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普通の小説でこれ程、評価とお気に入り登録されたものが無かったのでとても嬉しいです!!
簡素な部屋に置かれたベッドの上に、赤く短い髪を持つ少年が眠りこけている。規則正しい寝息を立てて、眠り続ける少年の部屋に誰かが入ってきた。
「はぁ…レムレム、ハルってば相変わらず女々しい寝顔だわ」
「姉様姉様、ですが…そこが兄様の素敵なところです」
赤髪の少年・ハルイトの部屋に入ってきたのは、瓜二つの顔立ちをした少女達であった。
露出度が高い改造メイド服に身を包んだ少女達は、ハルイトを挟んで右側と左側に分かれて立っている。ハルイトから見て、左側に立っているのが桃色のショートボブに薄紅色の大きな瞳を持つ少女である。腕を組んで、ハルイトを見下ろしては、しきりにため息をついている。この少女の名前はラムで、右側に立つ少女の姉に当たる。
その右側に立つ妹は、姉が赤系統に対して青系統である。青のショートボブに大きめな薄青色の瞳を持っている。ちなみに名前をレムという。
そんな少女達は双子といわれるもので、体格や顔つきも鏡移しのように瓜二つであるが、そんな二人も見分け方はある。例えば、先程あげたような髪と瞳の色の違いや胸の大きさの違い、雰囲気の違いなど見分け方は沢山ある。
そんな二人には朝に必ず、することがある。それが、この今だに眠り続ける赤髪の少年を起こすことである。執事仕事を難なくこなす少年だが、どうも朝だけは苦手なようだ。
「Zzzz……」
気持ち良さそうな寝息を立てて、眠り続ける赤髪の少年を優しく揺り起こすのは青髪の少女・レムである。
「兄様、起きてください。朝ですよ」
慈愛に満ちた声音に、心地よい揺りがハルイトの覚醒を邪魔してしまう。
「Zzzz……」
「んー。姉様、どうしましょう……。今日の兄様はいつにも増して、お寝坊さんです」
困り果てるレムに、ラムは腕を組むと
「ハルのくせに生意気だわ。レムやラムの手を煩わしているばかりか、一人ぬくぬくと布団にくるまっているなんて。……ラムだって眠いのに……」
ハルイトに対して、悪態をつくラムはレムよりやや……いや、かなり乱暴にハルイトを揺する。それにより、ようやく目を覚ますハルイトはまだ眠いのか、コクンコクンと首を揺らす。薄っすらと目を開けて、ニッコリと微笑んだハルイトは両側に立つラムとレムに頭を下げる。
「あ〜、おはよう〜。ラムさん、レムちゃん……」
そんなハルイトにレムは嬉しそうに笑い、挨拶をする。その手には濡れタオルが握れており、それをハルイトへと差し出す。
「はい、おはようございます、兄様。こちらに濡れタオルがありますので、これでお顔を拭いてください」
レムから受け取ったハルイトは、濡れタオルで顔を拭うと、横からラムの声がした。
「はい、ハル。今日のハルの衣装はこれよ、ラムが直々に持ってきてあげたのよ。ハルはラムに喜びの舞を送るべきね」
「ん…?喜びの舞?踊れたら、踊るよ……でも、ありがとう、ラムさん……」
今日の仕事着をラムから受け取り、それを着ようと手を伸ばした時だった。嫌な予感がしたのはーー、その予感は元を辿ると本の些細な違和感であった。
“今日のラムさん、いつもより優しいなぁ〜”とか“何か、いつも着てる執事服よりこの服、布地が少ないなぁ〜”とか、本当に些細な事だった。ので、ハルイトは目を開けて、確かめようとした。目を開けてみて、ハルイトはびっくりした自分が掴んでいたのは、両側に立つ少女達が身につけているのと全く同じものであったからーー
プルプルと俯いたまま、震えるハルイトにレムが心配したように歩み寄った。
「兄様、どうされたのですか?何が悩み事があるのでしたら、レムに言ってください。兄様が一番に頼るのは、いつでもレムであってほしいので」
ハルイトはレムのその言葉を聞きながら、心の中でこう思った。
“ならば、何故。ラムさんの奇行を止めてくれないんだ!?”とーー。
ラムさんが俺に改造メイド服を渡すところは確実にレムちゃんに見えていた筈だ。なのに、何故それを止めてくれなかったんだ!!男の女装姿+メイド服姿なんぞ、誰得なんだよ!?得なことなんかねぇーじゃねぇか!?
“あぁ……なんか、イライラしてきた……”
ハルイトはゆらりと左側へと視線を向ける。そこには、腕を組んで、ハルイトを見下ろすラムの姿が。
「………」
「何?ハル。感謝を通り越して、咽び泣くの?」
首を傾げる姿は可愛らしい、可愛らしいがやっていい事とやってはいけない事があるだろうが!!
そこで、ハルイトの怒りは頂点に達した。ギューと布団を掴むとラムを睨みつける。
「咽び泣くわけないでしょう!!違う意味で涙が溢れそうだよ!なんで、メイド服なんだよ!!俺のメイド服姿なんか見たい人居るわけないでしょうが!?」
あまりの怒りから肩で息するハルイトにラムは至って冷静で、妹の方を見ると
「そうなの?レム」
と妹に尋ねる。ハルイトもつられて、レムの方を見るとレムは頬を染めていた。
「いえ、兄様のメイド服姿はレムの眼福です。きっと、兄様ならどのような服もお似合いになることでしょう」
目をキラキラとさせて、そう語るレムにハルイトは絶句。ラムはフンと鼻を鳴らすとハルイトに向かって、得意げに笑う。そんなラムにハルイトは悔しそうな顔をする。しかし、このままメイド服を着て、仕事には出られない。今日は特別な日なのだから……。
なので、ハルイトはレムを諭すことにする。
「いや、レムちゃん……冷静に話し合おうよ。俺の……いや、男のメイド服姿だよ?見せれるものでもないし、いい笑ものになると俺は思うんだけどなぁ〜」
「兄様を笑う人はレムが許しません。それに兄様は線が細くて、お顔も美しいので絶対お似合いになられることでしょう」
「………」
“ダメだ……。聞く耳を貸してくれない……”
ハルイトは項垂れるが、次の瞬間、頭を下げるのだった……
次回はスバルとハルイトの二つの視点で書きます。
※※※特別章で書いて欲しい話を募集中です!!※※※
活動報告の【Re:フラグから始める攻略生活〜リクエスト〜】にある方は御手数ですが、書いてください。感想では違反となるのでなさらないのようにお願い申し上げます。
皆さんのリクエスト、とても楽しみにしてます。
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※少し内容を変えました…。
ラムさんとレムちゃんのセリフを返しました