Fate/Asura's Wrath 悪鬼羅刹と行く第五次聖杯戦争   作:放仮ごdz

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まさかまさかの三日連続投稿です。すまない、プロットなんかを作るのは苦手なんだ。書いたらすぐ投稿する主義ですまない。

今回はアサシンsideの話。そして外道英霊アサシンVS衛宮士郎。プロローグ♯4から続く因縁の対決です。楽しんでいただけると幸いです。


♯26:最低最悪アサシンハザード

聖杯戦争の始まる二ヶ月前のとある深夜・・・冬木市、柳洞寺の裏手にある霊園の墓場にて、墓石に座り一人の男が一服していた。

 

フード付きの黒いローブの上に右肩から左腰まで黒い革ベルトが付けられていて、古めかしい杖を背中に装備している。その下は黒いオフショルダーとレザーパンツ、右手だけ黒の手袋にブーツを身に着けている如何にも怪しい黒ずくめの格好をした、されど獰猛な金色の目と群青色の髪が月光に映える。

 

名はイフ=リード=ヴァルテル。アンサズのルーンを受け継いできた現代のドルイドにして、儀式系統の魔術を得意とする時計塔の魔術師。そんな彼が何故こんな時間こんなところにいるかと言うと、聖杯戦争に参加するためなのと、人目を避けて儀式を行うためであった。

 

 

「…もうすぐ午前零時。始めるか」

 

 

よっと立ち上がり、手袋を外した彼の右手の甲に刻まれているのは、アンサズのルーン文字に似た三画の赤い刺繍。それは冬木の聖杯戦争に選ばれた証、令呪。10年間渇望していたそれに聊か興奮しながら、懐から今回の召喚のために古今東西の英雄を調べ、厳選した英霊を召喚するための触媒を取り出し眺めるイフ。

しかしそれは、簡単に手に入る物。ただでさえ封印指定されても可笑しくない家系でありさらには時計塔の魔術師にも一部を除いて嫌われている彼では資金調達も難しく、この触媒が最適だったのだ。

 

それは偶然見つけた、古本屋にて売られていたとある「絵本」の原本。正確にはとある童話シリーズの一作目。ヨーロッパでは古くから子供に愛される物語。正義が勝ち、悪が滅する。そんな王道を行く「フランス革命」を模したフィクションの革命を描いたお話。

 

それで召喚可能なのは架空の英霊。彼はそれに賭けた、戦友の様に下手を踏まないために。下手したら召喚直後に殺される可能性があるがこちらには令呪がある、どうにかなるはずだ。

 

 

「えーと確か、実在しない架空の英霊は確かな信仰さえあればサーヴァントとして召喚可能だが、その場合は架空の英霊そのものではなくそのモデルになった人物、もしくはその架空の英霊と類似点のある人物が召喚される・・・だったか?ケイネスの野郎が調べていたのをエルメロイ二世が纏めていてくれて助かったな。英霊召喚なぞさっぱり分からん」

 

 

ブツブツと片手に取り出した手帳にメモした表記を見詰め、奥に在る広場に魔力を込めた石炭に自身の血を混ぜて描いた魔法陣の元まで歩くイフ。儀式系統の魔術に置いては英霊の宝具まで「再現」できるぐらいに最高峰とも言える彼だが、生憎とそれ以外の魔術に関しては初心者レベルもいいところだ。知り合いに10年前の聖杯戦争の参加した人間が居なかったら何もできなかっただろう。

 

 

「始めるか。Ansuz」

 

 

イフは魔法陣の前に立ちポイッと放り投げた絵本を魔法陣の真ん中に置くと、得意のルーン魔術で石炭の魔法陣に火を灯す。そして腕時計を見てちょうど0時を指したことを確認すると、イフは召喚時の文呪を写した手帳を片手に詠唱を始めた。

 

 

「――――――告げる、告げる

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

誓いを此処に

我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者」

 

 

そこで、狂戦士のクラスを召喚しようとしていた彼は致命的なミスを犯す。バーサーカーを喚ぶために必要な詠唱を入れ忘れたのである。

 

 

「汝三大の言霊を纏う七天

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――! 」

 

 

確かな手応えを感じ、輝きが増す魔法陣。そしてエーテルが集束し、炎を吹き飛ばして彼女は現れた。

 

 

 

まず目に入ったのは、少女の可憐な容姿とは似つかない軍服の様な青のロングコートに闇夜に紛れる紺色のマント。

 

腰には黒い鞘に入れられた短刀が下がった革ベルトが巻かれ、足音を立てにくくするための物なのか柔らかい革製に見える黒のブーツ。

 

黄色の長髪をサイドテールに纏めたその美少女とも言っていい顔は曇っており、金色の目には静かな狂気の炎がゆらゆらと垣間見える。

 

ジト目でイフを確認した少女は、何か不都合でもあったのか不機嫌に溜め息を吐いた後、しょうがないと言わんばかりに名乗りを上げた。

 

 

「サーヴァント・アサシン、ネ■=■■■■。召喚に応じ参上しました。…一つ聞くけど、何で私をバーサーカーで呼ばなかったんですかね、マスター?」

 

「お前、アサシンなのか。バーサーカーの召喚に何か手順はあるのか?」

 

 

目論んでいたクラスでない事に驚きつつ訪ねてくる己のマスターに、アサシンは分かりやすい悪態を吐いた。しかしイフは気にしない。自分が無知であることは理解している、と言うより悪態を吐かれるのに慣れていた。

 

 

「…はあ、何でこんな魔術の素人に呼ばれたのか。汝、狂乱の檻に囚われし者~っていうフレーズがあるんですよ。まったく、バーサーカーじゃないと私のステータスは頼りないと言うのに。よりにもよって最初の召喚がこれとは。何度神様に嘆けばいいんですかね?」

 

「俺が知るか。少なくとも俺は、一度しか嘆いてないな」

 

「そうですか。さて、墓場で召喚したと言う事はして(・・)いいと考えていいんですかね?」

 

 

唐突に狂った雰囲気になって獰猛な満面の笑みを浮かべたアサシンの言葉に、イフは満面の笑みでOKサインを出す。

 

 

「条件が何なのか分からなかったからな。大掛かりな転移魔術儀式を使って近くの林の中にロンドンの墓地からかっぱらってきた死体の山も持って来た。あんたが召喚されなかったら儀式の材料に使ってたんだけどな?」

 

「狙って私なんかを召喚したのは間違いじゃ無かったようですね。問題ないです。ちゃんと死体が残っているなら私の宝具は機能するんで?」

 

 

そう言いながらアサシンが取り出したのは、魔力なんか感じない普通のワイングラス。しかしイフはまるで芸術品を見る様な視線でじっくりと観賞しながら、気になっていた事について口を開いた。

 

 

「あー、アサシンの好きにしていいんだけどよ?敬語にしなくていいぞ、俺達はパートナーなんだからな」

 

「あ、そう?なら遠慮なく」

 

 

楽しそうに笑い応えるアサシンに、イフは内心複雑な思いでソレの工程を見つめていた。…一体どこの誰がこの哀れな少女の英霊として召喚されたのだろう、と。アサシンで召喚されたと言う事はハサンの一人か?それとも、名もなき暗殺者?…考えても分からない、本人も自分がその英霊だと認識しているのだから。

 

煙草に火を点け、一服する。…10年前に敗北し、己との再戦を約束しながら戦争を知らなかったがために死んでいった一人の天才魔術師を思い出す。己が渇望するのは、あの男の復活。そして再戦。戦争を知り、外道な手段で婚約者を殺され己も死んで行ったあの男なら、間違いなく強くなっている。ただ、それが死んでいるままでは惜しいのだ。死者蘇生などできる魔術は限られている。その一つが、聖杯だった。

 

そこで思い付いたのだ。10年前敗北したままに潰えた戦い。己に勝ったあの男が聖杯戦争に敗北したと言うのなら、俺は聖杯戦争の勝者として奴と再戦しよう。互いに勝者として戦うのだ、実に充実した戦いになるではないか。

 

と、視界に入ったさも当り前の様に姿を大男に変えてせっせと死体を運ぶアサシンを見て、イフはその思考を打ち消し歩み寄った。

 

 

「アサシン、手伝うぞ。それで、どうするんだ?」

 

「いい心がけね、マスター。やる事は簡単よ。グーラ病にかかって死んだ亡骸が屍兵になるのだから、順序を逆にしてしまえばいい」

 

「…なるほどな。クーフーリンの持つ槍の因果逆転の呪いと一緒か」

 

「まあそれに近いけど、なに?クーフーリン好きなの?」

 

「ああ、アルスターというかケルトの英雄は大好きだぞ?」

 

「…あ、そう。興味ないわ」

 

 

こうして、最狂最悪のアサシン陣営は設立された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空中に翻り、ナイフを手に俺に襲い掛かってくるアサシンに俺は投影した干将・莫邪で迎え撃つ。その隣では遠坂と桜、イリヤがそれぞれの武器で屍兵達を撃ち抜き、セイバーと復活したサモエド仮面と共にバゼットを守る様に応戦している。今は人道がどうのと言っている場合じゃないとはいえ、複雑だな…

 

 

「へえ、少し見ない内に真面に戦えるようになったのね!以前のへっぴり銃なんかより魅力的じゃない?」

 

「そりゃどうも!」

 

 

押し返す。体重が軽い為あっさり飛ばされたアサシンはその姿をあの時、俺を追って来た時と同じ銀髪の女性に変え一瞬で懐に潜り込んできた。そして掌底打、俺は応戦する間も無く吹き飛ばされ、飛び出して来たセイバーとスイッチ。緑衣の勇者は赤い鎧の大男に姿を変えたアサシンの両手剣と刃を交える。

 

 

「…お前、一体何なんだ?」

 

「答える義理は無い…ですね!」

 

「速い…!?」

 

 

今度は黄色い衣の金髪碧眼の少年に姿を変えたアサシンの手に握られた片手剣による一角獣を彷彿とさせる構えから放たれた音速の突きが盾とマスターソードを潜り抜け胸部の鎖帷子に炸裂、火花を散らして押し退ける。

やっぱりこのサーヴァント、強い。あのランサーと互角だったのだ。戦うのは初日以来だが、それ以外の六騎やギルガメッシュ、英霊エミヤを含めた連中を見て来た今、よく分かる。この英霊は異常だ。

 

 

何かが可笑しい。根本的に、可笑しい。

 

本当に、一人の英霊なのかも怪しい。

 

かといって、ライダーみたいに「複数人で一人」の英霊って訳でもない。アレは全部同一人物、どうしてだか分からないがそれは確信できる。

 

セイバーの様な英雄にも、キャスターの様な反英雄にも見えない。

 

どちらでもない、と言う訳ではない。どっちかと言うと反英雄よりだ。でも、あの赤い騎士やらの姿と戦い方はどう見ても英雄のそれだ。

 

だが、この死体を道具として扱う外道な行い、それを「手段」として当り前だと言ってのける。明確な「悪」だ、そのはずだ。

 

先日、アサシン陣営の本拠地を捜している際にクロ姉からも違和感を伝えられた。

 

アサシンと言うクラス、それも冬木の聖杯戦争では例外なく「ハサン・サーバッハ」・・・山の翁と呼ばれる暗殺教団の19人存在した教主の一人が召喚されるのだと言う。その特徴は基本的に黒ずくめ、そして例外なく髑髏の仮面を付けているらしい。

 

しかし目の前のアサシンはどうだ?消去法から、そしてマスターからもアサシンと呼ばれていたとはいえ、どこからどう見てもハサン・サーバッハの一人には見えない。例外として髑髏の仮面を付けていないハサンだっているのだろうが、それでも暗殺教団はイスラム教関係のはず、この目の前の人物が切り替わる姿は総じて西洋の人間に見える。間違いなく、違う。では、どういう事なのか。

 

・・・駄目だ、答えは出ない。俺はクロ姉じゃないから考察は出来ない。だけど、今分かっている事は…目の前の「悪」を倒さなければいけないと言う事だけだ。

 

 

 

「ハアアアアッ!」

 

「無駄ですよ」

 

 

隙を突いて斬りかかる。しかしそれはあっさりと逸らされ、背中に斬撃を受けて倒れる。まだだ、今のは浅い。まだ行ける…!

 

 

投影(トレース)、」

 

「そう何度もさせないよ!」

 

「っ!?」

 

 

新たに別の剣を投影しようと構えると姿を変えて来たのは、馬上槍を構えた金の長髪をなびかせた黄色を基調とした軽装の鎧を身に着けた女傑。その槍による突きを咄嗟に干将・莫邪を交差して受けるがあっさり砕け散り、俺は手放して後退。今度こそ新たな剣、今の俺にとっては一番使い慣れているエクスカリバーを投影して跳躍、頭上から襲う。

 

 

「それ、アーサー王の聖剣?だったらこっちは…魔剣だ」

 

「っがあ!?」

 

 

今度姿を変えたのは、日本刀を構えた紫の長髪を結えた青年。今までとは技量が違う、恐らくは赤い重装甲の大男よりも洗練された一撃がエクスカリバーを破壊し、俺は地面に投げ出される。圧倒的過ぎて、笑いすら出て来る。エミヤには張り合えた。だけどそれは、自分自身だったから。…やっぱり駄目だ、俺じゃクロ姉みたいに戦えない、コイツには…サーヴァントには、勝てない。

 

 

「と言っても、あんなもの再現できる訳がないんだけどね。技量だけなら私の知る限り最強の男の剣技、いかがな物?」

 

「…お前、なんなんだ?」

 

 

元の姿に戻り、這いつくばる俺を見て嗤うアサシンにそう問いかける。すると返って来たのは、意外な反応。

 

 

「なんなんだって…どこにでもいる噂好きのメイド。三英雄の一人の養女。しがない暗殺者。とある王国の特務工作部隊隊長。前線の司令官をしたこともあった?あれ、どうだっけ。墓場の主の従者(サーヴァンツ)だったこともあったかしら。そこら辺はあやふやなのよねぇ…ねえ、私って何なのかしら?」

 

 

とぼけた訳でもなく本当に分からないと言った表情で訪ねてくるアサシンに呆然とする俺。やっぱり、この違和感だ。真名を知らない?記憶喪失?そんな訳がない、ちゃんとあの宝具だと思われるグラスだって使いこなしていた。だとしたら、このメインとなる人格は…情緒不安定?なのか?

 

 

「…お前は、俺が倒すべき悪だ」

 

「そう。じゃあ正義の味方、それはどうする?」

 

「っ…!?」

 

 

ガシッと足を何かに掴まれ、見下ろす。そこには8歳ぐらいの少女(・・・・・・・・)が虚ろな目で俺を見上げていた。ガシッ、ガシッとどんどん血溜まりから現れる子供の屍兵が俺の足を掴み、拘束を強めていく。コイツ・・・

 

 

「正義の味方が、そんなか弱い子たちを蹴散らしちゃっていい訳?」

 

「くっ…!」

 

 

暴れる、しかし子供とは思えない程の力で離れない。屍兵は怪力も持つのか…クソッ!

 

 

「ちなみに、その子たちは私が衛宮士郎用に仕上げたプレゼントです。何でしょう~?わたくし、爆弾も嗜んでおります♪」

 

「まさか…!」

 

 

愉しくてしょうがないとでも言いたげに嗤い、声を上げるのを堪えるアサシンの言葉に慌てて見下ろす。

 

・・・少年少女のだぼだぼの服から見える胸元には、例外なくアサシンが使っている爆弾が二つずつ、付けられてあった。

 

 

「ああ、安心して?あそこで貴方の仲間たちが戦っている屍兵には仕掛けてないわ、本当に貴重な戦力だし。でもその子供達はこれ以上利用価値が無いからそうしている訳。気に入ってもらえた?」

 

「くそ、離せ・・・!」

 

「アハハハハハ!斬ればいいじゃない、そうすれば助かるわよ?死んでも離さないけどね!」

 

「そんなこと、できるか…!」

 

 

高笑いを上げるアサシンに返しながら振りほどこうと暴れる。駄目だ、どうしようもない。暴れる、暴れる、暴れる。その時、右手に冷たい物を感じた。…これは、鎖・・・?

 

 

「それでは、ごきげんよう~死ね、正義の味方」

 

「くっ…」

 

 

そうだ、思い出せ。俺には、彼女がいる。令呪の宿った右手を掲げる、不可視の鎖で繋がれた相棒を呼ぶために。アサシンの声に反応してか子供の屍兵達に付けられた爆弾がカッ!と輝いた瞬間、俺は叫んだ。

 

 

「来い、アーチャー!」

 

 

間髪入れずに爆発、強烈な衝撃波が俺を襲う。しかし、それだけ。俺は、浮いていた。見下ろせば、爆発し四散した白い肉片と焦げ跡、そしてこちらをつまらなそうに見つめるアサシン。見上げれば、俺を持ち上げている天使の様な少女。

 

 

「…あー、そういや赤いアーチャーが脱落したけど白い方は残っていたんだっけ・・・面倒ね」

 

「お待たせしました、私の鳥籠(マイマスター)。命令を」

 

 

上空から見下ろせば、遠坂と桜は背中合わせに、それを守る様にサモエド仮面が地を駆け、イリヤとセイバーもそれぞれの隙を補う形で屍兵を殲滅していた。…見れば、遠くにはバイクモードのエルメスに跨ったライダーがこちらに急いでいた。

…血溜まりが消え、増え続けたのが止まった屍兵。その数、100は超えていた。…柳洞寺裏の、切嗣の眠っている霊園の他からも死体をかき集めたらしい。外国人の屍兵もいるので、恐らくは冬木に来る前から集めていたんだと分かる。ああ、クソッ。人間を、何だと思ってるんだ・・・!

 

 

「ああ、行くぞアーチャー。アイツだけは絶対に逃がすな…!」

 

「はいマスター、サーヴァント・アーチャー、出撃します!」

 

 

俺から魔力を回し、「空の女王(ウラヌス・クイーン)」を展開したアーチャーが俺を降ろして再び飛翔、空から殲滅しようと翼を広げ、そして。

 

 

 

轟いたのは、一発の銃声。

 

 

 

次の瞬間、アーチャーの右胸を一発の凶弾が撃ち抜き、鮮血が舞う。何が起こったのか分からなかった。ただ、堕ちるアーチャーの血飛沫を受けて力を失くした顔と、アサシンの狂った笑みを浮かべた貌が同時に見えた。

 

 

「屍兵が出揃ったなんて誰も言ってないわ。アンタ達の作戦は私達にも突き抜けだったの、いきなり全部導入する訳が無いじゃない。いい具合に引っ掛かってくれたわね。アハ、ハハ、アハハハハハハハハハハ!」

 

 

崩れ落ちるアーチャーを慌てて受け止め、高笑いを上げるアサシンを睨みつけるや否や、俺は衝撃を受ける。…何で、アンタがそこにいる?

 

 

「アハハ、ご苦労だったわね。アインツベルンを少しでも足止めするために送り込んでいたのにちょうど来てくれて助かったわ。アレはバーサーカーと同じで早々戦いたくはなかったし。

目の前の敵に集中している時に狙うとはさすが、私と同じで「殺し」に長けている人物ですこと。あーそうだ、紹介するのを忘れていたわ」

 

 

そう嗤うアサシンの隣に、無言で佇むその男。その手に握られた拳銃は硝煙を噴いていて、それがアーチャーを撃ち抜いたのは明白で。そしてその顔は、俺の憧れその物、俺にとっての『正義の味方』。

 

 

「コイツ、私の右腕。魔術刻印が残ったままだったせいなのか生前に近い能力を持った屍兵なんだけどね。英霊って凄いわー、宝具ってだけで生前できなかった事ができるようになるんだもの。召喚能力もそうだけど、便利過ぎて恐ろしく感じますわ」

 

「…なんでだ」

 

「ん?」

 

「なんで、よりにもよってアンタが、アサシンなんかと一緒にいるんだ…切嗣(オヤジ)!」

 

 

衛宮切嗣。俺をあの大火災から救い、養子にした男。そして、五年前に亡くなったはずの人物だった。




令呪で呼ばれてすぐ銃撃を受けてしまったアーチャー、すまない出すタイミングがそこしかなかった。最後に現れたのは、本編でも説明がある通り以前イリヤの前に現れたくたびれたコートの男と同一人物です。

自分でも自分の事を理解できず士郎に尋ねてしまうアサシン。存在的には佐々木小次郎に本当に近いですが、根本的に違います。既にFGO編で最初のネだけは判明している為残りは■で真名書きました。字数はどちらでも同じなんですよね…でもその真名も実は違うと言うね。色んな姿になれるのはそのせい。

アサシン陣営のコンセプトは一般的な魔術師と魔術使いに加えて切嗣とジルドレェと綺礼と悪ギルガメッシュとメディアをミックスしたような超絶外道です。特に今回の所業は切嗣+ジルドレェなのでかなりヤバい。イフの名前はイフリートだけでなく「畏怖」からもとってます。つまり龍ちゃんみたいなヘイト役。

今回のはまだまだ序の口。ハイ、容赦しません、使える手は全部使います。あの先生もあの優雅な人も連続殺人鬼も全部使います。おじさんだけは死体が無かったからアウトだったよ…(泣)いや、必要ないんですけどね(黒笑)これも全部主人公陣営に怒りを溜めてもらうため。

次回、更なる外道が正義の味方とその仲間を襲う…!最後まで正気でいられるのか!地味に守られているバゼットさんの末路は!感想をいただけると励みになります。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。

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