さて、今回の話はスバルと双子姉妹が合う場面ですね。そして、作者は過ちに気づきました。そのシーンでこの小説で書いてないんですよね(苦笑)なら、押し切るしかない!!というわけで、この話です。
※お気に入り登録・563人!!評価者34人!!感想を新たに一件頂きました!!本当にありがとうございます!!
しかし、本当にお気に入り登録500人、突破したんですね……夢を見てるような感じです……。
これはお祝いにイチャイチャしなくては(笑)
「嫌だよ!何でそんなもの着なくてはいけないんだよっ!?」
「ハルが毎回朝寝坊して、レムとラムの手を煩わすからでしょう?」
「確かにそれに関しては何も言えないけど……。ラムさんが俺を起こしに来たのってこれを合わせて、三回だからね!?レムちゃんに言われるならまだしも、ラムさんには言われたくない!!」
ロズワール邸のとある部屋の中、赤い髪を短く切りそろえて、前髪に幼稚なヘヤピンを付けた少年が、桃色の髪を肩までで切りそろえている少女と言い合いをしている。
その言い合いの原因となっている露出度MAXの改造メイド服は、二人の言い合いを静かに見守っている青髪を肩までで切りそろえている少女の手に大切そうに持たれている。
タダをこね続ける赤髪の少年ことハルイトを桃色の髪の少女ことラムは腕を組んで「ハァッ」と鼻で笑うと
「ハルこそ何もわかってないようね。ラムはハルを起こそうと思えば、いつでも行けたわ。でも、めんどくさかったし、ハルの間抜け面を見るのが忍びなかったのよ」
「間抜け面とはなんじゃ!!寝顔と言って、頼むから……っ」
「それより早く着替えなさい、ハル。ラム達は今からお客様を起こしに行かなくてはいけないのだから。変なタダをこねて、レムの手を煩わせるものではないわ」
「うぐ……」
ハルイトは、青髪の少女ことレムをチラリと見てから、唇と両手を握りしめると泣きそうになりそうになりながらも、レムへと向き直った。
「レムちゃん、ごねてごめんね。着替えさせてくれる?メイド服は俺、着たことないから」
「はい、兄様」
満面の笑顔を浮かべるレムに複雑な思いを抱きながら、ハルイトはレムの達人の手によって、改造メイド服へと着せ替えられて、母似の癖っ毛が多い赤髪を軽く櫛をとおされる。最後に母から貰った幼稚なヘアピンを前髪へと付けられて、仕上げとなる。
「……これで満足でしょうか?ラムさん」
ラムの前でクルリと回って、恨めしい顔つきをして、ハルイトはラムを睨む。ラムはというと、そんなハルイトを見て
「流石、普段から女々しいだけあるわね、ハル。とても似合っているわ」
ラムのその言葉に思わず地団駄を踏みそうになるが、そうしても時間の無駄と知り、深いため息をつき、トボトボとドアへと歩いていく。
「〜〜ッ!!はぁ……、それではお仕事へと行きましょうか。俺は朝ご飯を作りへ行くので、お先に失礼します。レムちゃん、後で」
振り返り、レムへと手を振ったハルイトに、ラムは近づくと
「それとハル、これだけは言っておくわ。その姿の時のハルは、ラム達と姉妹ということになっているわ。ちなみに未子よ、可愛いでしょう?」
嬉しそうなラムにハルイトは頭を抱えて、確認の為にラムへと呼びかける。
「……ラムさん、ラムさん」
「何よ、ハル?」
「それをすることで俺へのメリットは?」
「メリットなら、沢山あるわ。ラムがハルのその姿とお客様の反応を見て、面白く思う。そうすると必然的に仕事の効率が上がるというものでしょう」
「……ラムさんがそれで喜んでくれるなら、俺はやるよ……。ラムさんを愛している気持ちに偽りないのだから。でもなんだろう……このモヤモヤっとした気持ち、何かシャキンとしないな……」
ラムの言葉に釈然としないまま、ハルイトは持ち場へと歩いていった……
λ
紅いカーペットが敷かれた廊下の中、黒髪の少年は駆けていく。時折、転びそうになりながらも少年は両手と両脚を懸命に動かし続けていた。俯いた顔はしわくしゃで今にも泣き出しそうな子供のようであった。
そんな時、ドンッと軽い衝撃が走ると、俯いた視線に映るめくれた白いヒラヒラがついた黒いスカートとそこから覗く白いガーターストッキングに覆われたほっそりした両脚。
「痛たた……」
その直後、アルトよりの声音が黒髪の少年ことスバルの鼓膜を揺らす。その見知った声にスバルは俯いた視線を僅かに上へと上げるとそこには、短い赤い髪の前髪に幼稚なヘアピンを付けたメイドが居た。
“ぁ……あ……”
「……ハル…」
スバルの表情に僅かな希望が生まれた。
“この少女なら、いつも優しかったこの少女なら
ーーこの不安を取り除いてくれるかもしれない”
しかし、その希望を一瞬で打ち砕かれる。
「ッ!?お客様、本当に申し訳ありません。お怪我はされてませんか?」
上を向き、立ち上がった赤髪の少女が何気無く言った言葉、その中に含まれた“お客様”の三文字にスバルはヨロヨロと後ずさる。慄き、震えながらも、大きめの赤い瞳へと視線を送る。
「お客様、どうされたのですか?もしかして、さっきのが古傷に?」
赤い瞳に期待した親しみは無く、代わりに他人行儀が浮かんでいた。心配そうな表情の赤髪の少女から逃げるようにスバルは振り返り、来た道を走り、目の前にあった扉の中へと逃げ込んだ……
次回はベアトリスとスバルの話