女子高生と七人のジョーカー   作:ふぁいと犬

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 小さな鳥は、空を見上げていた。

 青く、高い高い空を舞う鳥達を羨ましく見上げる。
 その鳥達のような大きな体があるわけでもない鳥が、唯一出来ることは、誰よりも羽ばたく事だった。
 それでも、どれだけバタつかせても。悠然に空に舞う鳥達には届かない。

 見上げる事に疲れた鳥は首を下す。

 ハミングバード(ハチドリ)は、羽ばたく事すら止める。




 臆病物の、ハミングバード。


Act.74 臆病物のハミングバード

 

 ブツリと写り変わっていた地獄の日々が消える。

 シャットダウンのような消え方。

 

 ああ。そうか、もう、何も無いのだ。

 

 ファランは知っていた。

 その先には何も無い事を知っていた。

 闇、闇、闇、暗い、暗い、暗い。

 

 

 ………寒い。

 

 

 

 

 

 怖い。寒い。怖い。

 

 また置いていかれる。

 

 また裏切られる。

 

 真っ暗な世界。

 何も見えない世界。

 

 そこに、彼女は居る。

 

 その場に座り込み、体育座りで顔を埋める。

 

 ぶるぶるぶるぶると震えながら体育座りで、暗くて冷たい彼女の世界。

 

 ああ、寒い。寒い。寒い。

 

 彼女の瞳に光はない。

 

 震えながら、ぼんやりと見上げた先の虚空を見つめる。

 

「ひとりぼっち」

 

 ぽつりと零す言葉は闇の中へ掻き消える。

 

 誰も彼もが敵で、味方なんていない。

 彼女の心はあの時からずっと狂っていた。

 無理矢理連れてこられる戦場は、彼女の心を更に蝕むのに時間は掛からなかった。

 ジョーカーを下げずむ人達の瞳が、おぞましいダーカー残酷な悪意の塊が。

 彼女を苦しませ続けていた。

 その能力が、嫌が応にも恐怖を知らしめていた。

 

 ダーカーの耳障りな鳴き声に震え、人の足音に震え。

 彼女に味方なんていないこの空間を呪い続ける。

 簡単に人を裏切る人間も、簡単に人を殺すダーカーも。

 

 みんな嫌いだ、皆皆、化物だ。

 

 黒いモヤのような物が座り込む彼女の目の前に現れる。

 人を象ったそれは、座り込んでいるファランを見据える。

 

「そうやって、一生震えていなさい」

 

 黒いモヤから溢れた冷たい言葉をファランは知っている。

 黒く長い髪の女性が吐き捨てるように言った言葉 。

 ファランはその言葉に対して引き攣った笑みを零す。

 

 そうする。

 寒いから。

 ずっと震えている。

 誰も関わるな。

 力強い貴方になど、私の気持ちは解らない。

 

 黒いモヤが姿を変える。

 今度はもっと低い身長。

 

「ファラン! 私だ! クラリスクレイスだ! どうしてしまったんだ! また遊ぼう!! なぜ私をそんな目で見るんだ!」

 茶色い髪の少女。

 私と年齢も変わらない友人だったかもしれない人物。

 数回程度だけれど、何故か気が合ったような微かな記憶。

 黙れ化物め。

 人間ですらないクローンの分際め。

 貴方も、貴方も私を裏切る。

 

 また変わる。さらに小さく。

 今度は少し肩幅が広い男性の姿。

 

「お前はそうやって、震えているつもりか。誰かが助けてくれるまで、そうしている気かよ……」

 自らの師でもあった、白い髪の少年は憐れむように見つめていた。

 何が分かる。

 救いなんて求めても救われず、暗闇で必死に叫んでいた私の気持ちの何が分かる。

 

 殺して殺して殺して殺して。

 永遠の絶望の日々。

 醜悪の日々。

 未来に希望等ある筈が無い。

 闇の日々しか続かない

 

 

 寒い。寒い。寒い。

 

 もうほうっておいてよ。

 私はもう、何もしたくない。

 

 こんな世界。

 消えてしまえばいい。

 

 消えないのなら私が消える。

 

 私が死ぬ。

 

 震える彼女の瞳に光は宿らない。

 光のない瞳から、雫が零れる。

 恐怖が、悲しみが、涙を零させる。

 冷たく暗い床に涙は唯零れる。

 それだけで救いになるはず何て無いのだけれど。

 

 一人だ。

 一人で、このまま死んでいくのだ。

 

 死なせて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ほら! 可愛い!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「え」

 言葉が零れる。

 暗い世界が明るくなるような錯覚を覚える優しい色の声。

 

 ファランの髪の毛を二つ結びにした女性の声。

 

『ファランちゃんはパンが好きなんだ!』

 困ったような笑顔、必死に私と話そうと声を掛ける優しい声。

 

『大丈夫……怖くない怖くない…』

 怯えるファランの頭を、彼女は震えが収まるまで、抱き締め優しく撫でてくれていた。

 どれだけ突き返しても、彼女はファランに、付きまとっていた。

 

『コーラ! 好き嫌いしちゃダメだよー!』

 普通の人のように接してくれていた。

 普通に叱ってくれて、普通に笑いかけてくれていて。

 

「カ、カ、カ、カナタ……さ……ん」

 

 上手く回らない口で、ゆっくりとファランは言葉を零す。

 

『私は絶対に!!! ファランちゃんを裏切らない!!!』

 

 その言葉が世界に響く。

 同時にピシリとヒビが入る音が広がる。

 

 一人が怖くて、怖くて、怖くて。

 辛かった。

 寂しかった。

 なのに人が信用できなくて。

 どれだけ求めても心が無理矢理否定していた。

 

『友達だよ。ずっと……ずーーっと……』

 

 色のない、ファランの瞳にゆっくりと光が灯されて行く。

 

 涙がボロボロと溢れる。

 よろよろと立ち上がり赤子のように両手を前に差し出す。

 思わずその場で体が崩れる。

 それでも彼女は再度手を前へと伸ばす。

 それは誰かに手を引いてもらうためではない。

 

 立ち上がる為に。

 

 彼女はバランスを保ちながら、一人で、無様に立ち上がろうとする為に。

 

 同時に部屋が音を立てて砕けていた。

 暗い世界が明るい光に潰されていく。

 

「カナタさん……私は……あなたが……」

 

 

 

 

 

 

 頭がまだ虚ろなまま、ファランの頭はまだ少しぼんやりとしていた。

 

「大丈夫だから……私が、守るから……絶対に傷つけさせないから……」

 優しい声。

 ファランを抱きしめる女性はあちこちに引っかき傷だらけで血を流していた。

 彼女の制服には何度も扱けたかのように、まるで地面を這って来たかのように汚れていて。

 そんな事も気にせずに彼女はファランを抱きしめてくれていた。

 妙に力無い声は、それでも何度も何度もファランの名前を呼んでいた。 

 

 涙を流し強く抱きしめる彼女は悲鳴が止まったのに気づいていない 。

 

 カナタの様子を、ファランはぼうっと見つめる。

 弱い筈の彼女は、それでもカナタを守ると何度も言葉を続ける。

 

 その姿は、唯唯必死で。

 

 

 

 優しく微笑む。

 あぁ、本当になんて暖かい人。

 ぎゅっと彼女を抱きしめ返す。

 

 そこでカナタは、ようやく気づく。

 

「ファ……ファランちゃん?」

 

 戸惑うカナタを、強く抱きしめる。

 

「あっ、た、かい……」

 一言そう言うと。

 ファランはカナタに回していた手を緩める。

 少し名残惜しそうに。

 

「本当に……ファランちゃん?」

 目の前にいる少女は。

 泣き喚き、悲鳴を上げていた少女とは思えない静かな、優しい瞳をしていた。

 

「カナ、タ、さん……ありが、とう」

 辿辿しい喋り方は変わらない。

 それでも、いつもより声に力が入っているように感じた。

 

 蹲っていた彼女は真っすぐに立ち上がる。

 視線は外に出る道の方へ。

 

「ファラン、ちゃん?」

 不安そうな声色のカナタに、ファランは笑い掛ける。

 彼女が何故視線を向けたのか、カナタは解らない。

 

 妙な不安が過る。

 

「 に、逃げよう! 何とか、ファランちゃんだけ、でも……」

 その言葉は、自分を心配しているのではなく怯えていたファランの為を思って言っている言葉。

 しかしファランには逃げ出す事が出来ない事を瞬時に理解している。

 既に何体かの不気味な存在がこちらに向かっているのを感じていた。

 広範囲で見れば洞窟を取り囲む様に大量の禍々しい感覚。

 10や20所ではない。

 感情など到底あると思えないダーカー達から彼女達のみを一点に集中している殺気は異常さえ感じる。

 

 ……大丈夫、怖くない。

 

 その不思議な様子に、カナタは目を瞑るファランの手を握りしめる。

 開くファランの澄んだ瞳はカナタを見つめる。

 

「あ、歩けるんだよね? わた……私が囮になる、から、その間にファランちゃんは……」

 強がっていても声は震えている。

 弱い癖に、彼女は守ることを諦めない。

 

 重なる手は震えていた。

 その震えを止めようとするように、カナタは強く、強く握っていた。

 

 ゆっくりと、穏やかにその手がファランのもう一つの手で解かれる。

 

 ファランの手は震えていない。

 

 思わず、自分の手とファランの手を見比べる。

 カナタは自身の小刻みに震えている手を慌ててもう一つの手で覆う。

 隠せない恐怖を隠すように。

 悟られないように。

 少女をこれ以上怖がらせないように。

 

「大好き」

 

 

 思わずという風にファランから溢れた言葉に、カナタは小さく「え?」と聞き返してしまう 。

 ファランの頬は薄らと赤く染まり照れくさそうにカナタに笑いかけていた。

 

 こんな状況なのに。

 

 優しく、微笑んでいた。

 

 座り込んでいるカナタに向けて、掌を見せるように向ける。

 一瞬、ファランの両端で結ばれている髪がふわりと浮き上がっていた。

 それが彼女特有のフォトンを生み出す現象だとカナタは知っていた。

 

「ファランちゃん……?」

 

 突然の、ファランの行動の意味がカナタには理解出来ず疑問を振るように名前を呼んでしまう。

 

 答えない。ただ微笑む。

 

 向けている掌から青白い光が輝き出す。

 同時にカナタに向けて二つの光の縄が飛んだ。

 

「え? え?」

 素早く光の縄はカナタの腕と、足首、大腿部へと両側に巻き付く。

 気遣うように強く結ばれているわけではないが、それでも足と手が拘束状態へと変わる。

 今度は、情けない笑顔でファランを見てしまう。

 

「ファランちゃん……動けないよ? 何をする気なの?」

 優しく微笑む彼女の表情が、嫌な考えを加速させる。

 

「この縄が、解けたら、出て、きて……それま、で、絶対に動いちゃ、ダメ」

 

 ファランは知っている。

 カナタという存在を。

 彼女は守る為に自分を犠牲にする人だと言う事を。

 それは正義の味方のようにカッコ良く、颯爽と闘い自らが傷つくのを厭わない。

 そんな姿に似ているが到底違う。

 力も無いくせに、怖くて仕方がないくせに。

 それでも守ろうと、必死に足掻き守ろうとする。

 自身が死ぬという過程すら考えない。

 それは勇敢でも何でも無く、ただの無謀でしかない。

 馬鹿だと、狂人だと、言われてもおかしくない。

 

 それでも、ファランはこの馬鹿な女性が好きになってしまった。

 

「ファランちゃん!!! お願いほどいて!!!」

 荒げた声が洞窟に響き渡る。

 自身がやろうとした事を、ファランがしようとしている事なのだと理解した。

 彼女が消えてしまうのが怖くて声を張り上げる。

 

「私が! 私が! 囮になるから!! だから! だから! 一緒に!! 一緒に帰ろうよ!!」

 

「うん、帰、ろう」

 

 カナタは首に巻いていたマフラーを解くと、カナタの首元へと優しく巻きつける。

 

「もう……寒くない」

 

 必死なカナタの言葉とは裏腹に、ファランの声は酷く澄んでいた。

 同じ言葉を紡ぐ。

 

「一緒に………帰、ろう?」

 

 マフラーをつけていない彼女は新鮮で、そして見覚えのない物が視線に入る。

 首にある黒い刺青のような物。

 形は違うとも、何処か見覚えがある印。

 

「……ジョー、カー?」

 零す言葉に、ファランは 少し困ったような、謝るような笑みを向ける。

 

「私が、守る、から、絶対に、絶対に、死なせ、ない」

 その笑みは、諦めている笑みではない。

 死を求める笑みではない。

 

 数歩ファランは後ろへと下がると、彼女の髪が再び風に乗るようにふわりと浮く。

 青い粒子が彼女の周りを纏い始めると、彼女の両手に、青い剣が握られていた。フォトンの粒子が結晶となり作られた鮮やかな剣に、カナタは放けてしまう。

 怖がりで、怯えていた彼女には似合わない武器と思われるそれに。

 

 ファランは直ぐにカナタへと背を向ける。

 その動作に何を言っても止まらないんだとカナタは理解してしまう。

 それでも、それでもカナタは背中に向けて言葉を向けてしまう。

 

「死、死なないよね!! ……一緒に帰るんだよね!!」

 

 カナタの縋るような言葉にも関わらず、ファランは振り返らない。

 

「死なな、い」

 

 振り返らず、代わりに言葉で答える。

 彼女らしくない、とても力強い声。

 

「やりたい事、いっぱいいっぱい、ある、から!」

 夢も未来も見えない彼女の口から、未来を見据える言葉。

 彼女らしくない言葉と共に、ファランは直ぐに前を向き駆け出す。

 後ろから聞こえる、大好きな人の叫び声を後押しにさせ。

 それは止まるように叫ぶ彼女と矛盾するように。

 

 

 

 

 

 

 

 駆け出して数分。

 何かが砕かれるような音が耳に届く。

 その後直ぐにファランの視線にダーカーの存在が見え始めていた。

 うぞうぞと小さな洞窟の中をお互いを押しのけるように進むクモの様な形のダーカー。

 ファランは、決意を示すように唇をきゅっと結ぶ。

 ダーカー達にもファランの姿は見えていた。

 ファランに向けて加速する。

 

 岩肌を削る鋭い爪が洞窟内に不気味に響く。

 先頭にいるダーカーが、地面を蹴り、大きく飛びあがりファランに爪が向けられる。

 

 ダーカーが飛びあがったのと、ワンテンポ遅れてファランは斜めに飛んだ。

 空中にいるダーカーとすれ違う瞬間にダーカーの爪がファランの方に伸びる。

 爪が届く前に、彼女の体が横に勢い良く回転していた。

 作り出した青いフォトンの剣(つるぎ)は、遠心力を乗せたままダーカーの硬い甲羅ごと爪を叩き落とす。

 回転をそのままに、もう片方の手に握られた新たに作り出したフォトンの剣が、ダーカーの首を斬り落とす。

 地面に落ちたダーカーに対して、ファランはまだゆったりと滞空を続ける。

 ファランのフォトンの性質が、彼女の滞空時間を伸ばしていた。

 空中を舞うように、そのまま二体目のダーカーに対して、着地と共に地面に縫い付けるように二本の剣が胴へと突き刺される。

 急所事貫かれたダーカーは数度の痙攣を見せた後に絶命。

 

 向かっていた大量のダーカー達は、怯むように一瞬動きを止めていた。

 そんなダーカー達を待つ暇をファランは与えない。

 瞬時にまた地面を蹴ると、ダーカーに向けて剣を振るう。

 振るう度に、彼女の斬撃とは別の青いフォトンの剣がダーカーへ放たれる。

 次々と空中で作られて行く青いフォトンの剣はダーカー達へと突き刺さっていく。

 

 青白い光の刃と、ファランの手に持つ二つの剣がダーカー達を容赦なく襲う。

 

 時間にすれば3分も掛かっていない。

 数十体と居た硬い鎧に覆われたダーカー達は、全てが屍へと変わって居た。

 どれもが斬激で体の部品が飛んでおり、どれもが青白い刃によって針山のような姿になっていた。

 ダーカー達はその姿を黒い霧へと変えて行く

 ふわりと着地するファランの表情は暗い。

 瞬間的に、圧倒的な勝利を示した自身の手を見つめ小さく零す。

 

「鈍っ、て、る……」

 瞬間的な勝利は、一瞬であっても圧倒的ではなかった。

 全盛期の彼女は他のジョーカーと共に戦った一人。

 

 それでも、長らく戦わなくとも、ジョーカーとしての実力は健在であり、年若くも才能の一角を認めさせた彼女の力は計り知れない。

 

 彼女は直ぐに顔を上げると、再び外に向けて走る。

 

 守る為に、生きる為に、もう逃げないために。

 

 光が零れる世界に飛び出す。

 

 目の前に広がる世界は見慣れた森林から変わっていた。

 緑では無く、ダーカーを示す黒と赤が示す色が犇めき合っている。

 

 先程のクモの形をしたダーカーの非では無い。

 視線に映る大量の虫型のダーカー。

 クモの姿をした物、カマキリの姿をした物。他に例え様のない不気味な姿をした化け物たち。

 空も黒と赤が埋め尽くし、その数は数十という数え方では無く数百といった数え方の量を示していた。

 

 彼女の瞳に、一瞬暗い色が過ぎる。

 

 それを覆うように眼を閉じる。

 思い出すのは彼女の事。

 優しい笑顔を浮かべるあの人の事。

 綺麗な声で自分の名前を呼ぶあの人。

 

 優しくて、真っ直ぐで、とても綺麗で。

 

 その場で片足を軸に踊るようにその場で回る。

 

 それに合わせる様にファランの周りに青いフォトンの刃が広がって行く。

 空間で数十の刃を瞬間的に作り出す。 

 

 この力が嫌いだった。

 この力が無ければ、闇に落ちる事なんて無かったかもしれない。

 苦しい思い何てしなかったかもしれない。

 無理矢理に船へ乗せられたあの日を呪った。

 ジョーカーの力を持ったあの日を呪った。

 裏切られたあの日を呪った。

 この力が使えたあの日を呪った。

 

 でも、今はこの力に感謝する。

 

 大好きな人に出会えた事に。

 人を信頼する事を思い出した事に。

 

 

 大切な人を守れる事に。

 

 

 眼を開く。

 その眼に憂いは無い。

 優しい笑みを零し、胸を張る。

 彼女らしくない堂々とした仕草。

 

 切っ先を、大量のダーカー達へと向けた。

 

 

「来い、化け物、あの人には、触れさせない」

 

 

 ハミングバード。

 飛べない鳥。

 絶対回避。

 

 奇怪な音を上げ、迫り来るダーカー達を他所にファランは優しく微笑む。

 

 帰ったら皆に謝ろう。

 多くの人を拒絶した、多くの人に酷い事を言った。

 それと。

 

 ……それと。

 

 今度はもっと素直に、あの人と共に続く日々を。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 


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