ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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皆様。本日もご覧いただきありがとうございます。

スクフェスでのイベント楽曲“近未来ハッピーエンド”でスコア1,000,000の壁を越えることが出来ないQooオレンジでございます。


さて、今回はのんたん生誕祭の5回目になります。


それでは 2017 東條希生誕祭特別編「Early Days ~もしもから、きっと~ ⑤」 始まります。

















2017 東條希生誕祭特別編「Early Days ~もしもから、きっと~ ⑤」

「目標が見えて来ましたが…あれはまた随分と派手なカラーリングの機体ですね…。あの形状ならベースはドッゴーラでしょうか?それにしても…海中戦闘がメインの今回の“大海戦ミッション”で、視覚効果を無視してあれだけ派手なカラーリングをするなんて、余程の馬鹿か、それとも腕に余程の自信があるのか…。まぁどちらでも構いませんか。どうせすぐに墜とすんですから。」

 

「ウミヘビさん、赤と黄色と緑色だね。むぅ。うん。なんかスッゴい派手だね。」

 

ウチらの味方を次々に撃墜して行っとる、広域レーダーで捕捉した大きな機影。

 

その大きな機影の快進撃を止めるために、あの頃のウチらは真っ直ぐにレーダーに反応のある地点へと向かったんよ。

 

途中でたま~に湧いてくるん、AI制御の無人の青い海中用ハイ・モック“マリン・モック”を片付けながら進んどったウチらのモニターに、いよいよソレは見えてきたんよ。

 

その機影はまさに大きな“ウミヘビ”。

 

機体の色は赤と黄色と緑。

 

ラスタカラーって言われてる配色やね。

 

ベースになってるのは、あの子が言っとったように、Vガンダムに出てきたザンスカールのMA“ドッゴーラ”やね。

 

上半身だけは普通のMSみたいに、胴体に頭と手が付いとるんやけど、下半身はなっが~いヘビみたいににょろにょろっとなっとるんよ。

 

その“ウミヘビ”の手には、先端にナイフが取り付けられとる水中用のライフルが握られとったんよ。

 

武装は水中用ライフルだけなんやけど、あの“ウミヘビ”は海の中での機動力が半端ないんや。

 

あの頃のウチらの味方のみんなも、海中戦闘用に改造した機体がほとんどやったから、機動力は高い方やったんやけど、“ウミヘビ”はあの頃のウチら以上の機動力でうねうねと海ん中を泳いどったなぁ…。

 

うん。ぶっちゃけラスタカラーのド派手な“ウミヘビ”がうねうねと海ん中を泳いでこっち来るんはキモかったなぁ。

 

[[フン!色なんてどうでもえぇーわい!ワシのシマ荒らすなんぞ!舐めた真似し腐ったクソには一発キツいお仕置きかましてやるわい!こんボケが!ゴルゥラァァァァァ!!!逝くぞ!マサァァァァァ!!!]]

 

[[ヘイ!おやっさん!!!野郎共!おやっさんに続きやがれぇぇぇぇぇ!!!]]

 

[[[[[[[[[おうよ!海蛇狩りじゃぁぁぁぁぁぁぁ!]]]]]]]]]]

 

モブのおっちゃん達も威勢よく“ウミヘビ”にかかっていったんやけど、まぁモブのおっちゃん達は名も無きモブやしね。

 

先行した黒澤漁業連合のおっちゃん達は、このあとすぐに黒澤のおっちゃんとマサさんを残して、あの“ウミヘビ”の尻尾(ウミヘビで尻尾って言うんもなんか変やね?)に凪ぎ払われて、海底に沈んで行ってもうたんよ。

 

世間一般で言う、撃墜ってヤツやね?

 

ちなみに…“大海戦ミッション”でヤられてしもうた機体は、次のバトルでは1番後方の母艦から再出撃になるんよ。

 

生き残った場合は、バトル終了時に1番近い母艦からの再出撃なんよ?

 

せやから、“ウミヘビ”にヤられたモブのおっちゃん達は、次の週の出撃では1番後ろの母艦からの再出撃になるんやね。

 

ヤられてからの再出撃は前線まで距離が離れとるんで、移動にちょい時間がかかってしまうんよ。

 

だから、再出撃は結構イタいタイムロスになってしまうんよ。

 

ところで黒澤のおっちゃん。

 

シマ荒らすとか言っとるけど、ソレってヤクザ屋さんの理論だとウチは思うんやけど…気のせいやろうか?

 

しかもおっちゃんのシマは内浦やろ?

 

あの頃のウチらが居たんは内浦やないんよ?

 

おっちゃんって仲間想いでいい人やから、あの“ウミヘビ”に味方がぎょ~さんヤられて頭にキテるんはわかるけど、もうちょいヤクザ屋さん成分を抑えなあかんよ?

 

むぅ…?なんでこんなんヤクザ屋さんモドキのおっちゃんの娘さんの真珠ちゃんが、あんなんお淑やかで品のある女の子に育ったんやろうか?

 

不思議やねぇ~。

 

[[ちょっと!待ってよ!お頭さん!マサさんも!あー!もう!勝手に先行して!仕方ない!私たちも行くわよ!ほら!キミもボケッとしてないで!彼氏なら彼女ちゃんのドム子ちゃんに良いとこ魅せなきゃ!頑張れ!男の子!]]

 

おおっと♪マヒねーちゃん♪

 

ウチがあの子の彼女ちゃんやなんてイヤやわぁ♪

 

こんときのウチらは“まだ”、そんなん関係やないんよ♪

 

ウチとあの子がらぶらぶになるんは…むふふふ♪

 

「ドム子が僕の彼女?真海さん。お願いですからその手のうすら寒い冗談は止めて下さい。全くもって笑えませんよ。」

 

むぅ!あんときも思ったことやけど!キミ!うすら寒い冗談ってちょい酷くないかな!

 

否定するにしても、もうちょい慌てて否定して欲しいなぁ。

 

ち、違うよ!僕とドム子ちゃんはそんな!恋人ととかじゃ…でも…いつかは…。

 

とか?

 

……自分で言っといてなんやけども、ないわぁ…。

 

そんなんあの子のキャラやないなぁ…。

 

「むぅ!ねぇ!それって私に失礼なんじゃないかな!私がキミの彼女じゃイヤなの!私!良いお嫁さんになるって、いつもお母さんに誉められてるよ!私がお嫁さんじゃイヤなの!むぅ!むぅ!むぅ!」

 

むっふふ~♪そうそう♪あの頃のウチ♪良いこと言ったやん♪

 

ウチは立派なお嫁さんになるで~♪

 

まぁ料理は…料理だけやなくて家事全般もやなぁ…あの子の方が得意やねんけど…。

 

いつの間に家事スキルのレベルにあんなに差が開いていたんやろか?

 

普段から“主婦”しとるにこっちには流石に勝てへんけど、ウチやって一人暮らししとるんやから家事はそれなりに得意な方やねんって思っていたんやけどなぁ…。

 

驚いたことにあの子はにこっち以上に“主婦”やったんよ…。

 

この前の合宿んときのお味噌汁…ウチの作るお味噌汁なんかよりも遥かに美味しくて、地味にショックやったなぁ…。

 

プロボーズの言葉で、“毎朝!僕の味噌汁を作って下さい!”とか言われてみたかったんやけど…。

 

あの子のお味噌汁の方が美味しいんやから、そんなん言わんやろうなぁ…。

 

「お付き合いを飛び越してどうしていきなりお嫁さんになってるのですか?貴女と交際するのは別に嫌ではありませんよ…。ただ僕は…僕には………いえ。やっぱりいいです。なんでもありません。さて、お喋りはこの辺にして、そろそろ僕達もウミヘビ狩りに加わりましょうか?早く行かなければお頭さん達に先を越されてしまいますからね。行きますよ!ドム子!」

 

「むぅ?なんかはぐらかされた?」

 

まぁお嫁さんは家事だけが仕事やないから、家事スキルで負けてても気にしない気にしない♪

 

疲れて帰ってきたダンナ様を癒してあげるんも立派なお嫁さんのお仕事やねん♪

 

はさんでよし♪わしわししてもよし♪顔を埋めてもよし♪もちろんむしゃぶりついてもえぇ~んよ♪

 

ウチのこの自慢のおっきなオッパイでじっくりたっぷり♪疲れた心と身体を癒してあげるんや♪

 

ね♪そうやろ?あの頃のウチ♪

 

だから大丈夫やで♪

 

今は…あの頃のウチらはまだお互いに子供でどうにもならんかったけど、今のウチはあの子のことを絶対に逃がさへんから♪

 

むっふふ~♪もうターゲットはロックオンしとるんよ♪

 

だから安心してや♪

 

安心して…お別れしてや…。

 

大丈夫…いつか、きっと。

 

ウチらはまた出逢えるから…。

 

あの子はまだウチが“ドム子”やって気付いておらんみたいやけどね?

 

むふふ♪そろそろみんなもあの子の正体に気付いてるんとちゃうかな?

 

そうなんよ。

 

ウチの初恋の人は…あの子は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[[当たった!けど効いてないし!あの装甲を貫くには“フリンティ・アクアマリン”の銃器じゃ威力が足りないって言うの?!ホント!何なのよ!この“ウミヘビ”は!装甲は硬いし足が無い癖に足は速いし!強すぎでしょ!っ!そっちに行ったわよ!気を付けて!]]

 

そんなこんなで始まった、ウチらとラスタカラーのド派手な“ウミヘビ”との海中戦。

 

さっきもちょい話したんやけど、モブのおっちゃん達は“ウミヘビ”の尻尾で凪ぎ払われたり、手に持っとる銃剣付きの海中銃で撃たれたりぶっ刺されたり…あっという間に壊滅してしまったんよ。

 

モブのおっちゃん達やから仕方ないんやろうけど、ウチとしてはもうちょい頑張って欲しかったなぁ。

 

“ウミヘビ”と対峙して、最後に残ったんはあの頃のウチとあの子のペアに黒澤のおっちゃん&マサさんの漁師コンビ、そしてマヒねーちゃんの合計4機。

 

みんな口には出さんかったけど、あの頃のウチらが4機でかかればどうとでもなるん思ってたんよ。

 

実際、マヒねーちゃんの射撃は装甲は貫けなかったけどちゃんと“ウミヘビ”には当たり始めてたんやし、いくら速度に差があるちゅーても、このまま黒澤のおっちゃんとマサさんとあの頃のウチらで囲んで一気に接近戦に持ち込めば良かったんよ。

 

みんなそれはわかっとったから、接近戦で仕留めるために距離を詰めようとしてたときに、おあつらえ向きに“ウミヘビ”の方からあの頃のウチらの方へと接近してくれたんよ。

 

中々に強敵やったけど、“ウミヘビ”との戦闘もこれで終わりやね♪

 

「飛んで火に入るなんとやら、ですね!あちらから近付いてきてくれたのならば好都合です!硬すぎて銃器が効かないのならランスで仕留めればいいんですよ!一気に串刺しにして僕の本日の糖分補給の糧にしてやります!行きますよ!ディープダイバー!出力全開です!今日の糖分は夕方限定のメガ盛りプリンです!」

 

って、こんときはきっと誰もがそう思ったんよ。

 

でも…この場面でガンプラバトル初心者(と言うんか初めてのガンプラバトルやなぁ。)やったあの頃のウチが、最大級の“ちょんぼ”をしてしまったんや。

 

ん?最大級のって、一体ナニをしたのか?やって?

 

あんな?こんときは海ん中を縦横無尽に駆け抜けてのバトルやろ?

 

上へ下へ、右へ左へでコクピットの中はめっちゃ揺れるワケやねん。

 

今のウチやったらオッパイがばいんばいんになって大変なことになるくらいに激しい揺れやったんよ。

 

ホンマやで?海ん中でのバトルってそりゃもう騎乗位かい!ってくらいの大揺れやねん。

 

そんな大揺れの中でも特に一際激しく揺れたときにな?あの頃のウチは間違って変なボタンをポチっとなってしてしまったんよ。

 

アホやろ?

 

それこそ穂乃果ちゃん級のアホやねん。

 

そんなアホな凡ミスのせいで、あの頃のウチらはこのすぐあとに“ウミヘビ”に巻き付かれて大ピンチになってしもうたんや。

 

「………あれ?出力が上がらない?!って!なんで逆にパワーダウンしてるんですか?!ディープダイバーに異常は無い筈なのに出力がどんどん低下していく?!どうして急にこんな事に?!」

 

「わわっ!ゴメン!それって私のせいかも!揺れてるときに間違って変なボタンいっぱい押しちゃった!」

 

「んな?!ドム子!貴女はこの大事な場面でなんてことを!どのボタンを押したのですか!いえ!こちらで調べます!貴女はこれ以上、変なボタンを押さないで下さいよ!機体自体に異常はないんです!たぶん可笑しくなったのは管制システム…とりあえずはシステムチェックを!」

 

[[ちょっと!危ないわよ!!!前!前!ちゃんと前を見て!“ウミヘビ”が来てるわ!早く避けて!尻尾に捕まるわよ!]]

 

「えっ?!チッ!コイツ!いつの間にこんな側に!早く回避を!っ!クソ!出力が低下したままかよ!ダメだ!間に合わ…うわぁぁぁぁ!!!」

 

「わ!わ!ウミヘビさんが!あっ!捕まっ!きゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

と、まぁこんな感じで機体の出力が上がらんから、まともに機体が動かんせいで回避が間に合わんかったんよ。

 

当然、回避が間に合わんから、にょろにょろって近付いてきたド派手な“ウミヘビ”ちゃんに巻き巻きされてしもうたんや。

 

[[ボウズ!クソが!ワレェェェェェェ!!!ボウズを放さんかい!ボケェェェェェェ!!!]]

 

[[おやっさん!いけやせん!今あの“ウミヘビ”野郎を撃てば!坊主にも当たってしまいやす!]]

 

“ウミヘビ”に巻き付かれて動けなくなったあの頃のウチらを助けようと、黒澤のおっちゃんが左手に持っとった水中用マシンガンで狙おうとしてくれたんやけど、ウチらにも当たってしまうんいうて、マサさんに止められてしもうたんよ。

 

まぁこれはおっちゃんの射撃の腕の問題やのうて、マシンガンとかの実弾をばらまく系の武装やと、ピンポイントで狙うんはちょい難しいからしゃ~ないんやけどね。

 

[[チィ!面倒な!なら接近戦じゃぁぁぁぁぁ!!!]]

 

[[お頭さんのフィッシャーマン・ロディでアレに近付けるの?!無理に決まってるでしょ!速度が違いすぎるわ!]]

 

[[ならお嬢はボウズとドム子の嬢ちゃんを見殺しにせぇーちゅーんか!]]

 

[[そんなことは誰も言ってないわよ!私の“フリンティ・アクアマリン”なら追い付けるかもしれないから!ここは私が!]]

 

黒澤のおっちゃんの“フィッシャーマン・ロディ”も確かに水の中では脚は速い方やけど、ウチらを締め付けながら距離を取り始めとるこの“ウミヘビ”はそれ以上に速い機体やったんよ。

 

だから、おっちゃんに代わって海中でもかなりの速度が出せるマヒねーちゃんの“フリンティ・アクアマリン”が、ウチらを助けるために“ウミヘビ”を追い掛けようとしたんやけど…。

 

「アンタ等!なんでもいいから早く助けろよ!」

 

突然、あの子がキレてしもうたんよ。

 

あの子…普段は特大のネコを被って、イイ子ちゃんを演じてあんな慇懃な話しとったんよ!

 

あの頃のウチは急に豹変したあの子の話し方にビックリやったんやで!

 

今のウチならあの子のさっきまでの胡散臭い話し方よりも、こっちのちょい乱暴な話し方の方がしっくりと来るんやけどね。

 

チンピラ属性ってヤツやね♪

 

[[げっ!あの子!キレたの?!って!あの“ウミヘビ”速っ!ゴメン!やっぱり無理!あれじゃ私でも追い付けないわ!]]

 

この反応ならマヒねーちゃん達はあの子の“素”を知っとったみたいやね。

 

そんなマヒねーちゃんが一生懸命に全速出してウチらを巻き巻きしてる“ウミヘビ”を追い掛けてくれたんやけど、“ウミヘビ”の方がちょい速いみたいで、追い付けんかったんよ。

 

「クソが!この役立たずのボンクラどもが!それでもアンタ等は大人かよ!」

 

[[はっ?!ボンクラ?!ひどっ!って!私はまだ高校生なのよ!大人じゃないわ!未成年よ!未成年!]]

 

[[じゃぁかしいわ!ボケェェェェェェ!!!ワレェ!大人に向かってなんちゅー口の聞き方しとんのじゃ!]]

 

「うるせぇよ!不良漁師!!大人って威張んならガキの一人や二人!さっさと助けろってんだよ!このクソヤクザモドキが!」

 

[[なんじゃとぉぉぉ!!!ワレェェェェ!!!ゴルゥラァァァァァ!!!待てやァァァァ!!!クソガキ!!!]]

 

いやな?おっちゃんもあの子も。

 

今はそんなんケンカしとる場合やないんと思うんやけど…?

 

早くなんとかせんと、あの頃のウチらはさっきヤられたモブのおっちゃん達みたいに海の藻屑になってまうで?

 

「待って欲しかったらこの“ウミヘビ”に言え!ボケ!」

 

「ふわぁ?!なんか話し方が変わってる?!」

 

「うるせぇ!ドム子!悪いかよ!こっちが俺の“素”だよ!っーか!誰のせいでこんな面倒「めんどう禁止!」だぁぁぁ!だから!うるせぇよ!ドム子!ナニが“めんどう禁止!”だ!面倒なことになってんのは誰のせいた!テメェがアホなことしたからだろ!」

 

「ぴゃぁぁぁ?!ゴメンナサイ!わ、私が変なボタン押したから怒っちゃったの?!」

 

「怒っちゃいねぇーよ!けどやらかした自覚があんなら少し黙ってろ!」

 

「うぅ…わかった…ごめんね…。」

 

はぁ…。あの頃のウチはもうちょい空気を読めば良かったなぁ…。

 

こんな状況でよくツッコミ入れとったなぁ…。

 

その勇気だけは誉めてあげたいわぁ…。

 

「…ふん!ウミヘビ野郎!テメェはいい加減に離せってんだよ!クソが!この!この!この!だぁぁぁ!マジでクソ硬いし!!!今の出力じゃ無理かよ!」

 

「あれ…なんか音が…気のせい…ひゃあ?!気のせいじゃないよ!ねぇ!ねぇ!ねぇ!なんか怖い音がなってるよ!ミシミシいってるよ?!なにこれ!大丈夫なの?!」

 

あの子も“ウミヘビ”の巻き付きから脱出しようと、機体に巻き付いとる尻尾をグーパンでガンガン殴ってみたんやけど、出力が低下してる状態じゃ銃弾を弾くような堅い装甲の前ではびくともせんかったんや。

 

そのうちに“ウミヘビ”の締め付けに耐えきれず、とうとう機体の耐久限界が来てしもて、ミシミシと機体が軋む音がコクピットに響きだしたんよ。

 

こんときのミシミシはよう覚えとるんよ。

 

初めてのガンプラバトルでこれはほんまに怖かったなぁ…。

 

ウチ、ようトラウマにならんかったと思うわぁ。

 

「大丈夫じゃねぇーよ!コイツは機体が軋んでる音だ!チッ!このウミヘビ野郎!俺達をこのまま絞め潰すつもりかよ!」

 

「絞め潰すぅぅぅぅ?!こんな海の中で絞め潰されちゃったら死んじゃうよぉぉぉ!!!私!まだお嫁さんにもなってないのにこんなとこでウミヘビさんに絞め潰されて死にたくないよぉぉぉぉぉ!!!やだぁぁぁぁ!!!ねぇ!ここで死んじゃったら責任取ってよぉ!私とケッコンして幸せな家庭を築いてよぉぉぉぉ!」

 

は、恥ずいわぁ…。

 

そうやねん…ウチは怖くてトチ狂って、あの子に1回目のプロボーズ紛いのこと言ったんやった…。

 

それにしてもあの頃のウチはなんで急にケッコンなんて言い出したんや?!

 

やっぱりあまりにも怖すぎて混乱してたんかな?

 

「はぁ?!なんで俺が責任取ってお前と結婚しなきゃいけねぇーんだよ!結婚するならまずは付き合ってからだろ!交際をすっ飛ばすな!ボケ!ってか!ゲームで人が死ぬかよ!なんのデスゲームだよ!コイツは健全なガンプラバトルシミュレーターだよ!クソが!」

 

「それじゃまずは私とお付き合いしてよぉ!お付き合いしたらケッコンしてよぉ!」

 

イヤ!だからなんでお付き合い申し込んでるんや!

 

「だから!何でだよ!」

 

「ひどい!私とは遊びだったんだ!私はもてあそばれたんだ!お腹のこどもはあなたのこどもなんだよ!」

 

おぉ!懐かしいなぁ!このセリフってあの頃のウチが録画して夕飯の時に見とった昼ドラのセリフやねん♪

 

一人で夕飯食べるんが寂しくて、お母さんが録画していたこの昼ドラを何となく見ていたんやったなぁ…。

 

ん?あっ!思い出した!なんでウチがケッコンなんてアホなこと言い出しか!

 

この昼ドラのせいやねん!

 

いやぁ~♪思い出せてよかったわぁ♪

 

ずっ~と、なんであの頃のウチがケッコンなんて急に言い出しのかわからんかったんよ♪

 

思い出せてスッキリしたわぁ♪

 

喉の小骨が取れたって感じやね♪

 

「いつ俺がお前を弄んだ!ドム子と子作りした記憶もねぇーよ!そもそも俺達の関係は学校の図書室で向かい合って本を読んでるだけの関係だった筈だろ!お前は昼ドラの見すぎだ!ってかなんで小学生が昼ドラ知ってんだよ!放送してる時間は学校だろ!ボケ倒すのもいい加減にしろ!オイ!その話はあとだ!今はこの状況から抜け出さねぇーとヤバいんだよ!」

 

「やだ!ちゃんと私とお付き合いしてケッコンしてよね!責任取ってよね!」

 

「わかったよ!わかったから少し落ち着け!あとでお付き合いでもド突き合いでも結婚でもてやるから!」

 

「やった!約束だよ!私とちゃんとケッコンしてね!あ!それじゃ私達は“こいびと”同士なんだね!うん!ダメだよ!キミ!恋人にそんな乱暴な口をきいちゃいけないんだからね!」

 

「あれ?!なんかもう俺ってドム子と付き合ってんの?!どうしてこうなったんだ?!ってなんで恋人気取りなんだよ!クソめんどうくせぇぇぇ!「めんどう禁止!」チッ!もうマジでどうでもいいよ!それにしても…この“ウミヘビ”野郎はこっちを嬲り殺すつもりかよ!さっきからじわじわと締め付けやがって!」

 

[[ウフフ♪正解よ♪ボ♪ク♪楽しいコントだったわ♪その子と末長くお幸せにね♪]]

 

恋人になれ!結婚しろ!うっさい!めんどうくせぇぇぇ!な~んて、あの頃のウチらがギャーギャー騒いどると、今度はコクピットに色っぽいおねえーちゃんの声が響いてきたんよ。

 

それは接触通信でウチらに話し掛けてきた“ウミヘビ”のファイターさんやったんや。

 

ビックリやろ?このド派手な趣味の悪い“ウミヘビ”の中の人…ファイターさんは女の人やったんよ?

 

まぁサブシートにはもう一人男の人が乗っとったんやけどね。

 

「女の声?!ウミヘビの中身は女か!」

 

[[いや、男もいるぞ。]]

 

こんときにウチらが戦っていた“ウミヘビ”は“ドッゴーラ”をベースに改造した複座のガンプラ…つまりはウチらとおんなじ二人乗りの機体やったんよ。

 

“ウミヘビ”のファイターさんは二人…主に操縦担当のギアルギーナ・キンスキーさん。

 

サブシートに座って出力管制やその他もろもろをしとる方がヘイゼル・ソマーズさん。

 

通称ヘイジーさん。

 

どっちもラテン系の色っぽいおねえーちゃんとおにーちゃんのコンビで、ギアルギーナさんがメインファイターさん、ヘイジーさんはビルダー兼任のサブファイターさんなんよ。

 

「あ、ホントだ!男の人の声もする!私達と一緒だね!カップルだよ!恋人だよ!ねぇ!私達も早くケッコンしよう!」

 

「出きるか!ってか!なんで俺はお前と付き合うことになってんだよ!大体!結婚だってお互い年齢的にまだ無理だろ!んなことは今はどうでもいいんだよ!それより!接触通信で聞こえてんならさっさと離せよ!クソ“ウミヘビ”野郎が!児童虐待で訴えんぞ!ゴルゥラァ!」

 

[[オイオイ…なんて口の悪いガキなんだよ。最近のガキはみんなこんなに狂暴なのか?ん?レーダーに反応?へぇ…こいつは中々の速さだな…。ハハ!俺の“サンダーソニア”に水中で追い付いて来るのか!この新手は!ギアルギーナ!面白そうな新手がこっちに来るぞ!さっさとこの口の悪いガキのザクを絞め潰せ!]]

 

[[んふふふ♪いやよ♪折角の久し振りのカワイイ獲物なのよ?もう少しゆっくりと楽しませてよ♪さぁ…坊やにお嬢ちゃん…もぉぉぉぉっと!いい声で泣き叫びなさい!助けを乞いなさい!絶望に震える声で慈悲を乞いなさい!もっと!もっと!もぉぉぉぉっと!お姉さんにアナタ達の可愛い悲鳴を聞かせてちょうだい!それだけでワタシ!濡れてきちゃうわ!逝っちゃうわぁ!あはははははは!!!]]

 

「ねぇ!この人!なんかスゴく変態さんだよ!怖いよぉ!」

 

ギアルギーナさんはなぁ…。えりちにことりちゃんを足してにこっちでかけ算したような性格のひとやったんよ。

 

ドMでドSで家庭的でめっちゃいい人とか、なんやワケわからんわぁ。

 

「この程度でビビるな!ドム子!黒澤のオッサンの方が見た目だけならよっぽど怖ぇだろ!オイ!ゴルゥラァ!クソ変態女!誰がテメェみてぇーな変態相手に泣き叫ぶかよ!助けを乞えだ?慈悲を乞えだ?ふざけんな!このド変態のクソ畜生女が!ガキの悲鳴なんかで性的に興奮して逝くようなクソ変態女に負けられるかよ!っし!出力管制システムが復旧した!これでおかしなリミッターは外れたハズだ!イケるか?!イケよ!ディープダイバー!頼むぞ!っ!おっしゃぁ!来た!出力が戻った!これなら!」

 

そうこうしてるうちに、ようやくあの子はウチのチョンボで機体に設定されておった出力制限リミッターの解除に成功したやんよ。

 

うん。こっから反撃開始やね♪

 

[[ヘイ!ギアルギーナ!ガキで遊ぶな!早く絞め潰せ!]]

 

[[だから!イヤって言ったわよね!つまらな[[ギアルギーナ!いい加減にしろ!]] もう…ちょっとくらい遊ばせてよね。仕方ないわね…わかったわ、ヘイジー。ゴメンね?ボウヤ、お嬢ちゃん。お姉さんが二人ともうちょっと遊んであげたったかったんだけど…]]

 

「ハン!願い下げだ!このクソババァが!一昨日来やがれ!」

 

「ダ、ダメだよ!キミ!いくらホントのことでも女の人におばさんなんて言っちゃ!おばさんでもおねーさんって言ってあげなきゃ!おばさんが可哀想だよ!」

 

[[…クソババァ?ホントのこと?おばさん?……フ…フフ…フフフフフフフ…アハハハハハハハハハハ!!!イイ根性してやがんな!このクソガキ共が!!!もうイイ!ブッ殺す!!!一気に絞め潰して魚の餌にしてやるわ!覚悟しろ!クソガキがぁぁぁぁぁぁ!!!]]

 

「きゃぁぁぁぁ!!!間違っておばさんとか本音を言っちゃた!!!ぴゃぁぁぁぁ?!なんかミシミシがおっきくなってきたよー!このままじゃ潰されて死んじゃうよー!ケッコンできないよー!」

 

「たがらゲームで人が死ぬかよ!ディープダイバーのフルパワーで一気に引き剥がして…クソ!ダメか!外れねぇ!出力が戻ってもパワーはあっちの方が上かよ!だからモビルアーマーがベースの機体は嫌いなんだよ!クソウミヘビ野郎がぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

反撃開始やね♪のハズやったんやけど、残念ながら“ウミヘビ”とあの頃のウチらが乗っとったザク・ディープダイバーとでは、パワーに差がありすぎて締め付けから力ずくで抜け出すんは無理やったんよ。

 

[[ア~ラ♪坊や♪下品な配色のウミヘビちゃんと楽しく緊縛プレイ?アナタ、1週間見ないうちに随分と変わった趣味を持ったのね?ダメよ?お子様が緊縛プレイなんて?]]

 

「えっ?!今度は誰?男の人?あれ?でも話し方は女の人?!」

 

おぉ!そうや!あの変態センセーはここで登場やったね!

 

むふふ♪大丈夫♪安心しぃや!あの頃のウチ♪

 

そのオネェ言葉を話しとる珍妙な謎生物は味方やねん♪

 

それに変態やけど凄腕のファイターさんやで♪

 

さぁ!“ヴィクトリア・ブルー”となんちゃってオカマ教師(と戦闘潜水母艦“シルバーン”&地味教師の桂ちゃんさん)♪

 

最強の助っ人(達)の到着やで♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。


のんたん生誕祭はあと三話で終わりとなります。
本来ならば全10話の予定で完成済みでございましたが、ご感想にて外伝が多すぎて本編が進まないとのご指摘をいただきましたので、急遽内容を削りに削りまくり、2話分少なくいたしました。
皆様、大変に迂遠な思いをさせてしまい、申し訳ごさいませんでした。

のんたん生誕祭終了後は金曜日更新はなくなりますので、また週一更新に戻ると思います。
また、近日中に迫っておりますにこちゃん生誕祭の2017 矢澤にこ生誕祭特別編「Early Days ~ハジマリノヒ~ 」と、穂乃果ちゃん生誕祭の2017 高坂穂乃果生誕祭特別編「もうひとつの誕生日 ~白と黒の境界で~」も上記の事情を省みて、当初予定しておりました内容を中止し、1話で終わる簡単な内容のお話に変更したいと考えております。
ちなみに…中止となりました上記の特別編の内容ですが、にこちゃん生誕祭はソラとにこちゃんの出会いのお話で、穂乃果ちゃん生誕祭はもう一人の穂乃果ちゃん“ホノカ”が生まれた経緯のお話になる予定でございました。
この二つのお話は、いずれ本編か閑話にて形を変えて改めてお送り出来ればと考えております。

この度は皆様方に大変ご迷惑をお掛けしてしまい、本当に申し訳こざいませんでした。


次回は月曜日に本編の更新を、金曜日にのんたん生誕祭特別編の更新を予定しております。

それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想もお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。

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