Fate/Asura's Wrath 悪鬼羅刹と行く第五次聖杯戦争   作:放仮ごdz

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意外性で勝負するFGO編三回目です。フランスに突入する直前の時系列になります。つまり「執ゾン」とのコラボ回や監獄塔回よりは前の時系列ですね。第五次聖杯戦争以外にも規格外サーヴァントが降臨?

ぐだ子が召喚したサーヴァントがまた規格外だった。それだけのお話。楽しんでいただけると幸いです。


♯GO:私の召喚した鯖がまた規格外な件について

 私の職場であり人類最後の砦、人理継続保証機関フィニス・カルデア。

最初に召喚したクロナさんから煙たがれているここはまさしく魔術と科学の合わさった叡智の場所であり、私がここで聖召石を用いた召喚に成功し契約を結んだサーヴァント達は、カルデアからの魔力提供を受けて受肉している。

 

そのため、私がちゃんと本契約しているサーヴァントは二名。

 

頼れる後輩にしてエクストラクラスであるシールダー、マシュ・キリエライト。

 

そして、私が初めて召喚したサーヴァントであり何時だって護衛として傍にいてくれるアーチャー、『クロナ』。

 

 

この二人、特にクロナさんに限っては宝具使用時の魔力が直接私から消費される(ただし、彼女のスキル上「起動スイッチ」として極少量だが)。それ以外はカルデアが供給してくれるらしい。

 

その他キャスターのクー・フーリン、ハンス・クリスチャン・アンデルセン、アサシンの佐々木小次郎、そして、特異点Fで私達を襲いクロナさんに倒されたアーチャー、英霊エミヤなどはカルデアからの魔力供給で賄っており、実質「私の相棒」とは呼べないサーヴァント達だ。

 

 

さて、何でこんな話をするのかと言うと、クロナさんから試しに自分で英霊召喚をしてみろと言われ、今現在マシュの盾が置かれている召喚部屋の中にいた。しかしクロナさんの宝具で私と盾の周りは火の海だ。唯一の出口も、クロナさんに塞がれている。逃げ場がないこの状況。これは全て、所長だけでなくドクターやマシュに断りも無くクロナさんの独断で始まった事だ。

 

ぶっちゃけ、クロナさんを呼んだ際みたいに「何かにすがる思い」で召喚したらどうなるのか、と言う実験らしい。確かにカルデアは安全であるため、あの時ほど切羽詰まった感じで喚んでは居なかったと思う。来てくれたらいいな、とかそんなのほほんな感じだ。「お願いだ」と言う程ではない。そんな命がけで召喚された英霊なら、私みたいになにか「規格外」なサーヴァントが呼べるんじゃね?とかそんな考えでマスターの命を脅かすクロナさんに恐怖を覚える。

 

この人は手段を択ばない現実主義者で極度の魔術師嫌いだ。マスター()の意見は尊重するし、気を遣って単独行動で敵を倒しに行くし、マシュをまるで娘の様に愛でたり、所長とドクターに殺意を送って怯えさせたり、自己改造で女性の姿になった元男性のダ・ヴィンチちゃんを同類と見做したのか会う度に悪態を吐いたり、クロナさんが苦手らしいエミヤに対してやたらフレンドリーに姉ぶったり、もし私以外の魔術師が挨拶でもしよう物なら黒鍵で二度と喋るなと脅す、カルデアと召喚されたサーヴァント全員から総じて自他共に認める問題児と称されている有様だ。

 

それでも、私にとってはマシュに次ぐ相棒だ。本来守らなきゃいけない後輩と違って、本当の意味で頼れるマスターの先輩。令呪の使い方もマスターとしてどう振舞うべきかも過去の聖杯戦争についても教えられた。だから今回も大丈夫、冬木でのキャスターのクーフーリンみたいに何か本気で殺しにかかっているけど、ちゃんと勝算あってのはずだ。…はずだよね?

 

 

「…頑張れ、もし駄目だったら私も心中するから…」

 

「何でクロナさんはバーサーカーじゃないんですかね!?」

 

 

駄目だ、目がマジだ。何かが狂ってる、というかマイルームで話した時も「魔術師もろとも焼却した人理なんてどうでもいい」とか言っていた人だ。死にたくない!こうなったら意地でも凄いサーヴァントを呼ぶしかない…!

 

 

ポイポイポイッと30個の聖晶石を盾の中心に放り投げる。それを媒介に行われるのは、10回連続召喚。…ただし、この方法だとサーヴァントが一人は確実に来てくれるのだが問題が一つ。通常の英霊召喚ではないためか召喚されるのがサーヴァントだけではないと言う事だ。

 

六回連続で円環の中から飛び出て、目の前に突き刺さるのは赤・赤・緑・緑・青・青の黒鍵。…クロナさんのメイン武器である黒鍵と同じ概念礼装だ。うん、知ってた。

さらに円環が輝き、続けて飛び出て来たのは一枚のカード。「月の勝利者」と書かれた文字と、何処となくクロナさんに似た雰囲気の茶髪の少年、その手に浮かんだ焼きそばパンが描かれている。これも概念礼装、ただし過去の聖杯戦争に関連する人物の力を持つ礼装で、物ではなく特異点に置いて英霊召喚に用いるセイントグラフに酷似したカードが出て来るのだ。確かこれはゲーム風に言えば強攻撃が強くなり急所に当たりやすくする効果だったはずだ。二枚目だから知ってる。

続けてガシャンと魔改造されたバイクが無造作に放られる。これも概念礼装、モータード・キュイラッシェだ。…できればその持ち主の騎士王に来て欲しいなぁ。

 

そして残り二つとなった時、三つの光輪が集束して光の柱となり、私の手にセイントグラフが二枚現れる、サーヴァントだ。共に金色のそれぞれに描かれているのは、剣士と魔術師の絵柄。そして光の柱が消え、盾の前に立っていたのは、二つの影。それを見て、クロナさんがほうっと感心した。感心するのはいいから火を消してください、召喚できました。

 

 

まず一人目は、「こんにちゲフゥ!?」と挨拶しようとして吐血し倒れた、桜色の袴とブーツを身に着けた色素の薄い髪を黒いリボンで纏めた少女。日本刀を手にしているところから見て日本の英霊だろうか?…しかし顔が冬木で戦ったあの黒いアーサー王とよく似ている。アーサー王が女性なのだ、有名な武将が女でも私は驚かない。

 

そして二人目はかなりちんまりした丸眼鏡の少女。小豆色のジャージに体操服、ツインテールに纏めた藤色の髪とどう見ても戦えそうに見えないが、その手に持っている円型の石には何かの紋様が彫られていて特別な物だと分かる。多分宝具だろうか?

 

 

・・・えっと、何とも微妙な結果だった。というか眼鏡の方は英雄には見えない。またマスターだろうか?今度こそちゃんとした魔術師でキャスターかな?…現在ぴくぴく痙攣しているもう一人も含めて戦力になるのだろうか?

 

 

「さすが、また私みたいな一癖も二癖もありそうな英霊を呼んだね。さすがマスター」

 

「それって褒めてます?…で、貴方達は?」

 

 

火を消して近付いてきたクロナさんにツッコミながら、私は召喚された二人を見やる。すると桜色の方はごふごふぅ!とせき込みながら立ち上がろうとし、もう一人はキランと眼鏡を輝かせニヤリと笑んだ。…何か嫌な予感がする。

 

 

「ふははははは!私を呼んだな!多分呼んでないんだろうけど呼んだな!ならば応えてあげねばなるまい!」

 

「…私はおきtごふっ」

 

「天が呼ぶ!地が呼ぶ!マスターが呼ぶ!誰が呼んだかサーヴァント・キャスター!…え、別に私みたいな貧弱英霊なんてやっぱり呼んでない?まあそうよね私正規の英霊じゃないしねえ。というか英雄と呼べることをした覚えもないのであって何で呼ばれたかと言うと心当たりもあっt」

 

「はよ名乗れ。殺すぞ」

 

「うわっ、辛辣ぅ。そんな訳で頼れるけど基本他力本願な自他共に認める妖怪博士、経島御崎。18歳です!」

 

「「18歳・・・!?」」

 

 

このちびっ子が!?…え?本当に?アンデルセンみたいな詐欺だよこれ!思わずクロナさんと一緒に驚いてしまった。…とりあえずもう一人が今にも座に帰りそうなので応急手当てをかけてあげよう。

 

 

「助かりましたマスター・・・新撰組一番隊隊長沖田総司、クラス・セイバーとして推参しました」

 

「へ?沖田総司?」

 

「ほあー、女だったとはさすがに驚き」

 

「…羽織は?」

 

「え?それが、どこかに失くしてしまいまして…」

 

「「「…」」」

 

 

クロナさんの質問に答えた沖田さんに私達三人の視線が集まる。沖田さんは涙目だ。…えっと、うん。やっぱり男として伝えられている人だったかー…そう言えば病弱で有名だったなー。

 

 

「こ、これからよろしくね経島さん、沖田さん!」

 

「ちょいまち。そこはさんじゃなくて先輩って呼んでくんない?キャスターって呼ばれるよりはましだけど慣れないわー」

 

「あ、はい経島先輩」

 

 

・・・また先輩が増えたな。クロナさんに経島先輩。…マシュは後輩だけど、何か違う気がする…

 

 

「…それでジャージのキャスター」

 

「中々に酷い呼び方ね?遠慮なく経島先輩って…」

 

「同い年なのに誰が呼ぶか。…貴方、見た所英雄でも反英雄でも、魔術師ですらない。かといって人間を依代にしたデミサーヴァントでも神霊系サーヴァントでも無い。何で英霊として霊基に登録されてるの?…実は悪党だとか?」

 

 

言われてみれば確かにおかしい。そう言えばさっき「英雄でもないのに呼ばれた理由なら心当たりがある」って言っていたような・・・

 

 

「まず最初に。これは英霊になって知ったんだけど多分、私達の活躍は魔術師どころか一般人には認知もされてません。マジで人に知られないまま色々やって来たって事ね」

 

「はあ」

 

 

殆んどの事件などは魔術師が認知しているらしいが、経島先輩のそれはそうではなかったらしい。どういう事だ?

 

 

「それで、私達美術部が戦った中に神様名乗った奴がいたのね。まあ名乗っていただけで本当に神がいるかは半信半疑だった訳ですが…九尾の狐の知り合いが居たから今更なんだけど…とにかく、私達は妖怪と言う概念を「消そう」とした自称神が率いる連中を退けた訳よ。ここまでは分かる?」

 

「色々突っ込みたいところがあるけど続けて」

 

 

クロナさんクロナさん、私の意見は無視ですか?美術部が何で九尾の狐と知り合いで神様を退けられるのかガチで聞きたいんですが。…絆を深めればセイントグラフにその情報が載るのかな…

 

 

「で、その功績から「今回だけ」って事で英霊に昇華された訳よ私達美術部は」

 

「つまり、人理焼却を脱する手助けをさせるためにサーヴァントと言う形でここに呼ばれた?」

 

「疑似サーヴァントって奴ね。そんな訳で一般人なのに英霊と言う矛盾が出来上がった訳。あ、戦力なら安心して。これでも凄いのいっぱい持ってんのよ~もう失ったというか私がちょっとしか触ったことが無い物もあるけど、そこはそれ。私、口八丁手八丁で時間稼ぎしながら相手を分析するしかできない貧弱だし?」

 

「その様ですね」

 

 

セイントグラフを見てみれば、筋力E 耐久E 敏捷E 魔力A 幸運A 宝具EXとあった。クロナさん以上のピーキーサーヴァントだ。ちなみに沖田さんはセイバーなのに筋力C 耐久E 敏捷A+ 魔力E 幸運D 宝具Cと何とも微妙だ。これはまた問題児が増えた予感。

 

 

「…とりあえず、ちょっと冬木に用があるので二人共来てくれます?」

 

「いいわよー。倉庫に打ち込まれないように頑張りますかねー」

 

「マスター、お任せを!」

 

「ああ、アレね。マシュとエミヤ呼んでくるわ」

 

 

そう言って黒鍵を抱えモータード・キュイラッシェを引き摺りながら召喚部屋を出て行くクロナさん。同時に、マシュと所長とドクターの怒号が轟いた。…怒られたな。今回は私も止める気はないです、少しは考えてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな訳でやってきました特異点Fこと冬木市跡地。…その、焼き払われた城だったと思われる地点に、ドクターが観測した「それ」はいた。

 

 

「■■■■■■■!!」

 

 

咆哮を上げ、訪問者を迎え入れる様に巨大な斧剣を振るう神話の大英雄。黒い靄に覆われているが、エミヤの心当たりによるとバーサーカーで召喚されたヘラクレスらしい。彼を倒した騎士王にも捨て置かれ、他のシャドウサーヴァントもわざわざ刺激する事もないと放置されていたらしい。

私達も、何か聖遺物は無いかと探していたドクターが見つけるまで存在すら知らなかった。それで、なんでわざわざここに来たかと言うと。

 

 

「マスターも不運だね。私を召喚した場所が衛宮邸の土蔵の魔法陣、つまり「正規の聖杯戦争の召喚場所」で、召喚してしまった私がこの冬木の聖杯戦争のサーヴァントとして認識されているなんてさ」

 

「…それに加え、レフ教授が言っていた主犯の物ではない聖杯が手に入るチャンスですからね。これからのためにも、手に入れ解析したいと言うのが所長とドクターの意見です」

 

『だから申し訳ないけど、頑張ってそいつを倒してくれ!それでも大英雄のシャドウ・サーヴァントだ、油断しないように!』

 

 

誰のせいでこれを前にしていると思っているんですかねドクター。経島先輩何てマシュの盾に隠れている私の後ろに隠れているんですが。前に出てくれているクロナさん、エミヤ、沖田さんには感謝しても足りないな。

 

 

『無茶する事は無いわ。もし戦況が悪かったら遠慮なく撤退しなさい!』

 

「分かりました、所長」

 

 

所長、まだ体が幽霊だけど貴方の優しさは私の光です。よし、頑張ろう!こんなところで負けちゃ、世界なんて救えない!

 

 

「マシュは私と経島先輩を守って!クロナさんは援護射撃!沖田さんとエミヤが前衛で、行くよ!」

 

 

私の掛け声で、それぞれ動き出す私のサーヴァント達。…経島先輩は何してくれるんですかね?とジト目で睨んでみる。

 

 

「えっと、そう援護ね!任せなさい、【白澤図】!」

 

 

そう言って取り出したのは彼女の宝具だと言う古ぼけた書物。そして墨絵で文章と何やら変な人型が描かれた頁を開き、彼女は吠えた。

 

 

「出でよ私達の始まりの怪異、『のびあがり』!みんな、こっちは見んな!絶対だぞ!」

 

 

すると白澤図から這い出る様に顕現したのは、巨大な人型の影。それにヘラクレスが視線を寄せると、まるで視線が餌だとでも言う様にぐんぐん大きく成長し、それに伴いヘラクレスも視線が・・・って私も視線が固定されて・・・う、動けない・・・

 

 

「ああ、コイツ標的は自分を見てる奴だけだからなぁ・・・いやぁ失敬失敬。見越したあっ!」

 

「あのヘラクレスの動きを止めるのは凄いけどさ、マスターを殺す気?」

 

「全力でごめんなさい。じゃあ次は・・・!」

 

 

クロナさんに黒鍵片手に脅されてのびあがりを消し、経島先輩が続けて開いたのは蟹の絵柄。

 

 

「出でよプールの怪異『蟹坊主』!」

 

「「「!?」」」

 

 

すると顕現されたのは、ヘラクレス以上の巨体を誇る巨大な蟹。ご丁寧な事に黒っぽい緑だ。正直言ってキモい。蟹坊主は全速力で前にダッシュし(横に走らないのか)、クロナさん達が慌てて飛び退いたところにヘラクレスとがっしりと組み合い、何と拮抗する。斧剣の攻撃を甲羅で弾き、少し押され気味だがその動きを完全に止めた。…凄い。

 

 

「アレで駄目なら牛鬼と塵塚怪王のどちらか呼んでいた所だったけど正直言って助かった!どうやら召喚には私の魔力を消費するみたいだし・・・あとは私、もう一つの宝具を使うぐらいしかできないから後は任せた!」

 

「エミヤ、宝具を!」

 

「了解した。魔力を回せ、決めに行くぞマスター」

 

 

私の命令でエミヤは宝具発動を準備する。しかしその間にも蟹坊主はその姿を崩れて行き、それを背後に瞬間移動した沖田さんの背中への斬り付けと、クロナさんが顔面に放った爆発矢が妨害。時間を稼ぐ。

 

 

「I am the bone of my sword.──So as I pray,」

 

 

そして、固有結界が世界を侵食し、無数の剣が空に浮かびその矛先が全てヘラクレスと蟹坊主に向いた。

 

 

「【無限の剣製(Unlimited Blade Works.)】!」

 

 

降り注ぎ、一直線に蟹坊主ごとヘラクレスを貫こうと迫る剣群。それはヘラクレスを剣山にしようと殺到する。勝ったと、誰もが思った。…だけど、例え狂化されようが、シャドウサーヴァントになろうが・・・ギリシャ神話が誇る人類最高峰の大英雄は、化物だった。

 

 

「■■■■■■ー!」

 

 

自身に迫る数多の剣を認識した彼は何と蟹坊主と組み合ったままその頭上に跳躍、斧剣を持って蟹坊主を叩き割り黄金の粒子に変えると着地すると同時に今度は斧剣を振り上げ、その剣圧を持って全てを薙ぎ払ってしまう。

そして、一つたりとも彼を掠めることができぬまま、無限の剣は地に落ちて消滅。無限の剣が突き刺さった丘を、大英雄は爆走する。その標的は、その目に映っているのは、私一人だ。

 

 

「させるかっての!」

 

壊れた幻想(ブロークンファンタズム)!」

 

 

それを阻むはエミヤとクロナさんの放った、爆発の嵐。近くの贋作剣を手に取り手当たり次第に矢にして乱射、突き刺さるや否や爆発させていくクロナさんと、ヘラクレスの足元に突き刺さっている剣を爆発させ、その間を縫って干将・莫邪を投擲、その絶技を持って屠ろうとするエミヤ。

 

 

「■■■■■■■■!!」

 

 

しかしヘラクレスは知った事かと言わんばかりに猛進、何をされ様が止まらず、エミヤに至っては一撃で叩き斬られ、消滅してカルデアへと戻ってしまう。同時に周りの風景も焼き払われた城跡地に戻る。

 

 

「マスター!」

 

「先輩、下がってください!」

 

 

沖田さんが私の前まで戻ってきて刀を構え、マシュも盾を構えるもそれで止まるとは到底思えない。積んだ、ヤバい、私死んだと色んな考えが頭をよぎる。…諦めて堪るか、まだ私は何もしていない!

 

 

「ちょいとマスター、頭の上を失礼させてもらうわよ。封じろ、『老鼠(ひねつこ)』!」

 

 

その時、経島先輩が何かを言って私の頭に何かを乗せた時だった。それに反応し、こちらを向いたマシュと沖田さんの顔が引き攣る。え、なに?そう思って恐る恐る頭の上を見る。そこには、黒い、とにかく黒い鼠がいた。

 

 

「なんでさ!?」

 

「足下から這い上がって金縛りをかける鼠のバリエーションよ。本当は対象の胸元から睨まないと行けないんだけど・・・マスターの頭はちょうどヘラクレスの胸元に当たるからOKよね?!」

 

「私がOKじゃないんですけど!?」

 

 

それに、こんなもので止まる訳が・・・見てみる。そこには、見事に私に斧剣を振り上げる形で止まった巨体があった。…あと一瞬でも遅かったら私真っ二つだったな。はは、あはは・・・

 

 

「これでも、拘束力だけなら英雄王とやらの神を戒める鎖とどっこいどっこいだと自負しているわ。あとはちょちょいと私の宝具をお披露目して片付けたいところだけど・・・とどめを刺したいってうずうずしている子がいるわね」

 

「え、いいんですか?!では新撰組一番隊隊長沖田総司、参ります!・・・マスター!」

 

「あ、はい!【瞬間強化】!」

 

 

言われるままにカルデア礼装の魔術を沖田さんに付与する。瞬間、沖田さんはトンットンッと跳んだかと思えば刀を構え一瞬でヘラクレスの懐にワープしていた。

【縮地】。多くの武術と武道が追い求める歩法の極み、瞬時に相手との間合いを詰める技術・・・彼女のスキルだ。そしてこれが幕末の天才武士、沖田総司が誇る絶技・・・!

 

 

「一歩音超え、二歩無間、三歩絶刀……!」

 

 

全く同時に三発叩き込まれた点の突き。超絶的な技巧と速さから生まれる必殺の魔剣。

 

 

「無明、三段突き!」

 

 

瞬間、沖田さんはヘラクレスの背後に立っており、全く同時に大英雄の胸に巨大な穴が穿たれた。崩れ落ちる巨体に、やっと私は理解する。史上不屈の大英雄に、例え弱体化した状態だとはいえ、私のサーヴァント達で勝ったのだと。

 

 

「片付きましたね。お怪我はありませんか、マスター?」

 

 

何より消えゆく大英雄の向こう側に佇むその少女剣士の姿は、冬木で見た騎士王と同じく綺麗で、華麗で、見惚れてしまった。

 

 

「う、うん・・・そっちこそ大丈夫?沖田さん」

 

「えぇ、体は大丈夫です。まだまだいけますよ!…コフッ!?」

 

 

・・・ええと、うん。知ってた。確かに桜の様に綺麗だったけど紅い桜の花を散らさなくても。とりあえず【応急手当て】を・・・

 

 

「お、沖田さん大勝利~」

 

「うむ。赤い弓の人は尊い犠牲だった!終わりよければすべて良しよね!」

 

「マスターとしては、今度は死なせないように頑張ってよね。緊急回避とかできるんだから」

 

「先輩、これから頑張って行きましょう!」

 

「うん。沖田さん、経島先輩、クロナさん、マシュ。そしてここにはいないけどエミヤ、ありがとう」

 

 

ヘラクレスを倒した直後、クロナさんが最後のサーヴァントになった事から柳洞寺跡に顕現したらしい正規の「冬木の聖杯」を手に、私達はカルデアへと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「結論から言って、2009年のとある県立高校の美術部の名簿に彼女の名はあったよ。全校公認の彼氏は生徒会長だった、ぐらいしか学生としての情報は少ない。魔術的には本当に何も関係ないみたいだけど、知り合いに有名な画家のニコ・メリュジーヌがいた。あと、妖怪知識は本当に天才的みたいで論文が発表される程だったらしい。あと、彼女の周りには変人が多くいた様だ」

 

「何を隠そう私もその変人の一人なのだがね!」

 

「知ってた」

 

 

ドクターから知らされた経島先輩の情報は、それだけだった。そっかー、魔術も妖怪に関してはお手上げなのか。それでも学生の頃から論文を出していたなんて、本当に天才だったんだな。

 

 

「そんな訳で、変な疑いも晴れた事なので自己紹介をば。経島さんちの御崎ちゃんでえす。よく童顔だって言われまあす。好きな言葉は魑魅魍魎。魔術の類何て使えないけどキャスターでえす、よろしくね皆の衆!」

 

「・・・筆舌に尽くし難いな。ここは何故こうも変人ばかりが集まるのだ?」

 

「私が聞きたいですそれ・・・」

 

 

唯一コメントしたアンデルセンにそう答えた。・・・とりあえずもう一つ分かった事がある。このカルデアに居るサーヴァント達では現状、彼女と仲良くなれるか微妙と言う事だ。

 

・・・次はフランス、オルレアンだ。気を引き締めて行こう。…あとクロナさん、そんなにそわそわしないでください。予想的に絶対絶望して暴れるんで過度な期待は止めてください私が死にます。




経島先輩が何のキャラか分からない方。「ほうかご百物語」という完結済みの電撃文庫様のライトノベルです。個人的に名作なので見付けたらぜひ読んでみてください。

FGOの闇、それはやっぱりガチャ。現実にしたらこんな感じだと思う。…何気に星5礼装、星4鯖(経島先輩)、星5鯖の沖田さんと大勝利なぐだ子さん。主人公はやっぱり違う。あ、登場サーヴァントは既存の者はいずれもうちのカルデアにいる方々です。え、ノッブ?・・・ぐだぐだ本能寺を書く時があったらその時に。クロナが危険な英霊だとも明かされました。今更ですね。
とりあえず新規鯖のステータスです↓



経島先輩
クラス:魔法使い(キャスター)
真名:経島御崎
マスター:ぐだ子
性別:女性
身長:140㎝
体重:37㎏
出典:ほうかご百物語
地域:日本
属性:中立・善・人
イメージカラー:小豆色
特技:マシンガントーク、妖怪知識

ステータス:筋力E 耐久E 敏捷E 魔力A 幸運A 宝具EX

スキル
・陣地作成(塩)E:何の変哲もない塩を振りまく事で「魔性」を祓う陣地を作り上げる。ただの塩で天狗を追っ払ったエピソードから。生粋の魔術師ではないためランクは低い。そもそも魔術師ですら無い為に工房を作る事さえ難しい。道具作成スキルは持ってさえいない。

・妖怪知識EX:怪異の情報を多く有しているが故に、怪異に対して優位に立てる。具体的には京都の鬼とか。

・軍略D:天性の悪知恵。多人数を動員した戦場における戦術的直感能力。自らの対軍宝具行使や、逆に相手の対軍宝具への対処に有利な補正がつく。味方の性質を理解し、相手の性質を分析し、的確な指示を送る事ができる。

・王手の接吻B:口づけを交わす事により、相手に憑いた物を追い出すことができる。恋人に憑いた妖怪の苦手とする物を分析し口づけで相手に注ぎ込んだエピソードが英霊化したことにより強化された物。ただし小さい為、効果は強い反面あまり使えない。

化皮衣(ばけのかわのころも)E:身に着けて想像するだけで誰にでも変身できる化け狸の衣が変化したジャージ。ただし変身後の姿を一部の隙もなく完璧にイメージしないと使用できず、本能的に出来る化け狸でないと真面に使えない。ただし、彼女が使用する場合、常に研究していた「封印石」にのみ変身可能。また他人に譲渡する事もできる。

・太歳と宝下駄の恩恵A:一口食せば剛力無双、虚弱な人間も物理的にほぼ無敵になる体質改善効果を持つ妖怪の肉と、転倒する事で身長を小判にして引き換えに願いを叶える宝の下駄の恩恵。小さくなる事で剛力無双となり怪力を発揮できる。唯一自分の手で妖怪を倒したエピソードから。小判を破壊すれば元に戻る。


宝具
白澤図(はくたくず)
ランク:A
種別:対怪宝具
『白澤は妖怪についての完全な知識を持たねばならない』と言う原則に縛られた霊獣【白澤】が憑りついた相手に授けた、怪異を取り込んでその状態を凍結させ同時に完全な客観的な解析と記録を行い、解析し終えた怪異を呼び出し使役できる、墨で絵と文が記されたツール。文字通りの妖怪図鑑。「怪異」限定で触手を放ち取り込むことができるが、その間は召喚できないと言うデメリットがある。
正確には彼女の所有していた物ではないが、彼女の多大なる妖怪知識を形にした宝具。明確な自我、膨大な情報量を持つ妖怪は使役できない他、維持にも魔力を消費するため一度に一体しか召喚できない。しかしその力は絶大であり、その時に応じた妖怪を選出し的確に操れるため強力に作用する。

恨み辛みと怨念吠えよ、真・八面王(カオスファンタズム・ヤマタノオロチ)
ランク:EX
種別:対神宝具
廃校で見付けた複雑な紋章が刻まれた石輪。封印石であるそれに封じられた巨大な体に八本の尻尾と蛇の首を持つ、神の名を元に滅ぼされた神代の昔の大妖怪『八面王』こと『八岐大蛇』を召喚する。「大祓」の際、「神の体」に対抗するために用意した切札。
太古の昔に肉体を失ってはいるが、知り合いの画家にあらかじめ容姿を決めさせて描いたことにより形を固定させて解放した瞬間に実体を持たせた。さらに容姿をデザインする際に彼女の意見を多く取り入れた為「経島御崎」と言う少女のイメージで補強されているため意のままに使役できる。
八面王の伝承が足りないがために同様に神の名の下に滅ぼされた妖怪を関連要素として使ったため『夜刀神』『土蜘蛛』『ミジャクジ神』『悪路王』『両面宿儺』などの能力も使用できる、まさに神々に対する最終兵器。神性持ちに対して有利な補正が入る。


酷 い ス テ ー タ ス 詐 欺 を見た。スキルというか、所持アイテムチート型サーヴァントです。ジルドレェの超超超強化版です。はい、七章の女神対策です。これぐらいないとあれには勝てない。もしヘラクレスがアレで死んでなかったら八面王出張ってました。冬木ごとぐだ子たち滅んでました。フランス編で出します(黒笑)
知名度が圧倒的に足りず、英霊になった理由が理由なのでFGOに参戦になりました。通常の聖杯戦争でこんなん呼んだら冬木が終わります。これでオリジナル英霊はアーチャーとキャスターが揃いました。あと五騎、オリジナル英霊をそれぞれ特異点前にどんどん召喚して行くつもりです。

次のFGO編はフランス突入。その前に激動のアサシン編を進めます。最近Fate/Zero漫画版三巻と四巻を買ったせいで外道が足りなかったと思い知りました。虚淵には勝てない。なので外道追加する所存です(愉悦)
感想をいただけると励みになります。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。

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