その出来事がおきたのはーー俺が定期的にやっている訓練をしている時だった。いつものメンバーとの特訓を終え、俺はゴロンと芝生に寝そべると夜空に浮かぶ星たちを眺めていた。
「キュルルル……」
「グルルルル……」
「あぁ、本当綺麗だなぁ……。そういえば近頃、色々ありすぎて、ゆっくりまったりする時間なかったもんな」
寝そべったら俺の身長を越す白虎に抱きついて、暖を取りながら、あれはあの星座かな?とか思っていると背後から足跡が聞こえ、何故か立ち止まった。はて?と首を傾げていると……
「ハルイトくん…ですか?」
と背後から聞こえた幼さを含む可愛らしい声の持ち主には、身を覚えがあった。起き上がって、振り返りとやっぱりそこに物静かに佇む青髪のメイドさんに俺はニッコリと微笑み、夜空を指差す。
「あぁ、レムさん、いつもご苦労様。ほら見て、今日の星空はとっても綺麗だよ」
「?」
眉をひそめつつ、俺へと近づいたレムさんは俺がトントンと横を叩くのでそこに腰掛ける。
「グルルル……」
「あなたは……」
俺とレムさんの後ろへと回り込んだ白虎は、戸惑った顔つきをするレムさんへと甘えた鳴き声を出し、顔をレムさんへと擦り付ける。そんな白虎と俺を交互に見ながらもやはり、どうすればいいのか分からないらしい。
「撫でてあげて。白虎は頭を撫でられるのが好きなんだ」
俺が白虎の脚を優しく撫でるのを見て、意を決したレムさんは恐る恐る白虎の頭を撫でる。そうすると、白虎が気持ち良さそうにトントンと尻尾を動かすのを見て、俺はレムさんへと笑いかける。
「気持ちいいってさ。白虎もレムさんに撫でてもらえて喜んでる。俺が撫でた時とかこんなに尻尾動かさないんだぜ。なんだかんだ言って、現金な奴だな、お前っ」
グリグリと白虎をどつくと白虎がチラッと俺を見て、素知らぬ顔でレムさんへと甘えた声を出す。
“む……、何だよ、その態度。そっちがその気ならーー”
「いいよぉ〜だ、俺は朱雀と遊ぶからぁ〜。おいで、朱雀って……」
当の朱雀もレムさんの左肩へと乗り、スリスリとレムさんの顔へと甘えたように体を擦り付けている。何という裏切り!朱雀にまで裏切られるとは思いもしなかった……ッとガクンと肩を落とす俺にクスクスと小さな笑い声が聞こえる。
横を見ると口元を抑えて、俺らのやりとりをおかしそうに笑っている青髪のメイドの姿があった。ひとしきり笑った彼女は目頭に溜まった涙をほっこりした指先で拭いとると、右肩に止まる朱雀も優しく撫でてあげている。そんな穏やか表情を浮かべる彼女に俺も自然と表情が緩む。
“どうやら、こいつらとは和解できたようだな……”
暫くの間、二人の間にゆったりとした時間が流れていった……
出来れば、感想を頂ければと思います……