幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ……いや割とマジで 作:とるびす
夢の中での視点ってどんな感じなんだろう。取り敢えず深夜に半分眠った状態で書いてみっか。ついでにクレイジーバックダンサーでも聴きながらな!
……………
やべえなこれ←イマココ
なおサブタイとカナちゃんは関係なし
大なり小なりではあるが、私もたくさんの人脈関係を築いてきたと思う。伊達に何百年もダラダラと生き長らえているだけじゃない。
しかし、やはり関係には顔見知り程度のものから
やっぱり意識しなくてもランク付けのようなものはできちゃうわけね。
まあ、私の交友関係については他ならぬ我が心身を犠牲にして成り立っているものが多いけど。いつの間にか勝手に関係ができちゃって、あっちの方から私に突っかかってくるから避けようがない。
そういった点ではやっぱり萃香とか幽々子とは付き合いが長い分、結構親密って言えるくらいの関係になるんだろうと思う。キレられたらすぐにでも殺されそうな気はするけど。
……宿敵については敢えて割愛する。
そんなわけで何で今になって、しかもドレミーに襲われている危機的状況でこんな話をしたのかというと、友情の最高点への到達までにはとても長い時間は付き物だという常識を彼女が木っ端微塵に粉砕してくれたからだ。
「みっつけたぁぁぁっ!」
真っ白な空間を砕き、七色の宝石がぶら下げられた翼を翻し、炎剣をドレミーへと振り下ろす。堪らずドレミーはバックステップで回避、私は爆風によって縛り付けられた椅子ごとひっくり返った。
ちょっとばかし体が痛いけど、そんなの全然問題ナッシング。むしろ私の心は感動の渦でかなり湧き上がっている。
だって助けなんか来るはずもないって思ってたのに、この子が来てくれたんですもの!
「紫……だよね? 大丈夫?」
「ええ、ありがとう。助かったわフラン」
悪魔の妹、フランドール・スカーレット。私の数少ない癒し成分の一角であるその人だった。
フランの頼もしさがヤヴァイ!
けどどうやってこの世界に来たのか、何でそんなに強いのか……疑問は増えるばかりね。もしかしたらフランもまた夢の一部なのかもしれない。ほら、私の夢にはよくフランに登場してもらってたし。
「フラン……貴女どうやってここに? そんな簡単には来れないと思うんだけれど」
「さとりとこいしが色々とね。いくら幻想郷を探しても紫がいないから、それなら夢を利用しようって事になったの。ほら夢って根底ではみんな同じ場所に繋がってるらしいから。私もそのまま夢の世界に来てるわけじゃなくて、本体は今も館の地下室で眠ってるのよ」
「へ、へぇ……」
意味がわからない。しかもさとりとかいう超不吉な人名まで飛び出る始末。私には困惑して相槌を返すしかできることはなかった。
フランってインテリなのね。
一方、ドレミーはウンザリしたように辺りを見回す。よく見てみるといつの間にか片翼のサグメさんが消えていた。どこかに逃げたのかしら。戦闘員って感じはしなかったしね。
「次から次に……今度は誰です?」
「貴女が誰よ? 紫に詰め寄ってたから取り敢えず攻撃したけど……私の敵でオーケーなの? 敵なら壊す! 味方なら謝るわ」
「それは私が決めることではありませんねぇ。好きにするとよろしいでしょう。もっとも、私と敵対するのはお勧めしませんが」
フランはちらり、と私を端に見て、炎剣を肩に当てながらぶっきらぼうに言い放つ。
「そう……やっぱりいきなり敵って決めつけるのは良くないわ。もう少し捻った考え方ができるようにならないとね。というわけで聞くわ。貴女、紫をどうするつもりだったの?」
「ふふ、悪いようにはしませんよ」
妖しく微笑むドレミーからは悪意をひしひしと感じる。私を良いように扱うつもりはないということだろう。いったい私が何をしたというのか……遺憾の意を表明したいところである。
フランはドレミーの一言を聞いて、納得がいったように頷いた。
「なるほどねー。思慮深くとにかく相手を観察、か。全部さとりの言う通りね。お姉様みたいな言い回しだから少し心配しちゃったじゃない。まっ、よくよく考えてみればさとりとこいしが嘘を吐くはずないし、妥当っちゃ妥当かしら?」
「……結論から言うと?」
私とドレミーの間に立つフランの顔は見えない。ただ、羽の宝石を見ているとフランの感情が手に取るように分かるような気がする。七色の彩りがギラギラと輝きを増している。
今のフランは……そう、興奮しているのだ。
「とどのつまり、お前は私がぶっ壊す!」
「愚かな」
フランは思いっきり炎剣を振りかぶった。
風圧に乗じて炎が勢い良く燃え上り、剣の大きさが先程とは比較にならないほどに膨れ上がった。変幻自在の剣ってところかしら? そんなことを風圧に吹っ飛ばされながら考察していた。絵面は間抜けだけどフランとドレミーから距離を取れるという点では最善である。
あんな一撃を受ければ間違いなく肉片も残らないわ! 肝心のドレミーは手ぶらで行動を起こそうとしていない。まさか、諦めたの?
「おっりゃあぁぁぁぁっ!!」
「ほう、神剣の成れの果てですか。面白いものを持ち込んできましたね。しかし───」
ドレミーの声が剣圧に消えた。
振り抜かれた剣がフランを軸にして一回転し、夢の世界に破壊を撒き散らす。ドレミーやサグメさんが座っていた椅子に机は、跡形もなく消し飛び、夢の世界に黒ずんだ歪みが生まれている。
つ、強いわフラン! 初対面時の印象でてっきりか弱いのかと思ってたけどめっちゃくちゃ強いじゃない! まあ、あのレミリアの妹だし当たり前といえば当たり前……なのかな?
けど、ドレミーが……。
「──……なんで?」
消え入るような、戸惑いの声が漏れた。声の主はフランで、目を丸くしながら握っている剣に視線を向けている。
剣の刃先がだらんと伸びきっていて、例えるなら水飴のように下へと垂れていく。フランは気持ち悪そうに剣を投げ捨てた。
くすんだ世界が修復され、何事もないようにドレミーは元の場所に立っていた。哀れみと侮蔑の視線をフランへと向けながら。よく見ると指で炎剣の切っ先を摘んでいる。
ドレミー・スイートは夢の主。夢の世界は彼女の思うがままに姿形を変える……。そして私たちの体もまた、夢の一部。
「
「本質が無いですって? そんなことは無いわ。貴女の
「そうですか。では始めましょう」
興味なさげに言い放つ開始の宣言。それとともに夢の世界が跳ね上がった。地面なんて無いはずなのに何かが下からせり上がってフランを圧殺しようとしている。すかさず華麗な身のこなしで目視出来ない何かをフランは躱していく。合間に弾幕を放ってドレミーを攻撃するが、彼女に触れた瞬間に魔力が溶けてドレミーに吸い込まれている。
さらにはドレミーのスカートの中から触手のような黒い線が延び出て、回避行動を取っていて隙のできたフランを鞭打つ。小さな体が大きく仰け反って、床を転がる。
こんなの……どうやって戦えばいいのよ!?
くっ、フランだけに任せておけないわ! 何とか脱出して助太刀しないと!
役に立てるかは分からないけど、もしスキマ能力まで取り戻せているなら簡単なサポートを行うことができるはずだ。その為にはドレミーの呪印を解かないと…!
「くっそー邪魔だなぁ! これならどう? 禁弾『スターボウブレイク』ッ!!」
「ほう、幻想郷で流行りのスペルカード。……どれ、こんなものですかね?」
フランの号令とともにドレミーへと多数の弾幕か殺到する。しかしそれらは片っ端から相殺された。なんと、ドレミーがフランとまったく同じスペルカードを放ったのだ。まるで鏡合わせ。
ダメ、夢の世界じゃどう足掻いたってドレミーには勝てない! 霊夢の夢想天生のような奥義がないと太刀打ちすら……!
ドレミーが掬い上げるように手を掻くと、瞬間フランの服に何本かの切り傷が付けられた。これは、まさか南斗聖拳!?
「ドレミー……そんなことまで」
「この程度造作もない。あなた方は私の体の中で戦っているようなものなのですよ? この世界の全てが私の意志のままに行動する。いわば、今の斬撃は夢の世界そのものによるもの。躱しようがないでしょう。もっとも、通じていないようですがね」
「そんな斬撃ちっとも効かないわ。だってとっくの昔にそんな面倒臭い私なんて壊しちゃったんだから! もっとマシな攻撃をしなさい!」
南斗聖拳よりよっぽどヤバかった。しかしフランにはなんでも斬撃耐性なるものがあるそうで一安心ね。けどドレミーの言葉は暗に私はいつでも殺せるってことを証明している。絶望しかない。
てか呪印が全然解けない。
複雑すぎて意味不明! しかも無理やり解こうとすれば呪いが即座に全身へと回るように術式が構築されてるわ。この系統の解呪は結構得意なのにぃぃ!
「斬撃を飛ばすくらい私たち吸血鬼には朝飯前よ。それを見せてあげるわ!」
フランは宙へ浮かび、足元に魔法陣を展開する。そしてそれを足場にしてドレミーへと飛び掛った。その勢いたるや、足場にした魔法陣が爆発して粉々になるほどだ。
目視を振り切ったスピードによるクローは、まさにフランドールストレッチ! 紅の斬撃がドレミーを三等分に切り裂いた。
だけどそんなもので彼女が死ぬはずもなく、バラバラになった身体が紐状に分解されてフランへと雁字搦めに巻きついた。そして紐が夢の世界と結合し、フランを宙に浮かせ縫い止めた。
大の字に拘束されたフランはもう指一本すら動かせる状態ではない。なんとか逃れようと紐を引っ張っているけれど。
「ぐっぐぅ……! こんな、もの……!」
「無理ですよ。その紐はフェムトファイバーという設定で創り出してますからね。最強の強度という概念は覆せない」
まずいまずいまずいっ!
フランが私に掛けられているものよりも強力な拘束に捕まった。このままじゃフランが私を助けに来たが為に……!
「ドレミーそこまでよ! 勝敗は決まったわ!」
「……だから貴女はよく甘いと言われるんですよ、紫さん。我々にとって本当の無力化なんてものは存在しないのです。フェムトファイバーだけでは心許ない、というのが現実だ」
痛々しい縄の擦れる音が耳に障る。
「いぎ、ぎいゃあぁぁぁぁぁっっ!!」
高々とフランの口から絶叫が吐き出された。腕や足の付け根から血が滴る。腱を……無理やり引きちぎろうとしている。
フランの苦痛の叫び声が辛くて、いっそ耳を塞いでしまいたかった。だけど手足の動かない私ではそれが出来ない。私の為に死ぬほどの苦痛をフランが受けているって考えただけで涙が出てくる。
「止めなさい! 貴女の本来の目的は私なんでしょう? なんでも要件を聞きますわ……だからフランをこれ以上痛めつけるのは止めて…!」
「どうですかねぇ。紫さんは良くてもこの方は決して貴女を諦めないでしょう。動ける限り私を狙ってくる。なら動けなくする他ありません」
ドレミーが手を翳す。多分、紐の力をさらに高めるつもりなんだろう。
フランの叫び声がより一層大きくなり、やがて嫌な音が私の耳へと至る。ぶちり、と。
小さな手のひらが重力に従うままに夢の世界へと落ちる。赤黒い鮮血が白い世界を紅に染め上げていく。頭がクラクラした。
「まずは腕二本……次に足二本です。紫さんの懇願ですからね、情けで命までは取りません。しかし反抗の芽は確実に積んでおきます」
「ドレミー……!」
もうキレた。温厚な紫ちゃんも今回ばかりは本気で頭にきた。私の眼の前でなんてことをやらかしてくれたのか。
もういいわ。今から力ずくで呪印を引きちぎる! そしてドレミーを何としてでもボコボコにする! 勝てないだろうし、その前に呪いで死んでしまうかもしれない。だけどあの顔に一発張り手でも打ち込まないと気が済まないわ!
私の希望と癒しに何してくれてんだオラァァ!
いざ、腕に力を込めて───!
「く、ふぅ……あは、腕二本で足りるの?」
「……うん?」
ちぎり落とされたフランの腕が紅霧になる。そして腕の断面あたりに纏わりつくと徐々に腕の形に固まっていって───。
「腕の拘束さえ解ければ良かったわ。だって貴女の目はすでに私の手の中……」
「そうか。貴女は吸血鬼……この程度の怪我など簡単に完治させてしまうのですね」
「けど痛いわ。身体がなまじ頑丈なだけ強く引っ張ったでしょ? 私は痛いのがキライなの。腕をちぎられる痛みなんて、これまででも一回しか体験したことないわ」
……ああ、レミリアによる暗殺未遂事件か。あれは、嫌な事件だったね。
それにしても、フランはいったい何をする気なんだろう? 思わず呪印を引きちぎるの止めちゃったけど。
「これでも根に持つ方でね。この痛みは倍にして返してあげるっ! 右手に貴女──左手に背後」
フランの手のひらが大きく開かれる。やがて魔力の渦はだんだんと収束して。
「『キュッとして、ドカーン!』」
握り締めると同時にドレミーが破裂した。また同時にフェムトファイバーがゆっくりと下に落ちて、フランの拘束が解かれる。今のは……魔法かしら? 随分とすごい技を持ってるのね。
弾けたドレミーの飛散物は血肉ではなく墨汁のような黒い塊。見る限り間違いなく生きてるわ。夢の世界で彼女を殺すのは不可能なんだろうか。
と、今は取り敢えずフランだ。
私は地面に這い蹲ったまま彼女に話しかけた。
「大丈夫? 腕はくっ付いてるみたいだけど……」
「平気平気! こんくらいじゃ私を殺すことなんてできないわ。……けど千切られるのは流石に予想外だったかなぁ。あとで潰しとこっと」
「フランは強い子なのね。……それじゃあこんな世界からは脱出しましょうか。またいつドレミーが襲い掛かってくるか判らない」
「うん! っと、その前にそれ壊しておくね。鬱陶しいでしょ?」
フランが指差したのは私を拘束する呪い。彼女の言う通り、確かに頗る鬱陶しい。
ここは素直にお願いしてフランに切ってもらうことにした。フェムトなんちゃらとかいう紐から逃れたフランには朝飯前なんだろう。
「じゃあいくよ! キュッとして───」
「なんで貴女がその能力を使うの?」
不意に掛けられたその言葉にフランは動きを止めた。私はその聞き覚えのある声質に、向けた視線の先に居たその存在に唖然とした。
フランと瓜二つながら正統派吸血鬼の様相。溢れ出る底無しの妖気が空間を蜃気楼のように捻じ曲げる。彼女の紅き瞳が鋭く射抜くは己の妹。
レミリアその人が、殺気満々で私たちの目の前に爆誕したのだ。まさか、彼女も自力でこの世界に!? けどレミリアは博麗神社で今も萃香と戦っていたはず。──となれば。
「お、お姉様!? なんでここに……」
「フラン! 少し様子を見た方がいいわ。このタイミングでレミリアが現れるのはどうも不自然よ」
立ち尽くすフランに呼び掛けるが全く反応してくれない。私から背を向けてレミリアの方へ駆け寄っていく。
あのレミリアはドレミーの罠である確率が高い! 不用意に近づけば何があるか分からないわ!
レミリアが冷たく言い放つ。
「なあ、貴様。その能力の持ち主は私の唯一の妹、フランドール以外にはいない。なのになぜお前みたいな紛い物が使おうとしているの?」
「フランドールは私よ! 私なんだから別に能力を使ってても変じゃ───……っ!?」
パンッ、と乾いた音が響く。レミリアはフランの頬に平手打ちを入れていた。
ドレミーの猛攻にも何処吹く風と、腕を千切られながらもその後は平気な顔をしていたフランが、その表情を悲痛に曇らせた。
「その容姿は何? その声は何? まさか、我が妹のフリをして私を謀ろうとしているのかしら?」
「あ、え……そんな、私は……」
「お前なんかがフランなものかっ! 貴様は抜け殻の分際でフランを名乗っているに過ぎない。心なんてとっくの昔に壊してしまったくせにいけしゃあしゃあと。貴様は勝手に自分のことをフランドールと思い込んでいるだけだ!」
しまった……そういうこともできるのね!
おそらくドレミーが見せているのはフランの悪夢で、これはかつてレミリアから受けていたDVの一場面か! 頑丈なフランを籠絡させる為に精神攻撃に打って出たってわけね! ドレミー汚い!
「イヤっ……! わ、私は……!」
「黙れッ! 黙れ黙れェッ! 私の……私のフランをどこへやったああぁぁぁああぁッッ!!」
「フランっ! 避けなさい!!」
レミリアが手に槍を携えてフランへと振りかぶる。フランは回避行動の一端すら見せていない。心を折られかけてる。
そして槍はフランの頬を掠め、レミリアの体が静止した。レミリアの胸から手首が生え出ていた。小さな口から吐き出された血飛沫がフランの顔へ降りかかる。
「ぁ、う……フラ……ぐふっ」
手首が引き抜かれると同時にレミリアは膝から崩れ落ちる。己の血だまりをカーペットにして夢の世界へと沈んでいく。最後まで恨めしそうにフランを睨みつけながら。
レミリアを殺したのは、フランだった。フランとフランが相対する。
けどそれはフランじゃない。だってフランはそんな残忍な表情をするはずない。本物のフランは肩を震わせる。
「なんで……殺したの?」
「私が殺したいって思ったからに決まってるじゃない! お姉様のことを恨んでたんでしょう? 妬んでたんでしょう? 生まれてからずっとあいつは運命に愛され続けていたのに、私は冷たい土の下で生きているかも分からない生活を送ってきたものね!」
「そんなこと思ってなんかないわっ!」
「貴女は思ってないよね。だって私とは違うんだからさ。……壊しちゃったもんね」
「私は……私はっ!!」
「一級品の悪夢ですねぇ。どうやらかなり重い物を背負ってきたようで」
「っ! ドレミー……!」
「恐ろしい顔で睨みますね。おお、怖い怖い」
いつの間にか私の隣に立っていたドレミーを睨む。こんな残忍な事をしておいて飄々とした態度。それを見てると怒りが湧き上がってきた。
「あれは貴女が創り出した悪夢でしょう? よくもまあ、こんな事を顔色一つ変えずに出来るものね」
「ふふ、私が考えた事ではありませんからね。全てあの方の想像上の産物に過ぎません。私はそれを助長させてあげているだけです」
「……貴女もまた狂人ってわけね」
「狂っているのは私ではありません。この世界そのものが狂っているのです。夢の世界で平常を保とうなど、誰もできませんよ」
そうは言うけれど、私には貴女が格段狂っているようにしか見えない。
いつの日か、私は彼女の漠としての仕事の在り方に対する姿勢を褒めた。けどそれは私への印象を良くする為だけの嘘だろう。
ドレミーは、悪夢を楽しんでいる。
「そうそう、ネタばらしをすると貴女が
「これも、貴女のせい…ね」
全ての黒幕はドレミーだったわけか。
ここまでくるともう驚かない。彼女が何を言おうと、それは妖怪ドレミー・スイートの強大さを裏付けるものにしかならないから。
しかし疑問は増えるばかりだ。
「回りくどいわね。私を幼児化させる理由が皆無に思えるわ。貴女ほどの妖怪になれば真っ向から私を捕まえにやって来てもよかったんじゃないかしら?」
「……我々の考えも一枚岩ではないんですよねぇ。まあ、真相の一部を聞きたいのなら、月の都でサグメさんにでも聞いてくださいな」
全然納得ができない!
さらなる追求をしようと口を開きかけた時、誰かの嗚咽が聞こえた。ドレミーの笑みが一層深くなったような気がした。
「夢に重きを置き過ぎれば、
視界の隅ではフランが泣き崩れている。それを好機と見たのか偽物フランが先程のフランと同じように炎剣を召喚し、上段斬りに構えた。
私は項垂れた。もう諦めるしかなかった。最初から私たちは彼女の手のひらの上で転がされていたに過ぎない。夢の世界でドレミーに挑んだのがそもそもの間違いだったのだ。
「さて、終わらせちゃいましょうか。さっさと紫さんを月の都まで送り届けなければなりませんしね。──やりなさい」
「アハハ、私を壊した罰だよ! 死んじゃえ!」
ごめんね、フラン……!
──【はい、これにて夢は終わりっ!】
小さな拍手が聞こえる。
耳元で騒ついたのは活発で元気な可愛い声。すると、拍手が響くたびに白一色の夢の世界に、どんどん薔薇が咲いていく。赤、青、緑と、多彩なそれは、私もドレミーもフランも、全てを包み込む。まるで悪夢は覚めたかのように。
「な、なんだこれは!? 私の意志とは関係なく───いや、私以外の力が!」
ドレミーは咲いていく薔薇をなぎ払いながら呻く。どうやら予想外の出来事に狼狽しているようだ。 てか痛い! 薔薇の棘が痛いっ!
半泣きになりながらフランの方を見ると、彼方でも異変が起きていた。
「何が『偽物』……可笑しな事を」
「お、姉様……?」
フランの前に立つレミリアが偽物フランの炎剣を掴んでいた。今度のレミリアからも強大な妖力を感じるが、先程のような暴力的なものではない。力強く、温和な……。
「邪魔ね。失せなさい」
腕の凪で偽物フランは粉々に砕け散った。パラパラと、土塊が宙を舞う。
二人の姉妹の視線は見つめ合い、交錯する。周りの演出もあって幻想的だ。
「ああ私の愛しき妹フランドール! どうして私がお前を恨もうか! 我らが姉妹の美しき絆は永遠に不滅……そう我ら吸血鬼族の如く、決して滅びたりはしない。さあ、孤独な眠り姫。今こそ眠りから覚める時よ。私の口づけとともに何時もの夢へと貴女を誘───」
「……ちょっとタンマ。こいしー! これ貴女の仕業でしょ? 流石にお姉様の言うことが臭すぎるわ。もっと馬鹿っぽさを出してくれないと」
顔を近づけるレミリアに対し、フランは腕による×字ガード。気持ち悪そうに顔を顰めた。うん、私もなんか気持ち悪いなーって思ってたところよ。場の空気をぶち壊しにするって意味ではある種、本物のレミリアと遜色ないけどね。
するとレミリアは残念そうに夢の世界へと溶けていき、代わりに現れたのは……。
「えーこんなもんでしょー?」
「全然違うわよ!」
真っ黒な円の唾付き帽子を被り、身体に繋げた管の先にある閉じられた第三の目を腰の辺りに浮かべた、一人の少女。茫洋としたこの独特の雰囲気は、彼女以外にはいない。
古明地こいしちゃん。
まさに上げて落としてアゲアゲ! ついに運命の女神様のデレ期が降臨したようだ。そうか、フランが勝利の女神だとしたらこいしちゃんは逆転の女神だったか! この八雲紫、不覚にも涙した。
いつの間にかフランもいつもの調子を取り戻して、涙を拭うとこいしにいちゃもんをつけ始める。対してこいしはケラケラ笑う。
平和って、こういうのを言うんでしょうね。そうしみじみと思うのだった。
だけどある人は言った。「平和っていうのは戦争と戦争の間の期間に過ぎない」って。それは今、目の前にある平和にも当てはまるみたいで。
「なるほど、いつの間にかサグメさんが居なくなったのは貴女が原因ですか」
刈安色の煙が辺りに蔓延した途端、フランとこいしは紐でぐるぐる巻きにされていた。ふと胴のあたりを見てみると、私も椅子に紐で括り付けられていた。痣で残るじゃないの!
「全く……どこの妖怪かは知りませんが、私の世界で好き勝手やられるのは困りますね。早急なお引取りを願いましょうか」
ドレミー……絶対に私を逃してはくれないのね。貴女の職人気質は大いに評価していたわ。だけどそれがこんな形で私に牙を剥こうとは。
夢塊が蠢き、スカートから生え出た黒い線が視界を飛び交う。瞬間、闇から幾多もの黒色の槍が噴出され、それらは全てがこいしちゃんに殺到した。まさに斬撃の嵐。黒々とした塔がこいしちゃんの居た場所を埋め尽くした。
やがて黒い線は私たちに照準を変える。そして先程のように何十発もの黒色の槍を放った。ついにドレミーが私を殺しにかかったか。
フランは自分の上半身がフェムトファイバーによって拘束されているにも関わらず、槍を華麗にステップで回避。さらには私の服の襟を口で咥えてそのまま安全圏まで運んでくれている。絵面的にはネズミを捕食する猫って感じ。
もうなんていうか……土下座しても感謝しきれないわねこれ。一生の恩に値するわ。
「ごめんねフラン……役立たずで」
「
「言いたいことはなんとなく分かるけど降ろしてからでもいいのよ?」
フランの八重歯が服越しに刺さって痛いってのもある。確か吸血鬼に血を吸われちゃうと眷属になっちゃうんだっけ? ……ま、満更でもないなんて思ってなんかないんだからね!
「
「お荷物を抱えながら、ご苦労なことです」
ドレミーの指揮とともに黒い線が猛烈なスピードで視界を走る。またあの意味不な槍を発射するつもりなんだろう。身のこなしが凄く軽いフランでも私を口に咥えながらでは避け続けるのは多分かなり厳しい……! 私たちが袋のネズミであることに変わりは───。
「ごふっ……!?」
ドレミーが吐血した。
……ドレミーが吐血した。大事なことだから二回言ったわ。そして何処からともなくこいしちゃんがスキップしながらやって来て、ドレミーの服に薔薇を刺す。するとみるみるうちに棘が伸びて。
「──……馬鹿な。なぜ、動かないっ!?」
「哀れな獏さん♪ 縛っていたのは私じゃなくて貴女自身……うん、貴女は
「おかしい、なぜ貴女には夢がないのです? いや、それよりもまさか生身でここへ!? 悪夢に身を置きながら平然とするなんてそんな、狂ってる……!」
「夢気分〜」
…………えっと、いつの間にかドレミーがこいしちゃんが咲かせた薔薇によって捕獲されていた。何を言ってるのか分からないわよね? 私も目の前で何が起こっているのか全く分からないわ。
ドレミーからの力が無くなって黒色の槍が虚しく地に堕ち、そして朽ちる。フランは私を地面に置いた。結局椅子から立ち上がらないで終わっちゃったわね……。ま、まあ結果オーライってことか!
「もう、こいしったら遊びすぎだよ! どうせ私が泣いてるのが面白くてもっと観察してたかったから焦らしてたんでしょ!」
「ソンナコトナイヨ。取り敢えずフランちゃんとゆかりんの紐も獏さんにポイッ!」
ふと体が軽くなった。呪印は未だ健在だが、巻きついていたフェムトファイバーが消えている。どうやらフランも同じらしい。
代わりにドレミーの拘束はまた二つ増え、さらにはその縛り方もえげつないものへ。……これは、亀甲縛り!?
「屈辱です……!」
御愁傷様。
「くっそー貧乏くじ引いちゃったなー。気分を著しく損ねたわ」
「私は楽しかったー! ふふ、フランちゃんったらギャンギャン泣くんだから」
「うるさい。あーあ……紫とさとりがあんなに教えてくれたのに、私はまだみんな信じきれていなかったのね。やっぱ中途半端はキツい」
「そこの可愛いお二人さん? そろそろ私にも種明かしをお願いしてもいいかしら?」
お姉さん話に付いていけないから、そろそろ馬鹿にでも分かるくらい優しく状況を説明して欲しいなーって。
フランとこいし曰く、本当は夢を見ている私を見つけるだけの計画だったらしい。だが
さとりから何度もドレミーの危険性について聞かされてきた二人は、陽動と工作に別れて戦うことにしたという。フランが時間いっぱいドレミーを引きつけ、その間にこいしがこの夢の世界を掌握する。一歩間違えれば一網打尽という超危険な作戦。
……シスターズ、マジやばい。
何が非力な幼き少女よ私なんかよりクッソ強いじゃないの! けどまあ、あの姉たちから非力な妹が生まれるなんてよくよく考えれば違和感もいいとこだけどね!
もっとも彼女たちはその力を驕ることなく正しいことに使ってるみたいだし、今回はこうして私をドレミーの魔の手から救ってくれた。何処ぞの鬼畜姉どもとは大違いである。
もうね、彼女たちの存在は幻想郷唯一の希望と言っても過言ではないわ。
「だいたい話はわかったわ。それじゃあさっさとこんなところ脱出しちゃいましょう。……えっと、ドレミーはどうするの?」
「うちで飼う! ペットが増えて嬉しいなぁ!」
「そ、そう……」
ドレミーが何か言おうとしていたが、こいしに猿轡を嵌められてしまったため呻くことしかできていない。ドレミーかわいそう。
「さて……救われてばかりで悪いのだけど、この呪いどうにかならないかしら?」
「あー簡単簡単! 私が『キュッ』とすれば終わりだから。それじゃじっとしててね……」
「フランちゃんストップ!」
こいしちゃんがフランの耳元で何やら囁いている。するとフランの表情がどんどん険しくなっていく。
なぁに隠し事? 紫お姉さんにも教えてちょうだいな。
「そっか……そういえばチャンスなんだよね、これって。邪魔者が誰も居ない」
「うん! 私たちの思いのまま!」
「……んん?」
狂気に揺らめくルベライトと、被られた帽子から漏れる深緑の光が不気味に私を射抜く。何故か身震いがした。い、今更になって裏切りとかないよね? 春雪異変の時から裏切り恐怖症なのよ私。
考える二人。まるで何かと何かを天秤にかけているようで、蚊帳の外である私にはとても不気味なものに見えるわ。しかしやがては大きなため息とともにそれらは霧散した。萎縮していた空気が元に戻るのを感じる。
「私は正攻法でいくわ。さすがにこれは卑怯なんじゃないかって思うの」
「まじめー。フランちゃんがやらないなら私もやんない! それっ!」
こいしちゃんが私を指差し、そのまま横に線を引くように凪ぐ。すると私を蝕んでいた呪印は儚い破裂音とともに消滅した。
座りすぎてじんじんするお尻を持ち上げて、軽く背を伸ばす。ポキポキという音が耳と体に心地よい。山麓で大きく深呼吸したような良い気分だ。
「ふぅ……ありがとうこいしちゃん。フランも……貴女達が居なかったらどうなっていたことか。感謝してもしきれないわ」
「お礼はいいからさ、幻想郷に戻ったらちゃんと会いに来てよね。地下室でちゃんと待ってるから」
「ええ必ず」
可愛いなぁもう。
今度紅魔館に行った時はなんかお土産を持って行きましょう。そうねぇ……年代物のブランドワインなんてどうかしら? フランってインテリ淑女だからね。
……ああレミリアには市販の粗茶パックでも渡しておけば良いでしょ。変に凝ったもの渡してもメイドの検問次第ではロクなことにならないだろうし。
「おっと私の方も忘れてもらっちゃ困るよゆかりん! 私だって幻想郷を駆けずり回ってゆかりんを探してたんだから。それにお姉ちゃんったらゆかりんが来なくなってすっごくやきもきしてるんだよ! ペットのみんなも待ってるからさ、うちにも早く遊びに来てね! ねー獏ちゃん」
「んむぅー!」
「え、えぇ……」
何それ怖い。
やきもき……つまりイライラしてる? 私を言葉責めのサンドバックにできなくてストレス発散に困ってるってこと? やはり鬼か!
ペットの連中もロクなもんじゃないわ。私が地霊殿に来ただけで「帰れ」とか「食ったろか」って言わんばかりの敵意を飛ばしてくるんだもの。まさに悪魔の巣窟……旧地獄にあるんだからあながち間違いでもないのがなんとも。
あとドレミーどんまい。
「それじゃあこの夢は壊しちゃうけど、いい? やることがあるなら待つけど」
「そうね……そういえば私が着ていた服はどこにいったのかしら? 大事なものもあったんだけど……」
具体的に言うとアリスのスカーフね。霖之助さん作のロリドレスも失うには勿体無い。
「ふむふむ……これかな?」
こいしちゃんが念じると、空気が圧縮されて透明な固体になる。そして徐々に色が塗られてやがてはドレスとスカーフになった。
「はい完成! 他にもなにか出したいものある?」
「……なんでも出せるの?」
「うん。なんたって夢の世界だから!」
もうなんでもありなのね。まあ夢ならしょうがないか。夢だもんね。
それじゃあ……何時ものドレスと日傘を作って貰おうかしら。完全に『いつもの八雲紫』になっとかないと萃香になんて言われるか分からない。また「なに紫のマネしてんだゴルルァ!」とかいう展開になったらほんと困る。
今着ている服も別に嫌いではないけどね。ただこんな服今まで一回も着たことないから私を知る人からすればちょいとばかし不自然に思うかもしれない。
────というわけで、こいしちゃんの出してくれたドレスと日傘はいつも私が使っているそれそのものだった。クオリティ高すぎ! こんな細部までよく再現できたわね。
取り敢えず今着ている変な服とロリドレス、アリスのスカーフはスキマに仕舞った。無事にスキマが使えて一安心である。
お着替えシーンを見られるのはちょっとばかし恥ずかしかったけど、フランもこいしも……ついでにドレミーも女の子だから全然問題はない。
これにて八雲紫完全復活よ!
「よーしそれじゃこの夢は壊しちゃうね。こいしはその獏と夢に残るんだっけ?」
「うん。私は勝手に帰れるから大丈夫だよ! フランちゃんとゆかりんは寝た場所からのスタートになるから気をつけて! それじゃあね!」
「ありがとうこいしちゃん。うん……まあ、地霊殿で会いましょうね」
地霊殿かぁ。せっかく助かったのに死亡フラグがびんびんな件について。
あとドレミーの恨めしげな視線が辛い。
「さあ夢を壊すわよ! 夢を抜けて幻想へ──! 『キュッとして、ドカーン』!」
──────────
夢に起きて夢から覚める───なんとも稀有な体験をしたわ。もう懲り懲りだけど。
そして目を開けた瞬間、私の目に飛び込んできたのは大量の砂煙だった。あまりに不意な出来事に目を瞑って思いっきり咳き込んだ。これは聞いてないわこいしちゃん。
「ケホッケホッ……やけに、埃っぽいわね。もしかしてまだ戦闘中なのかしら?」
おそるおそる目を開けてみると、ちょうど目の前にいた霊夢と目があった。んでもって睨まれた。……解せないわ!
藍も橙も幽々子も、みんなして私を睨んで……「場違い乙」みたいな。ていうか笑顔が不気味。はっきり言って怖い。あれかな、勝手に死んだと思ってた奴が生きてたから次こそ確実に殺す算段でも考えてるのかな。
「紫……久しぶり」
「……萃香。しばらくぶり、ね」
さて、真打の萃香である。
様子を見るに戦いは終わったみたいね。幻想郷が無事ってことは、萃香の負けか。誰が萃香に勝ったんだろう?
なんにせよ無事に異変が集結してくれて良かったわ。あとは私が萃香に謝れば全て解決ね!
「──……約束は…」
「紫のバカあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
──ポキッ
はぐっ!?
す、萃香が私にタックルを、打ちかましてくれた……!? あまりの衝撃に、声すら出ない。やばい、これは腰イッたんじゃ……。
だがこれでも萃香はまだ私を痛めつけ足らないのか、非情な追い討ちの
霊夢、藍たしゅけて!
霊夢は煩わしそうに私から目を逸らした。藍は嬉しそうに口の端を上げた。
……つまり見捨てられた。
「なんで、なんで来てくれなかったんだよぅ! ずっと待ってたんだからなぁぁぁぁっ!」
「ご、ごめ……許してごめんなさ──」
「許すわけないだろぉぉ!!」
──コキコキ…
あっあぁー!!
死にます死にます! やめてとめて助けて……腰の断末魔が産声を上げてる!
無理やり引き剥がそうとするものの、私の力で萃香を引き離すことなど出来るはずもなく、もはや交渉による説得しか私の腰を生かす手段はなかった。
「お前いったい何処で何してたんだよぉぉ! 私の気も知らないでぇぇ!」
「か、片時も貴女の事を忘れたことはなかったわ。本当、嘘ついてないから──」
「うそつけぇぇぇ!!」
──ゴキィ!
あっ、死んだ。
「萃、香……」
目の前が真っ白になるって、こういうことなのね。何も考えれなくなって体が脱力する。
次に目を覚ました時、私は一体どこの世界にいるんだろう?
現世? あの世? 夢の世界?
ロクな選択肢がないことに涙した。
なおその後、腰の粉砕骨折によって懐かしき八雲邸にて暫く寝たきりになることに。その間に藍から色々な話を聞かされて自己嫌悪したりもしたが……これはまた別の機会に。
取り敢えず藍には「夢の主との戦闘によって
なお、これは後から聞いた話なんだけど、異変後の数日の間だけ幻想郷中では夢遊病が蔓延したらしい。
……まあ、大変ね(他人事)
こいフラが参戦&役割分担
ドレミーが舐めプ
ゆかりんが邪魔をしない
どれか一つでもなかったらまず勝てなかったらしい。てか夢の世界でどうやってドレミーさんに勝てっていうんだよちくしょう
ていうかこれからあの異変までもう一月ぐらいしかない件について。神主の仕事スピードが速すぎたのが悪いんだねいいぞもっとやれ!
ネタバレ、ドレミーさんはいい獏
ネタバレ、サグメ様はいい天邪鬼
ネタバレ、ゆかりんは無能
ネタバレ、ゆかりんは有能