Fate/Asura's Wrath 悪鬼羅刹と行く第五次聖杯戦争   作:放仮ごdz

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UA20.000突破。ありがとうございます!
今回からイリヤ編。シリアスな前回と打って変わり、真面目な考察といがみ合いしている天敵たちのお話。バトルは無い小休止です。前回と前々回にちょろっと登場した黒ずくめの少年の正体と、アサシンの宝具の正体に迫ります。

クロナのギャグ的な天敵はタイガーだけじゃない。楽しんでいただけると幸いです。


♯30:敵か味方か、姉二人の共闘宣戦

――――英霊にはその数だけの道がある。

 

 

燃え滾る怒りだけで駆け上った道があった。

 

 

最愛の主を信じて、空を駆けた道があった。

 

 

勇気を抱き、時空も超え旅した道があった。

 

 

ゲッシュに従い、戦いに殉じた道があった。

 

 

導かれるまま戦い、撃ち続けた道があった。

 

 

欲望のまま覇道を行き、滅んだ道があった。

 

 

姉を止めることができず後悔した道があった。

 

 

人と星の未来を守護し、見定める道があった。

 

 

 

――――狂いに狂い果て、生涯を終えた道があった。

 

 

 

私の知るサーヴァント達の生涯。英雄達の生きた道のり。真似できないのもあるし、近いと感じている道もある。だけど、絶対に相容れない道がある。狂いに狂い果て、終わるのだけは絶対に断る。

 

私は狂っている。ああそうだ、狂っている。私の思考は常人とは全く違う、それはこの10年で嫌と言う程学んだ。

 

騎士道どころか人道も感謝もへったくれもない。ただ単に狂った歩き方をする道。でも、狂い果てるつもりはない。その線を超える事だけはしない。それが、私にとっては一般人を巻き込む事だ。その一線を超えたら私は、きっと衛宮黒名と同じになってしまうから。士郎を、桜を、私と同じ魔術師による理不尽を受けて人生を狂わされた人達を不幸にしてしまうから。

 

バーサーカーを奪われた事による大参事で、私は嫌と言う程思い知った。聖杯は存在したら行けない。こんなものがあったら、何度大惨事が起きるか・・・何時あの大火災と同じ多くの悲劇を生むか分からない。

 

アサシンの外道なる所業もその一つだ。変わり果てた家族と再会させるどころか、襲わせる?勝つためだけに、苦しみを再発させる?あの英霊が士郎と桜に対して行ったことを、私は赦さない。エミヤの時の様な責任感とは違う。今抱いているのはアインツベルンに対する怒りよりもさらに大きな怒り。

 

アサシン、そしてそのマスター・・・イフ=リード=ヴァルテル。お前達は私の敵だ。優先的に殺さないと行けない「天敵」だ。バーサーカーと一緒に、殺し尽くしてやる。

 

 

 

 

そう、帰りの道を歩きながら聞いた顛末に、一人怒りを燃やす私。・・・ああ、まず最初に浮かぶのが心身ともに傷付いた士郎達の心配より自身の怒りとは・・・やっぱり、狂ってるんだな私は。これも全部魔術師の所為だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ではまず、僕から説明をさせてもらいましょうか」

 

 

とりあえずと、前回の会議から父さんが抜け、サモエド仮面にくっ付いて来た黒服サングラスの少年とセイバー陣営を加えた面子で衛宮邸の居間に私達は集まっていた。・・・まだ状況は掴めないが、皆アーチャーを警戒しているらしい。せっかく赤いアーチャーを撃破し、バーサーカーを取り戻したって言うのに・・・父さんが情報操作で居ない中でこんなに問題が増えるとは。

 

アサシンの外道たる所業。甦った第四次聖杯戦争のマスター達。連れ去られたバゼットさん。そして、アーチャーの異変。さらに言えばアサシン陣営攻略と、姿は見せなかったがバーサーカーが気配を感じたと言うキャスターの動向、そして何故赤いアーチャーが召喚されたのかの謎。ついでに言えばアインツベルンと衛宮切嗣のあらましがアサシンによって士郎にばれた事とあと、王様の魔力供給。

 

・・・最後のは私がその、なんだ。接吻を交わした事で王様に魔力を提供できた。お願いだから気にしないでください、子供の頃から慣れているとはいえ士郎達の前でされたら小恥ずかしい。

今は、目の前の黒ずくめの少年だ。見た所サーヴァントでも魔術師でも無いみたいだが・・・ライダーとサモエド仮面の知り合いみたいだ。

 

 

「僕の名前はワンワン刑事(でか)。訳あって素性は明かせませんが、謎の美少女ガンファイターライダー・キノ・・・貴方方の言うライダーと、そこのしz・・・サモエド仮面と共に正義の味方をしている者です。最も、僕の知る彼らは生きていますがね」

 

「はあ・・・」

 

 

ライダーとアーチャー、サモエド仮面は未来の英霊だ。つまり、エミヤとはちょっと違うが過去の自分がこの時代に生きている。その関係者が目の前に居るのはありえない事じゃない。・・・ないのだが。ところでワンワン刑事って真面目にですかね?

 

 

「言いたいことは分かるけど、ワンワン刑事さんはマジでその名前よ。そこのサモエド仮面よりよっぽど頼りになるわよ」

 

「ムッツリスケベの変態犬だがね!」

 

「よし分かった、サモエド仮面殺す」

 

「いいだろう。英霊となった私を殺せると言うのならば、少しは楽しませてくれるよな?」

 

「くたばれ!ヘタレ侍!」

 

「後でやれー!」

 

 

ゴワン!と音が鳴ったかと思えば、ライダーが拳骨を振るっており、二人はたんこぶを作って机に俯せに倒れ込んでいた。・・・一回しか音が鳴らなかったと言う事は一瞬で二撃も叩き込んだのか。なんという英霊の力の無駄遣い。苦笑していた士郎がそれではいけないとばかりに首を振り、尋ねる。

 

 

「・・・それで?ワンワン刑事さんとやら、何でこの冬木に来たんだ?」

 

「はい、それはですね。僕達の学園に、彼女がやって来たのです。・・・サモエド仮面の姿でね」

 

 

・・・・・・ああ、なるほど。大体分かった。真名から、どこで活動したかは突き止めたけどまるで分らず、謎の美少女ガンファイターライダーの姿だと一般人は彼女を「木乃」とは認識できないからろくに調査も出来ず、苦肉の手段として「姿」だけサモエド仮面に化けてやろうとしたけど、違和感バリバリでこのサモエド仮面のストーカーに思える少年に感づかれてしまったと。

 

 

「最近のネットは便利ですね。白い学生服に日本刀っと銘打てば割とすぐに引っ掛かりました。それでその町が大惨事になっていたら嫌でも気付きますよ」

 

「あ、それサモエド仮面さんに買い物を手伝ってもらった時の写真です」

 

 

ワンワン刑事さんが差し出したスマホに映るのは、後姿の桜とサモエド仮面から犬耳とリンゴとマントを外したような白い学生服と日本刀の男。顔は見えないけどなるほど、これは特定される訳だ。

 

 

「僕としてはキノさんとサモエド仮面が同時に二人も存在するのは謎だったんですが、ちょうど途中で『M』を名乗る白衣の男に出会いまして。魔術師が英霊を喚んで戦争をやっているんだと聞いて全ての謎が解けました」

 

「それで?君はまだ私を殺したいのかね?」

 

「いや、お前では意味が無い。すぐにでも戻って本物を・・・と思ったんですがね。知ってしまったからには正義の味方の一人として放って置けない。微力ですが手伝わせてください。あの屍兵ならば何とか僕でも倒せますので」

 

「でも・・・、」

 

『それは助かる。ライダー、僕達英霊はマスターをやられるとどうしようもない。あの乱戦なら守りながら戦うのは無理だ。ここは彼の助力を仰いだ方が・・・』

 

「それは駄目だよ」

 

 

言いよどむライダーにエルメスが助言していた時、私はすかさず口出しした。確かにありがたい。アサシンにキャスター。どちらも共に軍勢を使う英霊だ。彼がいれば戦略の幅も広がる…だけど。

 

 

「英霊のサモエド仮面たちに付き合う義理は何もないでしょ?関係者じゃないなら引っ込んだ方がいい。抜け出せなくなる」

 

「中途半端な怒りを抱いている奴が挑むんじゃねえ。あの女に利用されるだけだ」

 

 

私の言葉にバーサーカーも続いた。・・・うん、その通り。このワンワン刑事は、人間・・・じゃないかもしれないけど、魔術師でも英霊でも無い一般人、英霊からしたらこの時代に生きる英雄の一人だ。巻き込めるはずがない。私は、自分の都合で相手の事を考えずに巻き込む魔術師の在り方が大嫌いだ。それだけは譲るつもりは無い。

 

 

「でも、そちらにアサシンが来た場合は追い払うのをお願いできる?少しでも情報が流れるのは避けたい」

 

「勝手ですね。だが事情を抱えているなら仕方ない。承知しました。・・・キノさんを見殺しにでもしたら許さないぞ、サモエド仮面」

 

「誰に言っている?私はサモエド仮面だぞ?」

 

「・・・だから心配なんだ」

 

 

そう言って縁側から出て、一跳躍で去って行くワンワン刑事。何と言うか、ライダーやサモエド仮面と違って素直でいい子な気がする。サモエド仮面だけに好戦的なのは何か親近感を覚えるけど。

・・・うん、最後の言葉は私も同感だけどボディーガードとしては優秀のはず。一応、士郎も怪我らしい怪我はなかったし。桜は傷付いてたけど・・・アレは不可抗力だからしょうがない。

 

 

「アサシンの情報網が割と半端ないのは分かった。でも数日で調べて来たのは理由がある筈。何か心当たりある?」

 

「学校で葛木に化けていたみたいだから、休み時間とかにネットでも使ったんじゃないかしら?目立つ人ほど探しやすいと言うし」

 

「・・・そうみたいだぞ、クロ姉」

 

「なに?」

 

 

携帯を弄っていた士郎の見せた画面には、「謎の美少女ガンファイターライダー・キノ」と「天使 少女 目撃情報」と入れた欄。かなりの数ヒットしていた。良くも悪くも目立つ存在らしい。・・・しかしネットか。盲点だった。図書館とかは使うんだけどな。

 

 

「・・・それで、その件のアーチャーだけど・・・今は問題ないの?」

 

「はい。正常に思考できています。ですが・・・あの時、私が怒りに支配されていたのは間違いありません・・・。マスターの令呪で戒めるべきだと思います・・・」

 

「待てよ。アーチャーが怒りを覚えたのはアサシンが・・・前のマスター?の顔を使ったからだ。今は大丈夫だ、そうだよな?」

 

「・・・はい、今は異常ありません。ですがマスター。もし今度暴走した時は私を令呪で自害させてください」

 

 

その言葉に目を見開く士郎。・・・私は同感だ。だけど、そのマスターが優しいからな・・・

 

 

「馬鹿を言うなアーチャー。俺の声を聞いて止まれたんだ、きっと大丈夫だ」

 

「・・・はい」

 

 

一先ず納得した様だし、まだアーチャーについては謎も残っているけど先に進まないとね。

 

 

「・・・とりあえず、情報を纏めるよ。士郎のサーヴァント、アーチャーの真名は“エンジェロイド”のイカロス。ライダーの真名は謎の美少女ガンファイターライダー・キノ。共に未来の英霊。セイバーは時の勇者リンクだとアサシンから明かされた。・・・アインツベルン、合ってる?」

 

「ええ。アサシンにばれたのは私の落ち度でもあるわ。それにばれた所で問題は無いでしょ?」

 

 

何やら以前より大人な雰囲気のアインツベルンの言葉に私はちょっと疑問を抱く。・・・時の勇者って、ニワトリとアンデッド系のモンスターが大の苦手とか言う情報は割と世間でも共通の認識だと思うんだけど。自分のサーヴァントの力に過信するのは止めた方がいいけど、アインツベルンだから別にいいか。

 

 

「そして、アインツベルンを除いて残る敵。キャスターの真名はアー・シン・ハン。そしてアサシンの真名だけど・・・士郎達が手当てしている間にそれっぽいのは見付けたよ」

 

 

私が差し出したのは、図書館から借りて来た「吸血娘ヴァニカ」と言う題名の絵本だ。・・・まあ吸血娘と言うより悪食娘なんだけど。ヨーロッパでは割と普及しているシリーズの一冊だ。

 

 

「絵本?・・・外国のか?」

 

「そうだよ士郎、これはヨーロッパで普及されている「エヴィリオス地方物語」シリーズの一冊。・・・アインツベルン辺りは読んだ事あるんじゃない?」

 

「あるにはあるけど、10年前の事だし・・・って、ちょっと待って。私、屍兵を知っている・・・?」

 

 

思い出せる限り士郎達に説明するアインツベルン。そう。屍兵と言うのはこの絵本に登場する、悪魔を宿した豚「バエム」の血肉を身体に取り込むことで発病する「グーラ病」にかかり、絶え間無い食欲に襲われ手近に食物が存在しない場合に草や鉄などの異物を胃袋に詰め込み、その結果命を落とした発症者の死体を吸血娘ヴァニカが「グラス・オブ・コンチータ」と呼ばれる悪魔の宿ったワイングラスを用いて甦らせた兵隊の事だ。

また、他の作品の前日譚でもこの「グーラ病」は風土病として登場し、遠征していた敵国の王を中心に発症して多くの人間が命を落とし、そして屍兵は軍隊となって攻め込んだ事もあった。

 

問題は「白骨であっても」ある程度肉付けして甦らせることができると言う点。・・・そう、火葬にされた衛宮切嗣の死体でさえ甦らせることができるのだ。ほぼ間違いなく、アサシンの宝具の正体は「グラス・オブ・コンチータ」だろう。ただ、逸話より変質している様で魔術的要素は強くなっている。

 

 

「待てよ、クロ姉。・・・それって架空の話だろ?仮にアサシンの正体がその吸血娘ヴァニカだとはいえ、英霊として召喚することができるのか?」

 

「可能だよ。『M』の話だとエミヤの世界ではアサシンとして佐々木小次郎が召喚されたらしいし、実在しない架空の英霊は確かな信仰さえあればサーヴァントとして召喚可能だけど、架空の英霊そのものではなくそのモデルになった人物、もしくはその架空の英霊と類似点のある人物が召喚されるらしいから、召喚されても可笑しくない」

 

「ハサン・サーバッハに決まっているアサシンともなれば相当の裏技でも使ったんでしょうね。時計塔には第四次聖杯戦争を生き抜いた男もいると言うし、あのイフとか言う男が知っていても可笑しくないわ」

 

「・・・でも、私にはあのアサシンが吸血娘とは思えないんだけど?」

 

「うん、そこだね」

 

 

アインツベルンの言う通りだ。私が見付けたのはあくまで宝具の候補、私もアサシンが吸血娘ヴァニカとは思えない。吸血鬼には変幻自在に姿を変える力があると言うが、できるのはドラキュラの元になったヴラド三世ぐらいの物だろう。吸血娘は名だけだ、変身能力を持つとは思えない。

 

 

「恐らくは、他の話に登場したグラス・オブ・コンチータに関わる人物・・・かな。特徴ははっきりしてるし、捜せば見つかると思うけど・・・今、図書館開いてないんだよね」

 

「言っとくけど侵入するのは無しだぞクロ姉」

 

「士郎がそう言うと思ってやめてます。というか、宝具を使ったアサシンがそう易々と情報を仕入れさせるとは思えないよ」

 

 

下手したら何人かの屍兵を集めていても可笑しくない。それを突破するのは少々骨が折れるし、何より気付かれる。

 

 

「だから、まずは対策を。・・・タイガーに化けてアーチャーとライダーの真名を聞いたと言っていたんだよね?だとすると、私の魔術に対する嫌悪感も、士郎の世界の異常を感じる感覚も通用しないことになる。ここにいるメンバーはあれからずっと一緒にいるからアサシンじゃないとは分かるけど。他に関係者は?」

 

「避難しているかどうか分からないけど藤ねえだな。あと、桜は慎二か?」

 

「アイツは無視していいでしょ。どこにいるかも分からないし」

 

「言峰の奴は冬木の外にいるだろうから放っといてもよかろう」

 

「そうだね、王様。それに父さんなら内面まで調べる事はほぼ不可能だし」

 

「・・・私は城に居るメイド二人。森には結界が張ってあるから大丈夫だと思いたいんだけど、それをアサシンが突破しているなら・・・」

 

「その二人が問題か」

 

 

・・・アインツベルンのメイド、つまりはホムンクルスか。放っといても支障はないと思うけど、士郎だったら・・・

 

 

「その二人をここに連れてくることはできないか、クロ姉?」

 

「言うと思った。一応聞くけど、理由は?」

 

「イリヤは俺の家族だ。だから助ける」

 

「・・・じゃあ最後にアインツベルンに質問。・・・貴方は敵?味方?」

 

 

士郎とイリヤは義理の兄妹(士郎は勘違いしているけど多分本当は姉弟)なのだと言う。でも、イリヤは士郎に悪意を向けていた。正直言って、背中を任せられる程信用もできないし、戦力が足りて無ければさっさと斬り捨てたいところだ。アインツベルン絶許、慈悲は無い。

 

 

「士郎の味方だけど、貴方の敵。それで満足かしら?」

 

「・・・問題ない。逆に味方だと言われたら後から殺しにくくなる」

 

「魔術使いである貴方が魔術師殺しに勝てるとは思えないけど?」

 

「よし言ったな。爆殺してやる」

 

「クロ姉!イリヤ!」

 

「「きゃっ!?」」

 

 

共に机に乗り出して睨み付けいがみ合っているとバコッ、と二人揃って新聞紙を丸めた棒で後頭部を(はた)かれ、同時に机に突っ伏す。・・・ゆ、油断した。敵意の無い攻撃はどうも反応できない。と言うよりちょっと紙で叩かれたとは思えない程痛い。疲れてるのかな・・・

 

 

「ううっ、分かっているわよ・・・今は殺し合わないわよ・・・」

 

「今は戦力が足りないからアインツベルンを殺す気は無いよ・・・」

 

「後からでもやめてくれ、二人共。どっちも俺にとっては家族なんだから」

 

「「・・・ふんっ」」

 

 

一瞬揃って睨み合うも、ほぼ同時にそっぽを向く。こうも気に喰わないのは、アインツベルンが士郎の姉だからだろう。タイガーに対して仲良くなれないのと同じだ。その思いだけは、アインツベルンに対する怒りを上回っていると思う。

 

 

「・・・イリヤって呼びなさい。何時までアインツベルンって呼んでるのよ」

 

「・・・そっちだけ呼び捨てなのも気に喰わないしね。いいよ、イリヤ」

 

 

とりあえず、握手をする。どちらも共に必要以上の力で相手の手を握り潰そうとするも、ほぼ同時に痛がって放した。やっぱり殺したいんですが駄目?

 

 

『勝手にしろ』

 

 

うわっ、バーサーカーに呆れられた。師とも親友とも仲良くできなかった人には言われたくないんですけど!赤ん坊の扱いも苦手な癖に!

 

 

『寝惚けてるなら一発殴って目を覚まさせてやろうか?』

 

『遠慮します』

 

 

何かバーサーカーの態度がフレンドリーになった気がする。気のせいかな?すると、私達のやり取りを呆れ顔で傍観していた王様が口を開いた。

 

 

「それでどうするのだ、クロナ。ここにいる皆は全員、貴様の手腕を信頼している。我は『M』を捜しに暫し離れるが、お前達はこれからどうする?」

 

「まずは、そうだね・・・アインツベルン城から二人のメイドを連れ出す。死体の山と葛木、そしてバゼットを手に入れたアサシンが狙うのは、間違いなくその二人だ。結界があるだろうけど、急がないと」

 

「っ、リズ!セラ!・・・セイバー、行くわよ!」

 

 

・・・私の台詞がフラグだったか。結界が破られた事にでも気付いたのか、セイバーを連れて縁側から出て行きエポナを召喚して駆けて行くイリヤ。・・・アサシンかキャスターか、まだ分からないけど・・・

 

 

「俺達も行くぞ、アーチャー。・・・クロ姉」

 

「うん。私と士郎が行くから、ライダーとサモエド仮面は桜と凛とこの屋敷をお願い。行こう、バーサーカー」

 

 

怪我をしている桜と凛は戦力外。ならば護衛としてライダーに残ってもらう。これで多分大丈夫のはずだ。こっちにはセイバー、アーチャー、バーサーカーがいる。何が来ようと問題ない・・・そう思った。

 

 

 

 

 

「出でよ、【其は灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)】!」

 

 

 

まさかあんな巨人を持ち出してくるとか誰が想像できる?・・・ドルイドって言った時点で考えとくべきだったね。




ワンワン刑事「静殺す」
クロナ「魔術師絶許」

黒ずくめで思考も似ている二人。一言で言えばサモエド仮面殺したくてしょうがない人であるワンワン刑事は今後もちょっと登場します。アサシンについて貴重な情報を残して去って行きました。

やっと和解(?)したクロナとイリヤ。クロナとアサシンとは別の意味で天敵な二人ですが、クロナは魔術師的な意味で、イリヤは士郎の姉的な意味で双方相容れることができません。これはもう少し経ってからですね。

アサシンの宝具の手掛かりと思われる絵本が登場。でも残念、正体を探るにはちょっと惜しい。宝具で身バレしてしまう英霊なのに宝具名がバレテも正体が露見しない。通常の英霊でも有り得る話だろうなぁとは思います。同じ武器でも二人の使い手がいるとか。

拳で語り合った結果か、ちょっとフレンドリーになったアスラ。家族に対する態度と近い物になっています。クロナからしたらちょっと気持ち悪い。

そして次回。ドルイドが本気出す。バーサーカーも本気出す。セイバーも本気出す。アサシンも本気出す、アインツベルンの森オワタな激突です。
感想や評価をいただけると励みになります。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。

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