幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ……いや割とマジで   作:とるびす

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東方忌心城*

 

「へーそれが正邪の目標かぁ。いいねいいねっ、すごく良いと思うわ」

「誰しもがそう言ってくれます。だけど次にこうも言うのです。『夢物語を考えるだけなら自由』と。貴女もそう思いましたか?」

「んーん全然。無理とは思わないもん」

「頼もしいお言葉ですね」

「正邪と私と、この小槌があれば不可能はないっ! 任せてよ、私が誰も苦しむ事のない世界を作って、皆を救ってあげるから!」

「よろしくお願いします。夢幻を現実に変えましょう……共に」

「一緒にね!」

 

 

 

「正邪や正邪。この世界全部が私達の国になるのかえ?」

「左様でございます姫様。この幻想郷全てを献上いたしましょう。なのでまずは我々にとって邪魔になる者達を消さねばなりません」

「邪魔になる奴って?」

「例えば……私達より強くて、偉そうにしている者達でしょうか。段取りは既に完成しておりますので御安心を」

「なるほどぉ。正邪はやっぱり賢いんだねぇ」

「賢者ですので。王は悠然と構えていればよいのです」

「なんか似合わないね」

「姫様は小さくとも大きな器を持った方ですよ」

「いや私じゃなくて正邪がね。賢者よりも『お姫様』の方がお似合いじゃない?」

「やめろ」

 

 

 

「やだやだやだ! 私絶対ヤだからね!」

「しかし姫様。貴女様と小槌の力は計画の肝であり、隠し球です。万が一にも存在の露見がないようにしなければなりません」

「で、でもぉ」

「安心してください、指一本触れさせはしませんので」

「……正邪ってところどころで非常識だよね。普段は過剰なまでに丁寧なのに」

「過分なお言葉痛み入ります」

「あーもう分かった! 正邪の言う通りにするから、絶対に私を守ってね!」

「守りますよ。何せ一心同体ですから」

「あと溶かさないでね!?」

「頑張ります」

 

 

 

「ちょっと姫様? やめてくださいよ大事な場面でチクチクするのは。内側は能力の適用範囲外なので普通に痛いんですけど」

「言い過ぎだよ正邪。あんな強い言い方しなくてもいいじゃないか。確かにあの八雲紫って奴は多分相当な悪人だけど、あのノリに合わせたら正邪まで同じになってしまうよ? 私達は英雄になるんだから」

「仰るとおりです」

「私の為に尽くしてくれている忠臣が周りに曲がった見られ方をするなんて、そんなの耐えられないわ。正邪はさ、今まで酷い扱いばっかされてきたから泥を引っ被っても平気だと思い込んでるんだよ。平気なフリしてるだけ」

「そうなんです?」

「そうなんですぅ! 手段を選ばない事も大事だろうけどね、私達にとって大切なのは『その後』でしょ?」

「……」

 

 

 

「ご、ごめんね正邪……。私が能力の指向性を間違えたせいで会議が壊れちゃった。八雲紫と戦いになったら勝てるかな? どうかな?」

「私に未来は分かりませんが、過ぎた事を後悔しても仕方がありませんよ。あまり自分を責められないよう」

「うん。分かった」

「反省はしましょうね」

「あ、反省と言えば! 正邪さぁ、わかさぎちゃんと影狼ちゃんの事もっと気にしてあげなよ。二人とも理想に向けて頑張ってくれてるのに、なんか素っ気なくない?」

「はて、気にかけているつもりですが」

「そうかな? そうかも。ならさ、表に出てこれない私の分まで仲良くしてね。草の根の皆は大切な仲間なんだから」

「ではその分、姫とのお相手時間を割きましょうか」

「ぐすん」

「泣くほどか?」

 

 

 

「ねぇ……ホントにやっちゃうの?」

「はい?」

「私、正邪と一緒に幻想郷を見てきた。確かに悲しい事、辛い事、苦しい事、いっぱいあった。強い妖怪に全てを奪われる過酷な世界だった。でも……最初考えてたのとはちょっと違ってきてるような気がして」

 

「オイ、まさか怖気付いたのか?」

「違っそうじゃないの!」

「安心しました。すんでのところで裏切られるのかと思いましたよ。本番を前にして緊張で弱気になっているのでしょう。今日は早めに寝ましょう」

「うん……」

「姫はいつも通り、私の為に小槌を振ってくれるだけでいいのです。それだけで勝てる楽な死合ですよ。何も考えないでください」

「分かった。信じるよ正邪」

 

 

 

「元々私一人から始まった活動でした。第一次月面戦争の折に彼女が積み上げた全てを八雲紫に奪われ、破壊されてしまいましたからね。文字通りゼロからのスタートです。当然、苦難の連続でしたとも」

「……例えば、どんな?」

「何でもしましたよ。泥水を啜り、格下に謙り、大切な物の殆どを捧げてきた。私の中に純粋なものなど何一つ残っていない」

「……」

「しかし夢幻の国へと流れ着き、打ち出の小槌を下賜されてからはまさに夢のようでした。小槌の魔力を用いて弱小妖怪の救済を行い、待遇への不満を焚き付け、草の根ネットワークを牛耳った。幻想郷に渦巻くありとあらゆる不穏分子と手を組んだ。全てはこの時の為に!」

「……」

 

「結果として──どいつもこいつも役には立たなかった。期待外れも良いところだ」

「……」

「特に失望したのは腐れ坊主の信奉者一派と、あれだけ目を掛けてやったのに土壇場で日和っている影狼だ。余計な私情で本懐を成し遂げられず終いだ。馬鹿らしいったらありゃしない。小槌の威光がなけりゃ捻り潰されるような雑魚の癖して烏滸がましいにも程がある」

「本気なのは正邪と私だけ、か」

「当たり前だ! 私の想いを、生き様を、超えていいものなんてこの世には一つとしてない! あってたまるか!」

「……」

「同盟を組んだ連中も遊びにかまけて自ら手掛けた異変を一つずつ鎮圧されています。心底くだらない。勝ち馬に乗ろうとする浅ましい魂胆、挙句慢心に足を掬われるのは世の常でしょうが、いざ目の当たりにすると滑稽で仕方ないですね。曲がりなりにも味方であるのだから尚更」

「それでもまだ勝とうとするの?」

「負ける道理など一切無いのに何故そのような事を」

「勝っても『明日』なんて、ないじゃないか! 幻想郷はもう滅茶苦茶。協力してくれた皆の想いを無碍にして、隠岐奈や青娥のいいようにやられてるだけ」

 

「私、正邪のことが分からないよ」

「分かってもらおうなんざハナから思ってねェよ」

 

 

 

 *◆*

 

 

 

 稀神正邪にとっての正念場はまさに今だった。

 

 恥辱に塗れた苦痛続きの800年は激動でありながら、あまりに退屈だったと言えよう。命を賭けるほど追い込まれた場面が悉く存在しなかったからだ。

 幻想郷の力関係を根本からひっくり返す秘術の準備にパワーリソースの殆どを奪われた結果、徹底的に戦闘を避けたのが主な原因。

 

 要するに、正邪にとっての妖生初勝利は生涯においてたった一度だけでいい。そしてその瞬間が今日巡ってきただけの話だ。

 

 

 空間操作と跳弾を駆使した八方からの完全同時攻撃を、刺さる寸前に挙動を反転させ、或いは皮膚で弾き、或いは流血を一瞬で完治させる。一つの思考では到底対抗できないほどの飽和攻撃を無理くり捌く。

 そんなギリギリの戦闘を何時間も続けていた。

 

 まともにやり合えば万に一つも勝ち目は無かろう。その確信が正邪にはあった。

 十六夜咲夜には絶対に勝てない。

 それが正邪に非情な判断を齎したのだ。

 

 輝針城への侵入に遂に成功した咲夜との戦闘は、過熱することなく一定の激しさのまま推移している。決着の目処が一向に立たないのだ。そして、それこそが正邪の仕掛けた強引な罠だった。

 

 十六夜咲夜はあまりに強大だ。その実力は、恐らく人間の中では博麗霊夢と共に頭ひとつ抜きん出た隔絶された領域に達している。

 素の身体能力と投擲技術だけでも十分超人級といえるのだろうが、やはり『時間を操る程度の能力』がその脅威を数段引き上げているのだ。

 張り合おうとするなら何らかの対策は必須だろう。逆に言えば、正邪は対策を怠ってはいなかった。自分の元に辿り着ける者がいるなら、それは咲夜だと読んでいたのだから。

 

 咲夜との戦闘は避けられない。ならばこそだ。

 此度の異変の大枠が決定した瞬間から、用意周到な正邪が更に過密な準備を続けた結果なのだから、寧ろそれを短時間で突破する方が可笑しな話だろう。

 

「考えてもみてください。時を止めるなんてそんな不条理を相手にするのなら、此方もそれ相応の物を使わせてもらわねば不公平じゃないですか」

「それは確かにそう」

「反則には反則を、ってことだ」

 

 幻想郷各地から頂戴(失敬)した数々のマジックアイテムを見せびらかしながら、正邪は侮るような笑みを浮かべた。

 

 輝針城を覆う境界を短時間で突破できるのはルートを予め把握している隠岐奈と、無限の試行錯誤を行える咲夜のみ。

 つまるところ、彼女さえ消してしまえば正邪を直ちに害す事のできる存在は幻想郷から居なくなる。一度の勝利で幻想郷の破滅は確定する。

 

 レミリアにはそれが分かっていたのだろう。

 だから大事な手駒であり、尚且つ唯一無事であった咲夜の働きを正邪攻略の一点に絞らせたのだ。小槌の力により紅魔館の化け物じみた妖怪達も今や無力、そんな状態で唯一健在だった咲夜を放ったのだから本気度が伺える。

 そしてそれは悪手だろう、と。正邪は内心せせら笑う。

 

(未来を見誤ったなレミリア・スカーレット!)

 

 咲夜ならば、正邪を見事打倒してしまうだろう。

 正邪に取れる手段が遅延戦法しかない以上、それは揺らがない事実。だが正邪にはレミリアと比べて『三つ』だけ優れている点がある。

 

 十六夜咲夜から逃げ切る事が可能になるだけの、妨害また生存に秀でた能力と装備。

 運命改変に対する知識と援助。

 そして何より肝要なのが、残された時間。

 

 もはや幻想郷は限界を迎えつつあった。奇跡的なバランスで成り立っていた各地の均衡はもはや風前の灯。あの紅魔館とて例外ではない。

 悠々と時間を稼ぎ続ければいい。それだけで正邪の勝利は自然と掌に転がり込んでくる。

 ただ咲夜とてそんな事は百も承知だ。敵の企みはとうの昔に看破している。

 それでも現状一押しが足りない。

 

 通算何度目になるか分からない舌打ちが小休憩の合図だ。

 

「取るに足らない存在に踊らされるほど屈辱的なものはないわね」

「まあまあ、幻想郷の夜は長い。嫌になるまで戦おうではありませんか」

「小物に時間を取られるのも腹立たしい」

 

 不意に放たれたナイフも正邪には届かない。

 

「私が健在であるうちは如何なる強者であろうが、弱者の群れに敵わない。貴女の敬愛するお嬢様が嬲り殺されるのも時間の問題というわけですよ」

「……」

「さあさあさあ! 今こうしている間にも幻想郷は刻一刻と壊されていく! 八雲紫や貴女達が築き上げた理想郷が、取るに足らない存在に蹂躙されていく! ザマァないな! 己を無敵と勘違いした愚か者みんなみんな惨めにくたばっちまえ!!!」

 

 ただその一方で正邪も万事無事というわけではなく、あやふやな口調から何らかの異常が生じてきているのはなんとなく分かった。

 

 苛々は募る。しかし狂人を前にすれば自然と頭は冷えていくものだ。最高にハイになったレミリアでもここまで豹変する事は中々ない。

 こういう類いの馬鹿は幻想郷で散見されるが、正邪のそれはキャラの迷走ではなく、人格の削り合いのように思えた。それこそ月人の細胞を無理に取り込んだ悪影響なのだろうか。

 

 憐れだ。

 

「呆れた。何の為に異変を起こしたのかと思えば……権力闘争の手段じゃなく、ただの幼稚なテロリズムだったなんてね」

「私は天邪鬼、生まれ持っての天邪鬼! 理由なんてそれで十分だろう! 私の上に立つ奴ァみんな引き摺り下ろして食っちまえばいい!」

 

 徐に振り翳した腕から血とともに三心一体の能力が輝針城を駆け巡る。

 正邪の能力はその殆どが自前の物ではなく、様々な要素の複合された、いわばキメラ能力。勝つ為、生きる為にここまでするのかと感心する。

 

「お前、警戒しているな? 私の能力の全容が掴めないから無闇に手札を晒す事を恐れているんだろ! 全てにおいて完璧で万能な力など存在しないのだから! その懸念は的中していると申し添えておきましょう」

 

 独特な挙動で迫る弾幕を軽く躱しつつも、咲夜が大きな反撃に転じる事はなかった。時間停止はおろか、時間加速(クロックアップ)すら使用せず、ひたすらナイフをばら撒くだけ。

 能力を十全に使い熟す正邪とはまさに真逆。

 

 瀟洒なメイドとは総じて聡いものだ。

 幻想郷に居着いてからの咲夜の戦績は芳しいものではなく、まさに消し去りたい過去そのもの。霊夢にレティ、紫に永琳。これらの敗北全てに共通するのは、悉くが自らの能力による自滅だという点。

 強力無比であるが故に、ひとたび己に牙を剥けば致命傷になり得る。

 

 それに正邪ほどの者が時間操作の対策を用意していないとは到底思えない。

 結局、再び小細工無しにナイフをばら撒くものの、正邪の命にはやはり届かなかった。

 

「いつまでそんな無駄な攻撃を続けるつもりだ? 今まさに愛しのお嬢様が磔にされているかもしれないのに。諦めたのか?」

「別に」

「不毛な戦いよりも建設的な話をしましょうよ。たとえば『悪魔の奴隷が歩むこれからの人生』とかね』

「メイドを奴隷扱いすると寝首をかかれるわよ」

 

 正邪の会話は全て時間稼ぎだ。

 

「幻想郷を統治するにあたって大体の情報は仕入れています。勿論、紅魔館とそれに連なる者……貴女の過去についてもね」

「そこまで調べておいて異変を起こすなんて甚だ無謀としか思えないわ。お嬢様には全て筒抜けなのに」

「貴女が私の話を受け入れれば運命は容易く変わりますよ。決して悪い話ではない」

「私がお嬢様を裏切って貴女の下に降るメリット? ……暇になるくらいかしら?」

「いい事じゃないか。捻じ曲げられた運命に従い盲目的に仕え続けるよりも、本当の自分を取り戻し自分の為だけに生きてみればいい。私ならその手伝いができますよ」

 

 咲夜ほど数奇な運命を辿った人間はそうおるまい。

 月にストックされていた永琳と輝夜の細胞を元に作成され、第一次月面戦争の折に地上へと堕ち、制御できない時空の波に呑まれ続けた。普通の生活を送れるようになったのはレミリアに拾われてからだ。

 レミリアとしてはそんな咲夜の出生に同情的だったようで、自立した成長を促したり、母擬きの永琳と対面する機会を設けたりと奔走していたようである。

 

 だが正邪は敢えて、それを支配の裏付けと呼んだ。

 

 偽りの身体、偽りの運命、偽りの名前。

 何一つとして咲夜自身の物はない。

 

「私とこの小槌の力さえあれば貴女に『本物』を与える事ができます。如何でしょう? 一度だけお試しで……」

「自分がそう感じるからって、他人に押し付けるのは良くないと思うわね。全部お前の体験談で、尚且つお前の感想じゃなくて?」

 

 正邪の時が止まる。

 

「なんだと?」

「敵の素性を知っているのは自分だけなんて驕りは、以後慎むことね」

「……そのようで」

 

 何処から漏れたのかと思考を加速させるが、それは無駄であると一転切り捨てた。

 咲夜の時空操作、レミリアの運命操作。この二つがある限り考察は無駄だ。永遠に完結しない。

 

 この狗に一欠片でも反骨心があったのなら手駒にもできただろうが、それが微塵にも無いのだから全くもって救いようがない。生粋の奴隷なのだろう。

 正邪が最も忌み嫌う人種だ。

 

 わざとらしく肩を竦めた。

 

「考える事を放棄した飼い慣らされるだけの狗には何も分からんか。いま自分のやっている行為が全て無意味だと分かればもう少し賢く生きていけるだろうに」

「いいえ分かってる事は一つだけありますわ」

 

 ナイフの切先を差し向ける先には、正邪の腹。

 

()()()()()()()()()()()()。下腹部よりやや上……胃袋の中。わざわざ飲み込んでまで隠したいなんて、面白いギミックがありそうね」

「な、何を……」

「何の為にナイフをばら撒いたと? そこまで露骨にお腹を庇ってたら嫌でも分かるわよ。反転、硬化、回復──若しくは弱体化の術。いずれかに関係あるんじゃない?」

 

 口元が歪む。

 余裕を装う時に浮かべる賢者特有のそれであるが、正邪の練度は紫や隠岐奈のそれには及んでいなかった。故に見透かされてしまう。

 

「だから何だ? だからどうした?」

「知らないわよそんなの。お前が庇うから私は撃ち抜く、たったそれだけの話よ」

「無駄です。私の能力は無敵、ナイフは通らない。ふふ、まあ宜しいでしょう、存分に時間を費やすといい。その間にも幻想郷の終焉は近付いている!」

「それは本当みたいね」

 

 紅魔館の住人が何らかの信号を送っているのだろうか、若干の顰めっ面で頭を叩く咲夜。そして、音が消えた。

 

 直感に従って身を捩ると同時に、脇腹をナイフが掠める。『呪いのデコイ人形』の効能による視覚の撹乱が無ければこの時点でゲームセットだった。

 元はアリスが(メリー)に渡していたマジックアイテムだったが、現在蛻もぬけの殻となっている八雲邸から窃盗もとい拝借しておいたのだ。ダメージデコイの効能もあったようだが、こちらは正邪にとってあまり意味はなかった。

 

 ナイフだけを時間跳躍させる不意打ち。自己以外にも時空操作を付与する離れ技。

 咲夜の能力は今この瞬間も進化を続けているのだろう。

 

「化け物め……!」

「はて、私が化け物? ──悪魔の狗に相応しい呼び名ね。気に入ったわ。惨めなゴミにそう呼ばれるのは甚だ心外ではあるけれど」

「惨めだと? 私がか……!?」

「自覚してるクセに惚けるのね」

 

 同じくして咲夜の口元が歪む。

 アレは凡そ敵に対して向けるものではない。

 

「私やお嬢様が生まれるよりずっと前から地べたに這いつくばって、時勢を全く理解せず決して勝てない戦いを挑み続けるだけの妖生が目標なんて、よく気が狂わずに居られるわね」

 

「その癖して当の八雲紫に歯牙にも掛けられていない。只の有象無象。これを惨めと言わずして何と言えばよろしいのでしょうか。自己満足かしら?」

 

 知ったような口をきくな。

 お前に私を掴むことなんてできやしない。

 

「とっくの昔に壊れてしまったのね。生き物が当然のように感じる喜び、身体が震えるほどの激情を、無謀な行為に費す事以外で忘れてしまった」

 

「でもお前は頭が回るから、それに気付かないふりをして取り繕ってたんじゃない? だから狂えなかった。綺麗事も大義名分も全部嘘。本当は幻想郷を道連れに死ぬ事しか頭に無いのに」

 

 やめろ。

 

「私のことを奴隷だの狗だのと呼ぶ一方で、お前は生き物ましてや天邪鬼ですらない。塵芥も同然。お嬢様にしてみれば道端に転がる不細工な小石のようなもの」

 

「人の邪魔にしかならない只の小物。誰を愛し愛される訳でもなく、孤独に這いずり回り、挙句に誰にも惜しまれずに名前無き墓廟に収まる」

 

 やめろやめろ。

 

「ふふっ、お前──一体何の為に生まれてきたの?」

 

「ッッブッ殺してやるクソがッ!!!!!」

 

 

 

「落ち着いてよ、正邪っ!」

 

 

 劈く怒声とともに口から溢れたのは、第三者の声。場違いに思える可愛らしい声音に、咲夜も思わず追撃を止めて眉を顰める。

 と、続いて正邪は激しくえづき、拳大の物体──否、人を吐き出した。

 唾液と胃液を滴らせながらも、不快な様を見せる事なく、怒り心頭といった様子で咲夜を睨む。手には等身大の針が握られており、もう片手で例の小槌を正邪からひったくる。

 

 なるほどこれが秘策か、と。

 咲夜は一人得心した。

 

「ばっ、かお前……! 何故出てきたんですか」

「正邪が惨めに負けちゃうと思ったから」

 

 正邪を一瞥もする事なく、小人は咲夜だけをひたすら睨んでいる。戦う気なのだろう。

 

「お前! 犬だか化け物だか知らないけど! 正邪のこと何も知らないクセに好き勝手言うな! 正邪はお前なんかに量れるほど簡単な妖怪じゃないんだぞ!」

「貴女はご存知で?」

「いや知らないけどさ。自分の武勇伝と愚痴以外何も教えてくれないし」

 

 小人── 少名針妙丸の登場は、咲夜と正邪の両名にとって誤算という他ない。

 この急転がどう転ぶのか、すぐには予測できないからだ。

 

「多分お前の言ってることは9割正しい! 私も最近気付いたんだけど、正邪ったら情緒不安定だし見栄っ張りだし小物だし味噌っ滓だし! 暇さえあれば悪い事をしようとする救いようの無い無謀な小悪党だよ」

「そこまでは言ってないけど」

「貴女どっちの味方なんですか」

 

 呆れの言葉を吐きながら、咲夜は懐中時計、正邪は輝針城を通して幻想郷を覗く。

 その間も小人のマシンガントークは止まらない。

 

「私が言いたいのは! 正邪が生まれてきた意味はあるってこと!」

「救いようの無い小悪党なのに?」

「私を助けてくれた事に悪党も賢者もないよ。それに私は正邪のことを愛してる!」

「利用されてるだけなのに?」

「そう、そこなのよ!」

 

 一転、針妙丸は振り返って正邪を睨む。

 

「異変の最中ずっとモヤモヤしてたの。騙そうと思ってるなら最後までボロを出すな! 私って単純だから、何度だって騙されてあげるよ。でも途中で自暴自棄になられたら、今までの言葉全部嘘だって分かっちゃうでしょ?」

「……」

「私の力を必要としてくれる限り、頑張るよ。ずっと一緒に居たいんだ正邪」

 

「だからさ、挫けないでよ正邪。稀神とか鬼人とか……小人族の復権とか、そんなのどうだっていいの。私を騙して騙して、騙し続けて、時には諦めて、最後まで一緒に足掻こうよ。力を合わせて『明日』を目指そう?」

 

 例え偽物であっても針妙丸はそこに絆と恩を感じていた。初めての友達がちょっと特殊な天邪鬼だった、それだけの話。

 虐げられてきた小人族の救済を志したのが一連の助力の動機だったが、それは途中で薄れてしまった。いま針妙丸にあるのは正邪を想う心だけ。

 

 天邪鬼は瞠目する。深く考え込んでいるようだった。

 大きな隙を見せた今こそ千載一遇のチャンスだが、ここは瀟洒なメイド十六夜咲夜の腕の見せ所である。懐中時計を眺めながら時を待つ。

 

 やがて正邪は軽く息を吐いて、針妙丸を見下ろした。そして一層清々しい笑みを浮かべると、天を衝くが如く中指を立てた。

 

「やだね」

「正邪ぁ!」

「私は天邪鬼、生まれ持っての天邪鬼だ! しかし礼を言いましょう姫様! 今の数分で我々の勝ちは確定しました!」

 

 天邪鬼の妖生に安息はいらない。

 自分の創る世界に未来はいらない。

 

 初めから分かっていたのだ。天邪鬼として生まれてしまったからには稀神になろうが、鬼人のままであろうが、破滅するしか道は無いと。

 八雲紫のいる世界に生まれ落ちてしまったから。

 

 正邪では紫を殺せない。

 しかし、奴の過去と未来を地獄に引き摺り込む事はできる。できなきゃ余りに報われないじゃないか。

 

「たった今だ。妖怪の山は月の軍勢に敗れ、人里は我らの手に落ちた。紅魔館の制圧も完了したようだ。もはや幻想郷に抵抗勢力は皆無」

「……」

「私の勝ちだ! 幻想郷は死んだ!!!」

 

 好き放題煽らせていたのも、針妙丸に勝手を許したのも、全てが時間稼ぎの為だ。

 咲夜に針妙丸の存在がバレかけていた以上、戦いは長くは保たなかっただろう。しかし幻想郷の情勢はもはや決しており、数分が瀬戸際だった。

 

「さあ殺し合いを継続したいならとことん相手しよう。早く幻想郷の状況を確認したいなら逃してやる。輝針城から出た時、お前に帰る場所はないがな!」

「せ、正邪……」

「さぁ姫様、最後の大仕事ですよ。死にたくないなら私の近くへ」

 

 二人が手を繋ぐのが合図だった。

 

 城内の各地に仕掛けられた『四尺マジックボム』が破裂、城の基幹部分を吹き飛ばした。当然輝針城は崩壊を始め、魔力の嵐がどんどん城内に侵入してくる。距離の概念、時間の概念、探知の概念が正邪の意のままにひっくり返り続ける特殊な空間。

 これで正邪は更に有利なフィールドで戦う事ができる。

 代わりに外からの侵入が容易くなったのだが、もはや異変に介入できるほどの存在は幻想郷にいない。みな無力化したからだ。

 

「どうだ十六夜咲夜。塵芥に全てを簒奪された気分は? 聞かせてくれよ負け犬の遠吠えってやつを」

「……」

 

 咲夜は一言も発する事なく天を仰いだ。

 怨嗟や悔恨はなく、ただ諦めがそこにあった。

 

「諦めたんだな。涙を流さないよう上を向いてるのか」

「……いやね。お嬢様にはやはり敵わないと、改めて思いしらされたのよ」

 

 

 

 時間稼ぎに徹していたのは正邪だけではない。

 咲夜にも『待つ』意味がある。

 

 レミリアの運命操作能力は非常に強力だが、それが確実に通用しないパターンが二つほどある。

 博麗霊夢の夢想天生。そして八雲紫の介入である。

 

 霊夢の場合は全ての事象から解き放たれる事による能力の無効化だが、紫の存在はさらに上をいく理不尽だ。アレは運命に縛られないというよりは、運命を書き換えていると表現した方が適切だろう。

 つまるところの、想定外の起爆剤。

 アレの齎した波紋が何を齎すのか、咲夜は嫌というほど知っていた。憎々しく思うほどに知っていたからこそ、レミリアの言葉に何の疑問も持たなかったのだ。

 

 むしろ疑問視すべき点は他にある。

 あの帝王レミリア・スカーレットがそんな大きな弱点を放置するだろうか? 

 

「本日未明、幻想郷は崩壊する。そうお嬢様から聞いているわ」

「ひひ、なんだ結末を既に知ってたのか。全てが無駄だと分かっていたのに私と戦っていたのか。虚しいったらありゃしないな。ザマァねぇ」

「しかし──」

 

 正邪の顔から余裕が消える。

 負け犬の浮かべた表情は、あの邪悪な笑み。

 

「幻想郷の崩壊はお前の手によって引き起こされるものではない。お前の野望は今この瞬間、潰えてしまうから」

 

 不可解な言葉に対する問いは()()()()()()()()

 

 正邪の過ちは多々あれど、致命傷になり得た一つの誤算。それは『盤外の駒』への注意を疎かにし過ぎた点が挙げられる。

 遠い月の地で結ばれた怨敵(八雲紫)母親(サグメ)の盟約。それがまさか正邪に牙を剥く事になろうとは、当の本人たちですら微塵にも予想できなかった。

 

 月の束縛から解放された不良天人の考えなど誰にも読める筈が無いのだ。

 

 四尺マジックボムの地響きよりもさらに上。まさしく輝針城そのものを消し飛ばす膨大な質量が大気圏外から飛来し、底から天守閣を貫かんばかりに直撃した。

 

 

 

「せいやぁぁああッ! 気炎万丈の剣ッ!!!」

 

 

 

 落下物の正体は要石と、それに付随する比那名居天子。

 運命の破壊者であり八雲紫の刺客。

 

 月から一直線に輝針城へと衝突し、速度と勢いそのままに緋想の剣を袈裟懸けに振るう。暴風に煽られた揺らめく刀身が瓦礫を切断、寸分違わず正邪の体を捉えた。

 一方で、規格外の乱入者による思考の停止はあったものの、正邪の生存本能は迷わず脊髄反射での能力発動を行わせる。

 

「あ……?」

 

 緋想の剣は物事の本質を表出させる能力を持つ。

 即ち能力貫通の絶対切断。

 奇しくも能力に頼り過ぎた弊害が今になって正邪に跳ね返る結果となったのだ。

 

 数瞬の間を置いて身体の上下が泣き別れを起こす。避けようのない致命傷。

 

 稀神正邪は沈みゆく視界の中で、煌々と燃え上がる野望と、それに比例するようにポロポロと崩れ落ちる生命を感じていた。

 

「正邪……そんな」

 

 自分を呼ぶ声も何処から聞こえてくるのかすら分からない。

 

 

 悪夢のように延々と感じられた時間も、いざ終わってみればあっという間か。

 傍に佇む悪魔の走狗は、自分から意識を外して天子と何やら言葉を交わしている。もはや正邪の生死などどうでも良いのだろう。

 天邪鬼が死んだ。それで異変は終い。それだけ。

 

(死ぬのか? ここで)

 

 幻想郷は確実に終わった。

 ここで小槌の効力が消失したところで命は回帰しない。喪失した戦力は二度と戻ってこない。摩多羅隠岐奈も、霍青蛾も、最早誰にも止められない。

 

 だが相手に希望を残してしまった。

 咲夜と天子を健在のまま幻想郷に帰してしまっては万が一があるかもしれない。

 それだけが心残りだ。

 安心したまま死ねないのは辛い。

 

 

「正邪、正邪や! 逝くな! 私の元から去るなっ!」

 

(針妙丸……)

 

 霞む視界では針妙丸が必死の形相で小槌を振るっている。自身の体格を小槌に合ったものにする余裕もないようだった。

 意識が固定されているのは小槌の力だろうか。簡単には死なせてくれないらしい。

 正邪を苦しめる為の措置だというなら百点満点だろう。

 

「延命に、小槌を使うな。それは、自分の逃亡用に、残しておけ」

「正邪……」

「残りの力、全部天人とメイドに使う。アイツらを野放しにして逝けねェ……」

「でもそれじゃっお前が死んじゃうじゃないか!」

「ただじゃくたばらない……! アイツら諸共この城の崩落に巻き込んでやる」

「お前に助けてもらって、私一人だけ生き残るなんて嫌だよ……! 生き残って……どうしろっていうんだよぉ! 私の味方は正邪しか居ないのに!」

「お前の力を、連中に利用されるのが嫌なだけだ……。後の事は影狼達を頼れ。あのお人好しの馬鹿共なら、助けてくれる。ほら小槌の力、貸せ」

 

 どんな言葉も正邪の手向けにはならないのか。

 針妙丸は本当の意味で力になれなかった自分への忸怩たる想いを抑え込みながら延命を中止、正邪へと力を譲渡し、強い願いを元に『逆さまの術』の効果対象を天子と咲夜に絞った。

 

 これで二人の身体強度は常人並みに落ちる。降り注ぐ瓦礫に当たれば重傷を免れない。

 

「うお、なんだこれ気持ち悪いな」

「時間を殆ど停止できないわ。もうアイツはあまり長くないからすぐに奪われた力は戻ると思うけど……ちょっと不味いわね」

「力が奪われた? どういう事よ」

「説明は後でお願いします」

 

 状況把握とともに咲夜は行動を開始。遅れて天子も慣れない動作で床を踏み進める。

 もはや城は原形を留めておらず、崩壊は秒読み。まともに脱出したのでは到底間に合わない。つまり、二人に残された選択肢はたった一つだ。

 正邪を死に至らしめる。

 

 胴体を切断されている上に、妖力は既にガス欠を起こしており、一度術式を破壊したことで小槌の魔力も霧散しかけている。正邪の死が間近なのは確実。

 即死に至らないのは正邪の『ひっくり返す程度の能力』にある。

 生と死の狭間で自らの生命を逆転させ、死に振り切らないよう調節しているのだ。半死半生の状態であり、その苦痛は計り知れない。

 

「いくら刺しても能力が発動してる限りは奴を殺し切れないぞ! どうする?」

「秘策があります。しかし私の能力が限定されてしまった関係上、至近距離まで近付かなくてはならない上に、反射能力を突破できない」

「まっ、そこは私の出番ね」

 

 何気なく扱っていたガラクタはこんなに重みのある物だったのかと、緋想の剣の質量に若干翻弄されながらも、天子は剣を払い少量の気質を撃ち出した。

 さとりとの戦闘で使用した『全人類の緋想天』とは比べるまでもないほど脆弱なレーザーだったが、突破口を開くには十分である。

 

 並行して咲夜はコンマ数秒の時止めを連発。適宜床の状態や降り注ぐ瓦礫を確認しながら接近していく。異変を感じた針妙丸が牽制の弾幕を放つが、それは天子の投擲した緋想の剣により霧散した。

 小槌は人の力を奪うが、逆に道具の力は高まるのだ。

 

 

 咲夜と正邪の決闘を総括するなら、化かし合いの応酬だったと言えよう。

 時空操作と反射・逆転能力。互いに決して相容れない水と油のような相性関係。

 故に大技は決定打となり得ず、水面下で繰り出される搦手こそ互いの脅威となった。

 

 搦手合戦においては正邪が終始有利だった。騙し騙されの勝負に一日の長があったのだ。だが、その点においてのみ押され気味だった咲夜は渾身の『化かし』を潜ませていた。

 それこそ、現在の自分が戦闘不能に陥ったのだとしても、最後に一矢報いる事が可能になるよう準備した秘策であった。

 

 

絶対一方収縮(デフレーションワールド)

 

 

 召喚されたナイフは時空を超える。

 即ちこれは過去の咲夜が全力投擲したナイフであり、内包された魔力は小槌の影響を全く受けていない。

 

 振り下ろされたナイフは緋想の剣の影響を受けて反射能力を貫通。正邪の首筋へと深々と突き立てられる。

 付与されていたのは時間停止の力。意思と生命、その流転をゼロで固定する。

 

「おまえ、やっぱ性格、クソだな」

「こうでもしないと止まってくれないと思ってね。殺しても冥界から戻って来そうだし」

「……」

 

「次はもっと優しい世界で生きられるといいわね」

「くたばれ……」

 

 最期も罵倒か、と。能力が完全に発動したのを見届け、咲夜はその場を後にした。生死を確かめるまでもなかったからだ。

 

 一方、天子は投げ捨てた緋想の剣を急いで回収。さらに亡骸の側で蹲る針妙丸を小槌ごと掴むと、同じく城からの離脱を試みる。

 徐々に力が戻ってくる感覚があるけれど、万全には未だ程遠い。あと十数秒もすれば元通りなのだろうが、その間崩落に巻き込まれれば命は無いだろう。

 

「正、邪……」

「高貴な種族である小人族のお前をここで見殺しにするのは忍びないわ。行くよ!」

「……」

「まあ元気出しなさいって! あんま気にするなよ」

 

 適当な励ましの言葉を送りつつ前へと向き直る。

 

 先行する咲夜が崩れない足場を選んでいるのでスムーズに移動する事ができているが、崩落のスピードがあまりにも早い。なお主に天子のせいである。

 天界を出奔した果ての死因が「崩落に巻き込まれての圧死」ではあまりに情けなさ過ぎるだろうと、無理くり奮起してただ走る。

 

「あ」

 

 咲夜の足元が丸々陥没し、瓦礫に飲まれた。完璧で瀟洒なメイドの失策であった。

 舌打ちした天子は一か八か『全人類の緋想天』による天守閣真下からの打通を試みるものの、力が足りない。せめてあとほんの数秒あれば、せめて要石が魔力の渦に邪魔されず天守閣を貫通していれば、また話も違っただろうが所詮たらればの話だ。

 

 

 そしてついに、輝針城は限界を迎えた。

 

 





(途中の咲夜さんの煽り口調に数週間の推敲を費やしたとは口が裂けても言えない)
多分八意お母さんの血が騒いじゃったんでしょう

正邪と咲夜さんの境遇は結構似通ってるけど、二人の性質は完全に真反対だよ!な話でした。八雲紫との邂逅よりも先に針妙丸と出会えていれば、また違った未来があったのかもしれませんね(逆だったかもしれねェ……)
つまりゆかりんはオビトでありオッキーナはマダラオキナ

ちなみに小槌は普段針妙丸とともに胃袋に収納してました。状況に応じて魔力を胃袋から発信してます。草の根のリーダーになれたのも小槌のおかげ
あと賢者会議が椛やらゆかりんの暴走でぶっ壊れたり、ゆかりんと霊夢の仲が拗れたのは小槌が影響してたりします

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