幻想郷は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ……いや割とマジで   作:とるびす

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【総合部門】ルール概要

・交互にスペルを放ちより多く被弾させた方が勝者となる。制限時間はスペル一枚につき60秒。
・被弾判定は四季映姫のジャッジにより決定。納得できない場合は姫海棠はたての念写によりビデオ判定を行い、レミリア・スカーレットが是非を決定する。
・互いに無傷、或いは同被弾数であった場合、再度スペルの応酬を最大で6回まで行う。
・それでも決着がつかなかった場合は、これまでの試合内容を吟味し、より『美しかった』方を勝者とする。基準は回避(グレイズ)の巧さ。


星の器に一雫

「──どうして不老を得ようとしたんだ? 私の言いつけを破ってまで目指さなきゃいけない目標は"それ"でいいのか? 時間が無いなんて錯覚するには若すぎると思うが」

 

 そうだ。その通りだ。

 人間には限りがある。どんなに頑張っても元々から魔法使いをやってる連中との差は埋まらないし、ただただ朽ちていく我が身を憂いながら生涯を終えるだけ。

 そんなの、耐えられないじゃないか。

 私にはやらなきゃならない事が山ほどある。こんな些細な事で躓いてる暇はない。

 誰の手も届かない私だけの景色へ、今はダメでもいつかきっと。

 

 

「──ったく、口を開けば魔法魔法……馬鹿の一つ覚え。お前は魔女のなんたるかを一切分かっちゃいないねぇ。最も大切なのは勉学でも実践でもないだろう?」

 

 魔法を使うのが魔女だ。魔法使いだ。

 私は魔法使いを目指した。なら魔法を極めるため努力するのは当たり前の話だ。不可思議を己が力とする学究の徒を目指すのが魔法使いだろう? 

 失敗には相応の理由がある。それを一つずつ潰していけば、自ずと完璧に近付ける。より強く、より高く。

 力が足りない、命が足りない、才能が足りない。

 

 

「──我々一門、今日はこっぴどくやられたもんだ。あの巫女め、代を重ねて尚あの強さか。ふふ、良かったね魔理沙。アイツを追えばお前の夢は叶うよ」

 

 その通り。霊夢はとっても強い。

 どんな悪霊だって一枚のお札で封印しちゃうし、特別な術式もない霊力で敵を薙ぎ払ってしまう。いつだって私の忌むべき憧憬。心に焼き付いて離れない。

 だけど、きっと、あの子を追い抜く頃には、魅魔サマも感心するような最強の魔女になってる筈よ。お父様だって、こーりんだって見直すに決まってる。

 

 

「──逸る気持ちは分かるが、無謀に片足突っ込まない程度にしないとね。どんな高名な魔女だって諦める時はすっぱり切り捨てるもんさ。根っこを忘れちゃいけないよ。志なき魔術に価値は無い」

 

 そんな事はない。魅魔様はそう言うけど、そんな魔法使いを私は見た事がない。アリスだって、当の魅魔様だって……いっぱい無理をして強くなったじゃないか。

 無謀でいられる内じゃないと、志を追う事なんて到底できない。

 夢に酔っていないと、心が壊れてしまうんだ。

 

 

 

 

「──ようこそ魔理沙。私の元に来たからには、アンタが将来どんなクソッタレな魔女になろうと腕だけは保証できるようにしてやるよ。それで、お前は過ぎた力を手に入れて、何を望むんだ?」

 

 そんなの決まっている。

 私は──……。

 

 そう。近く、より近く。

 見上げるしかなかった夜空の星々に手を掛けられるほど、大きな翼が欲しい。夢を追いかける為の原動力が。

 

 力なんか望んじゃいなかった。

 私は夢に恋焦がれるだけで良かったんだ。

 

 

 

 

 2ヶ月もの間、眠り続けていた。

 

 幽香にやられた傷、自らに付した禁術の代償、破壊された精神の修復。これらを考えると妥当なところじゃないかと思う。問題はその間の全ての世話を霊夢に任せっきりになっていた事か。

 まあ、恥ずかしいよな。色々と。

 

 勿論、目が覚めたからといって全てが元に戻ったわけじゃ無くて。未だに身体が食を受け付けない。あと下半身が麻痺し続けている。回復の兆しはあるが、相応の時間がかかりそうだった。

 栄養を補う手段を食事に限る必要はないし、飛行は出来るので日常生活が劇的に不便になる訳じゃない。問題は私の姿を見るとみんなが妙によそよそしくなっちまう事だ。身体云々よりもこっちの方が辛い。

 

 自業自得だとは思う。

 霧雨魔理沙の強みを完全に無視して、妙な女の甘言に惑わされて、幽香の挑発に振り回されて、挙句に──魅魔様から叱咤されてしまった。

 不甲斐ない。一生の恥だ。不幸中の幸いは、アリスがまだ幻想郷に帰ってきてない事くらいだな。アイツにまで笑われたら流石に堪える。

 

 だから失敗を活かしたんだ。もう二度とあんな無様な姿は晒してなるものか。

 物語の再スタートだ。霧雨魔理沙の華麗なる復活劇を幻想郷に見せつけてやる。そう意気込み、霊夢の反対を押し切って大会にエントリーした。

 幻想郷弾幕コンテストとかいうレミリアの酔狂によって始まった催し。弾幕ごっこの達人を自認する私が出ない道理はない。勿論【総合部門】を選んだ。

 

 チリチリと灼け痛む肌に薬を塗りながら、頼りない自己暗示に努める。

 

 屈辱を思い出すと勇気が湧いてくる。

 かつての願いを想起すると力が溢れてくる。

 そうだ、この煮え繰り返る灼熱の如き激情は自分に対してのものだけじゃない。私を地獄へと叩き落とした幻想郷へのリベンジでもある。

 

 ふと、私の傍に突っ立っている霊夢を横目に見る。いの一番に【総合部門】にエントリーしたくせに、今は頗る不機嫌な様子で足踏みしている。審査員に紫が居ないのが気に食わないんだろうな。

 かく言う私も少しばかり残念に思う。紫には色々と見せてやりたいものがあった。

 

「なあ霊夢さんよ。そんなに精神を乱してるんじゃ勝てる戦いも勝てなくなるぜ」

(やかま)しい! アイツらのチンタラした弾幕ごっこに飽き飽きしてるだけよ。1回戦も2回戦も、大して手応えなかったしね」

「だろうな。こんなに楽しい大会なのに退屈そうなお前が可哀想で仕方ないよ。まっ、せいぜい決勝まで不貞腐れてな」

「ふん優勝まで不貞腐れてるわよ。……ていうか、アンタ本当に楽しいの?」

「楽しんでやらなきゃ可哀想だろ」

 

 ちらりと、審査席で檄を飛ばしている主催を見遣る。私の優しさに気付いたんだろう、霊夢は納得したように気のない返事を送った。

 一応レミリアの名誉のために言っておくと、大会自体はみんな楽しんでいる。仏頂面なのは霊夢と閻魔様ぐらいだ。

 

 1回戦であらかたの有象無象は淘汰され、2回戦からは殆どの試合で激戦が繰り広げられている。レミリアの機嫌が大分良くなる程度には見ごたえのある戦いだ。私の試合を含めて2回戦が全て終了した訳ではないが、3回戦出場を決めた顔ぶれを眺めると、やはりワクワクしてしまう。

 さて、私も続かなきゃな。

 

 ちっとも反応しない下半身から目を背けつつ、車椅子から浮遊し箒に腰掛ける。飛んじまえば全部一緒だ。

 と、箒の柄をお祓い棒で叩かれる。

 

「アンタが2回戦で戦う奴、弾幕勝負はずぶの素人だけど、気を抜いたら色々ひっくり返されるわよ」

「へぇ……珍しいもんだ。お前がわざわざアドバイスをくれるなんてな。そうか分かったぜ。やっぱり決勝で私と戦いたいんだろ」

「アンタねぇ、そうやってすぐ調子に乗るからいつも痛い目を見るのよ」

 

 

 

「ん、初めて見る顔だな。それにその格好は……なるほど、お前が最近妖怪の山にやって来たとかいうトンチキ巫女2号だな?」

「いやぁ霊夢さんと一括りにされるのは色々と困ります。なんたって私はあの人のライバルなんですからね!」

 

 霊夢に比べて幾分か目に優しい配色をした巫女──名前はそう、なんたら早苗って奴だったか。ふらふらと不安定な飛行で私と相対している。なるほど、確かにずぶの素人だ。こんな様子で戦えるのか? スペルカードを扱えるようにも見えないが。

 仮にも1回戦を突破しているとはいえ、相手によってはまぐれもあり得る。試合内容を思い出せないあたり大したものでもなかったのだろう。

 

 と、早苗が「あっ!」と大きな声を上げる。

 

「貴女、見た事がありますよ! お師匠様の持ってた写真に写ってました。名前は確か……霧雨なんたらさん!」

「おいおい人の名前をなんたら呼ばわりとは失礼な奴だな。随分舐められたもんだ」

 

 いつものように。

 太々しい笑みを浮かべつつ八卦炉を向ける。

 

「2回戦で負けては守矢の名折れ──神様とお師匠様に合わせる顔がありません。この試合、勝たせてもらいますよ!」

「そうか。じゃ、優しい優しい魔理沙さんが先行を譲ってやるよ。さあ、かかってきな──私も、自慢のお師匠様の為に勝たなきゃいけないんでな」

 

 妙なシンパシーがあった。

 呆れるほど強いライバルに、偉大な師。

 この二つだけで、互いに負ける訳にはいかなくなった。無様な姿は見せられない。

 

 袖から取り出されたスペルカードが、鈍い光を放つ。

 

「申し遅れました。私は守矢の風祝、東風谷早苗! いざ──参ります! 秘術『グレイソーマタージ』ッ!」

 

 自身を中心に展開されたのは星をかたどった無数の弾幕。規則的な並び、規則的な軌道でこちらの視界いっぱいに押し潰さんと迫り来る。

 

 なるほどな……霊夢の言う通り、少なくとも並大抵の雑魚ではない。よく練られたスペルだ。しかも、よりにもよって星形弾幕か。

 近くなっていく星を前に笑いが止まらなかった。こういうシチュエーションも悪くない。掴んでやるさ、星も、夢も──お前の背中も! 

 

 帽子のツバを弾き、視界が拓けた。

 

 

 

 *◆*

 

 

 

 激しい爆発音と大衆の大歓声を壁越しに聞きつつ、一人輪から外れて紅魔館のトイレに閉じ籠っている妖怪が居たそうな。大会もフィナーレに近いこんな時に何をしているのかというと、絶賛吐き戻し中なのよね。

 

「うぉえええれえれえれ!」

 

 乙女が出してはいけない声とはまさにこれの事だろう。終わらぬ嘔吐を前に意外と冷静にそんなことを思うゆかりんであった。

 マジで酷い目に遭ったわ。黒谷ヤマメの弾幕をモロに喰らった時は死を覚悟したわね。ていうか今から死なないとも限らない。頭痛腹痛関節痛吐き気に眩暈悪寒呼吸困難鼓膜損傷等々のアンハッピーセットフルコースマックスバリューである。

 

 なんとかオッキーナの支えもあって審査を全うできたものの、流石にもう限界。

 霞む目でキーボードを叩き、チャットルームのHEKAさんと菫子に退室を伝える。二人とも高レベルなスペルが見れて相当満足しているようで、次々と感謝の言葉を伝えてくれる。……ちゃんとした返信は家に帰ってからにしましょうか。

 

 ふぅ、腹の中の物を吐いたら少しばかり楽になったわ。とはいえ今にもぶっ倒れたい気分なのでレミリアに集計結果を渡したらすぐ帰ろう。

 

 ところがどっこい。やはり簡単には帰れない! 

 なんとトイレの入り口で藍が出待ちしていたのだ! 驚きのあまり転んで便器に落ちそうになったわ! 

 くそぅ……どうして私の妖生はこんなにも困難の連続なのだろうか。呪うわ! 運命ッ! 

 

「お待ちしておりました紫様。先ほど【美術部門】が滞りなく終わったと聞いたのでお迎えに上がりました」

 

 この子、何を言ってるのかしら。滞りだらけだったに決まってるじゃないちくしょう! オッキーナと正邪ちゃんが居なかったら間違いなく死んでたわ! 

 お、落ち着こう……ゆかりんクールダウン。藍に当たっても仕方ないものね。それよりも今は気になったことを聞こう。

 

「ありがとう藍。ところでそちらの結果はどうだったの? 【総合部門】もそろそろ終盤だと思うけど……」

「……」

「あっいいわよ言わなくて」

 

 藍は【総合部門】に選手として出場してたからね。もしかして優勝したのだろうかと思ってサラッと聞いてみたのだが、藍の顔を見て察した。あの悔しさを滲ませる悲痛な表情は、つまりそういうことだろう。

 まあスペルカードルールは奥深いから、思うようにいかない部分もあっただろう。あと藍って当たり判定大きそう(小声)

 

「期待に応えられず申し訳ございません……! 3回戦で霊夢に敗れてしまい……ッ」

「凄いじゃない準々優勝よ。全然恥ずかしいことじゃないわ」

 

 まあね、霊夢相手じゃ仕方ないと思うわ! 次に切り替えていきましょう。あと別に期待とかはしてないから大丈夫よ。ロケットの搭乗権なんか手に入れても別に嬉しくないしね。

 さっき橙からも【決闘部門】1回戦敗退って知らせがあったし、八雲の大会はこれで終わりね。ささっ、今日は即撤収して何か美味しいものでも食べましょう。頑張った二人を労らなきゃね! あと早く寝たい! 

 

「次の機会があれば今度こそ無様な結果とならぬよう、日々さらなる精進を続ける所存です」

「所詮お祭り、そこまで気に病むことはないわ。さあ、私はちょっとレミリアに会ってくるから、その間に橙と天子さんと一緒に家に帰って──」

 

 

「お師匠様──ーっ!! といつぞやの九尾さん!」

 

 

 スキマを開こうとしたその時、遠くからの溌剌とした声で能力を中断されてしまった。何事かとそちらを見遣ると、廊下の曲がり角から此方へと手を振りながら駆けてくる少女が一人。

 私のことを『師匠』って呼んでくれる子なんて世界中探しても一人しか居ないわ。私も手を振り返す。

 

「やはり此方にいらしてたんですね!」

「ええ、ずっと念話に出れなくてごめんなさいね。掻い摘んでしか把握してないんだけど、貴女本当に大会に出てたの? それも【総合部門】に?」

「はい! お師匠様の提唱したスペルカードルールでの勝負ですから、一番弟子である私が出ない訳にはいきません! 霊夢さんと一緒にスペルを作っておいてよかったです」

「あらそうだったの。それはさぞ良い経験になったんでしょうね」

 

 どうなら大会参加の動機は私だったようで。正直危ないことは控えて欲しいんだけど、私の事を想っての行動じゃあまり悪く言えないわ。取り敢えず「ありがとう」とだけ言って頭を撫でてあげた。

 ちなみに結果としては2回戦で魔理沙に敗れてしまったらしい。まあ魔理沙は回避のスペシャリストだし仕方がない! 早苗は悔しがってたけど気にしなくていいわ! 

 

 ……あれ? 2回戦? 

 

 

「おっ、紫と狐じゃない。お前達も終わったのか?」

「紫さま、藍さま! 戻りましたー!」

 

 

 続け様に反対側から現れたのは天子さんと橙。

 二人はマヨヒガで行われていた【決闘部門】に参加してたからね。当然帰路も同じ道順になったという事か。藍と違って天子さんと橙は仲悪くないし。

 早苗向けに二人の紹介を(守矢神社ごと妖怪の山を吹っ飛ばした事は隠)しつつ、いつ頃帰宅の話を切り出そうかと視線を向ける。

 

 しかし天子さんはそんな私の意を解す事はなく、橙と肩を組むと、瞳を輝かせながら朗らかに笑う。あら良い笑顔。

 

「気まぐれで参加してみたが中々の収穫だったわ。幻想郷は本当にどこもかしこも面白い奴だらけなんだな! とっても楽しめたよ」

「天子さんって凄いんですよ! あの風見幽香にまで勝って決勝戦まで勝ち進んじゃったんです! まあそこで負けちゃったんですけど」

「準優勝ですか! 比那名居さんは実力者なんですね」

 

 えっ2位だったの!? 凄っ! 

 褒めちぎる早苗と橙に対し天子さんは澄まし顔だ。

 

「実戦なら負けないだろうがな。だがそれでも奴はかなりの戦巧者だった。優勝とまではいかなかったけど、これもまた一つの収穫だ」

 

 敗北に不満を言うのかと思いきや、意外と清々しい様子でそんな事を一息に語ってくれた。そして案の定、藍を見る。喧嘩始まるわこれ(経験則)。

 

「で、大口叩いてたそこの狐はどうだったんだ? 勿論華々しく優勝してくれるもんだと期待してたんだけど……ん? おかしいわね。いま決勝戦の筈なのになんで此処にいるのかしら?」

「チッ……」

「あはは、まあ気にしないことね。次があるまでにせいぜい頑張って美的感覚を鍛えておけばよろしい。いや獣には難しいかな?」

「よりにもよって貴様が美を語るのか? 脳味噌空っぽな貴様では1回戦すら勝ち上がれないだろうな。まあスペルカードルールは天界を追い出されるような野蛮な天人崩れには少々酷な戦いだ。せいぜい脳筋共の巣窟でお山の大将を気取っているがいい」

「んだとテメェ……」

 

「いい加減になさい、二人とも。ここで貴女達が争ったところで何も得られないわ。むしろ互いの健闘を称え合った方がよほど建設的だと思うのだけど」

「も、申し訳ございません」

 

 口喧嘩が拳の応酬に発展しそうだったので慌てて仲裁に入る。此処で二人が物理で殴り合いを始めたら間違いなく紅魔館が吹き飛ぶ! そうなると私がレミリアに頭を下げなきゃいけなくなるのよ! マジやめて! 

 なにより私や早苗がタダじゃ済まない。早苗に傷ひとつでも付けた日には神奈子に御柱ですり潰されること間違いなしである。

 

 ていうか準々優勝も準優勝も凄い事よ。藍は組み合わせさえ良ければ決勝にだって行けただろうしね! 仮に私が参加したら百回やって百回とも初戦敗退は確実。万年一回戦ガールになってしまうわ。ヤムチャよヤムチャ! 

 まあつまるところ、二人とも私自慢の(契約)(ビジネス)パートナーってわけ! 

 

「お師匠様の周りはいつも楽しそうですね」

「うん。紫様はすごいんだよ」

 

 

 

 と、そんな感じの一触即発なイベントがありつつも体力の限界は刻一刻と近づいているので、あの後すぐにレミリアと合流する事にした。

 藍達には先に帰ってもらっても大丈夫と伝えたんだけど、表彰式までは残ってるんだって。まあそういう事なら私だけで帰らせてもらうわ。

 

 スキマを開いていざバルコニーへ向かう。中庭が【総合部門】の会場になってるから、見下ろす位置にあるそれは審査をするにはうってつけの場所と言える。

 到着すると同時に、眼下の殆どを鮮やかな弾幕の群れが埋め尽くす。まだ決勝は終わってなかったのね。もう結構経ってる筈なんだけど。

 

 取り敢えず近くの四季映姫に気付かれないよう、そそくさとレミリアの横に移動する。

 

「審査中にごめんなさいね。【芸術部門】の集計が終わったので持って来ましたわ」

「ん、ご苦労。良いものは観れたかしら?」

「それはもうたっぷりと」

 

 まあ綺麗な弾幕も結構あったしね。

 レミリアは此方を見る事なく集計表を受け取った。試合に集中してるみたいね。ふと横を見ると、はたてや映姫も固唾を飲んで試合の行方を見守っている。

 

 霊夢vs魔理沙か……。約束された組み合わせって感じね! さて、ドリームマッチと言えなくもないけど、果たして魔理沙に勝機はあるのかしら? 

 ここまで試合がもつれ込んでるのを見ると拮抗した戦いになってると思うのだけど、途中からじゃ今が魔理沙のターンって事しか分からないわ。

 まあ二人ともやってる事が高度過ぎて解説もできないから、簡単な応援を飛ばすくらいしかできないわね。どっちともがんばえー! 

 

 っと、スペルブレイク。1分以内に仕留めきれず、魔理沙は悔しそうに上空を旋回する。霊夢は息一つ切らさず余裕の立ち回りである。

 ド派手な魔砲をこれでもかと撃ちまくってたのに、霊夢に触れる事能わず……まあカスリはするんだけど。ホント凄いセンスよねぇ。

 

 場の緊張感が一気に重くなる。その重圧たるや、先程までの比ではない。スペルカードを取り出す霊夢に対して、魔理沙は強張った顔で汗を拭っている。

 私にもなんとなく予想が付いた。恐らく、これが6回目。最後の攻防であると。

 

 

「調子は戻ってるみたいね。ここまで食い下がってくるとは思わなかったわ」

「お褒めに与り光栄だな。だけど勝つのは私だ。さあ来な! ラストスペルだ」

 

「……悪霊『夢想封印 魔』」

 

 

 あら? ラストは夢想天生じゃないの。

 

 所在なさげに浮遊している陰陽玉が鈍い光を放ち、禍々しい魔力が霊夢に纏わりつく。黒髪に深緑が混ざり、下半身が薄くなり、お祓い棒を杖のように振るう。身体から溢れ出す魔力は刺々しいスパークとなって迸る。

 その佇まいはまるで、御伽噺に出てくるような魔女を彷彿とさせた。

 永琳戦で見せたあのカッコ良くなる技ね! けどあの時はもっと赤色になってたし、鬼のようなツノが生えてたと思う。亜種かしら? 

 

「『ここまで頑張ったご褒美だ』って言ってるわ。面倒臭いけど万が一にも負ける訳にはいかないし、これで決めるわ。とっておきのエクストラを堪能させてあげる」

「とんだ……サプライズだな。嬉しくて嬉しくて涙が止まらないぜ」

 

 決着の刻はもう間も無くだ。

 

 

 

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 紅魔館正門に設置されたお立ち台に審査員並びに紅魔館スタッフ一同が並び立つ。当然私も強制されたため中々震える足腰に鞭を打ちつつレミリアの横に陣取っている。帰れない……! 

 ていうかね、結果発表と表彰、そして閉会の言葉で大会は終わりって聞いたからすぐ終わると仮定して了承の意を伝えたんだけど、レミリアによる大会の総評や御言葉がめっちゃ長えですわ! 校長先生気取りね……! 

 

 ほらみんなも飽き飽きして野次飛ばしまくってるじゃない。長ったらしい言葉なぞ不要とばかりにあちらこちらで弾幕が飛び交っている。一々回収してるメイドはマジお疲れ様って感じよ、

 

 通算4度目になる咳払いでようやくスピーチを打ち切ったレミリアが、不服そうな顔を見せながら睨みつけてくる。帰りたい。

 

「フン、せっかちね。……とまあ私からのありがたい言葉はこのくらいにしておこうかしらね。それじゃあお待ちかねの表彰式といこうか」

 

 あっ、皆が待ちかねてたのは分かってたのね。

 

「まずは【決闘部門】ね。私は直接試合を観てないけど、随分白熱した死合いだったと聞いてるわ。まずは参加者全員の健闘を称えましょう。──そして栄えある初代チャンプに輝いたのは…… ココなんて読むの? 

ウドンゲインよレミィ

「コホン……優勝はレーセンウドゲインイナバ! 壇上に上がって来なさい!」

 

 聞き慣れない名前に会場一同首を傾げた。「誰?」「外国の妖怪か?」「何処の馬の骨だよ」といった声すら上がっている。かく言う私も誰なのか検討もつかない。レーセ・ンウドゲイ・ンイナバ……アフリカ出身かしら? 

 

 そして現れたのは、頭の天辺に2本の突起物を携え、全身をギブスと包帯でグルグルに固められ、呼吸器を装着し、車椅子に乗せられて痛ましい姿をありありと見せつける謎の人物。そして何故かそれを押す妖夢だった。

 …………いや、誰? ミイラ男? 

 けどミイラ男には突起物なんてないしねぇ。

 

「貴女のようなダークホースがいてこそ大会が盛り上がるわ。何の取り柄もない八意永琳の腰巾着かと思っていたけど、案外やるものね。率直に言って感心した」

 

 確かに【決闘部門】には錚々たる面子が参加していた。私だって、優勝は多分萃香あたりだろうなーって思ってたのに、蓋を開けてみれば謎のミイラ男さんが優勝だなんてね。世界は広いわ……まさか幻想郷の外にまだこれほどまでの剛の者が居たとは。

 

 ちらほらと、ミイラ男さんの大健闘を讃える拍手が広がり始めた。

 

「さあウドゲイン、優勝インタビューの時間よ。今の意気込みを存分に語りなさい」

「……ぁ……ぅ」

 

 レミリアの押し付けたマイクが口部分にめり込んでるせいで悶えてる! 何というか……大変ね(他人事)。

 さあ気になるミイラ男さんの第一声である。

 

「……ぜ、ぜんぞぅを……」

「ん?」

「ぜんぞぅを……やめでくだざぃ……」

「あー聞こえんなぁ。まあその調子じゃ月での戦闘は難しいだろうし、貴女には副賞と栄誉のみ授けるわ。月での吉報を楽しみにしてなさい」

 

 スピーチの途中でマイクを握りつぶし退去が命じられる。ミイラ男さんはまだ何やら言いたげに口をモゴモゴさせていたが、そのまま壇上から降ろされてしまった。介護している妖夢の哀れな者を見るような目が印象的だった。

 

「さて、という訳で宙ぶらりんになったロケット搭乗権だが……まあここは準優勝の者に授けるのが相応しいでしょうね。比那名居天子、どうかしら?」

「副賞なんて興味無いし、構わん。私もそろそろ月の都に行きたいと思ってた頃合いだし」

「決定ね。戦闘力()()は期待してるわ」

 

「おめでとう天子! 頑張ってね!」

「うん、ありがとうほたて。ちょっと時間がかかったけど、これで私達の野望も一歩前進だな!」

「だからほたてって誰よ」

 

 口では何でも無いように語っている天子さんだが、思わぬ棚からぼたもちに笑みを隠しきれなくなっていた。やっぱり彼女は持ってるわね。

 あっ、ちなみに副賞っていうのは紅魔館特製青ワイン500年分の事である。多分廃棄処分する予定の物を無理やりねじ込んだのだろう。一口試飲させてもらったけど……要人暗殺には最適かもね(精一杯のフォロー)。

 要するにミイラ男さんの苦難は続くって事ね。

 

 

「続いて【美術部門】だけど……同率1位か。どちらも素晴らしい演技を披露したようだが頂点は常に一人よ。どういう事? 紫」

 

 睨み付けられた拍子にマイクを落っことした。急に矛先をこっちに向けるのはやめてほしいわ! 心臓がドキってなるから! 

 そう、まさかの同率。幽々子と輝夜の一騎討ち状態なのである。

 

 いやまあね? 私達も二人のスペルに優劣を付けるべく色々話し合ったんだけど、オッキーナ&正邪ちゃんは輝夜派で、私は幽々子派だったのよ。この時点で多数決により輝夜の優勝が決まったと思うでしょ? 

 

 ところがどっこい。

 

「そうそう、私は月に行かないから負けで〜」

「ごめんなさいね。私は罰で月から弾かれてしまうから、ロケットに乗れないの。だから負けで」

 

 二人揃ってこれである。

 これには流石のレミリアもブチ切れた。即座に審査員一同で止めに入らなければ幽々子は兎も角として輝夜は肉片と化していただろう。ちなみに私は余波を受けて壇上から転がり落ちてたわ。

 まあレミリアの怒りも分かるけどね! まさか冷やかし組が優勝してしまうなんて大会ぶっ壊れである。ただレミリアも埒が明かないと判断したのか、ひとまずロケットの搭乗権を誰に与えるかの議論となった。

 

 審査員一同で円陣を組む。

 

「あの二人は無いとして、それに続く点数だったのは誰だったんですか?」

「3位は我らがリーダーわかさぎ姫ですね。ただ……彼女は長期間のロケット移動に耐えられませんよ。水槽諸々でスペースも要りますし。なんとか月に着いてしまえばかなりの戦力になるでしょうが」

「4位は?」

「……チルノね」

「論外」

 

 あーでも無い、こーでも無いと話し合った結果、妥協点として四季映姫の案が採用される事になった。要するに丸投げしたのである。

 呆れた顔で映姫は淡々と語る。

 

「まず、月に行く事ができない──つまり、元々参加資格を有していなかった蓬莱山輝夜を失格とし、西行寺幽々子を一応の優勝者とする。そしてその西行寺幽々子に搭乗権を受け取る意志が無いのなら、彼女に権利の移譲を行わせることとして決着すればいいでしょう」

「あらそう? なら紫で」

「嫌よ」

「じゃあ妖夢で」

「幽々子様っ!?」

 

 しれっと月に行かされそうになったので断固拒否する。「人間土から離れては生きられないのよ!」ってジ〇リでも言ってた! 

 結果、選ばれたのは妖夢でした。まあ幽々子が選ぶなら妖夢が候補に挙がるのは当然である。そして主君に従順な彼女は命令に逆らえない。

 詰んじゃったわね。

 

【決闘部門】2回戦負けの妖夢を代表に選んでも良いのかって声も挙がるかと思ったんだけど、意外や意外、レミリアは快くオーケーを出した。

 幽々子に対しては当たりが強いのに、なんで妖夢をそんなに買ってるんだろう? うーん……謎である。

 

 

 

 

「では最後に【総合部門】ね。まあ思いの外楽しめたと言っておこうか。こっちは順当に行きすぎて少し結果に物足りなさを感じるのも事実だけど」

 

 大番狂わせが少なかったのは確かである。というか最初から誰が優勝するのか全員薄々勘付いていたのも大きいわね。そのくらい圧倒的だった。

 

「優勝は博麗霊夢。【総合部門】で唯一、一切の被弾を許さず勝ち続けたその強さは感嘆に値する。私の下で存分に力を振るうといいわ」

「いつから私がアンタの下についたのよ」

「いつだってウェルカムよ」

 

 はいストーップ! ウチの子への勧誘はいついかなる勢力からも受け付けてないわ。

 抗議の意を込めて二人の間に割り込むと、両者から丁寧な舌打ちが飛んできた。もうちょっとゆかりんに対して優しい対応があろうもん……! 

 

「ひとまずこれで各部門の優勝者発表は終わりなんだけど……一つだけ言っておかなきゃいけない事があるわ。──霊夢に搭乗権を渡すつもりはない

 

 何言ってんだコイツと、周囲の喧騒が一層大きくなる中、私は一人感心していた。

 霊夢は幻想郷の要である。あの子を喪う事は即ち幻想郷の崩壊に直結する。博麗の血脈が絶たれるのというのは、賢者全員が同時に消し飛ぶ事よりも深刻な事態なのだ。多分! 

 そんなあの子を月に行かせるなんて、そんなこと許せるはずが無いわよね。レミリアは兎も角として、天子さんと妖夢は危なくなったら藍に頼んで回収してもらうつもりだった。しかしそれでも危険、危険なのだ。僅かな交戦でも命を落とす可能性は十二分にあり得る。遠く離れた月の地ではサポートも限られてしまうしね。

 だから何が何でも霊夢のロケット搭乗は阻止するつもりだったのよ! 

 

 しかし、レミリアは霊夢が持つ重要性の"意味"を把握していた。だからこうして月への招待を撤回したのだろう。

 見直したわレミリア。暴力と威圧ばかりの無法者だった貴女が、まさか幻想郷の為を思って自重してくれるなんてね。こんなに嬉しいことはない──。

 

「というのも霊夢の征討者(クルセイダーズ)参加は大会以前に決定事項なのよ。なにしろ三段ロケットの動力源は霊夢で、今回の作戦のキーになる。搭乗権が重複してしまうから渡せないという訳。よって魔理沙が──」

 

 ──前言撤回ッッッ!!! 

 

 自重どころかとんでもないことになりかけてた! 霊夢の力をあてにして計画を立てていたなんて、この大賢者八雲紫の目をもってしても見抜けなんだ……! 

 許せる筈がないでしょうが! 

 しかもレミリアの口振りでは既に霊夢から了承を得た後のように見える。ここが分からないのよ。あの霊夢がレミリアの稚拙な計画に乗り気になるとは到底思えないのだ。あまりにも火急の出来事であったため、人目も気にせず霊夢へと詰め寄る。

 

「霊夢! 貴女……私に黙って何をしているの」

「こんな事で一々報告なんかしないわよ。馬鹿馬鹿しい」

「……月に行く事は許さないわ。今ここで参加を撤回する事、いいわね?」

「嫌よ」

 

 あんまりな態度に思わず語気が強くなる。

 

「巫山戯るのも大概になさい」

「それはこっちの台詞。私のやる事に口を挟むな」

「まさか自分の立場が分かっていないとは思いたくないのだけどね。貴女の強さは十分理解しているけど、そういう問題じゃないでしょう?」

「は?」

「どうせ観光気分の軽い気持ちでレミリアの誘いに乗ったんでしょう? 私からすれば甚だ愚かな決断としか思えないわね」

「アンタがどう思おうが私の心は私が決める。好き勝手言ってんじゃないわよ」

「余計な事に首を突っ込まないでって言ってるのよ。貴女が月に行ったところで何も変わらないわ。幻想郷を無闇に危険に晒すだけ」

 

 私の言葉に霊夢の目が吊り上がる。ワードチョイスを誤ったと後悔したが、退く訳にはいかない! あんな魔境に霊夢を送るなんて許されないもの! 

 

「貴女の身は貴女一人で抱えるにはあまりに重過ぎる。此度の決断に如何なる想いがあろうが、許されない一線は存在するわ。……言う事を聞きなさい」

「……たかが妖怪が私に指図しないでくれる?」

 

 底冷えするような冷たい眼差し。

 明確な敵意が形となり、私の胸倉を掴む。

 

「長年の疑問が漸く結論付いたわ。結局、私はアンタから見て使い勝手の悪い道具でしかないんでしょう? 所有物に逆らわれて、だからイラついてる」

「くだらないわ。的外れも甚だしい」

「……もう二度とアンタの顔なんか見たくないわ。金輪際話しかけないで」

「そう、分かったわ。であれば私から言う事は何もない。無事を祈ります」

 

 これ以上の会話は不可能だった。

 胸倉から手を離した霊夢を精一杯睨みつけ、震える唇を強く噛み締めながらスキマに潜る。あの場にあれ以上留まるのは無理だ。

 

 突然帰宅した私に驚いた藍や早苗から心配する念話が散々届いたが、当たり障りのない回答だけ残してぼんやり庭先を眺める。心が落ち着くというよりは、思考が完全に削げ落ちているのだろう。

 藍達が帰ってきて、日が沈み闇が帳を下ろしてようやく、時の流れを感知できた。

 

 布団に入って天井を眺める。

 この日、私は盛大に枕を濡らした。

 

 

 

 あーん霊夢に嫌われたあぁぁぁぁ!!!! 

 

 




おぜう「なんか急に喧嘩始めやがったんだが」
魔理沙「私の試合も受賞も悉くカットされたんだが」
せーじゃ「反逆キタコレ!」

レイマリは片方が安定すると途端にもう片方が不安定になる法則でもあるのかもしれない。

魔理沙パートからゆかりんパートへの落差が酷すぎるんだ……!
魔理沙の対戦相手は1回戦お燐、2回戦早苗、3回戦文と結構なハードモードだったりします。うどんちゃんとタメを張るくらいの死のブロックです。1〜3回戦全てで被弾してますが根性で勝ち上がってます。霊夢戦では全てのスペルを被弾無しで切り抜けましたがグレイズの差で判定負けとなったようです。

ちなみに早苗の1回戦の相手は小傘で、対戦カードを見た瞬間棄権を申し出たそうです。よって魔理沙の印象に残らなかったとかなんとか。



Q1 妖夢に対してレミリアなんか甘くない?
A1 春雪異変や永夜異変の時のあれこれをかなり評価してるそうですよ。隙あらば勧誘して幽々子に一蹴されてます

Q2 優勝者が誰もロケットに乗ってない件について
A2 「面白けりゃ何でもいいよ」

Q3 霊夢とゆかりんはなんで急にキレたの?
A3 普段からゆかりんにイラついてた&ノリ&暇を持て余した誰かの悪戯

Q4 ゆかりんは結局霊夢のことどう思ってるの?
A4 作中何度も言及してる通り大切な娘だと思ってるけど、一癖あったりします。なんで娘だと思ってるのかとか、それはそれとして幻想郷運営のための道具とも思ってるのかどうかについては実のところ未だ不明。

Q5 ゆかりんから霊夢への信頼度低くない?
A5 vs萃香でボコボコにされてるのを見て以来ちょっと過保護気味になってます。あと単純に永琳含めて月勢がトラウマ。1話時点のゆかりんなら多分ノリで霊夢を月に送り出してた。成長してる!!!


次回──『奴らが来る』
なんだかんだ山場が近付いてきてるのかもしれない
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