ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

120 / 481
皆様。本日もご覧いただきありがとうございます。

さて、今回は予定通りにA-RISEサイドの閑話をお送りいたします。
今回のお話で登場するキャラクターですが、ブレイクエイジという私の大好きな古いマンガの最終回に登場した主人公とヒロインの子供が成長したら…といった妄想により造られたキャラクターでございます。
皆様がもしブレイクエイジという作品にご興味を持たれましたら、是非とも1度ご覧になってみて下さいませ。
古い作品で、既に絶版になっていると思われるので、現在では入手が困難なのですが、本当に素晴らしい作品です。

それでは 閑話「女王と愉快な仲間達 前編」 はじまります。


















閑話「女王と愉快な仲間達 前編」

「はぁ……。」

 

放課後、A-RISEの為だけに用意された専用ティーラウンジで、午後のうららかな日射しを浴びながら、ついつい漏れてしまうため息。

 

そんな思わず漏れてしまったため息をまぎらわす為に、私はカップに満たされた芳醇な香りを放つ紅茶を啜るわ。

 

A-RISE専用のティーラウンジで出されるこの紅茶、お砂糖もミルクも入れないストレートの紅茶なんだけど、口の中に入るとほのかな甘味が広がって落ち込んでいる気持ちが少しだけ軽くなるの。

 

二年前にUTX高校に入学して、このチームA-RISEに所属した時に出会った私の密かなお気に入り。

 

そんなお気に入りの紅茶を飲んでいても、落ち込んだ気分は完全には晴れてはくれないわ。

 

私が落ち込んでいる理由…それはあの日、“無敗の女王”と呼ばれているこの私が久し振りに撃墜されたあのバトルロイヤルで出会った一人のファイターを想い患い続けているから。

 

伝説の最年少チャンピオン。

 

“始まりの精霊使い(オリジン・エレメンタラー)”と呼ばれる一人の少年のせい。

 

門松さんの話では彼は…鳴神 青空君は、世界大会を制した当時、まだ小学生だった頃に、欲にまみれた薄汚い大人の身勝手な理由で深く、深く傷付いてしまった。

 

当時彼はまだ小学5年生くらいよね?

 

そんな小学生相手に自社の利益が害されたからって、いい大人がマスコミまで使って面白おかしく一人の子供を叩くなんて、なんて下劣な品性なのかしら…。

 

確か…そう。鳴金グループ。

 

この鳴金グループって、今でもあまりいい噂は聞かないわね。

 

会長がロリコンだとか、会長のドラ息子がストーカーだとか。

 

軽く調べただけで、他にも黒い噂はいくらでも出てきたわ…。

 

「さっさと潰れてしまえばいいのよ…。」

 

ようやく出会えた越えるべき壁。

 

公式戦には出てこないだろうって門松さんは言っていたけど、バトルロイヤルじゃいつ会えるかもわからないし…。

 

もしかすると彼とはもう二度と出会えないかもしれない…。

 

こんなにも恋い焦がれる相手ともう二度と戦えないかもしれないなんて…なんの罰ゲームよ。

 

「“始まりの精霊使い(オリジン・エレメンタラー)”…鳴神 青空君。私は…貴方の本気が知りたい…。」

 

そう。貴方の本気とガンプラバトルをしたい。

 

あんな遭遇戦なんかじゃなく、互いの全てを賭けて貴方と戦いたい。

 

あんな情けない素組のガンプラじゃなく、貴方の本気のガンプラと戦いたい。

 

「私は貴方の本気にどれだけ近付けるのかしら…。私と私の“ビルドフリーダム”は…。」

 

たぶん私は勝てないわよね。

 

フリーダムガンダムを改造して造り上げた私の愛機“ビルドフリーダムガンダム”は間違いなくいい機体よ。

 

私の“ビルドフリーダムガンダム”は単純な機体性能なら世界大会レベルの機体だって自負しているわ。

 

たぶん私達は今のまま世界大会に出てもいいバトルが出来ると思うわ。

 

でも…世界を制するにはまだ私の技量は足りない。

 

ファイターとしても、ビルダーとしても。

 

『着いてくんな!バカ!』

 

『ねーちゃんに着いていってんじゃねーよ!同じトコに用があんだよ!』

 

『羽生(はねい)さんもソウもケンカは止めろって…。』

 

ん?随分と廊下が騒がしいわね…。

 

このティーラウンジに来れるのは基本的には私達A-RISEの10人だけ…。

 

現在のA-RISEのメンバーでこれだけ騒がしくやってくるのはあの子達ね…。

 

ふふふ…。仕方ない子達ね…。

 

「ツバサおねーさまぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ほら?やっぱりそうだった。

 

ティーラウンジの扉を蹴破るような勢いで開け放ってやって来たのは私の可愛い後輩。

 

薄い灰色掛かった綺麗な髪のまるで妖精のような愛らしい美少女。

 

“仁村 羽生(にむら はねい)”

 

確かお母様がドイツ系のクォーターだったわね?

 

羽生はきっとお母様に似たのね。

 

この羽生はその妖精のような愛らしい見た目に反して、過剰なまでに実弾系の火器をこれでもかと搭載した、ガンタンクを原型が無くなるまで徹底的に改造した規格外の武骨な大型機“ベンケイ”を操るA-RISEの新メンバーの一人。

 

鉄壁の装甲に無尽蔵にも思えてくるいつまでも止まない弾幕。

 

羽生のベンケイはまさに戦車のオバケね。

 

本当にアレのどこら辺がガンタンクなのかしら?

 

そんな羽生なんだけど、どうしてかは知らないけど、私のことを“お姉さま”って呼ぶのよね…。

 

なんでなのかしらね?

 

「ツバサお姉さま!聞いてくださいよ!あのバカが!あのバカのせいで!」

 

「いらっしゃい、羽生。ほら?紅茶でも飲んで少しは落ち着きなさい。」

 

「え?!ツ、ツバサお姉さまの飲んでいた紅茶?!飲んでいいんですか!ま、まさか!これがあんじゅお姉さまの言っていた伝説の間接キス!愛する者同士が互いの唾液がたっぷりと付着したモノを交換し合い!交換したモノを思う存分に舐め回す!究極の愛のカタチ!よっしゃぁぁぁぁぁ!!!やったぜ!私!お姉さまの寵愛をゲットだぜ!お姉さま!ありがとうございます!飲みます!ツバサお姉さまの愛と唾液がたっぷりと込められたその紅茶!不肖!お姉さまを愛するこの仁村 羽生に全身全霊で飲ませて下さい!ってか飲ませろ!」

 

……今の発言を聞いてわかる通り、この子は中身が少し残念なのよね…。

 

この子、日に日に残念具合が加速してるんだけど、たぶんあんじゅ辺りが面白がってろくでもない知識を植え付けてるんでしょうね…。

 

伝説の間接キスって何よ?愛する者同士が互いの唾液がたっぷりと付着したモノを交換し合うって何よ?

 

あんじゅ…。またいい加減なことを教えて…。

 

あんじゅには少しお仕置きが必要かしら?

 

うふふ♪そうね…今夜にでもあんじゅには久し振りに、可愛らしい声で鳴いてもらおうかしら♪

 

最近は鳴神君を想って一人で慰めてばかりだったから、あんじゅも淋しがっているでしょうし…。

 

英玲奈も誘って今夜は……うふふふふふ♪

 

さて、お楽しみの前にとりあえずは羽生にも少しお仕置きしてあげないとね?

 

「すいません、メイドさん。注文いいですか?この子にも紅茶をひとつお願いします。味が落ちても構わないから限界まで沸騰させた熱いお湯で淹れて下さい。飲んだら食道が火傷して悶絶するレベルの熱さで。」

 

「いやん!お姉さまの愛が熱い!」

 

「ねーちゃん、バカ言ってツバサ先輩を困らせんなよな!恥ずかしいだろ!」

 

「草太、いらっしゃい。」

 

「うぃす!ツバサ先輩!うちのバカ姉がご迷惑をお掛けしてまっす!」

 

「誰がバカ姉だ!愚弟!バカはアンタでしょ!」

 

「オレはねーちゃんの方がバカだと思うんだけどなぁ。」

 

「すいませーん!メイドさーん!こっちにも注文お願いしまーす!ぐっらぐらに茹だったあっつーいお湯くださーい!バカが浴びたら思わず即死するレベルの温度のヤツを!」

 

「ねーちゃん、そんなバカなモン頼んだらちゃんと全部飲めよ。オレは手伝わないからな!」

 

「安心しなさい!飲むんじゃなくてアンタにぶちまけてやるだけだから!」

 

「羽生さん!それじゃソウが死んじゃうよ!」

 

「止めないで!大地!私とツバサお姉さまの仲を邪魔する愚弟なんて茹で殺してヤるわ!」

 

「うわ!ねーちゃんヒデェ!実の弟を茹で殺すのかよ!」

 

「人殺しはダメだよ!警察に捕まっちゃうよ!」

 

はぁ……ホントに騒がしい子達ね…。

 

羽生が開け放った扉から少し遅れてたやって来た二人の少年。

 

羽生を“ねーちゃん”って呼んだ赤み掛かった髪の童顔の少年はお分かりの通り、羽生の弟。

 

彼の名前は“仁村 草太(にむら そうた)”

 

過剰なまでの火器に鉄壁の重装甲を持つ姉の羽生のベンケイとは逆に、ガンダムバルバトスの装甲を全て外して、中身のフレーム部分だけを使用して作った折れそうなくらいに華奢な機体に、非常識な威力の対物(アンチ・マテリアル)ライフルだけを装備した高機動型のフルカスタムのガンプラ“クロウ”を操るもう一人の新メンバー。

 

草太のクロウは羽生のベンケイを倒すためだけに作られたガンプラだって話だったけど、姉弟でまったく正反対のガンプラを作るなんて面白いわよね?

 

ベンケイとクロウ…ね。

 

名前の元ネタはベンケイは“武蔵坊弁慶”で、弁慶を倒すためだけに作られたクロウはさしずめ“九郎義経”かしら?

 

そんな羽生と草太の姉弟。

 

この二人は双子じゃなくて年子なのよね。

 

姉の羽生は4月生まれ。

 

弟の草太は3月生まれ。

 

双子も珍しいけど、年子も結構珍しいわよね?

 

「ツバサ先輩!見てないで羽生さんを止めて下さいよ!このままじゃソウが羽生さんに茹で殺されちゃいますよ!」

 

「大地もいらっしゃい。そうね…殺人事件は揉み消すのはなにかと大変そうね。まぁUTX(うち)の理事長って警察にも顔が利くから殺人事件程度の揉み消しなら何とでもなるでしょ。問題は草太と“クロウ”の代わりね。せっかくの貴重な戦力を失ってしまうのは痛いわね。ねぇ、大地?貴方、誰か適当なスクールファイターをしらないかしら?草太の代わりになるレベルの子。」

 

「イヤイヤイヤイヤイヤ!揉み消さないで下さいよ!見捨てないで下さいよ!ソウの代わりを探そうとしないで下さいよ!ってかソウの代わりになるレベルのスクールファイターなんて簡単に見付かるわけないじゃないですか!そんなスクールファイターがUTX(うち)にいたら俺なんかがA-RISEに入ってないですよ!」

 

「ふふふ♪謙遜しないの。大地、貴方だって羽生や草太に負けないくらい、十分に強いわよ。貴方は“A-RISE”なのよ?自信を持ちなさい。」

 

さて、私に必死にツッコミを入れている褐色の肌の大柄なこの男の子の名前は“倉田 大地(くらた だいち)”。

 

羽生と草太の幼馴染みで私達チームA-RISEの新メンバートリオの最後の一人。

 

ギラ・ドーガをベースに改造した特徴が無いのが特徴な汎用機“サインボルフ”を操る色んな意味で地味なんだけど地味じゃない少年。

 

私は新メンバートリオの中ではこの大地を1番評価しているわ。

 

去年の3年生が卒業して、A-RISEに出た欠員を埋めるための校内戦で、バトルになるとすぐに暴走する羽生とベンケイを上手く誘導して他の候補者を殲滅させていったのよ。

 

他にも草太との連携戦闘は見事なモノだったわ。

 

草太は装甲がほとんどないクロウでバトルフィールドを派手な機動で動き回って、例の非常識な威力の対物ライフルで次々に敵機を撃ち落として行ったんだけど、大地はそんな草太の死角を常にフォローしてサポートに徹していたわ。

 

我の強いスクールファイターが多いA-RISEには今までいないタイプのスクールファイターね。

 

ちなみに彼、倉田 大地はお母様が有名な黒人の女性剣術家らしいわ。

 

大地の父親は仁村姉弟の父親とは幼馴染みで、仁村家と倉田家は家族ぐるみのお付き合いなんですって。

 

幼馴染みってちょっと憧れちゃうわね。

 

「お待たせいたしました。飲んだら食道が火傷するレベルまで熱したお湯で淹れた紅茶と間違って浴びたら即死するレベルまで熱したお湯でございます。く!れ!ぐ!も!残さないように!お願いしますね!!!」

 

……まさか冗談で頼んだ熱湯紅茶が本当に来るなんて…。

 

はぁ…メイドさん…怒らせちゃったわね…。

 

うーん…これ、どうしましょう?

 

「うげ!ホントに即死レベルのお湯が来た!」

 

羽生…女の子として“うげ!”はどうかと思うわよ?

 

「ちょ!ねーちゃん!コレ!どーすんだよ!なんか熱しすぎてカップが真っ赤になってんだけど!」

 

「うるさいわね!草太!アンタが弟の分際で私に歯向かうのが悪いんでしょ!アンタが悪いんだからアンタが責任もって飲みなさいよ!そんでくたばれ!愚弟!」

 

「横暴だ!このバカ姉!」

 

「あー!うっさい!うっさい!うっさい!うっさい!」

 

「うわぁー!だから羽生さんもソウも!ケンカはダメだよ!姉弟なんだから仲良くしてよー!」

 

「「こんなの!弟(姉)じゃない!コイツは敵だ!って!真似すんな!この愚弟(バカ姉)!」」

 

「流石は姉弟ね。息がピッタリ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで?どうしたの羽生?いつにも増して荒れているみたいだったけど?」

 

「え……あぁぁぁぁぁ!!!そうです!そうなんですよ!お姉さま!聞いてくださいよ!」

 

「はぁ…ちゃんと聞くから少しは落ち着きなさい。」

 

「落ち着いてなんかいられません!昨日のバトロイで負けたんですよ!私!ただの素組相手に!それもこれもぜーんぶ!この愚弟のせいなんです!」

 

負けた?羽生と羽生のベンケイが?

 

しかも素組相手に?

 

羽生と羽生のベンケイを倒す素組だなんて…まさか!

 

「羽生!その素組の相手って異様に強いジオン仕様のF2ザクじゃなかった!」

 

「お、お姉さま?どうしたんですか?いきなり?」

 

「いいから答えなさい!羽生!貴女が相手にしたその素組はF2ザクだったの!違うの!」

 

羽生は中身が日に日に残念になってるけど、これでもA-RISEのれっきとしたメンバーの一人よ!

 

羽生のファイターとしての腕はもちろん!彼女の乗機のベンケイは私でも素組なんかじゃ到底倒すなんて無理よ!

 

そんな羽生と羽生のベンケイを倒す素組なんて彼しかあり得ないわ!

 

そう!“始まりの精霊使い(オリジン・エレメンタラー)”!鳴神 青空!

 

「あの、その…相手はF2ザクじゃなかったですよ?素組の百式でした。それにファイターもそれなりの腕でだったけど、異様に強いわけじゃなかったですし…。」

 

え?百式?F2ザクじゃなく?

 

それじゃあ……。

 

「あの人じゃ…ない?」

 

「お姉さま?」

 

「っ!ごめんなさい、なんでも無いわ…。」

 

「ならいいんですけど…。」

 

ふぅ…。

 

落ち着きなさい、ツバサ…。

 

どちらにしろその百式のファイターは素組で羽生のベンケイを倒したのよ。

 

もしそんなファイターがガンプライブに出てきたら…マズイ…いえ、楽しいことになるわね。

 

「それで?羽生は素組の百式にヤられたの?草太と大地も一緒だったんでしょ?素組相手に貴女達3人がヤられたなんてちょっと信じられないわね?」

 

「私がヤられたは草太のせいです!」

 

「草太のせい?バトル中に姉弟ケンカでもして撃ち合ったの?」

 

「あー、違うですよ先輩。羽生さんのベンケイ、ソウのクロウのライフルを拾った百式にヤられたんですよ。」

 

あぁ。そう言う意味なのね。

 

確かにただの素組の百式が、羽生のベンケイの装甲を抜ける攻撃を出来るわけはないわよね。

 

その点、草太のクロウの対物ライフルを使えばベンケイの重装甲でも当たりさえすれば簡単に突破して致命傷を与えられるものね。

 

「だから草太のせいでしょ!愚弟があんなバカ威力のライフルなんて造るから!」

 

「ねーちゃんは俺のクロウのライフルをバカ威力とか言ってるけど、そのバカ威力のライフルじゃなきゃ撃ち抜けないバカみたいに堅い装甲してるベンケイの方がバカだろ!」

 

「私のベンケイはいいのよ!でもアンタはダメなの!」

 

「なんだよ!その理不尽は!」

 

「はい。羽生も草太も、ケンカはおしまいよ?大地、この二人に任せていたらラチがあかないわ。悪いんだけど貴方が説明してちょうだい。」

 

「了解です、先輩。えーっとまず………」

 

 

 

大地の説明では敵は始め、素組の百式とランチャーストライクの2機だったそうよ。

 

相手が素組だとわかると羽生はやる気をなくして、草太に殲滅を命じたらしいわ。

 

まぁ確かにただの素組が相手なら草太と草太のクロウなら余裕で殲滅出来るわよね。

 

でもここで予想外の自体が発生したらしいの。

 

ただの素組の百式が単機で草太のクロウを撃墜してしまったそうなの。

 

戦闘の内容を聞く限りは草太がヤられた理由は完全にただの油断ね。

 

百式のクレイバズーカの弾頭に拡散弾が入っている事を失念していたそうだし、いくら相手が素組だからって戦闘中に対物ライフルのデータ取りの為の的になんかしているからそんな事になるのよ。

 

草太にはお説教ね。

 

草太が撃墜された後は羽生がベンケイのホーミングミサイルで百式を消し飛ばそうとしたんだけど、着弾前にランチャーストライクと増援らしい無駄に作り込まれたジム改の改造機と異常に堅いネコ型ベアッガイⅡが邪魔をして撃ち漏らしたんですって。

 

ネコ型ベアッガイⅡってネコなのかしら?それともクマ?

 

微妙なラインね…。

 

その後は互いに中距離からの撃ち合いになって、業を煮やしたネコ型ベアッガイⅡが特攻、自爆。

 

さらにはクロウの対物ライフルを拾った百式がベンケイのコアをピンポイントで撃ち抜いてゲームオーバー。

 

……羽生もベンケイの装甲を過信して完全に油断していたようね。

 

これは羽生にも少しお説教ね。

 

「それで?大地はその間どうしていたの?まさか羽生と草太がヤられるのを黙って見ていたんじゃないでしょうね?」

 

「いやー、なんかステルスマントっぽい装備使って、不意打ちしようとしていたランチャーストライクに、こっちもステルスマント使って不意打ちしようとしたんですけど、直前で気付かれて相討ちになったんですよ。なんであのタイミングで気付かれたか不思議なんですけどね。」

 

「はぁ…結局は貴方達3人とも油断してヤられたのよね?これが野良バトルのバトルロイヤルだからよかったけど、ガンプライブ本戦だったらどうなっていたか…。」

 

「うぅ…。」

 

「うぃす…。」

 

「はい…。」

 

「いい?貴方達は“A-RISE”なのよ?その事を肝に命じて、今後はどんなバトルでも気を抜かずに全力で行きなさい。」

 

とか言ってるけど、ついこの間、私も戯れで参加した野良バトルのバトルロイヤルでホンモノのバケモノに出会ってけちょんけちょんにヤられたのよ…。

 

油断するな。なんてこの子達だけに言えた義理じゃ無いわね…。

 

「そう言えばお姉さま、さっき素組のF2ザクがどうとか言ってましたけど、アレってなんだったんですか?」

 

「あぁ…アレね。アレは…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい?素組のザクでお姉さまのビルドフリーダムを撃墜した?」

 

「うわぁー…ツバサ先輩その冗談つまんないっすよ。笑わせたかったらもうちょっとお笑い番組とか見てボケを研究して下さいっす。」

 

「自分もソウに賛成ですよ、先輩。だいたい、素組のザクで先輩のビルドフリーダムを墜とすなんて無理ですよね?」

 

「信じないのならそれでもいいわ。どちらにしろ、あの人とは2度と戦えないかもしれないんだから…。」

 

ヤジマ・コーポレーションに知り合いがいる門松さんでも、流石に彼の住所までは教えて貰えなかったって話だし。

 

野良バトルじゃまた出会えるかどうか、完全に運任せになるし…。

 

せめて彼が公式戦に出場してくれれば……。

 

「よう。お疲れさんって、今日はお嬢と新米の嬢ちゃんと坊主どもだけか?」

 

「あ!門松!」

 

「門松さんだ!門松さん!敬語を使えとは言わんからせめて大人にはさんをつけろ!」

 

「えー!門松は門松じゃん!門松にさんをつけるなんて、なんかヤダ!」

 

「お前なぁ…。おい!お嬢!新入りの仕付けくらいちゃんとしてくれよな!嬢ちゃんの担当は誰だ!」

 

「羽生の新人研修の担当はあんじゅとミサよ。諦めなさい。」

 

「おいおいおいおい!なんでこの爆弾娘の新人研修によりにもよって腹黒あんじゅ嬢ちゃんとA-RISEアホ代表のミサを担当させたんだ!あの二人に任せたらろくでもない事になるのは目に見えてただろうが!」

 

「そんなこと、今さら私に言われても困るわ。それに私、最近はあの人のことで頭がイッパイで余計なことは考えられなくなっていたから。」

 

「お嬢は一応はチームA-RISEのリーダーだろうが…少しはチームのことも考えろよ…。で?あの人ってのは“始まりの精霊使い(オリジン・エレメンタラー)”のことか?お嬢にこれだけ思われてるなんて、あの坊主も幸せ者だねぇ…。」

 

「公式戦に出てこないんじゃ、どんなに想っていても報われないわ…。」

 

「いや、そうでもないぞ?案外簡単にお嬢の想いは報われるかもしれん。」

 

え?想いが報われる?それって…彼が…。

 

「どう言うことなの?私の想いが報われるって…。まさか!」

 

「そのまさかだ。ヤジマ・コーポレーションの知り合いから連絡があったんだ。先日、例の坊主が公式戦に出場した、ってな。」

 

「っ!公式戦に!彼が!そう…復帰するのね…。」

 

「坊主の学校も分かったぞ。UTX(うち)とは結構ご近所さんだった。神田明神のそばに古くてデカイ学校があるだろ?あそこの学校…音ノ木坂学院に坊主は通っているようだぞ。」

 

「おとのぎさか…音ノ木坂学院…。」

 

「ああ。音ノ木坂学院ガンプラバトルチーム“μ's(ミューズ)”。それが坊主が所属したガンプラバトルチームだ。」

 

「音ノ木坂学院ガンプラバトルチーム“μ's(ミューズ)”…そう…そうなのね…うふふ…ふふふふふ…あははははははははははははははは!!!」

 

「先輩?!」

 

「ツバサ先輩?!どうしたんっすか?!」

 

「お、お姉さま?!ゴラァ!門松ゥゥゥ!!!テメェ!お姉さまにナニ言いやがたぁ!!!」

 

「嬢ちゃんよぉ…お前も一応は女の子なんだからもう少し丁寧な言葉使えよなぁ…。」

 

「大丈夫よ!羽生!草太!大地!とても…そう!とてもとても嬉しいことを門松さんが教えてくれたのよ!」

 

戦える!私はまた彼と戦える!

 

私はまだ強くなれる!

 

あぁ!想いが溢れて身体が疼くわ!身体が火照るわ!

 

ダメ!我慢できない!今すぐ!バトルがしたい!

 

ガンプラバトルが!

 

「こうなったらあんじゅ達を待ってなんないられないわ!貴方達!行くわよ!」

 

「ちょ!お姉さまぁぁぁ!」

 

「ツバサ先輩?!」

 

「先輩?!」

 

「やれやれ。またお嬢に変なスイッチが入っちまったな。」

 

「さぁ!貴方達!楽しい楽しい…ガンプラバトルを始めるわよ!!!」

 

そう!最高で至高の!熱く!激しく!狂おしく!

 

あの日の遭遇戦超える本気同士のガンプラバトルを!

 

“始まりの精霊使い(オリジン・エレメンタラー)”!

 

鳴神 青空!!!

 

私と!ガンプラバトルを!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。

皆様がお分かりの通り、今回の新キャラは以前の真姫ちゃん回で登場した“骨組み”と“戦車のオバケ”のファイターになります。
“骨組み”が“クロウ”。
“戦車のオバケ”が“ベンケイ”。
そしてもう一機、穂乃果ちゃんと相討ちになった機体が“サインボルフ”となります。
ベースとなった機体こそガンプラに変更されていますが、三機ともブレイクエイジに登場する機体から丸パクリしてしまいました…。
見切り発車故に未だに完全には機体設定が定まってはおりませんが、彼等が本編で登場するまでにはなんとかしたいと思っております。

次回からはようやく本編が再開いたします。
本来ならば3月中には本編6話は始まっていた筈なのですが、にこちゃん閑話と海未ちゃん生誕祭が長引いてしまい…。
そんな次回はなんといきなりの戦闘回になっております。
戦闘回と申しましても相も変わらずな地味な戦闘をグダグダと、なのですが…。



次回更新は早ければ今週中(木曜か金曜)には更新が出来るかと思います。
よろしければ是非ご覧下さい。


それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想もお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。