ガンプライブ! ~School Gunpla Project~   作:Qooオレンジ

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皆様。本日もご覧いただきありがとうございます。


今回はにこちゃんの閑話の第三回目になります。


それでは 閑話「マホウツカイハジメマシタ。 ~勇気の魔法~ ③」 はじまります。















閑話「マホウツカイハジメマシタ。 ~勇気の魔法~ ③」

「鳴神先輩?!こっちです!こっち!急いで下さい!穂乃果先輩がピンチです!」

 

「にゃ?!おにーさん!遅いにゃ!急ぐにゃ!全力で走ってこいにゃ!」

 

「あれが先輩達の言っていた鳴神って先輩…ね。…それじゃその男の子があの時の素組のザクのファイターなんだ…。ふーん…思っていたよりは…。」

 

そらの手を引っ張ってアミュセンへと入店した私達を迎えたのは、大型モニターに写るそらの3人の仲間達を応援する大勢の観客の人達の声援と、そらを呼ぶ女の子達の声だったわ。

 

そらを呼ぶ声の方を見ると、そこには眼鏡をかけた気弱そうな女の子と、猫っぽいショートカットの女の子と、つり目のキツそうな女の子がいたわ。

 

3人が3人ともタイプは違うけどめちゃくちゃ美少女じゃない…。

 

なんでこのバカの周りには可愛い子ばっかり集まってくんのよ?!

 

わ、私だってルックスは負けてないわよ!

 

私は料理だってできるし!

 

お裁縫も…そんなに得意じゃないけど…ちゃんとできるわ!

 

夜の運動だって!体重が軽いから騎乗位で上に乗って腰をガンガン振っても負担にならないんだから!

 

最近はお口のご奉仕のテクニックだって上がってきてんだからね!

 

私のお掃除フ○ラとか絶品よ!最高なのよ!

 

そりゃあ胸は残念だから挟んだりはできないけど……。

 

「小泉!星空!と、誰?」

 

「西木野さんの紹介はあとです!今は一刻も早く出撃準備を終わらせてバトルに!穂乃果先輩のランチャーストライクがエネルギー切れになっちゃって!」

 

「そうだにゃ!とっとと身ぐるみ脱いですっぽんぽんになってことり先輩の用意した服に着替えて出撃するにゃ!穂乃果先輩がアホして先輩達がピンチなんだにゃ!」

 

「っと、そうだったな!小泉!星空!俺のバトルコスチュームは?ことりさんから預かってんだろ?」

 

「はい!ばっちりことり先輩から預かってます!これが……」

 

「おにーさんのバトルコスチュームだにゃ!どや!どや!どやー!」

 

「なんで星空さんがドヤ顔してんのよ?ソレ、用意したのことり先輩でしょ?まぁ、スゴい完成度の衣裳だから星空さんが自慢したくなるのも分からなくはないけどね。」

 

そんなやり取りをしながら眼鏡の子と猫っぽい子が取り出したそらのバトルコスチュームは、ジオンの軍服をモチーフに作られた少しゆったりとした作りの衣裳だったわ。

 

衣裳の色は暗緑色。

 

そらが自らのガンプラに好んで使う色。

 

あの6年前の世界大会でもそらが自らのガンプラに使用していた、そらのパーソナルカラー。

 

6年前にパパに連れられて見に行った世界大会の決勝で、初めてそらのパーソナルカラーに塗装されたガンプラを見たときは、なんて地味な色のガンプラなんだって思ったわ。

 

普通は小学生ならもっと派手な色の塗装するモノなのにね。

 

それにしても…このジオンの軍服風のバトルコスチュームを造ったヤツ…ちゃんとそらの趣味をわかってんじゃない。

 

そらはあまり目立つような服や色は好まないのよね。

 

普段の私服も紺や灰色の寒色系が多いし。

 

そらが赤とか黄色とか着てるのは見たことがないわ。

 

このそらのバトルコスチュームを作ったヤツはそこら辺も考えて用意したんでしょうね。

 

衣裳自体も細かいところまでしっかりと作り込まれてるわ。

 

ジオン軍の軍服をそのまま再現したんじゃなく、細かい刺繍を施したネクタイとか要所要所にちゃんとオリジナリティを持たせてるし。

 

なかなかいいセンスしてるわ。

 

「さっすが!ことりさん!良いセンスしてる!ただエロ目的で身体中まさぐってたワケじゃなかったんだな!うっし!にこちゃん!悪いけど!」

 

「わかってるわ!スキャニングと登録は私がしてきてあげる!アンタのGPベースとtypeR!よこしなさい!」

 

「頼む!ステ振りの設定は弄んないで大丈夫なように調整してあっから、そのままスキャニングを!」

 

「任せない!」

 

「あれが鳴神先輩のガンプラ……スゴい完成度…それにあのシールド…もしかして中に…?」

 

「にゃ?おにーさん、その子、誰にゃ?妹さん?」

 

「そのうち説明する!星空!荷物頼む!財布から金盗むなよ?」

 

「凛はネコはネコでも泥棒ネコじゃないにゃ!ひっかくぞ!」

 

「あ、星空さん上手い。座布団一枚ってヤツね。」

 

「先輩!急いで下さい!凛ちゃんも先輩の冗談を真に受けてお着替えの邪魔しちゃダメだよ!」

 

「チッ!かよちんに感謝しやがれだにゃ!」

 

……そらとあの子達…仲いいわね…。

 

っと、そらとあの子達の関係も気になるけど、今は出撃準備の方が先よ!急がなきゃ!

 

私はそらからGPベースと今回のバトルで使用するガンプラ“高機動型ザクⅡ”を受け取ると、店内に溢れる人を縫うようにGPカウンターへと走るわ。

 

こんな人混みの中だと小さなこの身体に感謝ね…。

 

私としては身長はともかく、もう少し胸とか胸とか胸とか胸とか胸とか胸が欲しかったんだけどね。

 

一応は毎日牛乳飲んでるけど、まったく成長する気配がないのよ…。

 

そんな事を考えながらも、GPカウンターに向かって走りながら、私はそらから預かったガンプラ“高機動型ザクⅡ”を見る。

 

外装に大きな改造は施さずに、基本的にはベースになっている白狼のMS-06R-1Aの色を暗緑色にカラーリングしただけの機体。

 

ただし脚部のバーニアやバックパックは相当に弄ってあるから、機動性をメインにかなり強化してるっぽいわね。

 

メインの射撃武装はF2ザクでも使っていたMMP-80マシンガン。

 

他には予備の通常のザクマシンガンとザクバズーカ、柄の長い大型のヒートホーク、確か名前は“ロングポールヒートアックス”だったわね。それらが右肩のシールドにマウントされているわ。

 

腰のウェポンラックにはそらが相手の虚を突くために好んで使う、ハンドグレネードとフラッシュグレネードが左右それぞれ取り付けてある。

 

そらのことだから、腰に取り付けてあるこのハンドグレネードもえげつな威力なんでしょうね…。

 

それと、そらの用意したこのザクで1番目立ってるのが左腕に取り付けられた機体の半身を覆える程に大きな大型シールドよね。

 

このシールド…色は黒、ラバーブラックかしら?それをメインに暗緑色で縁取りしてあるけど、モノはシーマ専用ゲルググマリーネのシールドよね?

 

そらならシールドなんて装備しなくても、このザクの強化された機動性なら攻撃に当たるなんてヘボいことはないと思うんだけど……それなのになんでシールド?しかも大型の?

 

こんな重そうなシールド、機動性重視の機体にとってはデットウェイトになるだけでムダなんじゃ……あれ?このシールドの先端…よく見ると…これって……っ!そっか!このシールド!

 

そらの用意したtypeRの大型シールドの仕掛けに気付いた私だったけど、残念ながら考えるのは後回しみたいね。

 

だっていつの間にか人混みを抜けてGPカウンターについちゃってるし…。

 

たどり着いた先のGPカウンターの今日の受付嬢は、私達とは顔馴染みの椿さんって名前のお姉さんだったわ。

 

この椿さん。世界ガンプラバトル連盟からの出向職員で、GPカウンター専門の受付嬢なのよ。

 

おっとりした優しいお姉さんで、アミューズメントセンター音ノ木坂店の常連客な私やそらとは結構仲がいいのよね。

 

アミューズメントセンター音ノ木坂店に世界ガンプラバトル連盟から出向して来ているGPカウンター専門の受付嬢は、この椿さんの他にも9人いるんだけど、私とそらが利用する時間帯だと、椿さんとあともう一人のお姉さんがいつも受付してくれるの。

 

「椿さん!今すぐ出撃登録お願い!バカ一人よ!急いで!急いで!急いで!」

 

「あらー。にこちゃん、いらっしゃーい。出撃登録って、今のバトルにー?ダメよー。このバトルは公式戦なんだから乱入なんてしちゃー。ごめんねー、にこちゃんのお願いでも無理よー。」

 

「そんなことはわかってるわよ!だから私じゃなくてあのバカよ!あのバカ!今のミッションバトルに出てるあの“μ's(ミューズ)”とかって薬用石鹸の名前と同じチームのメンバーなのよ!うちのバカが!」

 

「うちのバカって…あー、鳴神君のことねー。もー、にこちゃんダメよー?大好きな男の子のことバカなんていっちゃー。それじゃ鳴神君がチーム“μ's”のファイター登場されてるか確認するからちょっと待ってねー……えっーと……あー、ほんとだねー。鳴神君、チーム“μ's(ミューズ)”にファイター登録してるねー。ふーん…鳴神君が公式戦に、ねー。そっか、そっかー。鳴神君、“始まりの精霊使い(オリジン・エレメンタラー)”がとうとう公式戦に復帰かー。おめでとー、にこちゃん。よかったねー。」

 

「ありがと!でも今は出撃登録を急いで!バトルの残り時間もないし!アイツの仲間もピンチなのよ!だからホントに急いでお願いね!椿さんが登録してくれてる間に私はバカが用意したこのガンプラをスキャニングしてくるから!」

 

「はいはーい。すぐに出撃登録しちゃうからねー。いってらしゃーい。」

 

「“はいはーい”って“はい”を2回言わない!“はい”は1回よ!1回!なんであのバカも椿さんも“はいはい”って“はい”を2回言うのよ!子供じゃないんだからそのクセ!直しなさい!」

 

「はーい。気を付けるわねー。」

 

椿さんに出撃登録をお願いして、そらの高機動型ザクⅡをスキャニングするために、私はGPカウンターに併設されているGPスキャナーへと急ぐわ。

 

そらから預かったザクとGPベースをGPスキャナーにセットして、システムを起動させてスキャニングを開始して…

 

「あのバカ……間に合わせの機体とか言っときながらこの性能って…ホントふざけてるわよね…。」

 

スキャニングされ画面に表示されるそらの高機動型ザクⅡの機体情報。

 

写し出されたその機体情報は、単純な機体性能だけなら私の集大成であるパーソナルカスタムのガンプラ“ガンダムアストレイ・ダークフレーム禍津ニコ”に匹敵する性能だったわ…。

 

強化系の上位ユニークアビリティ、“限界突破(リミット・バースト)”まで生えてるし…。

 

でも……

 

「このまま出てもあの動けないランチャーストライクがいる限りはそら達は絶対に勝てないわ。」

 

普通ならエネルギー切れで動けない機体なんて、囮にでもしてさっさと見捨てるんでしょうけど、そらには仲間を見捨てるなんてできない。

 

そうなると、あのエネルギー切れのランチャーストライクのエネルギーがリチャージされるまで、そら達は動けない機体を守りながら戦うことになるわ…。

 

それは愚策でしかないわよね。

 

ナニか…ナニか方法はないモノかしら……。

 

そらにあのランチャーストライクを見捨てろって説得する?

 

ムリね。そらの中ではもうあのランチャーストライクを見捨てるって選択肢はないはずよ。

 

それに、説得するって言ってもそらって結構頑固だから、1度守るって決めたら梃子でも動かないわ。

 

他にはナニか…“限界突破(リミットバースト)”を使って包囲し始めてるザコを一気に一掃する?

 

………そらが“限界突破(リミットバースト)”を使えばあの程度の数のザコを一掃するなんて簡単だけど、そのあとはやっぱりランチャーストライクのリチャージを待たなきゃダメだから、切り札を切るには微妙過ぎるタイミングだわ…。

 

とにかくネックはあのエネルギー切れのランチャーストライクなのよ…。

 

ランチャーストライク…ランチャーストライク…ストライク…ストライクガンダム…ストライクガンダム?あっ!そうよ!ストライクガンダムなのよ!

 

あの機体は素組でも“ストライクガンダム”なのよ!

 

ストライクガンダムって言ったら“ストライカーパック”よ!

 

ストライカーパックの換装を上手く使えば!

 

私は背負っていたリュックを急いで下ろして、中からガンプラや色々な装備を入れている箱を取り出す。

 

確か今朝詰めた中に……あった!“禍津ニコ”が完成するまで私が使っていた、ストライクノワール用にって作ってあった、にこちゃん謹製のエールストライカー!ストライク用のシールドとビームライフルもちゃんとある!

 

さっすが私ね!よくやったわ!今朝の私!にこちゃんが誉めてあげるわ!

 

私が取り出したのは以前、いつかストライクノワールに使おうと思って作ったきり放置していたストライカーパック“エールストライカー”と、ストライクガンダム用のシールドとビームライフル。

 

もちろんエールストライカーもシールドもビームライフルも、素組じゃないわなよ?ばっちりカスタムしてあるんだからね!

 

そう……私が思い付いた策。

 

まぁ策って言っても、はっきり言って苦肉の策もいいトコの酷い策なんだけどね…。

 

それはストライクガンダムの特徴でもある、ストライカーパックの換装を利用したエネルギーチャージ。

 

ストライクガンダムはストライカーパックを交換すると、一緒にエネルギーも回復するのよ。

 

このエールストライカーなら性能的にも問題はないはずだし、あの素組のストライクにも装着できるはずだわ!

 

だからこのエールストライカー一式をそらの高機動型ザクⅡの武装領域(ウェポン・ストレージ)に入れてバトルに持ち込んで貰えば…。

 

「って!エールストライカーの容量重っ!にこちゃんカスタムでムダに性能あげたから?!ムリ!こんなんじゃストレージになんて入んないわ!」

 

あー!もう!使用する容量なんて考えてなかったわ!

 

どーすんのよ?にこ?

 

考えなさい…まだナニかあるはずよ…。

 

…なんかもう考えるの…面倒よね…。

 

単純にそらのザクの武装やステータスを削って、その分を機体容量に還元させればエールストライカーもシールドもビームライフルもストレージに入んじゃないの?

 

そらには設定は弄んないでって言われたけど、アイツなら“多少”設定が変わってても、この程度のバトルなら余裕でしょ♪

 

なんたってうちのバカはあれでも最年少チャンピオンなんだから♪

 

………たぶん大丈夫……大丈夫だと思いたいわ…。

 

それじゃさっそく……まずはこの不必要に積んである予備のザクマシンガンを外して…MMP-80マシンガンがあるんだから使わないでしょ?普通のザクマシンガンなんて……ついでにザクバズーカもいらないわね…ザクバズーカなんて5発撃てば終わりじゃない…あのバカはなんでジャイアント・バズじゃなくてザクバズーカなんて微妙なの積んだのかしら?特殊な弾頭でもつかってるのかな?まぁいいわ…次は……あのバカがよく使うハンドグレネードとブラッシュグレネードも、1対1ならスキを作るのに有効かもしれないけど、今回の要塞攻略戦みたいにザコがわんさか湧いてくる1対多数の状況じゃ焼け石に水よね…よし!ハンドグレネードとブラッシュグレネードも外そっと♪うわー…この二種類のグレネードって結構機体容量喰ってたのね…どうせそらのことだから、またムダに凝ったグレネードだったんでしょうね…とりあえずはこれだけ外せば……あ、これだけ外してもまだちょっと足んない……。

 

うーん……あとは外せる武装って、メイン射撃武装のMMP-80マシンガンと、そらが得意な近接戦用のこの柄の長いヒートホーク“ロングポールヒートアックス”の2つか……MMP-80マシンガン外しちゃったら、射撃武装が無くなるわね…流石にそらでも射撃武装無しで要塞攻略戦はヤバいわよね?ヤバいけど…まぁそらだしね。あのバカならなんとかするでしょ♪

 

だから…MMP-80マシンガンも外してっと……あー、これでもまだ容量が足んないわね…。

 

ロングポールヒートアックスまで外しちゃったら武装が無くなるから、これは外せないわ…。

 

他に外せそうなモノは……あったわ。

 

この大型シールド…シールドのクセにムダに容量喰ってるわね。

 

まぁこのシールド、そらの“切り札”っぽいから、容量が大きくても当然よね。

 

だからこそ、このシールドを外せば容量もかなり稼げるわね…。

 

武装はロングポールヒートアックスが1本あればそらなら十分なんだし、シールド外したって当たんなきゃいいだけよね?

 

よし!外そう!

 

当たんなきゃいいってことは装甲の耐久値も最低限…紙装甲でいいわね!

 

ステータス画面で耐久値も削って…っと。

 

あはは…これじゃ1発当たれば確実に致命傷ね…。

 

あー、ほら?“当たらなければどうということはない!”ってクワトロ大尉も言ってたし、当たんなきゃいいのよね!

 

私はそらを信じるわ!……とかカッコつけて言ってみたけど…大丈夫…よね?

 

さて、あとは…射撃武装は結局は全部外しちゃったから、射撃系のFCS(ファイア・コントロール・システム)と補正システムもいらないわ。

 

FCSを外しちゃうと、戦闘中に敵からザクマシンガンとかの射撃武装を奪って使うとかもできなくなるけど……ま、そらなら大丈夫!

 

ここまで色々外せば……うん!エールストライカーがストレージに入ったわ!

 

「にこちゃーん。鳴神君の登録完了したわよー。」

 

「椿さんナイスタイミング!こっちもちょうど終わったわ!」

 

「あれー?結構時間かかったねー?スキャニングだけだったらそんなに時間はかかんないんじゃないのー?」

 

「あちこち削りまくって再設定したから時間喰ったのよ!でもこれならこのバトル!勝てるわよ!アナウンスも急いでね!」

 

「はーい。それじゃ…ゴホン…『本日はアミューズメントセンター音ノ木坂店をご利用いただきまして、ありがとうございます。ガンプラバトルシミュレーター、出撃登録完了のお知らせです。チーム“μ's”所属。鳴神 青空君。出撃登録が完了しましたので、ガンプラバトルシミュレーター第1タワー、4番コクピットをご利用下さい。繰り返します。チーム“μ's”所属。鳴神 青空君。出撃登場が完了しましたので、ガンプラバトルシミュレーター第1タワー、4番コクピットをご利用下さい。』…はーい。にこちゃん、これでおっけーよー。」

 

私がそらの機体の再設定を終わらせると、ちょうど椿さんもそらの出撃登場が完了したって私に声をかけてくれたわ。

 

アナウンスも終わったし、出撃準備はこれで全部おっけーね!あとはそらの着替えが終わってこのGPベースを渡せば……あっ……

 

「わぁ…鳴神君って素材はいいって前から思っていたけどー、化けたねー…。おねーさん、ちょーっと本気になりそうかもー?」

 

「うわぁ…ナニよアレ……そらのなのに…そらのクセに…そらの分際なのに……カッコいいじゃない…。」

 

私の目に写ったのはさっき見たジオン風の軍服をモチーフにしたバトルコスチュームに着替えたそらが、タラップを駆け上がってガンプラバトルシミュレーターのコクピットへ向かう姿だったわ…。

 

そらの仲間が用意した暗緑色のバトルコスチュームに身を包んだそらを、私はお世辞抜きに素直にカッコいいって思っちゃった…。

 

それは私だけじゃなく、このアミューズメントセンターに公式戦を観戦に来ている多くのお客さん達も同じだったみたいで、お店のあちこちから、そらに対して黄色い声援が上がり始めていたわ…。

 

あ、アレは私のなんだから誰にも渡さないわよ!

 

「居た!にこちゃん!!!俺のGPベースを!早く!」

 

っ!そうだったわ!今は見惚れてる場合じゃないのよ!

 

1番タワーの4番コクピットのハッチの前までたどり着いたそらは、GPカウンターにいる私を見つけると、大きな声で私を呼んだわ。

 

俺のGPベースを!って。

 

そんなそらに対して私は……

 

「準備はばっちりよ!受け取りなさい!そら!!!」

 

手にしていたそらのGPベースを、コクピットの前にいるそらに思いっきり放り投げてやったわ!

 

えっ?投げないで手渡せって?

 

カッコつけて投げて外したら色々と台無し?

 

ハン!問題ないわ!

 

こう見えてもこの私!世界の矢澤 にこちゃんはコントロールは抜群よ!

 

ほら?見てみなさい?

 

私が放り投げたそらのGPベースは……

 

「っと!ナイスパス!にこちゃん!」

 

ね?ちゃんとそらの手元にすっぽりと収まったわ。

 

そして、私はGPベースを掲げこちらに手を振るそらへ向けて……

 

「そら!!!気合い入れていきなさいよ!思いっきり!アンタの全てをぶちかまして来なさい!」

 

右手を“グー”にして突き出して、周りの歓声に負けないように大きな声で激励の言葉を叫んだわ。

 

「おうよ!まかせろ!にこちゃん!!!」

 

私の声はちゃんとそらに届いたみたいで、そらも私の声に応えるように左手を“グー”にして、私へと突き出して、“おうよ!まかせろ!”って言ってくれたわ。

 

私の右手の“グー”と、そらの左手の“グー”。

 

私達がタッグを組んで出撃するときによくやる、出撃前のあいさつ。

 

“いくわよ!そら!”

 

“おうよ!にこちゃん!”

 

そんな掛け声のあとに、互いの“グー”を突き出して“コツン”って軽くぶつけ合う。

 

ただそれだけの行為。

 

そんないつものふたりのあいさつを終えて、そらはコクピットのハッチをくぐっていったわ……。

 

「がんばれ…そら…。そらなら大丈夫…絶対に大丈夫よ……。アンタは最強なんだから…だから…絶対に大丈夫……。」

 

 

 

 

がんばれ、そら。

 

トラウマなんかに負けなるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねー?にこちゃん?鳴神君に設定変更したの伝えたのー?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様。本日もご覧いただきましてありがとうございました。

さて、今週の水曜日3月15日はいよいよ我等が愛する海未ちゃんの生誕祭でごさいます。
特別編として「ソノダ イン ワンダーランド ~不思議の国の海未ちゃん~」を用意して…ません!
当初は海未ちゃん生誕SSを用意しようとは思っていたのですが、挫折してしまいました…。
来年こそは…頑張りたいです…。
とりあえずは海未ちゃん生誕祭ではスクフェスの海未ちゃん限定勧誘を石の限り引いて参ります!
目指せ海未ちゃんのUR!




次回更新は月曜日のお昼頃を予定しております。
よろしければ是非ご覧下さい。

それでは改めまして、本日もご覧いただきまして、本当にありがとうございました。
皆様のご意見、ご感想もお待ちしております。
どうかお気軽にお声掛け下さい。

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