悟空の機転により勝機が生まれる!
乞うご期待………
予告詐欺です()
リハビリ気味に書いてみたけど、変な方向に筆が走った()
一週間くらいしたらまた幕間に移動します。
それは、完璧な奇襲であった。この場にいればヒットですら舌を巻くような。
音も無ければ容赦も一切ない、頸部を穿つ必殺必勝の拳。
ブルーによる、気を感じさせない瞬間移動からの渾身の一撃は、孫悟空が奇襲を行う事を予め予期していたピッコロをして、躱すこと能わず仕留められるだろうと冷汗の流れるものであった。
しかし。
「へへっ。まあ、通じねぇよなぁ、母ちゃんにはよ」
必殺の筈の拳は、何かにーーーエミューゼの尻尾に、当然のように阻まれていた。
腕に巻き付くでも無く、ただ拳の先に添えるように置かれた尻尾の先が、悟空の一撃を受け止めていたのだ。
エミューゼは訝しげに。しかし決して悟空に視線すら投げることなく言い放ちーー
「何となく空気の揺らぎを感じたかと思えば…母はいま戦士の相手で忙しいのです。行儀よく仕置をまっていなさい、悟空」
ーーそのまま、尻尾で悟空の頭をはたく。
まるで舞い上がる埃を払うような動作であった。
ぺちっという、コミカルな擬音でも鳴りそうな緩慢なものでしかなかった。
しかし。首が千切れ飛びそうな衝撃が悟空を襲い、顔面が轟音と共に地面に陥没する。
〝なんとなく〟
それはつまり、エミューゼが危機を感知するには充分すぎる事を意味する。
その光景を目撃した誰もが“ふざけるな”と思った。
必殺の一撃を、“なんとなく”で防がれては溜まったものではない。
完全に、相手にされていない。
だが、それでも悟空には勝算があった。すぐさま頭を引っこ抜き、ベジータの隣に素早く潜り込む悟空の表情には、闘志あふれる笑みが浮かんでいる。
ベジータは嫌な予感がした。カカロットのあの笑みが、自分にとって良いものであった試しなどないのだ。
「何の真似だ、カカロット。出しゃばるんじゃない、エミューゼは俺の獲物だ」
「わりぃけんども、ベジータ。今回ばっかしは譲れねぇ。おめぇだってわかんだろ?」
「……ちっ。いいだろう、足を引っ張るんじゃないぞ。どちらが奴を倒すか、競争だ」
あぁ、やはり。と天を仰ぎ呻きたくなったベジータだったが、同時に納得もしていた。
エミューゼほどの存在を前にして、お預けを許容できるサイヤ人などいるわけがないと、理解してしまえる自分が堪らなく苛立たしい。
それに、二人でかかったところで、誤差にもならないような戦力差なのだ。
「それによ。母ちゃんとの闘いには、オラが先約なんだぜ? 勝てると思ったら、いつ如何なる時だろうとかかってきなさいってな」
「ーーー確かに言いましたね。ですが、わかっているのですか、悟空」
その言葉の意味を。
理解しているのか、と。
エミューゼはゆっくりと。
自分を落ち着かせるように腕を下ろし、拳を力一杯に握り潰す。
「ベジータ王子と同じく。戦士として私の前に立つというのですか?」
内心、エミューゼは戸惑っていた。息子は、本気で私に挑むつもりなのだろうか。死ぬかもしれない…いや、確実に死ぬ。
今の実力で私に挑めば、確実死ぬとわかっているだろうに。
しかし、詰問するようなエミューゼの眼光を受けてなお。
悟空の瞳から闘志が消える事がないのを見て取りーーー
「……今日は素晴らしい日です」
エミューゼは小さく笑った。寂しさと哀しみを宿した、死別を覚悟した笑みだった。
とうとうこの日が来てしまったのだと。
別れは唐突にやって来るものだと、悟ってしまったが故の笑みであった。
「えぇ、本当に素晴らしい日です。愛する息子と、その好敵手が! 切磋琢磨の果てに成長し一人前の戦士となり! 私の前に立っている!」
搾り出すような、慟哭のような声は、歓喜の叫びへと変わり。
寂しげな笑みは、犬歯を剥き出しにした獰猛な笑みへと変質する。
「やはり…サイヤ人は素晴らしい。私に挑むのはいつだってサイヤ人ーーーサイヤ人でなければならないーーー!!」
幾星霜の時を超え、この瞬間を待ち望んでいた。さぁ、見事この胸に殺意を叩き込んで見せろ!突き立てて見せろ!
焦がれるように、エミューゼは叫ぶ。
願わくば、自分を超えて。
永きに渡るこの命を絶ってくれと。
那由多の彼方にある勝機を掴み、死にゆく母に、その愛しい勇姿を見せてくれと。
「私にサイヤ人賛歌を歌わせてください……喉が枯れ果てるほどにーーー!!」
「じゃ、母ちゃん。0.0001%組手頼むな」
「ーーーえっ」
悟空はあっけらかんと言ってのけた。
それは、まるで悪戯に成功したような表情であった。
0.0001%組手。それは悟空が幼き日に受けた特訓の一つである。
エミューゼが力を0.0001%にまで下げる代わりに、一切の情を捨てて試練を課す修行。
幼き日は、0.0001%のエミューゼを相手に5分間隠れて生き延びるというものであったが。
その修行を何とか生き延びて終えた際、エミューゼはこう言ったのだ。
「次は、この状態の私に一撃入れるようになりなさい。もし見事こなせたなら、ご褒美をあげましょう」
と。
「母ちゃん、こうも言ってたよな。0.0001%組手に挑む覚悟ができたら、いつでもかかって来なさいって」
「……言いましたね。確かに言いました、私」
今度はエミューゼがお預けを食らったような表情をしていた。
頰は引き攣り、何とも言えない表情をしている。
「で、ですが、今は違うでしょう。もっとこう、闘争的な空気がですね!」
「いつ如何なる時も、オラからの挑戦は断ったりしねぇって言ってたじゃねぇか」
「でも、悟空、今はですね。そう、違うのです、あれは」
「言い訳したり約束破ったりする奴はサイヤ人の風上にも置けないやつって母ちゃんに散々言い聞かされたんだけんどもなぁ〜。な、悟飯」
「〜〜〜ッ!!」
悟飯は思った。
僕を巻き添えにしないで下さいと。
ベジータは思った。
鬼だ。鬼がいやがる。自分の母親を、母親の律儀な性格を完全に把握した上で、弱みに付け込む不良息子が、さも俺も仲間だと言うように隣に立ってやがる。
ビルスは戦慄した。血は繋がっていなくとも親子なのだと。そりゃ幾ら力量差があるからと言っても、親子として長年過ごしたのだから、弱みの一つや二つ見つけているだろう。悟空こそエミューゼの弱点だと考えてはいたが、まさか別の意味で悟空自身がエミューゼの弱みだとは思わなかった。
そして何のためらいもなく、いつものとぼけたような表情のままに母の弱みを握り利用する悟空に恐怖した。
「う、ぬぅ…ぐぐぐ」
エミューゼは再び思った。
とうとうこの日が来てしまったのだと。
唐突にやって来るものだと悟ってしまった。
可愛い息子に“反抗期”が来てしまったのだ…!
「い、いい、ぃぃでしょう。0.0001%組手ですね。久しぶりの息子との稽古です、受けてやりますとも!」
だが、エミューゼは律儀なサイヤ人である。愛する息子との約束を破る事がどうしてできようか。
「エミューゼめ、目を閉じやがった。呼吸も亀のように鈍くなってやかる…あれが0.0001%組手か。だが悟空の奴め、何を考えている……」
そう。
ピッコロが危惧するように、状況はあまり変わってなどいないのだ。0.0001%組手は、力をセーブする代わりに、一切の情を捨てる。
先程までベジータと闘っていた時も手加減していたことを考えれば、結局、戦力差が更に開くのを抑えたに過ぎない。
それどころか、仕置をするだけのつもりだった悟空まで死の危険が出て来てしまったのだ。
一撃を当てればいいという勝利条件こそ生まれたものの。
その一撃がどれだけ遠くにあるのか、わからない悟空ではあるまいに。
エミューゼは訝しむ。何故、悟空はこのタイミングで0.0001%組手を仕掛けてきたのか。ベジータを救うにしても、このやり方では2人とも危険に晒されてるだけだろうにーーー
「ーーー勝算はあるのか、カカロット」
「ある。母ちゃんは目を閉じてっから、あのとんでもねぇ動体視力は封じた。ブルーになったオラ達の気も、感じ取る事ができねぇ筈なんだ」
あとは、匂いと音だけーーーと、悟空は気を引き締める。0.0001%に力を抑えていようと、エミューゼは間違いなく、依然として宇宙で最強の生物なのだ。
「技をかりっぞ、ヤムチャ!」
繰気弾。悟空の作戦は単純極まりないものだった。
繰気弾がエミューゼの周りを縦横無尽に駆け巡り、空気を裂く音や地面を抉る音を奏でる。
小賢し真似を…そんな子供騙しがエミューゼに通用するものかとビルスは鼻で笑う。
しかし、ふと気付く。繰気弾の軌道に違和感がある。
何より、エミューゼが僅かに狼狽えたのが見えたのだ。
「ビルス様とブルマには感謝しねぇとな。ブルマの持ってきたパフェの匂いを、繰気弾で風に乗せりゃ、音と同時に食い意地の張った母ちゃんの鼻も一緒に誤魔化せる!」
本当に小賢しかった。しかし、流石親子と言うべきか、悟空はエミューゼの弱点を研究し尽くしていたのだ。
「さぁ、ベジータ! こっから本番だ、力入れていくぞ!」
「貴様! あんな外道殺法使っておいてよく格好つけられるな!」
この時、誰も気付かなかった。
エミューゼの五感を封じることが、何を意味するのかを。
この状況で、誰が1番得をするのかをーーー
この状況で、得をするのは誰だろう(棒)
ヒント:この話は復活のF()
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