ポケットモンスターORAS  高校二年生の戦い   作:タイタン2929
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第4話

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「いけっ、ミズゴロウ!」

 アサセが投げたモンスターボールから出現したミズゴロウは、俺のキモリに向け臨戦態勢をとっている。
 ミズゴロウの準備は万端なのだろう。
 キモリはというと、怪訝そうな表情で俺の指示を待っている。
 さすがに最初から俺を認めてくれている訳ではないな。
 まあでも、指示は聞いてくれる筈だ。

「えっと……どんな技を持っているんだ?」

ゲームような技を選択する画面なんてない。
当然だが、指示は口頭で伝えなければいけない様だ。

「なんだ、シュウトはバトルのやり方も知らないのか?」

 知るかボケ! と言いたいところだが、我慢だ我慢。
 傍から見れば俺は冷静かもしれないが、ふとした拍子にブチギレる事がある。
 中学でも、運動部の連中におちょくられた際に、ブチギレて本気の殴り合いをした経歴も持っている。
 実の所、俺は意外と短気なのだ。
 
「しょうがねえなあ。バトルのやり方ぐらいは教えてやるよ」

 アサセはその場でため息を吐き、俺を子馬鹿にしたように説明を始める。

「ポケモンの技と、体調、状態なんかは全て、“ポケートフォン”で確認だろ。マジでこんな事も知らねーのか?」

「ポケートフォンって何だよ? そんなもん知らないぞ」

ポケートフォンなんて新アイテム、俺は知らんぞ。

「これだよコレ、お前も持ってるだろ」

 アサセはズボンのポケットから四角い長方形の物体を取り出し、俺へと見せつける。
 見た目は完璧にスマートフォンだが、この世界ではポケートフォンというものが普及しているのだろうか。
 正直、名前なんてどうでもいいが、そのポケートフォンとやらでポケモンの体調や、技なんかが確認できれば、かなり戦いやすくなるだろう。

(俺も持っているのかな………………お!)
 
 上着の内ポケットからズボンの外ポケットまで探し、なんとかポケートフォンと思しき物を発見した。
 スマホのように片手持ちをし、電源ボタン的なやつを強く押し込む。
 すると画面にはモンスターボールを催したロゴが表示され、画面は明るくなった。
 その後、無事にポケートフォンは操作できるようになり、俺はどんな機能があるのか確認を始めた。

「ポケモン管理アプリだと……?」

 ポケフォンのには幾つかのアプリがあり、その一つに“ポケモン管理”という物があった。
 迷わず俺はそのアプリを開き、中身を調べてみる。

(こ、この世界の技術、凄すぎだろ)

 アプリ内には六つの四角い枠があり、その一つにはキモリのシルエットが描かれている。
 タップし確認してみると、キモリのレベルや、使える技、経験値等が詳細に載っていた。

『キモリ・♂ レベル5
 使用可能な技、【たいあたり】【はたく】【にらみつける】【すいとる】
 次のレベルまで、残り百経験値』

 ふむふむ。レベル5にしては使える技が結構あるな。
 アサセのミズゴロウは《水タイプ》なので、こちらは《草タイプ》技のすいとるが有効。
 ならば、早速キモリに指示を出してみようではないか。

「シュウト、ポケモンの技は確認したよな?」

 俺は黙って頷く。

「よしっ。じゃあバトル開始だっ‼」

 ふと気になりハルカの方を見てみると、アチャモをボールから出し撫でていた。
 微笑ましい光景だなあ。

「お、おい! よそ見するなよ!」

「あ、悪い悪い」

「まあいいさ。ミズゴロウっ、【ハイドロポンプ】だ‼」

 アサセはミズゴロウに指示を出したが、肝心のミズゴロウは何もしてこない。
 それどころか、アサセに向け訝しげな視線を送っている。

(は、ハイドロポンプってこんなレベル帯で覚える技じゃないよな?)

「あ、あれ? なんでハイドロポンプが出ないんだ? 滝水の様な凄まじい水圧で敵を粉砕する技だろ?」

 アサセは困惑し、ミズゴロウはそっぽをむきはじめた。
 完全に息が合っていない。というか、アサセはミズゴロウの使える技を見ていないのか。

「アサセ、あんたもポケフォンで技を確認しなさいよ! ミズゴロウがハイドロポンプなんて使える訳ないでしょ‼」

 さすがハルカさん。的確なアドバイスだ。
 アサセはというと、ハルカに言われて気付いたのか、ポケフォンを見始めた。
 
「え、えっと……たいあたりになきごえ、そしてみずでっぽうか」

「おーい、ミズゴロウの技の確認は終わったかー?」

「う、うるせーよ。俺はポケモンマスターになる男なんだから、少しお前にハンデを上げただけだ!」

 ほうほう。ハンデですか。
 だったら、全力でミズゴロウを倒しにいってやるよ。

「キモリ、【たいあたり】だ!」 

 キモリは元気のいい返事をし、ミズゴロウに向け突撃していく。
 あっというまに間合いは詰まり、キモリは【たいあたり】を命中させた。

「あ、ミズゴロウっ!」

 ミズゴロウは数メートル離れた場所まで吹っ飛び、苦悶している。
 アサセは急いでミズゴロウに駆け寄り、様子を見ている。

「悪いなミズゴロウ。こっちは……「【みずでっぽう】だ‼」」

 アサセの声とともに、キモリに向け凄まじい勢いの水流が飛んできた。
 キモリはそれに反応できず、もろに【みずでっぽう】を食らってしまう。
 キモリもミズゴロウと同じように、数メートル先まで飛ばされ、悲鳴のような声を上げた。
 だが、

「《水タイプ》の技の威力は半減される……まさか一撃でキモリがやられるなんて……」

 俺は堂々と死亡フラグ的なやつを言ってしまったが、たかが【みずでっぽう】程度で、キモリが倒されるわけがない。
 駆け足でキモリの元へ行き、状態を確認する。
 しかしキモリはピクリとも動かず、地面に仰向けになって倒れていた。

「嘘……だろ」

 この状態は瀕死だろう。
 一体なぜ【みずでつぽう】ごときで倒されてしまったのか、見当もつかない。
 俺は瀕死状態のキモリを抱え上げ、アサセの所まで歩いて行った。

「ふふふ。シュウトも驚いただろう? まさか《水タイプ》の技にキモリが倒されるなんて思ってもいなかったろ? お? お?」

 煽ってくんな。 
 
「ミズゴロウの特性、《げきりゅう》だ。ピンチになると、技の威力が上がるんだよ。どうだ? 凄いだろ!」

 えっへんと胸を張り、特性《げきりゅう》について語り始めるアサセ。
 非常にウザイが、ポケモンバトルにはコイツが勝ったので、黙って聞いてやる事にした。

「……ってな訳だ。どうだ? これで俺はポケモンマスター一直線、そしてグルメマスターも狙えるぜ」

 前半はミズゴロウについての自慢で、後半は次の街で食べる食い物について延々と語っていた。
 そういえば、次の街はジムがあるとかなんとか。
 ゲームと同じ仕様で、勝てばバッジが貰え、それを八つ集めるとポケモンリーグに挑戦できるらしい。
 この世界に来て特にやりたい事はない。
 だが、アニメのようにポケモンマスターを目指すのも悪くないかも。

「どうやらアサセ君が勝ったみたいだね。ハルカはポケモンバトルしなくていいのかい?」

 ハルカは首を横に振り、アチャモをボールに戻した。

「まだアチャモには早そうだし……今は別にしなくてもいいかな」

 そう言ってハルカは立ち上がり、俺たちの元まで来た。

「じゃあ、私は次の街まで行くわ。アサセたちはパパからポケモン図鑑の説明を聞いてね」

 ポケモン図鑑か。
 確かポケモンの真の目的は図鑑を埋め、様々な種類のポケモンを発見する事にあったよな。
 個人的には、図鑑の完成なんぞどうでもいいが、ある程度の目的はあった方がいい。
 一応、ポケモン図鑑の完成も視野に入れておくとしよう。


 2

 
「……ってな具合で、ポケモン図鑑を埋めることも頭に入れておいてくれ。ポケモンは未だに未知な部分が多いからな」

 オダマキ博士は俺たちに図鑑の説明をし、アサセと俺にボールを五個ずつ渡した。
 図鑑はポケフォンからダウンロードして使うようだ。

「実質はミズゴロウの勝ちだが、キモリもよく頑張ったよね。だからシュウト君にも渡したんだよ」

 アサセは俺もモンスターボールを貰ったことに対し不満を口にしていたが、オダマキ博士から説明され、納得したように頷いた。

「ま、キモリも頑張ったしな。俺のポケモンへの想いの方がシュウトを上回っただけかもしれないしな」

 そう言い残し、アサセは次の街へと向かっていった。
 俺は旅支度なんてしていないが、

 ――まあなんとかなるだろう――

 金だって道行くトレーナーたちと戦って稼げばいいしな。
 
「オダマキ博士、お世話になりました。俺も次の街に向かいますね」

 オダマキ博士にそう告げ、俺は次の街、『カナズミシティ』へと歩を進めた。
 無一文で、キモリのレベルはまだまだ低いが、マイペースで頑張っていこうと思う。
 俺は短気であり、事なかれ主義も兼ね備えているのだ。


 3

 
 道中は、次の街へと続く一本道だった。
 木には地球では見掛けない木の実等が生えていた。
 
「もしかしてだけど……ポケフォンで内の電話に繋がったりしないよな」

 まさかとは思うが、一応試してみるか。
そう思い、俺はポケットからポケフォンを出し、電話アプリを開く。


 
 
 






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