幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ……いや割とマジで   作:とるびす

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夢が現に変わる日

 

 夜の浜辺に独り佇み、目眩(めくるめ)く毎日を思い起こす。

 私には勿体無い宝石のような日々。

 

 寄せては返し、人も物も攫っていく黒々とした波を眺めていると、忘れていた恐怖が呼び覚まされる。ある意味での自戒だ。

 恐怖によって自身を見つめ直し、かけがえの無い毎日への未練を募らせておく。

 

 こうして楽しい記憶で頭を埋め尽くしておかないと、気が狂ってしまいそうで怖いのだ。

 沈思黙考に励めば、きっと失われた記憶が蘇るだろう。私を慕ってくれた者達に対する酷い仕打ちや、自暴自棄に塗れた己、その全てが。

 

 その時、私はまた完成するのだ。

 しかしそれに拘る意味は最早存在しない。

 

 

 ……羨ましかった。

 

 因果から解き放たれ、心晴れやかに艶やかな海へと消えていった蓮子とメリーが。

 存在しない己を奮い立たせ、最後まで役目を全うし、そして消えていったAIBOが。

 

 みんな私よりも先に逝ってしまった。

 自分の生まれた意味を理解して、満足しながら私の下から離れていったあの人達が妬ましくて堪らない。

 

 分かっている。私はまだ『意味』を見つけられていないから、終わる事ができても決して満足できない。

 

 そして、逃げを選択した私には、もう二度とその時が巡ってくる事はないのだろう。

 今までと何も変わらない。

 

 思い出さなければ私は世界一の幸福者だ。

 

 

 

 

 *◆*

 

 

 

 

「いやー皆様お待たせしてごめんなさいね。これには諸々の事情がございまして」

「……もうこれで五回連続の遅刻ですよ。あんまりこういう事は言いたくないんですけど、貴女最近弛んでるじゃないですか?」

「お恥ずかしい限りですわ」

 

 我らが筆頭賢者から叱られるのもこれで何度目か。申し訳なさ全開に頭を下げつつ素早く着席した。

 大体3分くらいの遅刻かしら。うん、誤差ね! 

 最近寝る前に色々考えるのが趣味になってるんだけど、おかげで寝坊癖が付いてしまったのだ。藍も起こしてくれないし! 

 

 周囲の方々から飛んでくる呆れ混じりの視線が痛い。あとついでにお腹も痛くなってきたんだけど、流石にいま離席するのは不味いわよねぇ。

 

「それでは全員揃いましたので、只今より賢者定例会議を開始しましょう。進行は不肖ながら私、茨木華扇が務めさせていただきます」

「そんな仰々しく宣言しなくていいよ。どうせ今日も話すことなんか無いんだからさ」

「うんうん賛成! もっと気楽にやろう。あと山如さんから美味しいハーブティー貰ってるからみんな飲んでみてよ。気分が良くなるよ」

「あらいい香り。いただきますわ」

「最近人里で流行ってる人気の茶葉ですね。私も愛飲してます」

 

 厳かも糞もないはたての一言で会議は事実上終わりを迎えた。

 

「はぁ……由緒正しき格式高い会議の筈が、いつからお茶飲み同好会になったんだか」

「まあギスギスするよりかはマシでしょう?」

「それは間違いないけどね」

 

 半ば観念したように呟いた華扇。そんな彼女を労うつもりでお茶を汲んであげた。

 大変でしょ? 筆頭賢者。

 

 そうそう申し遅れたけど、遂に私、賢者の纏め役を辞退できましたの! 後釜は華扇ね! 

 つまるところ今の私は平賢者ですわ。

 

 ほら、賢者の中で異変を起こさなかったのって華扇だけだから。私がやらかした後は、必然的に彼女が中心的な立ち位置になっちゃったのよね。阿求は寿命が短いし。

 可哀想だけど適任だと思うから頑張ってほしい。

 

 それに私の時と比べたら全然マシだろうしね。まさしく天と地ほどの差があると思う。

 

 ここ数回の集会が弛んでいるといえばそれまでだが、見方を変えれば、話し合うべき問題がそんなに起きていないという事。平和な幻想郷を維持できている証よね。

 厄介ごとの火種はオッキーナが全部消化しちゃったし、()()()()()()()()()()さえどうにかしてしまえば平穏そのものである。ここ一年ずっとこんな感じ。

 

 そんな幻想郷の雰囲気に影響されてか、会議も非常にほのぼのしているのだ。

 

 いつからか示威行為の最たる例だった護衛の人選も消滅するか適当になってる。

 そもそも今って賢者が私含めて5人しか居ないしね。今後もしかしたらメンバーが増えるかもしれないけど。

 いっそのこと勢力の長を全員招聘したらどうかしら? 

 いや、でもそうしたらレミリアとかさとりが此処に来るのか。やっぱり無しで。

 

 ちなみにオッキーナは療養休暇中である。みんなから復帰をあまり望まれてないっぽいのは内緒だ。

 混乱と諍いの元だからね。仕方ないね(他人事)

 

「では今日も議題無し、という事で自由解散にしましょうか。どうぞお好きな時に退室してください」

「「「「異議なし」」」」

 

 そして当然の如く満場一致である。みんな惰性で集まってるだけなのよね多分。

 はたては会議のたびに山の妖怪が作った特産品を楽しそうに振る舞うだけだし、てゐはタダ飯を食いに来てるだけだと思う。

 華扇と阿求は真面目で偉いわー。

 

 私? 賢者とかいうカッコいい称号を保持するためだけの暇潰しですわ! あと藍に対する点数稼ぎね。

 あんまりサボってばっかいると流石に心配されるから忙しさは演出しておかないと。

 

 

 

 ……よし、計画通りですわ。

 会議を早めに切り上げた事で私のスケジュールに空白が生まれた。八雲家への体裁を保ちつつ、私が好き勝手できる時間──即ちエンペラータイム! 

 

 満を辞して、我が大望を成し遂げるだけの時間を確保できたのだ! 

 

「では、私はそろそろお暇させていただきますわ。ちょっと用事がございまして」

「遅刻してきたくせに今度は一番早く帰るのか。付き合いの悪い奴だね。もしかして、まーた何か良からぬ事でも企んでるんじゃないの?」

「ふふ、幻想郷を敵に回すのはもう懲り懲りですわ。もう二度と貴女達の前に立ちはだかる事はないから安心してくださいな」

 

 てゐからの余計な茶々を躱しつつ、貴女達に逆らうつもりは毛頭無いよと伝えておく。

 やっぱりまだ警戒されてるっぽいのよねぇ。あの異変からもう一年経つのに。

 

 まあ、あの時は私も幻想郷のみんなをブチ殺すつもりで戦ってたんだろうし、弁解のしようがないわ。

 へへ、どうもごめんなさいねてへぺろ。

 あと永琳を匿ってたこの戦犯ウ詐欺には言われたくないわね……! 

 

「んー? ちょっと待って紫。たったいま哨戒中の椛から報告があったんだけどね」

「何も聞こえません」

「あ、聞こえなかった? すぅぅ……いまぁ! 椛からぁ! 連絡がきてぇ! 

「聞こえました。音量下げて貰える?」

 

 誤魔化してさっさと退室しようと思ったけどダメだった。

 はたてには冗談が通じないのだ。

 

「妖怪の山の麓で反乱だってさ」

「そう。首謀者は?」

「正邪」

「えぇ……今年に入って何度目ですか?」

「六か七、だったような気がする」

 

 これが例の散発的に発生する問題ね。

 元賢者であり、幻想郷に仇なす巨悪(自称)の正邪ちゃん。私が異変を起こしてる最中に一度針妙丸や草の根妖怪達の手で捕まったらしいんだけど、隙を見て脱走。

 今もこうしてレジスタンス活動を続けているのだ。

 

 勿論その都度霊夢や魔理沙、時々冷血メイドを派遣してるんだけど、仕留める前に逃げられちゃうから、みんな嫌気が差しちゃったらしいのよね。

 一々異変認定するのも面倒臭いし。

 

 なので彼女に関しては私達賢者の方で対処するのが暗黙の了解となっている。

 前回はてゐがうどん何某(オプション純狐さん)と一緒に鎮圧してくれた。なら今度は私の番になるかしら? 

 

「彼女もいい加減懲りないですね。きっぱり不可能だと諦めて欲しいものですが」

「あの天邪鬼に潔い決断は無理でしょ。今回は誰と組んでの反乱か知らないけど、さっさとぶっ潰してしまえばいいよ。死ぬまで抗わせて、見せしめにすればいい」

「考えが物騒ですわ。私は逆に彼女を賢者に改めて迎え入れてあげれば良いんじゃないかと思うけどね。あの子機転が利くし、政治も上手でしょ?」

「流石にそれはどうかと思います。ていうか紫さん、それに乗じてまた賢者を辞めたいとか言い出すつもりじゃないでしょうね?」

 

 阿求のマジトーン。正直なところ図星も図星であったため曖昧に笑うことしかできなかった。他皆様も「まだ言ってんのかコイツ」みたいな目で見ている。

 まあダメ元で言ってみただけですし。

 

「では信頼を取り戻すために、今回の反乱は私が対処いたしましょう。ちょうど暇を持て余している天人も居ることですしね」

「えー天子にやらせるのー? うーん……でも紫自身にやらせるよりはいっか」

(てゐ)は別に構わないよ。妖怪の山がどうなろうが知ったこっちゃないし」

 

 はたてが不安になるのも分かる。何せ彼女は前科持ちですし、何なら一番間近で天衣無縫というか、傍若無人なところを見てますものね。

 でもまあ大丈夫でしょ。私の起こした異変が力で捩じ伏せられた事で天子さんも世の無情を感じ取ったらしく、ここ最近は大人しくなってるから。

 

 ここらで天子さんの株を爆上げしておいて、後に賢者に推薦すれば引き継ぎもスムーズというもの。賢者比那名居天子の誕生と共に八雲紫はクールに去るわ。

 私はまだ辞職を諦めてないわよ! また何かどでかい異変が起きる前に辞めてみせるんだから! 

 

 

 

 

 さて、賢者会議からのトンズラに成功し、正邪の相手を天子さんに押し付けた事で、色々あったが私の計画は遂に達成された。

 ふふ……この日が来るのを今か今かと待ち侘びていたわ。

 

 我が大望、成就の時! 

 幻想郷の民よ。恐れ慄き、心を震わせるがよい! 

 

 

プリズムリバーマジたまんねぇですわ!!! 

 

 

 そう、今日は人里の特設スタジアムでプリズムリバー楽団結成50周年アニバーサリーコンサートの前夜祭が開かれる超絶めでたい日なのである。

 リリカを愛でる会の名誉会員である私が行かないわけにはいかないでしょうよ! 

 ちなみに本祭と後夜祭も行く気満々ですわ。

 

 メル姉(メルラン)が引っ張るアップテンポに合わせてサイリウムをブンブン振り回す。

 身バレ防止の為にサングラスとマスクをしてるからすぐ息が上がっちゃうけど、これは一心不乱に愛を伝えるための必要経費。仕方がない。

 ハァハァ、リリカ愛してる。

 

 いやー前からプリズムリバー三姉妹の演奏は好きだったんだけど、異変の後から趣味嗜好が変わったのか大ファンになっちゃったのよね。

 アップテンポながらニヒルな死生観のある曲が良いのよこれが。

 

 しかしまあ前夜祭という事で、新曲の披露などはなく「明日、私達から重大発表があります!」との意味深な言葉と共にライブは早々に幕を閉じてしまった。

 名残惜しそうなファンも多かったが、私は十分堪能できたわ。明日も楽しみね! 

 

 次は握手会という事で、ルナ姉(ルナサ)の列に並びながらライブの素晴らしさに想いを馳せる。

 プリズムリバーはやっぱり一生推せるわ。

 

 ちなみに握手会の参加には、プリズムリバーグッズを三点購入する事で手に入る握手券が必要になる。そして私はこれを四枚持っている! 財力に物を言わせてやりましたの。

 なんか外の世界で時々見る悪どい商売のような気がしない事もない。噂じゃライブの運営にマミさんが関わってるって話も聞くしね。

 

「それにしても重大発表ねぇ。さっぱり予想がつかないわ。悪い内容じゃないとは思うけど、万が一を考えると夜も眠れないわ……!」

 

「ふっ、アンタも気になるか。分かるよ、私もさっきからその事で頭がグルグルだ」

 

 ふと、私の真後ろに並んでいた見ず知らずの人から声を掛けられた。

 声音からして女の子。

 肩口で切り揃えた白髪と、私と同じく身分を隠すためのサングラスが印象的だ。『ルナサ命』とプリントされたTシャツを見るに誰推しかは明白か。

 

 何も珍しい事ではない。メル姉の演奏でハイになったファン達が勢いに任せて交友を深めていくのはよくある話。

 彼女達の演奏の影響をあまり受けない私にはよく分からない感覚だけど。

 

「ええ。果たしてどのような内容なのでしょうね? 新曲かレコードの発表、幻想郷ツアーの告知、外の世界進出。この辺りが妥当かしら」

「大穴だが、新メンバーの紹介。もしくはプリズムリバー楽団の解散もあり得るかも」

「そ、そんなまさか! いやしかし完全に否定できる根拠はない……!」

「あまり考えたくはないがな」

 

 プリズムリバー推しの中では有名な話だが、三姉妹の中で主に音楽性での意見の食い違いが起きているらしい。特に顕著なのが私の最推しリリカ。

 一時はソロ活動に走ったとも聞く。

 

 もし解散となれば、それは悪夢だわ! 全てをやり直さなければ……(漆黒の意思)

 そんな私の不安な表情をマスク越しでも感じ取ったのだろう。同志は笑い飛ばした。

 

「心構えはとうの昔にできている筈だ。どんな内容でも私達はプリズムリバー三姉妹の新たなる門出を祝福するだけ。そうだろ?」

「……ふふ、その通りでした。ありがとうございます。ファンとして大切な心を取り戻しましたわ。お礼と言っては何ですが、コレを差し上げますわ」

 

 布教用に買い揃えていたルナサの帽子をあしらったキーホルダーを渡した。

 

「ありがとよ。ところでお前、推しは?」

「リリカですわ」

「ふっ……赤いいよな」

「いい……」

 

 ファン同士多くは語らないのだ。

 

「アンタとは気が合うな。やはりプリズムリバーを推す者に悪人はいない」

「私も心の底からそう思うわ。貴女のようなファンの鑑に出会う事ができて光栄です」

 

 握手を交わした。

 これ以上の言葉は必要ない。

 

 同じ偶像(アイドル)を崇拝する者同士、乙女と乙女の無言の唄があった。

 

 とまあね、これで話が終わっていれば双方気持ちの良いまま別れてたと思うんだけど、予想だにしない人物の登場で事態は急変を告げる。

 

「あ! やっと見つけた。もこたんったら、はしゃいですぐどっか行っちゃうんだから……。ってあれ? ゆかりんじゃん何してるの?」

 

「あら菫子久しぶり。背が伸びたわねー、今は小学何年生だったかしら」

「六年生!」

「ごめんなさいね中々お祝いに行けなくて。前の一件があってからあんまり貴女とは接触しちゃいけないことになってるから……」

「ははは、ゆかりん滅茶苦茶怖かったもん。今のゆかりんがあの時と違うのは何となく分かるから私は全然気にならないんだけどね」

「折を見てまた会いに行きますわ。それじゃあね」

 

「ちょっと待てや」

 

 糞ッ! 触れないようにしてたのに! 

 スキマ移動を中止して嫌々振り向くと、そこにはサングラスを投げ捨て、凄まじい形相で此方を睨む妹紅の姿があった。

 そういえばプリズムリバーの熱烈ファンでしたわね。一体化してた時に共通の趣味が判明してちょっとだけ吃驚したのを覚えている。

 

 何というか、お元気そうでなにより。

 

「喧嘩はダメだよもこたん」

「しねェよ。ちょっと話があるだけだ」

「ひぇ……」

「今日ここで話した事は忘れろ。いいな?」

「そ、そうしたい気持ちは山々なんだけど、ほら私の知り合いって心読める奴がいるから、いくら口が固くても限界が──ゔぉえ゛え゛!」

「ならテメェの頭捻り潰してやるよ」

「コラもこたん!」

 

 菫子が慌てて止めてくれたおかげで、私の首は無事解放された。

 もし彼女が居なかったら本気で殺されていたかもしれない。宇佐見一族には頭が上がらないわね。

 

 断髪してまで隠れて通ってるみたいだから、きっと輝夜や慧音達には知られたくない趣味なのだろう。

 変に隠そうとしない方がいいと思うんだけどね。恥ずかしがってたり目立っている人にこそ文屋は喜んで寄ってくるものだ。

 

 まあ私が言えた立場ではないんだけど! 

 

「此処に居る事は私も身内に知られたくない。つまり貴女と私は一連托生ですわ。その一点を以って私は貴女の名誉を守る事を誓いましょう」

「……分かった。話が広まったらまず一番にお前を消しに行くからな」

「これで仲直りだね!」

 

 違う、違うのよ菫子。これは脅しなの。

 この引き攣った笑顔と、殺気混じりの獰猛な笑顔が何よりの証拠ですわ。

 

 でも前の妹紅なら問答無用で燃やしてきた筈だから、まだ手心がある方かもしれない。前が極端に酷すぎただけとも言うんだけど! 

 どっちが悪いかと聞かれれば、まあ7:3……いや、6:4で私かしら? 色々と悲しい事件だったわね。

 

「言っておくが今回の件とは別件で、まだアンタの事を完全に信用した訳じゃないぜ。幻想郷のみんながお前を許したとしても、私だけは目を光らせておくつもりだ」

「……そうね。そうしていただけると私も助かります。貴女には昔から損な役割ばかり押し付けてしまって、申し訳なく思いますわ」

「気に入らないのは確かだけどな、それでも私があの時助けたメリーが未来でちゃんと生きてるんなら、まだ救いようがあると割り切るよ」

 

 ふと、言葉が胸の奥からこみ上げた。

 

「私とは違う、()()八雲紫が言ってたわ。貴女に、ありがとうって」

「……は?」

「正直私もよく分からなかったけど、多分メリーを想い続けてくれた事に対してじゃないかしら」

 

 伝える機会は異変の前にも、況してや異変の最中にも沢山あった。でも、全部終わってからじゃないと言っちゃいけない気がしたのだ。

 

 秘封倶楽部の願いが『終わり』と『これから』であったなら、八雲紫の願いもまた『これから』なのだと思う。勝手に推測した。

 八雲紫は私の他に、未来を生きるメリーにも特別な想いを寄せていた筈だ。自分の命を投げ打ってまで切り拓かせた未来なのだから。

 

 今を生きる者の中でメリーを知るのは最早妹紅だけ。彼女の記憶と体験が確かな導となり、秘封倶楽部の未来を繋ぐのでしょう。

 

 妹紅は「そうかい」とだけ呟き、そして中指を立てながら素っ気なく告げる。

 

「くたばれ、とでも伝えておいてくれ」

「いや、もうくたばってるので……」

「それでもだよ」

「あっ、待ってよもこたん! じゃーねゆかりんっ。また今度!」

 

 そう言うと、妹紅は菫子を連れて列を進んでいった。さりげなく順番抜かしされたわね。

 いま思えばあの2人の出会いも運命的なものがあったのかもしれない。妹紅が見届け、そして妹紅が守った命が後の世に奇跡の出会いを作り出すのだから。

 

 まあそれはそうとして、この後しこたま握手した。リリカ愛してる。

 

 

 これは余談だが、後日、プリズムリバー楽団改め『プリズムリバー ウィズH』のライブ会場に現れた最凶最悪の姉妹を相手に、妹紅と即席タッグを組んで、通りすがりの虹川親衛隊として戦う羽目になるのは別の話である。

 

 どうしてこうなった。

 

 

 

 *◆*

 

 

 

「紫様、そろそろ橙が到着する頃かと」

「うんちょっと待っててね。私もキリが良いところまで終わらせちゃうから」

「何をされているのですか?」

「んー……式神の練習」

 

 スキマ空間に改めて再築されたニュー八雲邸。その私室にて積み重なった書物を前にうんうん唸っていると、不審に思ったのだろう藍が声をかけてくれた。

 記憶に残る動作と手順を繰り返し、覚えている限りの術式を紙に書き述べていく。

 

「式神、でございますか。新たな(しもべ)を使役なさる予定なのですね」

「その準備でもあるけど、今はまだ私自身の訓練段階ですわ。もっと高度な術式を組めるようにね」

 

 一瞬の全盛期、その際に掴んだこの世の理。式神操作の核心。それを何とか僅かにでも再現できないか試行錯誤しているのだ。

 しかしやはり中々上手くはいかないもので、こういう頭を使う単調作業はやっぱり苦手ですわー。

 

 だがあの時の力を模倣できたなら、万が一の時に己が手だけで戦えるようになるかもしれない。何より歪な形であっても、私の中に留まっている諏訪子、こいし、ぬえの心を現世に呼び戻す事が能うかもしれない。

 正直実現の見込みは限りなく薄いのだけど、また幻想郷を相手にして暴れるよりかは全然可能性があるわ。

 

 さとりや神奈子は「負い目にしなくていい」って言ってくれるんだけど、やっぱり諦めきれない。

 何百年、何千年かかろうが成し遂げてみせるわ。

 

 ちなみにヘカちゃんはいつの間にか私の中から居なくなってたわ。もしかすると既に復活しているのか、もしくは地獄で復活の機会を虎視眈々と狙っているのかもね。

 復讐に来られたらその時こそ年貢の納め時だと思って諦めるしかないかも。今のうちに純狐さんに媚を売っておきましょう! 

 

「紫様。失礼を承知で申し上げたき事が」

「あらなぁに?」

「その、紫様が書かれている、何と言いますか、私如きでは理解できない独創的な術式では、式神の操作は少々難儀な事になるのが予想されるかと……」

「……下手くそってことね」

「……」

 

 凄い難しそうな顔をしながらも否定してこないのは藍の優しさである。私も涙ちょちょ切れですわ。

 一流の式神使いである藍から見れば、私の書いた術式なんて便所裏の落書きのようなものだろう。ほ、本格的な練習を始めたのは今日が初めてだから仕方ないでしょ!? 

 

 ほら、私が今まで書いた術式なんて藍に『この子は八雲の式です』っていう名札代わりの物を用意したぐらいですし。他は全部藍が自前で用意してくれたのだ。

 私は主人という名の飾りですわ! えっへん。

 

「紫様のお考えと狙いは分かります。古明地こいし達のためなのでしょう?」

「当然、それもあるわ」

「では私が術式を研究、解明し、紫様の式神としてこの世に復活させましょう。なので紫様は気に病まれず、どうかお休みになられてください」

「ダメよ」

 

 非常にありがたい申し出だけど、私にだって譲れないものはある。

 甘い誘惑に靡きまくったのは内緒ね。

 

「彼女達を救うのは今の八雲紫たる私が務め。私でなければならないの」

「……差し出がましい言葉である事は重々承知しているつもりですが、それでもやはり心配なのです。紫様は、すぐ無理をなさるので」

「貴女ほどじゃないわ」

 

 軽く笑い飛ばしてみたんだけど、藍は物憂げな瞳で私に最大限の不安を奥床しく伝えてくれる。

 

 きっと、私がまたおかしくなってしまう事を恐れているんでしょうね。

 一年前の愚かな決断に対しても、藍は健気に私と心中する道を選んでくれた。でも内心では私を止めたい気持ちでいっぱいだったのだから。

 

 この子にそんな思いは二度として欲しくない。

 

「それにね、ずっと前に約束したでしょう?」

「……」

「貴女にとっての『理想の八雲紫』を目指すって。なら式神操作で泣き言を言ってる場合じゃないわ」

 

 頭では分かってる。どんなに頑張ったって、私じゃ彼女にはなれない。

 でもやはり、あの輝きに近付く為の歩みを続ける事は私にとって大きな意味があると思うし、何よりも藍への贖罪になってくれるかもしれない。

 

「大丈夫よ、もう無茶はしないから」

「……」

「今はね、少しでも長く貴女達と生きていきたいと思ってるわ。嘘じゃない心の底からの本音」

 

 全てを投げ捨ててでも前に進もうとしていたあの時とは、何もかもが違う。

 今の私ではもう、家族を、幻想郷を、手放す事はできない。掌に残された沢山の幸せを必死に包み込んで、絶対に溢さないよう逃げ続ける事しか。

 

「大丈夫、大丈夫よ。もう二度と居なくならないから」

「……はい」

「よしよし。いい子ね」

 

 屈んだまま上目遣いで此方を見る藍へと微笑み、頬を擦り合わせながら頭を撫でてあげる。愛しい子供やペットにしてあげるようなスキンシップ。

 

 溢れ出る慈愛で甲斐甲斐しくお世話をしてくれたりとママ味が日々増していくと同時に、甘えん坊のように直接的な愛情を求めてくるようになった最近の藍。

 正直私も色々と参ってしまいそうよ。

 妙齢の美女が見せる子供仕草からしか得られない栄養がある──! 

 

 と、藍は満足したのか柔らかな笑みを浮かべると、とある提案を投げ掛ける。

 

「よろしければ、私の持つ技を紫様に伝授いたしましょう。非才の身なれど、『尊敬する方』からかつて受けた薫陶は、今も胸の内にございます」

「そうね、お願いしようかしら。橙も呼んで3人で一緒に、ね」

「はい」

 

 八雲一家みんなで一からの出直しですわ。

 

 

「この一帯だけヤケに湿っぽい気質がするぞ! なにかあったか!?」

 

「あっ帰ってきた」

「……」

 

 雰囲気ぶち壊し。

 我が家の引き戸が開け放たれると同時に、爆音が私の私室にまで轟き響く。この鼓膜が震える衝撃も、合間に聞こえる藍の舌打ちの音も最早慣れっこだ。

 別に何か疾しい事をしていた訳ではないけど、何となく藍と距離を取って居住いを正しておく。

 

「いま戻ったぞ紫! 夕餉の時間にしよう」

「お邪魔します紫さま、藍さま!」

 

「おかえり橙、苦労をかけたね。夕食の準備をするから手を洗ってきなさい。──おい天人、その汚らしい身体で紫様に近付くな。浴槽で泥を落としてこい」

「煩いなぁ。あー獣臭い獣臭い」

「嫌なら出て行け」

 

 正邪の反乱をぶっ潰してきた天子さんと、道先案内人の役目を言い渡していた橙の帰還ですわ。

 そしてこの対応の差である。

 

 天子さんがウチに居候を始めてからかれこれ二年も経つ。私はもう慣れたものだけど、どうにも藍と馴染めてないのよね。隙あらばすぐ追い出そうとしてる。

 私としてはもう愉快な同居人を通り越して家族みたいな感覚なんだけど……。

 

 ただねぇ、あの2人の不仲を考える上での問題は、橙が天子さんに懐いてる点なのよね。

 賢者見習いとして行動を共にする事が多く、幻想郷のゴタゴタを鎮圧する中で必然的に仲良くなっていたのだ。これに早苗を合わせてトリオで活動している事すらある。

 異変解決屋本家の霊マリに一丸となって対抗している様にはほっこりさせられるわ。なお霊夢からのクレームを処理してるのは私ね。

 

 心配しなくても橙にとっての一番は藍なんだから、嫉妬しなくてもいいのに。

 こういう所も子供っぽくて可愛い。

 

 さて、と。

 

「それじゃ行きましょう、藍。手伝いますわ」

「……ありがとうございます」

 

 やっぱり私達ってまだまだ互いに気を遣ってるのかもしれないわね。

 

 

 

 

 *◆*

 

 

 

 

「……いるんでしょう? ずっとそこに」

 

 何気なく発した言葉が暗闇に溶けていく。

 

 今日の出来事を一つずつ思い返しながら、真っ暗な天井を見上げ安らかな眠りに就こうとした時、いつも心の奥底から不安が込み上げてくる。

 言葉にできない漠然とした憂い。

 

 もしかしたらと思い、声を掛けてみたのだ。

 結果として私の考えは合っていたらしい。

 

 部屋の隅に小さな存在を感じる。

 闇の中からいつも私を見ている怪物。きっと彼女はルーミアであり、その大元。

 

 心に直接囁き掛ける昏い声音。

 

「幸せそうだね」

「失ってから気付くなんて悲しいもの。もう二度と投げ出さないよう、小さな幸せを強く意識するようにしたの。生活は前と殆ど変わらないわ」

「本当に満足しているの?」

「ええ満足です」

 

 くすくす、と。か細いくせに耳に残る笑い声。

 

「見なきゃいけないものから目を逸らして逃げてるだけじゃないか。何も解決なんかしてないんだ」

「そうかもね」

「何度だって思い出させてあげるよ」

 

 それが貴女に残された存在意義だからでしょう? 私が完全に救われてしまえば、ルーミアの力は今と比にならないほど減衰してしまうから。

 望むところだ。

 

「霊夢なんて百年もしないうちにすぐ死んじゃうね。藍も橙も、少なくとも貴女よりは早く死ぬ。蓮子とメリーだってそう。八雲紫が必死に築き上げた現在(いま)は、いつか終わる」

「……」

「幸せの悉くが掌から零れ落ちた時、果たして貴女は狂わずにいられるのかな?」

 

 その時が来るまで待つつもりなのか? 随分と気の長い話である。

 今の私にそんな先を見据える頭はない。どんなに儚くても、目の前に広がる甘美な夢に浸り続けるのが一番の幸せだから。

 

 自分の幸福の為なら、地の果てまで逃げ続けてやる。

 私を想ってくれたみんなが報われる為なら、どんな醜態を晒してでも幻想郷にしがみついてやる。

 

 私はどこまでも利己的な存在だから。

 

「……本当に諦めてしまうのか」

「もう私には必要ないものですわ。でも、だからといって貴女に消えて欲しい訳でもない」

「甘いねぇ」

「そんな小さな闇に隠れてないで、明日ウチの晩御飯を食べにおいでなさいな。お腹が膨れればそんな物騒な考えも消えてなくなるわ」

「そうなのか?」

「誰だって目先の幸せが一番大切なんだから」

「そうなのかぁ……」

 

 分かってるんだか分かっていないんだか。いや敢えてすっとぼけたフリをしてるのだろう。

 闇故に掴み所はない。

 本質を暴かれたらその時点で妖怪は終わってしまうのだから、彼女の態度は正しく妖怪のあるべき姿である。やはりそういう所は八雲紫との連なりを感じるわ。

 

 まあいいや、この問答は私の勝ちだ。

 論破勝利の余韻に浸りながら気持ちの良い眠りを堪能させてもらおう。

 

「ふぅ、もう寝るわね。おやすみ」

「碌な死に方しないよアンタ」

「もう諦めてます」

「あっそ」

 

 呆れ混じりにそう言うと、部屋に充満する暗闇がみるみる濃くなって私を包んでいく。

 月明かりすらも通さない漆黒。でも不思議と恐怖はなく、心地良さすら感じる。眠りを妨げるものは悉く取り除かれ、快眠一直線。

 

「アンタがそういうつもりならコレはもういらない、返したげる。必要ないかもしれないけど」

「……?」

「せいぜい楽しみなよ。胡蝶の夢をさ」

 

 瞼の重みに比例するように、心から情景が次々浮かび上がってくる。

 そうか、私の中から記憶を取り除き、持って行ってくれたのは、貴女(ルーミア)だったのか。

 

 ああ確かに、この記憶は必要ないかもね。

 だって、私はもう既に──……。

 

 

 

 

 *◆*

 *◆*

 *◆*

 

 

 

 

 夢を見た。

 

 満開の花弁の中に埋もれて眠る夢。周囲の喧騒で目を覚ました、という(てい)のようだった。

 

 夢の中でまで寝ているなんて、いつからこんなに睡眠が好きになったんだろう? 

 八雲紫を模倣しようとするあまり、妙な副次効果が生まれつつあるのかもしれない。

 こういう所ばかり追い付かなくてもいいんだけどねぇ。

 

「失礼ね。睡眠こそ最大の幸福よ」

 

 満開の夜桜、その側に立つ八雲紫。

 私と藍の憧れであり、現在(いま)への道を我が身で切り拓いてくれた本物の賢者。

 

 その後ろでは、華奢な少女が背負われていた。

 金髪で、恐ろしく顔が整っていて、親子かと見紛うほどに私達にそっくりな身体。

 もしかして、AIBOだろうか? 

 

 喧騒に一切反応することなく、先程までの私と同じように八雲紫の背を枕にして眠っている。

 あの戦闘狂とは思えないほど安らかな顔。黙っていれば年頃の少女なのね。

 

 夢の中だとしても、貴女達に逢えて良かった。

 でもどうして? 

 

「あの時の答えを改めて聞かせてもらおうと思ったの。前は言う前に消えちゃったでしょう?」

 

 そうだっけ……? 

 相変わらず謎な時系列だと妙にメタい事を考えつつ、ぼんやりと眼前の情景を眺める。

 

 桜の下なのだ。幻想郷ならばやる事は一つだろう。

 みんな私そっちのけで盛り上がっている。思い思いに酒に飲んで呑まれて馬鹿騒ぎ。

 このトンチキな宴こそ、幻想郷の平和の証。

 

 すると、手前にいた早苗が私に気付いて手を振って、それが伝播するように私へ視線が集まる。

 

 

「あっ、そんな所に居たんですねお師匠様! お待ちしてましたよ!」

「やっと来たか紫ぃ! ほら飲むぞー!」

「来て早々眠るなんてせっかちね〜。桜の木の下は縁起が悪いわよ〜」

 

 

「こんな馬鹿騒ぎの中でよくあんなに気持ち良さそうに眠れますね。そういう図太い所は見習っていきたいです」

「私はもう少しお前の痴態を眺めていたい気分だったけどね、八雲紫」

 

 

「お姉ちゃんズは相変わらず一言多いなぁ。別に気にしなくていいからねゆかりん」

「おっと気にして欲しそうな奴が居るみたいだから、そいつには構ってあげておくれよ紫」

「余計なこと言うな諏訪子ッ! ま、まあ詫び代わりの接待なら受けてやらん事もないがな」

 

 

「紫様、こんな所でお休みになられては風邪を引きますよ。辛くなったら私に申し付けてくださいね」

「紫さまのご飯はちゃんと確保してますので安心してください! ……かまぼこは食べちゃいましたけど」

 

 

「そんな所にぼーっと突っ立ってないで、早くこっちに来なさいよ。アンタが呼んだんでしょ? 紫」

 

 

 ああ、そうか。そうだったわね。

 夢だけど夢じゃない。

 

 別々の記憶を都合良く継ぎ接ぎに組み合わせて、願望という形で投影しているのだろう。

 

 納得した。

 やはりこれが私の願ったものの正体なのだと見せつけられたのだから。

 

 

 

「ほら、もう一度言ってみて? 何者でもない、貴女の本当の想いを」

 

 敢えて口にする事で、言葉が揺るがない意志となり、私を作り上げてくれる。

 私は──。

 

 

「借り物じゃなく自分の目で、愛しき幻想郷を見守っていたい」

 

 金色の瞳を瞼越しに撫でる。

 みんなが褒めてくれた綺麗な桔梗色は失われたけれど、これが私に許された本当の色。

 

「私の想いで、私の足で、みんなと一緒に幻想郷を踏み締めて生きていきたい」

 

 因果は消滅した。

 これからの私がどうなっていくのかはきっと誰にも分からないし、もしかすると明日には虚無に消えている可能性だってゼロじゃない。ルーミアが言うように、私だけが取り残される未来もあるのかもしれない。

 

 でもそれが生きるって事だと思う。

 私の歩んだ痕跡がみんなと共に有ればいい。

 

「そんな俗で矮小な、本当の私を受け入れて欲しい」

 

 立場に裏付けされた崇高な思想や、八雲紫の名に見合うような理念は持ち合わせていないけれど。そんな何もかもが足りない私だけれど。

 

 どうかどうか、この夢の中に居ても良いのだと。

 

 

「ね、無事に叶ったでしょう?」

 

 

 ふと振り返ると、八雲紫は居なくなっていた。

 舞い散る桜の波に溶けてしまったかのように、其処に居たという記憶だけ残して。

 

 言葉は最後まで続いていた。

 

 

「だって、幻想郷は全てを受け入れるのですから」

 

 

 それはそれは残酷で──とても優しい物語。

 

 

 (そよ)ぐ春風に後押しされるように、私は改めて一歩を踏み出した。

 






大変長きに渡るお付き合いありがとうございました。
これにて『幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ……いや割とマジで』通称:幻マジは完結となります。

最終回は敢えてゆかりんの何気ない日常の詰め合わせです。
もっと酷い終わりを予定していましたが、最後の最後でゆかりんに幸せになって欲しい気持ちが勝ちました。

伝えたい事は多々あれど長ったらしい後書きなど不要かと思いますので、作者個人の想いや裏話は活動報告の方に書いておきます。
今はただただ、この物語に最後まで付き添ってくださった方、今日に至るまで沢山の感想と励ましを書いてくださった方、皆様に対しての感謝を伝えたく思います。
本当にありがとうございました。

後日談的なものについてはゆっくり投稿していこうと思います。
ゆかりんの災難はまだまだ続いていきますし、死にっぱなしのキャラや一つ前の世界線など、回収しきれていない要素もございます。
特に八雲霊夢、八雲橙、洩矢サナエに関してはここからが本番と言えるやもしれません。かなり鬱成分強め。
ただゆかりんの物語は一区切り付いたので、本編は一応の完結という形を取らせて頂こうと思います。

重ね重ねにはなりますが、ここまで読んでいただき本当に本当にありがとうございました。
よろしければ、感想や評価をいただけたりとか、拙作の印象に残っているエピソードなんかを教えていただけるととても嬉しいです。

それでは次話か違う作品(多分東方)でまたお会いできれば幸いです。

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