レムさんに優しく撫でられながら、深い眠りについた白虎と朱雀に苦笑しながら、隣へと向き直る。
「なんかごめんね。レムさん、こいつら、いつの間にか寝てしまって…」
「構いませんよ…、そのハルイト君、すいませんでした…」
「? なんでレムさんがあやまーー」
「ーーレムはこんなに可愛い子達を手にかけようとしていたんですね…」
遮られて、ポツンとつぶやかれたその一言で全てを悟ったーー
ーー彼女は彼女なりに俺との……いや、俺たちとの関係を改善しようとしていたんだ。あの時やってしまった自分の行いに恥じて、俺たちに素直に謝ろうとしている。
そこまで分かってしまうと隣に腰掛ける青髪の少女が愛らしく思えてくる。なので、俺は何処と無くしょんぼりしているように見えるレムさんへと視線を向けると微笑む。
「別に気にしなくてもいいよ…レムさんにはレムさんの事情があったんだろうし…。でも、こいつらに謝ってくれたことは正直嬉しかった…ありがとうね」
「ッ!?」
微笑んだ俺を見て、何故か頬を赤く染めるレムさん。それに首を傾げる俺。
「???」
τ
「……」
しかし、その光景がまるで氷のように固まったように数分が経過しても変化することはなかった…
“んー、気まずい……”
その謎の沈黙とレムさんの頬の赤みに戸惑いつつ、俺はレムさんへと語りかける。
「そうだ、レムさんの誕生日っていつ?俺は3月20日だよ」
「?」
俺は癖っ毛の多い赤髪を掻きながら、照れ臭そうにはにかむ。そんな俺を不思議そうな顔つきで見つめてくる青髪の少女に俺が視線を向けるとーー青髪の少女ことレムさんが焦ったように答える。
「レムの誕生日は2月2日です」
「へぇ〜、2月2日ねぇ……ということは星座は水瓶かぁ…」
「み…ず、が……め?」
聞いたことない単語に首を傾げるレムさんを可愛らしく思いながら、俺は上を見上げる。だが、そこにお目当ての星座は浮かんでいる様子はなかった。困ったように赤髪を掻きながら、俺はレムさんへと微笑みかける。
「んー、紙が有ったら描くんだけどねぇ…。
そうだ、さっき言った水瓶っていうのはね。俺の元の世界にある占い?……っていうのかな…、星と星を繋いである形を創って、物を表現するものなんだけどね。俺たちの世界では、その形作ったものを誕生日に合わせて、12個用意してあるんだ」
「12…個、ですか…?」
「うん。えーと、順から言うと…牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座、獅子座、乙女座、天秤座、蠍座、射手座、山羊座、水瓶座、魚座で12個だね」
スラスラと言ってのける俺にレムさんは眉間にシワを寄せる。難しい顔をして、俺が言った12個の星座を言おうとしている。
「おひつ…じ?お…うし……ふたご……。そのあとは……えーと…」
「蟹だよ、レムさん」
「あっ、蟹ですか。ありがとうございます、ハルイト君」
笑顔でお礼を言ったレムさんはまた下を向いて、その後をぶつぶつと呟いている。それが数分、続いた後にレムさんは俺へを向き直ると
「ハルイト君の星座?……は何ですか?」
「俺?俺は魚だよ、一番最後のやつ。良かったら、明日俺の部屋へおいでよ。全部、教えてあげるから」
そういう俺にキラキラと目を輝かせるレムさんに頬を掻きながら、立ち上がる。
「よ〜し、じゃあ、そろそろ寝ようか。レムさん」
「はい、ハルイト君」
レムさんへと手を差し伸べて、立たせてあげながら、俺は明日の予定を立てていた……