遠い未来、ハルイトがラムとレムと付き合っている未来。そんな未来の幸せに包まれた日々をここに……
をテーマに書いた話なので、甘々な雰囲気を出せてるかは分かりません。ですが、かなりの自信作なので良ければご覧ください。
机に両腕を重ねて、その上に頭を乗せて 微睡んでいるのは短く赤い髪が特徴的な少年である、名前をハルイト。そのハルイトの両側に立つのは短い髪にお揃いの髪飾りをつけた愛らしい顔立ちをした少女達で、二人を見分けるのは髪の色と瞳の色、胸の大きさくらいだろう。逆に言うとその三つくらいしか違いを見分けられない瓜二つの双子というわけだ。その双子姉妹はそれぞれ、右左と分かれてハルイトを揺すっていた。
Zzzz……。ゆさゆさ
「兄様、起きてください。こんな所で休まれては、お身体に触ります」
熟睡するハルイトを優しく揺すっているのは右側に立つ少女で名前をレムという。大きめな薄青色の瞳を慈愛と心配で満たして、青い髪と双子の姉より大きい二つの膨らみがハルイトを揺する度に動く。もし、これをハルイトが見ていたらーー鼻の下を伸ばして、もう一人の少女に本気のアッパーカットをお腹へと食らっていただろう。そのアッパーカットは〈五割は嫉妬〉〈三割は激怒〉〈二割は姉心〉と乙女心というのは実に複雑である。
Zzzz……。ゆさゆさ
「ハル、起きなさい。こんな所で寝てしまっては、風邪を引いてしまうでしょう」
青髪の少女ことレムよりやや強めでハルイトを揺すっている少女の名前はラムという。レムの双子の姉であり、レムより胸元が控えめとなっている。今まではあまり気にしてなかったラムだったが、ある頃より気にするようになった。原因としてあげられるのは、恋する男性が胸が好きな変態だった。事あるごとに妹の胸元へと視線を向けている等というわけである。その度にアッパーカットや物理攻撃にうつるのだが、効果はイマイチとなっている。
「んぅ……すぅ……」
そして、上の二人が恋するのが寝息を立てているこのハルイトというわけだ。桃髪と青髪が揺れては、なかなか起きてくれないハルイトを薄青色の瞳、薄赤色の瞳が心配そうに見つめている。
だが、件のハルイトというと実に呑気なものだった。下のハルイトの思考を読んでもらえれば、呑気というのが分かるだろう。
むにゃむにゃ……、ふわぁ〜……
“さっきから何か声が聞こえてくる……”
でも、今だけはこの微睡みに身を任せていたい。なので、この声の主たちには申し訳ないけど、寝かせてくださいっお願いしますっ!よし、お願いした俺は寝ます!!
Zzzz……、むにゃむにゃ……
尚、眠り続けるハルイトに両側に立つラムとレムは顔を見合わせて、苦笑を浮かべる。
「姉様、姉様。兄様がなかなか起きてくれません」
「レム、レム。困ったわ、ハルが起きてくれないわ」
「どうしましょうか?姉様」
「そうね。………何か毛布でもかけて様子を見るとしましょうか」
「そうですね。流石姉様ですっ」
問いかけるレムにラムは腕組みをして、少し考えると意見を述べる。
「なら、レムが持ってきます。姉様は兄様が落ちないように見守っていてください」
「えぇ、任されたわ」
姉の意見を聞き、早速とレムが行動に移す。その背中が見えなくなるとラムはこっそりとハルイトの寝顔を覗き込む。
Zzzz……、むにゃむにゃ……
“可愛いわね……、これは……”
そこには想像以上の光景が広がっており、ラムの顔は知らぬうちに朱に染まっていくと同時に心拍数とだんだんと上がる。ラムも両腕へと頭をのけて、ハルイトの寝顔を堪能する。
「ハル。ラムはハルを愛してるわ」
誰に言うでなく、自分へと言う。胸元へ手をおけばドクンドクンと脈だつ心臓。締め付けられるようなこの感じ。
「えぇ、愛している。この愛おしさはレムにも負けないわ」
目の前のこの少年をこんなに愛おしく思う日が来るとは思わなかった。だって、常にラムの恋心は一人のピエロのような青年に占領されていたのだから。しかし、いつの間にか その硬く閉じられた鉄の心のドアをこの少年はゆっくりもゆっくりと留め具を外して入ってきた。入ってきたと思ったら、みるみるうちにラムの心を支配し、あの日の約束のようにラムを振り向かせたのである。
「……。もう少し見ていたいけど、そろそろレムが帰ってくるわね」
残念そうな顔をして立ち上がったラム。まさにその瞬間にレムが両腕に毛布を抱えて、帰ってきた。
「姉様、毛布を持ってきました」
「えぇ、ありがとう、レム。レムがかけてあげるといいわ」
「はい、姉様」
レムはハルイトへと毛布をかける。その際に見えた寝顔に笑顔がこぼれる。それと同時にドクンドクンと脈だつ心臓の音に、改めて目の前で眠る少年を愛している、好きと思う。最初は少年を姉から離したいと思った。しかし、今は違う。正直、姉へ向けられている視線をもう少し此方へと向けてくれてもいいではないかと思うこともある。でも、そんな嫉妬がどうでも良くなるほど少年はレムを大切に思ってくれる。愛の言葉も照れながらではあるが囁いてくれる。助けが欲しい時、姉ではなく自分を頼ってくれる。そのどれもが何よりもかけがえのないものであり、レムが大切にしたいと思う少年とのやりとりである。
「それでは、姉様、レムたちも寝ましょうか」
「えぇ、そうね。寝ましょうね、レム」
顔を見合わせて笑い合う少女たちは其々右側と左側へと分かれて、椅子へと座った。そして、視線で合図してーー
「おやすみなさい、兄様」
「おやすみ、ハル」
ラムは頬へと、レムは赤い髪をのけてオデコへと。
ーー習慣になったおやすみのキスを行った
ゆっくりと唇を外した少女たちは微笑み合い、恋人のマネをして眠りについた……
この小話を書いた理由はーー
読者の皆さんに更新がいつも遅いので迷惑をかけているお礼。
と
単に作者がテレるラムさんが見たかっただけです(笑)
テレるラムさんがどうだったか感想を書いてくださると嬉しいです!
では!!