Fate/Asura's Wrath 悪鬼羅刹と行く第五次聖杯戦争   作:放仮ごdz

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今回は番外編です。次はフランス編とか言ってましたが、諸事情で人理修復後の時系列です。その辺のネタバレがありますのでご注意ください。FGO編はこれまでぐだ子視点でしたが、今回はクロナ視点になります。

この小説のカルデアに出てくる鯖はオリ鯖以外は全部うちのカルデアにいる鯖。題名から何があったかは分かると思います。ついにうちのカルデアに王様が来た・・・!そんな内容の今回。楽しんでいただけると幸いです。


♯GO:人理修復後のカルデアに賢王様が来ました

七つの特異点を超え、魔術王ソロモンが潜む終局特異点にて魔術王を語った者をマスターが物理で殴り飛ばしたり、"彼”の犠牲もあって人理修復を成し遂げた私達。とりあえずマスターとマシュを泣かせやがったあのヘタレは次、会ったら問答無用で殴る。てか殴らせろ。

 

人理修復を成し遂げた後でも、ほぼ全てのサーヴァントが残ったカルデアで、亜種特異点『悪性隔絶魔境新宿』や『深海電脳楽土_SE.RA.PH』と言った騒動も、マシュは居ないのにやっぱり私も巻き込まれながら何とか解決。"教授”やビーストⅢ/Rの絶望感がヤバかった。特異点では例外(ヘラクレスとかインド英雄とか)を除いて割と勝ててたのに、初めてマスターを守れないと思ってしまった。何故か騒動の時に何時も巻き込まれるのはマシュとかじゃなくて私なんだし、頑張らないと。

 

そんな中、エミヤ・オルタ(どこかで見たことある"悪の敵”)イシュタルやジャガーマン(どこかで見たことある天敵達)パッションリップにBB(どこかで見たことある"後輩”達)と言った新たな仲間を迎えてちょっと居心地悪くなって、癒しであるギル君を捜していた私の元に、嫌に上機嫌なマスターがやって来た。

 

 

「ク~ロ~ナ~さん!」

 

「何?マスター、キモいんだけど」

 

「酷い!?」

 

 

いや、ニコニコニコニコと笑っていたらそう思うよ。私の嫌いな殺人鬼と青髭の笑みに似てる。自分の楽しみが待ちきれない、そんな笑みだ。二回目のクリスマスでもそんな笑みしてたね。もし男だったら殴ってるよ。

 

 

「そんなことより、お待たせしましたクロナさん!」

 

「何も待ってないけど。それよりギル君知らない?」

 

「多分撫でられたくないから何処かに隠れているんじゃ?」

 

「抱っこしてなでなでするだけなのに何を嫌がる事があるのか」

 

 

ギル君も大人の時に子供の頃の私で無駄にしていたじゃないか、お相子だろう。しかし本当に何処にいるんだろう・・・知り合いらしいクロエの所にでもいるのかな?じゃあエミヤかアイリさんのところか。

 

 

「それが嫌なんだと思います。ね、王様?」

 

(オレ)が撫でるのはよいが撫でられるのは不服であろうな」

 

「さすが王様、唯我独尊。・・・ってえ!?」

 

 

私の背後に向けて同意を求めて来るマスターに応える、聞き覚えしかない声に振り向く。そこには、満面の笑みを浮かべた半裸の金髪赤眼の美男子がいた。その手には黄金の斧と魔導書が握られ、弓兵ではなく私がかつて妄想した魔術師のクラスで呼ばれた事が分かる。

いや、待て。このカルデアでこの声は何故か酷似しているモーツァルトでしか聞けないんじゃなかったか?何で、第七特異点のウルクに居るはずのこの人がいる?

 

 

「何を呆けているクロナよ。天上天下唯我独尊、人類最古の英雄王たる(オレ)が目の前にいるのだぞ?喝采の一つでもしたらどうだ?」

 

「・・・」

 

「どうした、よもや照れているのか?照れるのも無理はない。我が裸身はこの世で最高水準のダイヤに勝る。それが生娘なら尚の事だろうよ」

 

「・・・いや、私王様の全裸見たことあるし今更だから。バーサーカー・・・アスラを模したのか知らないけど半裸なら問題ないし、AUOキャストオフはもう勘弁」

 

「フハハハ!そうか、そうであったな!」

 

 

愉しげににやにやと笑いながら問いかけてくる王様の姿に、やっと思考が動き出した。うん、可笑しい。こんなノリは私を知らない賢王ではありえない。つまり、私を知っている王様が賢王として召喚されたと言う事。どういうことなの・・・?と言った目をマスターに向けると、笑顔で応えて来た。

 

 

「この間のバレンタインでギル君の財宝を見せてもらっていたんだけど、変な物見付けてね。何でもクロナさんから預かっていた物って聞いたから触媒にしてみたんだ。そしたら王様が来ました!クロナさんが何時来てくれるのかとギル君を撫でながらぼやいて待ち望んでいた王様です!お待たせしましたクロナさん!」

 

「確かに王様来ないなとか思っていたけどそこまで待ち望んでない!」

 

 

マフラーを改造したハリセンでしばかれ痛がるマスターの手から零れ落ちたのは、何時か聖杯戦争の準備をしている中でゴミ捨て場から拝借して来た物を改造して作った空き缶爆弾。そんな危ない物まだあったのか。いや、預けたの私だけど。てかこれを触媒に召喚される王様っていったい・・・

 

 

「よいよい。照れ隠しだと言う事は分かっているぞクロナよ」

 

「むっ・・・」

 

 

そんな笑顔で撫でられたら文句を言えない。気持ちいい。確かに七つもあった特異点の最後でようやく会えたウルクで私を覚えていなかった(生前だったからでもあるだろうけど)王様にちょっと寂しく思ったし、あのティアマト戦で見た本気の王様には惚れ直してしまった。

私にとっての英雄とは、アスラと王様だけだ。無理だ、表情が蕩ける。見れば、優しく笑む王様と、ニヤニヤ笑って見物しているぐだ子。・・・って!

 

 

「こんな優しいのは王様じゃない!」

 

「ぬお!?」

 

「ぐえ!?」

 

 

頭突きでドンッと王様をぐだ子に押し返す。王様と壁の間に潰されたぐだ子が悲鳴を上げるが気にしない。てかちょうどいい。こんな痴態、これ以上後輩に見せられるか!特にエミヤオルタやBBとかには絶対に見せられない。パッションリップは微笑ましげに見て来るに違いない。後輩増えすぎなんじゃないかなと本当に思うぞこのカルデア。クロエとか、見た目はイリヤなのに名前の所為かは知らないけど何か他人とは思えないし。

 

 

「ふむ、知人がいる場では恥ずかしいか」

 

「・・・認めたくないけど、そうです」

 

「見れば前より数が増えていると見える。既に人理は修復されている様だが、実に飽きないなここは。・・・どうだ?弟の代わりにはなっているか?」

 

「それはもう。・・・気を遣わなくてもいいよ王様」

 

「誰が気を遣うか。お前は性格に難ありで敵ばかり作るからな。上手く馴染めているか確かめたまでだ。なに、親心と言う奴よ。安心したぞクロナ」

 

「・・・王様、愛が重いです」

 

 

何で王様みたいな凄い人にこんなに気に入られたのか未だに納得できないです。しかしキャスターだからかアーチャーの王様より思慮深く見える。気のせいかな。

 

 

「・・・王様、重いです」

 

「おお、忘れていたぞ雑種」

 

 

あ、マスター忘れてた。そう言えばウルクでマスターも気に入られてたっけ。私は無駄に緊張していたせいで失せろと言われる始末だったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クロナさん、余計なお世話でしたか?」

 

 

王様が去り、未だに放心中で残った私に心配げに問いかけてくるぐだ子。迷惑だと怒られると思っているのかね?そんなに信用ないか私。絆も数値にすると8はあると思うんだけど。

 

 

「・・・ううん。王様まで呼べるなんて凄いマスターになったね、ぐだ子。でも王様を扱うならスパルタクスとかランサー・・・クー・フーリンとかに気を付けないと」

 

「ああ、圧政者・・・でも何でクー・フーリン?」

 

「黒髭とか?」

 

「は?」

 

 

呆けるぐだ子に私はどう説明した物か思案する。私の世界では違ったけど(むしろ否天を止めた事で認めていた)、衛宮黒名の世界だと絶対犬猿の仲だったと思う。

 

 

「・・・今日はギル君の頭を撫でるのは止めようかな」

 

「ついでに、ジャンヌを見付けても悪態を吐かないでくれると嬉しいんだけど」

 

「だが断る!」

 

「あ、はい」

 

 

生前はネイが一番の天敵だと思っていたけどね。このカルデアで、今の私の天敵は絶対にあの聖女だ。ジャンヌオルタ早く来て。ジャルタリリィと一緒に撫でて可愛がるから。

 

 

「あ、そう言えば一緒にアンリマユも来たよ。クロナさんの事を知っているみたいです」

 

「・・・・・・・・・なんですと?」

 

 

・・・なんでこう、最近知り合いばかり来るかねこのカルデア。え、私のせい?だったらアスラも来てよ、さすがに無理か。

 

 

「あ、石余ってますしクロナさん引いてみます?」

 

「・・・黒鍵足りないから引く」

 

「最初からハズレ引こうとしないでください・・・」

 

「どれ。(オレ)も見物に付き合おう。マスターよ、暇だ」

 

「うわっ、びっくりした。すみません王様」

 

 

マスターの提案に、何故か着いて来た王様も一緒に召喚部屋に赴く。一年ぐらい前はここを火事にしてアーキマンと所長とマシュの三人に凄く怒られたっけ。でもそれでこのカルデアで一番の戦績を上げている経島を呼べたんだから勘弁して欲しい。

 

 

 

 

 

ポイポイポイッとマスターの傍で聖晶石を三個放り投げるとそれが魔力に還元され、三つの光環となって高速で回転する。・・・ちっ、サーヴァントか。邪ンヌ来ないかなーとか叶わない願いを抱き、サーヴァントが顕現されるのを待つ。マスターの手元に現れたのは、暗殺者のセイントグラフ。・・・・・・・・・・・・爺ちゃんじゃないよね?まさか・・・

 

 

「やほはろー♪」

 

「」

 

「クロナさん?」

 

「ほう。まさかこの女が召喚されるとはな」

 

 

絶句。ただただ、絶句。現れたのは、軍服の様な青のロングコートと紺色のマントを着込んだ黄色の長髪をサイドテールに纏めた少女。金色の目は、まるでバーサーカーと言わんばかりに狂気で満ちているが、この女は紛れもなくアサシンだ。あと私のトラウマだ。

 

 

「アサシン、悪ノ娘ネイ=フタピエ。召喚に応じ参上しました。今回のお母様(マスター)は貴方かしら?無視したら殺してしまうから、私の話はちゃんと聞くか令呪で自分を殺すなって命令しといた方がいいわよ?」

 

 

そう言った彼女は紛れもなく、生前の私と激戦を繰り広げた最強の暗殺者(アサシン)。・・・いや、エルサレムで出会いウルクで助太刀に来てくれた山の翁の方が最強だけど、それ以外なら間違いなく私の知る限り最強のアサシンだ。

 

 

「・・・新手のジャックちゃん?」

 

「マスター、悪い事は言わない。今直ぐ令呪で自害させるか契約を破棄して。もしくは私を令呪で縛って。暴走しかねないから。いや本当に」

 

 

おいこら王様。爆笑するな、こっちは泣きたいんだ。それにマスター、ジャックちゃんの方がマシだから。何でこいつが来たし。アサシンなら母親の胎内に戻ろうとするジャックちゃんの方が100倍マシだ。コイツは真性の悪だ。生まれついての悪だ。無意識に悪どい事をやって周りの被害を省みない「無意識確信犯BB」と言える存在だ。私がここまで嫌うサーヴァントなんてこいつぐらいだろう。

 

 

「釣れないわね。さすがにここでバイオハザードはしないわよ。現地で死体調達するから安心しなさい」

 

「マスターやマシュのSAN値的な意味で安心できない!王様も何か言って!」

 

「雑種よ。貴様、どうしてクロナの召喚に応えたのだ?」

 

「え?贋作英霊を願う声が聞こえたからですけど?」

 

「私が来て欲しいのは邪ンヌだ!」

 

 

確かに贋作英霊である邪ンヌを願いましたよ。いつの間にかカルデアに居て、ギル君の罠に引っ掛かってジャルタリリィちゃんになっちゃった邪ンヌちゃんを望みましたよ。贋作は贋作でも貴女じゃない!そしてひょっこり顔を出す白ジャンヌ。私に名前を呼ばれて嬉しいのか顔を綻ばせている

 

 

「クロナさん、呼びました?」

 

「キャラ性で薄くなっている白いのは引っ込んどけ!」

 

「酷い!これでも無限に旗を振れるようになったのに!」

 

「応援団でもしてろ!」

 

「同じカルデアの古参メンバーなのに何でこんなに仲が悪いかな・・・あ、これからよろしくお願いしますネイさん。よければ生前のクロナさんについて話してください」

 

「こんな私でいいならよろしく。にしてもここまでイラついている言峰黒名、初めて見たわーw」

 

「ハハハハハハッ!本当に退屈しないなここは!いいぞもっとやれ!(オレ)を愉しませよ!」

 

 

その後、ジャンヌやネイと口論を繰り広げたが、所長の「五月蠅い!」と言う怒声と共に止められ三人纏めて説教された。さらにその後、ネイから私が容赦なく彼女を殺そうとしていたのを聞いたのか少しの間ぐだ子との会話がぎくしゃくした。解せぬ。

 

今なら、義理の母親っぽい人や義理の姉っぽい上に自分に似ている少女、恩人に隣人に後輩まで来て「職場に知人が来て気恥ずかしい」とか言っていたエミヤの気持ちが分かる気がする。私の場合、それ以上にカオスだが。

 

 

とりあえず、王様は何時か敵で出て来たら殴る。それだけは心に決めた。




先日アンリマユが来たばかりと言うのに、今日酒呑目的で引いたら賢王様まで来た。クロナの影響かな?・・・直前に茨木童子の幕間やっていたから先に運命を感じたのはそっちですが。宝物庫やべえ。

何気にうちのカルデアがクロナの知人ばかりになってきたので書いた今回。職場に知人がいるって居心地悪いよね!

ライダーVSライダーは現在誠意執筆中。戦闘まで行くのが難しい。感想や評価をいただけると励みになります。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。

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