真・怪人バッタ男 序章(プロローグ)   作:トライアルドーパント

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これは『怪人バッタ男』シリーズの一周年を記念し、これまでに投稿された感想から思いついたネタから派生した“もしもの『序章』”を完成させたモノです。

今回はダークサイドの話であり、更に言えば原作とは時系列も異なります。それでも「私は、一向に構わんッッ!!」と言う読者の皆様は、本編とは異なるシンさんの活躍をお楽しみ下さい。


IF・怪人バッタ男 序章―DARK SIDE―
2/3話 爆誕! 怪人王子!


もしもシンさんが、ダークサイドに身を堕としていたら?

 

 

●●●

 

 

Mt.レディのサイドキックによって自宅の近くまで送って貰った後、俺は一人で夜の住宅地を歩いていた。一応、家に連絡を入れてあるから大丈夫だと思うが、やはり早く帰って安心させたいと思うのが、親を思う子心と言う物だろう。まあ、父さんはあまり家に居る事は無いのだけど。

 

「だ、誰か、助けてくれぇえ~~~~~~~ッ!!」

 

!? 誰かが助けを求めている! 声の大きさからすると距離はかなり遠いが、俺の“個性”なら現場まで一っ飛びだ。俺は名も知らぬ誰かを助けるべく、本日三度目の“個性”を発動する。

 

「ヴヴゥゥゥ…GRYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

肉体を人間のソレから怪人バッタ男のソレへ変化させると、俺は絶叫と共に満月の夜を跳躍する。

そして、空から助けを求める声の主を探っていると、路地裏の中でチンピラと思しき一人の男が、脳味噌が丸出しで翼の生えた、ヴィランと思われる異形の男に襲われていた。

 

「SYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

「GYUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

上空から急降下し、渾身の力と体重、そして速度が込められた両足蹴りを、翼のヴィランの背中に叩き込み、その勢いを殺さぬまま翼のヴィランを地面に叩きつける。地面には蜘蛛状の亀裂が入り、翼のヴィランは白目を剥いて気絶した。

取り敢えず、致命傷になりそうな頭を避けて攻撃したが、完全に脳味噌が剥き出しの頭を見ると、さっきの衝撃で脳にダメージが入り、本当に気絶で済んでいるのだろうかと、若干不安になってしまうのは仕方が無い事だろう。 

 

「VAA! DIBALOBTICI……」

 

「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああッ!! 化物だぁあああああああああああああああああああああああああああああッ!!」

 

「………」

 

……あの野郎、人を化物呼ばわりして逃げやがった。礼の一つ位は言っても罰は当たらんと思うんだが……まあ良い。助けた相手に化物扱いされて逃げられるなんてのは日常茶飯事だ。しかし、流石に三回目の“個性”使用は疲れたな……。

 

「CURUUUU……」

 

「GYUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

「GUWAAAA!?」

 

早く家に帰って寝ようと思った刹那、背後から奇声が聞こえた。勢いよく振り向くと、其処には足下に倒れている翼のヴィランの兄弟と思しき見た目をした、脳味噌丸出しで四ツ目のヴィランが四足歩行で迫っており、猛然と俺に襲いかかってきたのだ。

 

「KUWAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」

 

不味い。コイツ、攻撃がかなり早い。一応まだ対応圏内だが、只でさえ消耗している状態で、このレベルを相手に連戦はかなり不味い。ここは逃げた方が吉だな。

 

そもそも助けを求めた相手が助かっているのだから、当初の目的は達成されている。それならば俺が此処で逃げても問題は無いし、コイツから逃げるだけなら何とかなる。そして誰か適当なプロヒーローに助けを求めれば良いのだ。俺を見て助けてくれるかは別として。

 

「ぎゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」

 

「!?」

 

さっきの逃げたチンピラの声!? まさか、まだ仲間がいたのか!?

 

「CYUWAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

「GYUOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

 

……クソッ。実に不味い展開だぞ。此方は段々とパワーダウンしているが、コイツの方は勢いが衰える様子が全く無い。このままではこの場から逃げて助けを求める事も不可能になる。

 

ここは一か八か、やってみるか?

 

「HUUUU……SYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

「GUU!? GAAA!? CYAA!?」

 

狭い路地裏の壁を足場にして、三次元的な動きで四ツ目のヴィランを翻弄しつつ、相手の死角からパンチやキックを何度も叩き込む。『バッタ』の“個性”を最大限に利用した高速戦闘によって、俺は確実に四ツ目のヴィランを追い込んでいく。

あわよくば俺の体力が尽きる前にコイツを倒し、駄目なら隙を見てこの場を脱出する。そう考えて攻撃を続ける俺だったが、結果から言えばこの考えは悪手だった。

 

「JWAA!? CYUUUU……」

 

「! UWYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」

 

「CUWAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 

「WUBOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

 

何度かの攻撃によってダメージが蓄積した四ツ目のヴィランが体勢を崩し、それを好機とみた俺が路地裏を脱出しようと試みた瞬間、空中で逃げ場の無い俺に、先程気絶させた翼のヴィランが何時の間にか復活して俺に襲いかかり、俺を地面に叩きつけたのだ。

先程とは逆の展開となり、地面にめり込んだ俺が起き上がろうとすると、今度は全身が真っ黒で、頭部が脳味噌と下顎だけの大男が近づいてきた。

 

三人目……。もしかして、コイツがさっきのチンピラを……?

 

「WOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

 

「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

俺は三人目の黒いヴィランによって何度も殴られ、その度に体の肉が潰れ、骨が砕けた。明後日の方向に飛んでしまいそうになる意識を必死に繋ぎ止め、反撃の機会を伺うが、嵐の様な拳の連打は俺から抵抗する力を確実に削っていく。

 

「WUU……! WYAAAA……!」

 

「JYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」

 

そして両手を握り合わせ、ハンマーの様に振るわれた一撃が顔面に決まった瞬間、俺は遂に意識を手放した。

 

「AAA……」

 

「ふむ……負けたとは言え、脳無を相手にここまで戦えるとはの。……ククク、実に面白い素材じゃ。こやつこそ、あのオールマイトを抹殺する為の、『更なる男』に相応しい……!!」

 

 

●●●

 

 

………? 此処は……何処だ……? 確か俺は……帰り道にヴィランと戦って……。

 

アレから、どうなった? ここは病院か? 今は何時だ?

 

……!! な、何だ、この真っ白な、鎧を纏った様な腕は……!! 誰かが俺に着せたのか? ……いや、違う。コレは服や鎧の類いじゃ無い。

 

皮膚だ。これは、俺の皮膚が爪の様に、硬く硬質化しているのだ……!!

 

「へぇ。自我を失っていないとは驚いた。流石にドクターが面白いと言うだけはあるね」

 

!? だ、誰だ!? 妙なヘルメットをしているが、病院の先生か!? 俺は、俺の体は一体どうなったんだ!?

 

「ふむ、まず最初の質問だが、確かに私は先生と呼ばれているが、ドクターではない。そして、次の質問に答える前に、まず君の隣を見てみるといい」

 

隣……? !! コイツは、さっき戦った、黒いヴィラン!?

 

……いや、よく見ると違うな。確かにアイツと同じで脳味噌が丸出しだが、アイツには顔らしい顔が無かった。でもコイツにはちゃんと顔がある……。

 

「フフフ……それは『脳無』と言ってね。一人の人間をベースに複数の“個性”を与えた、所謂『改造人間』という奴なんだ。そして、君は今や彼等の同類と言っても過言では無い」

 

同類? どう言う事だ? 何を、何をしたんだ……!! 俺の体……、俺の体に……!!

 

「君がここに来てから、今日でちょうど一週間。我々は君の体に『脳無』と同様の処置を施したんだ。ドクターが薬物等を使って肉体を改造し、複数人のDNAを注入する事で、複数の“個性”に見合う器に造り変える。そこで僕が複数の“個性”を投与する事で完成するのが『脳無』だ。普通ならそこの『脳無』と同じ様な姿形になって、物言わぬ人形の様な状態になる筈なのだが……君の場合、君が元々持っている“個性”の問題からか、大分特殊な変異を遂げたみたいだね」

 

ふ、ふざけるな……! 元に戻せ! 俺を、元の体に戻してくれ!

 

「ハハハ、それは無理な相談だ。『脳無』を元の人間に戻す術は存在しない。所で話は変わるが、君について少し調べさせて貰ったら、とても面白い事が分かった。ほら、君が戦った『脳無』の一人に翼が生えている個体がいただろう? あの『脳無』は実は、君もよく知っている人間なんだ。ほら、君が小学生だった頃、遊び相手に翼を生やした太った少年がいただろう? アレだよ」

 

なん……だと……!? 元の姿には戻れない……? そして、あの脳無の正体が、あの、ツバサだと……!? それじゃあ、俺は……、ツバサは、もう……ッ!!

 

「涙か……しょうの無い子だね。でも大丈夫だよ。君もすぐに彼と同じになれる。さて、それでは君を使って少し冒険するとしよう。君が自我を保ったままで、どれだけの数の“個性”を引き受ける事が出来るのか。その限界を試させて貰う。何、心配する事は無い。君は今日から生まれ変わるんだ。この僕の手で……」

 

そう言うとヘルメット男の指先が黒い枝のように伸びて、俺の体に突き刺さる。そして、そこから俺に何か大きな力が流れ込み、体の中で滅茶苦茶に暴れている様な異物感と激痛が襲った。

それと同時に俺の体は黄金色に輝きだし、頭の中では何人もの人の顔が、走馬燈の様に浮かんでは消え、浮かんでは消えていく。そして顔が消えていく度に、ソレが誰なのかが思い出せなくなっていく。ソレが誰なのかが分からなくなっていく。

 

まるで、完成された水彩画が、真っ白なペンキで塗り潰されていく様な感覚。心は不安と孤独に支配され、次第に自分が何者なのかも分からなくなっていく。

 

――『“個性”に苦しんでいる人達の希望の象徴』。それが私の目指すヒーロー像よ――

 

誰の言葉だったか、もう思い出す事は出来ない。だが、それが自分にとって、とても大切な言葉だと言う事だけは分かる。絶対に忘れてはいけない、大事な言葉である気がする。

 

これだけは例え、神でさえも、奪わせはしない……ッ!!

 

「WUUUUUUUUU!! RUWOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

 

その時、不思議な事が起こった。

 

俺の体は、黄・緑・青・白と点滅しながら様々な色の光を放ち、体の中で暴れていた力が一つに集約していくのが実感として理解でき、違和感が瞬く間に消失していった。そして――

 

「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」

 

体中から発生した衝撃波によって周囲にある物が吹き飛ばされ、青い稲妻が全身を走る。

 

「ムッ!? おお……、これは……ッ!!」

 

「………」

 

――カショッ……。カショッ……。――

 

室内に充満した煙が視界を埋め尽くす中、その光景を目の当たりにした男――オール・フォー・ワンの耳に届いた不気味な足音は、恐ろしい怪物の産声に聞こえた。

 

 

○○○

 

 

人気の無い路地裏を一人の少女が走り、それを一人の男が追いかける。少女は手足に包帯が巻かれており、靴も靴下も履いていない。何が落ちているか分からない路地裏を裸足で走るなど危険極まりないが、少女にそんな事を考える余裕は無かった。

 

「ハッ……ハッ……」

 

「………」

 

少女は一心不乱に男から逃げていた。我武者羅に助けを求めていた。誰でも良いから自分を助けて欲しかった。自分を逃すまいと造られた強固な鳥籠に出来た僅かな隙間。自由へ続く一瞬のチャンスに少女は全てを賭けた。

 

そして、路地裏を抜けて大通りに出た瞬間、少女は一人の少年にぶつかり、尻餅をついた。

 

「………」

 

「……あ」

 

どこか無機質な瞳で此方を見る少年を見て、少女は「少年を怒らせてしまったのでは無いか?」と思い萎縮する。そんな少女の様子を見た少年は、ゆっくりと近づいて少女を立たせると、これまたゆっくりとした動作で頭に触れようとした。

 

その一瞬、少女には目の前の少年が、緑色の目に銀色の髑髏の様な顔をした、恐ろしい怪物に見えた。

 

「ひっ!!」

 

殺される。少女は本能的にそう直感し、恐怖から強く目をつぶった。そして、少女の頭に少年の手が触れた時、その時が来たのだと大きく体を震わせる。

……しかし、少女にその時は一向に訪れなかった。それどころか、少年の手から感じる暖かい感触は、少女の不安を徐々に取り除いていった。

 

「あ……」

 

「………」

 

「ダメじゃないか。知らないお兄さんに迷惑かけちゃ」

 

「!!」

 

故に、一瞬忘れてしまった。自分がこの男に追われる身であった事を。

 

「……家の娘が済みません。遊び盛りで怪我が多いんですよ、困った物です」

 

「………」

 

若い。だが油断できない。

 

それが少女を追いかけていた男――治崎の抱いた少年に対する印象だった。一見すると中学生くらいの、何処にでも居そうな少年なのだが、その目は明らかにカタギの人間のモノではない。

 

「さあ、エリ帰るぞ」

 

「………」

 

無表情故に何を考えているのか分からない。だが、治崎の言葉を信じているのか、はたまた事を荒立てるつもりがないのか。どちらかは分からないが、少年は少女――エリを素直に治崎へと渡そうとする。

 

「嫌だ……いかな……いで……」

 

「………」

 

「ああ、実は最近ずっとこうでして、何を言っても反抗ばかりで……」

 

「………」

 

少年にしがみつき、治崎の元へ戻る事を拒むエリ。それについて治崎が反抗期だと説明するが、話を聞いているのか聞いていないのか、少年の表情は微動だにしない。

 

「お願い……」

 

「……許せ。また今度だ」

 

初めて言葉を発した少年は、涙を浮かべ震えながら懇願するエリの額を指で優しく小突き、エリを治崎へと渡した。

 

「あ……」

 

「すみません。ご迷惑をおかけしました。では……」

 

「………」

 

絶望に満ちた表情をしたエリを抱いた治崎は、少年に一礼すると歩いてきた路地裏の奥に戻っていく。

 

「………」

 

暗闇の中に消えていく二人を見つめる少年――呉島新は、しばらく暗闇の中を見ていたが、再び大通りを歩き始めた。

 

二人が消えた路地裏を、一匹の大きなバッタが飛翔していた――。

 

 

○○○

 

 

「良かったのかね、先生。私と先生で造り上げた『更なる男』……シャドームーンを一人で死穢八斎會に行かせてしまって」

 

「ああ、彼がどうしてもやりたいと言うからね。それに遅かれ早かれ、死穢八斎會とは覇権を競い合う事になっていただろうしね」

 

オール・フォー・ワンがアジトにしている建物の一室。そこでドクターは、シャドームーンが単身で死穢八斎會に向かった事を咎めるが、それを許可したオール・フォー・ワンは、盲目であるにも関わらず液晶ディスプレイを前にし、不敵な笑みを浮かべている。

 

まるで、今回の事の顛末が分かりきっているかの様に。

 

「それにコレは案外悪くない方法だ。手っ取り早く、軍団を手に入れる方法は大きく分けて二つある。一つは弔の様に、この社会で爪弾きにされた日陰者達の欲望を言葉巧みに刺激し、一つの目的の下に扇動する事。もう一つは、何処かの軍団を壊滅させ、その敗残兵を吸収する事だ」

 

「シャドームーンに死穢八斎會を壊滅させ、その構成員を手に入れようと言うのかね?」

 

「そうだ。既に出来上がった軍団を無傷で手に入れる方法なぞ存在しない。軍団を手に入れるには、一度軍団を潰すしかない。そして、彼等の統括はシャドームーンにやって貰う」

 

「『暗黒結社ゴルゴム』じゃったか。『敵連合【ヴィランれんごう】』に比べれば随分と大仰な団体名よのう」

 

現在、オール・フォー・ワンが手塩にかけて育てている死柄木弔が『敵連合』なる団体を立ち上げている様に、シャドームーンもまた『暗黒結社ゴルゴム』と言う軍団を組織しようとしていた。

オール・フォー・ワンとしては、自分の下に二つの団体を作ることで、意図的にライバル関係を生み出し、お互いに競争心を燃やして切磋琢磨して貰おうと言う腹積もりであり、ここまでは思い描いたシナリオが順調に機能していると言えた。

 

「しかし、連中は未完成とは言え、“個性因子”を傷つけ、“個性”を使用不能にする薬品を持っているのだろう? 下手をすればシャドームーンは此処で使い物にならなくなるぞ?」

 

「心配ない。今回の件は彼の力を知る好い実験になるだろうし、いざという時は脳無を出動させて回収する。もっとも、彼等はいずれ思い知る事になるだろう。『そんなモノに頼った時点で、“次の闇の帝王”など叶わぬ夢だったのだ』とね……」

 

「………」

 

そう語るオール・フォー・ワンを見て、ドクターは「弔とシャドームーン。この二人を競わせ、勝ち残った方を“次の僕”にする」と語った時の事を思い出していた。

 

元々、次の闇の帝王として、オール・フォー・ワンに選ばれていたのは死柄木弔であった。しかし、オール・フォー・ワンは、もしも死柄木弔が満足いく後継者として完成を見なければ、シャドームーンを自分の後継者とする事を考えており、二人の候補者を両天秤にかけていた。

 

死柄木弔とシャドームーン。“次の闇の帝王の座”を賭けて戦う事になる二人には、共存や共生と言う未来は決して存在しない。敗者は勝者の贄となり、この世界の闇に人知れず葬り去られる事になるだろう。

 

「そして……『改造人間は進化できるのか?』。我々が待ち望む答えは、きっと必ず其処にある」




キャラクタァ~紹介&解説

ドクター
 『敵連合』における改人作りの名人。『仮面ライダー(初代)』で言うところの「死神博士」、『BLACK』で言うところの「大神官」のポジにいるお爺ちゃん。原作に登場した対オールマイト用の脳無を造る為の素体となる人間を探していた所、脳無と戦うシンさんを発見。脳無を指揮してシンさんを確保することにまんまと成功した。

オール・フォー・ワン
 ヒロアカ世界における闇の帝王。この世界では『仮面ライダー(初代)』で言うところの「ショッカー首領」、『BLACK』で言うところの「創世王」のポジ。二人の後継者候補者を両天秤にかける剛毅なお方。二人のやる事を見ては「昔は自分も同じ様な事やったっけな~」と、年をくったお爺ちゃん的ノスタルジィに浸っていたりする。

脳無
 最初に登場した三体は、「職場体験編」で登場した脳無。そして改造されたシンさんの近くに居た個体は、『USJ編』に登場した対オールマイト用の特別製脳無。最初の三体に関しては、原作やアニメの描写を見る限り、脳無のレベルとしては『中位【ミドルレンジ】』だと思われるが、実際はどうなんだろうか。
 ちなみに、イナゴ怪人を呼び出せば逃げる事位は出来たかも知れないが、この時期のシンさんはイナゴ怪人を嫌悪していたので、そもそもイナゴ怪人を呼び出すと言う発想自体が無かったりする。

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