはずなのに。それだけ強いってことなのか? それとも、それだけ用意周到に準備を進めていたってことなのか?

 

 どっちにしてもやっべえな。悔しいけど、オレらでどうこうできるレベルじゃない。

 

 そもそも、今日の天空闘技場はおかしかった。警備はいつも以上に厳重で、プロハンターまでいた。ただのテロ対策でプロハンターまで呼ばないだろう。バトルオリンピアのためだと思っていたけど、これは……。

 

「やれやれ。ワシも焼きがまわったもんじゃのう。おぬしはA級首のスタング=ロックか?」

「へぇ。ハンター協会会長に覚えてもらえてるなんて、俺もずいぶん極悪人になったもんだな。悪いのは人相だけだと思ってたけど」

 

 A級首? 幻影旅団級ってことか?

 

 触手を出した途端に、女の動きが止まった。自分が動かないことを制約にして、相手の動きと念能力を封じる具現化系能力か?

 

 ゴンはオーラを纏って、ネテロを助けるために少女に近づく。

 

「その女にはふれないほうがいい。会長さんと同じ目に合うぜ。ちなみに、その女を攻撃しても意味がない。その女はただの人形。本体はべつにいるから」

 

「なんで、そんなこと教えるんだ?」

 

 スタングが鋭い目でキルアをみる。

 

「もしかして、おまえら、俺と同じステージにいるとでも思っているのか?」

「あ?」

 

 それは、キルアにとって、これ以上ない侮辱の言葉だった。

 

「キルア!」

 

 あぁ、わかってる。相手の挑発に乗っちゃダメだ。じいさんが無力化されるほどの使い手。頭に血をのぼらせたら負けだ。オレたちがいなきゃ、じいさんだって捕まることはなかった。オレたちをかばって。

 

 オレたちは自惚れていた。オレたちはバカだ。

 

「ゴン、キルア、逃げるんじゃ」

 

 舐められっぱなしで引き下がれるかよ。

 

「キルア、行くよ」

 

 アレをやるっきゃねぇな。

 

「あと10年もしたら、相手してやるから、さっさとママんトコに帰れよ。殺さず倒すって結構面倒なんだぜ。俺はやさしいから」

 

 舐めていられるのは今のうちだ。みせてやるぜ。念能力のコンボってヤツを。

 

 キルアは壁を蹴って、スタングの上にまわる。そして、背後に。

 

「雷掌(イズツシ)!」

 

 スタングが感電する。これで数秒間その身体は硬直する。

 

「最初はグー!」

 

 ゴンの右手にオーラが集まる。

 

「ジャンケン、グー!!」

 

 スタングは右手の人差し指でゴンのジャジャン拳を受け止めた。

 

 ウソ……だろ……。

 

「そ、そんな……」

 

 茫然としているゴン。レイザ―だって、ぶっ飛ばしたジャジャン拳が指一本で抑え込まれた。

 

「強いな。ガキの割には、だが……」

 

 スタングはゴンをみて、何かを思いだしているようだった。

 

「おまえの顔、ジン=フリークスにそっくりだな」

「オヤジを知ってるの?」

「そうか。あのクズの息子か」

 

 ゴンがスタングを睨む。

 

「よかったな。ジンがクズで。ここでおまえを殺しても、ジンはおまえのために涙一つ流しはしない。むしろ、おまえはジンにとって面倒な存在であるはずだ。だから、おまえを殺さないで生かしておいてやるよ」

 

「オレがおまえをぶっ飛ばし――」

 

 スタングはすばやくゴンの後ろにまわった。ゴンの首を絞める。スタングはゴンの脇腹を殴る。

 

「硬での防御なんて無意味。無意味な抵抗なんてするなよな。無駄にダメージを負うだけだぞ。おまえらの浅知恵なんて、こっちはとっくに経験済みなんだよ」

 

 ゴンがぐったりとした。

 

「ゴンッ!!」

 

 ダメだ。強い。経験値がちがいすぎる。

 

 アニキより、ヒソカより、こいつは遥かに強い!

 

「雷で俺の動きを封じ、こいつの必殺技でトドメをさす。まるで一人の人間を相手にしているかのような息のそろったコンビネーションだった。正直感心したよ」

 

 スタングはゴンの頭を撫でた。オレたちを完全に舐めてやがる。

 

「会長さんとお茶を飲んでいるだけはあるな。キルアと言ったかな? 俺の仲間にならないか?」

「誰がテメエの仲間になんかなるかよ!」

 

「おまえらは俺たちを誤解している。これは世代間の戦いだ。老人と若者のな。おまえら、プロハンターなんだろ? おまえらがハンターを続けるなら、いずれは俺たちの仲間になるだろう。ネテロ会長を潰し、新時代を迎えようじゃないか」

 

「ゴンを放せ!」

「勧誘のタイミングをまちがえたかな。まあいい。急ぐ話でもないし」

 

 スタングたちの目的はじいさんを失脚させること? そうすると何がおきるんだ? 新時代ってなんだ?

 

「その少女は何者じゃ。そのオーラ……いや、ありえん」

 

 ネテロは何かにカンづいたようだった。

 

「たぶん、それで正解だよ。このコは煉獄。本名は知らないけど。ネテロ会長、俺たちはあんたにハンターの心ってヤツを教えに来たんだぜ」

 

 スタングがキルアに視線を送る。キルアの身体が勝手に反応して、スタングから距離をとった。スタングのオーラ量が増した。キルアを警戒したように思えた。

 

「さっきまでの動きとはまるで別人のような、その動き……」

 

 スタングは左手にオーラを集める。念弾を放った。壁がぶち破られる。

 

 スタングはニィッと笑った。無造作にゴンを外に放り投げた。

 

「なっ!? くそっ! ゴン!」

 

 ゴンを追って、キルアは飛びおりた。

 

 キルアは壁を走りながら、落下するゴンに追いつく。ゴンを抱えながら、ヨーヨーを投げて、天空闘技場のとっかかりに引っ掛ける。なんとか地面への激突を免れる。

 

「やばかったぜ」

 

 キルアは強化ガラスの窓を破って、天空闘技場の内部へと戻る。

 

 50階まで落ちていた。

 

 キルアはゴンをやさしく床に寝かせた。

 

「ゴン、しっかりしろ!」

 

 ゴンは息をしていなかった。

 

「ゴン……」

 

 キルアの視線はゴンの唇にいく。すこし開かれたゴンの唇。

 

「…………」

 

 キルアは首を振って、ゴンの肺の上に手を置いて、発を行った。

 

「ゴホッ、ゴホッ」

 

 息を吹き返すゴン。

 

「だいじょうぶか、ゴン?」

「ありがとう、キルア」

 

「じいさん、アイツらに捕まったままだぜ」

 

 ゴンは震えている。

 

「だれもいないみたいだな。バトルオリンピアの間は封鎖されているのかな? アイツら何者なんだろうな?」

「許せない。ネテロさんをあんな目に合わせるなんて。それに……」

 

 オヤジさんのことか。

 

「絶対ぶっ飛ばしてやる!!」

「あぁ」

 

 …………えっ!?

 

「ゴン、落ちつけよ。今のオレたちじゃ、絶対ムリだって」

「キルアはやられっぱなしでいいの?」

「よくねぇけどさ、あんなバケモンにどうやって勝つっていうんだよ?」

 

「キルアの言う通り、今のオレたちじゃ勝てないのかもしれない。でも、倒す方法はあるよ」

「なんだよ?」

 

「オレたちはグリードアイランドでレイザーに勝ってる!」

 

 だわさ

 

 ん~❤

 

 ゴン、それでも、オレはアイツに勝てる気がしないんだ。

 

 

 ◆

 

 

「団長? スタングの強さはどうだった?」

 

 シャルナークは団長に訊いてみた。

 

「話にならない。念能力を盗むのは難しいが倒すのは造作もない。ひとつひとつの技の完成度は高いが技のつなぎがずさんだ。バトルの組み立ても幼稚。オレには通用しない。まだまだだよ」

 

 上には上がいる。


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