レムちゃんがハルを兄様と呼ぶまでの話を全五話くらいで書きたいと思います。かなり短い文章になると思いますが、どうかよろしくお願いします!
一話『塞がらない溝』
レムさんを止めようとして止められず、代わりにラムさんに助けられたあの日から早くも三週間が経ったがまだ埋まらない溝というのが確かにあった。
その溝というのがーー
ラムさんに叩き起こされ、シブシブ最初の仕事場へと向かおうとした時、向こうから青色のショートボブを風に揺らしながら歩いてくる少女が居る。その少女の名前はレムさんで、さっき俺を叩き起こしたラムさんの双子の妹で、俺らロズワール邸で働く使用人を束ねる頭でもある。まぁ、単純に言うとスーパーメイドというわけだ。多々ある家事を凄まじいスピードでそれも丁寧に終わらせてしまうという神業の持ち主。しかし、それは彼女のただならぬ努力の上に成り立っていることは、ラムさんから聞かされていた。
“襲われた時は怖かったけど……それは単純にラムさんを守りたかっただけなんだよな…”
そんな責任感が強い彼女と和解したいと俺は思っているのだが……その深まった溝というのはそう簡単には塞がらず……ーー
「おはよう〜レムさん」
「おはようございます……ハルイトくん」
俺が軽い感じで三歩先を歩く青髪の少女へと声をかけるが、ぎこちなく振り返ったレムさんが気まずそうに俺をチラッと見ては、ゆっくりと頭を下げる。
そんな気まずい雰囲気にめげず、レムさんへと他愛ない会話を振ってみるが、レムさんの回答は硬く、はっきり言って教科書通りの返答しか返ってこない。それにもめげず、ずっと会話を続けていくと、何とか中身がある回答が返ってくるようになる。なので、そのままの調子でもう一歩近づこうとすればーー
「それでね、レムさんはどうおもーー」
「ーーそれでは、レムはこっちですので…」
「あぁ……うん、頑張って」
「ありがとうございます。ハルイトも頑張ってください」
と言った感じでそつなく距離を取られ、俺はというとーそんなレムさんの様子に俺は癖っ毛の多い赤髪を掻きながら、その小さくなっていく背中を見送るしか出来ない。
その後も何とか元の距離感に戻れないものかと、レムさんに必要以上に関わろうとしたが、何故かそつない感じに交わされて、後に残るのはラムさんに押し付けられた雑用のみである。
本当にトホホ……である。骨折り損のくたびれもうけみたいな……ここまで素っ気なくぎこちないと逆に俺だけがこの距離感を解消したいだけなんじゃないか?と思えてしまう。本気でそう思った時はラムさんへとガチのトーンで相談し、「ハァッ」とバカにしたように鼻で笑われるのが俺の日課となりつつあるほど、俺とレムさんの溝と関係性は手の内用がないほど深まっていった……
近づいては遠ざかり、遠ざかれば近づいてという奇妙な距離感を絶妙に保ちながら、俺はこのロズワール邸での執事業が二年目へと差し掛かった時だった。
俺とレムさんーーレムちゃんとの距離が縮まることになった出来事が起こったのは……ーー
この話はこのくらい短い感じで書き進めて行きます。ずっと書きたかった話だったので、皆さんに読んでいただけて嬉しいです!
ハルとレムちゃんにこんな過去があったんだ〜的な感じで読んでいただけると嬉しいです!!
では!!