Fate/Asura's Wrath 悪鬼羅刹と行く第五次聖杯戦争   作:放仮ごdz

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およそ一ヶ月ぶりの更新、遅れて申し訳ございませんでした。
今回はもう大乱戦。題名は色々混ぜてます。


#12:英霊無双、多分史上最大の決戦

「ふむ・・・クロナの奴め、まさかあんな手腕を隠していたとは・・・さすが(オレ)の見込んだ娘よ」

 

 

バーサーカーを先陣に、兵馬俑の軍隊とぶつかるクロナの指揮に従ったサーヴァント数名を、太陽の光で隠れた空に浮かぶ黄金の船から見下ろす男がいた。戦闘機にも匹敵する機動性と王の財宝により高火力を併せ持つ、インドに伝わる宝具「天翔る王の御座(ヴィマーナ)」の玉座に座ったギルガメッシュである。ジャージに似た私服を身に纏っている為、戦闘に関わる気は皆無である。

 

 

「ふん、バーサーカーの力量を図る機会と見ればよいが・・・結果は目に見えているな」

 

 

―――――この勝負、宝具を使わぬ限りクロナ達に勝利は無い。それが、人類最古の英雄王の観た結論だった。時間切れ(・・・・)を待つよりも早く、全滅する。

 

 

「・・・持って10分だな。クロナよ、このヘラクレスの十二試練にも並ぶ難業、見事成し遂げて見せよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の左右で銃撃音と呪文の声が響き渡り、視界の陶器兵が次々と砕け散って行く中、私は静かに弓を引く。

 

 

「爆ぜろ」

 

「ウオラァアアアアアッ!」

 

 

殴り付けながら突進するバーサーカーが槍を突き出し突進してきた陶器兵に接触する寸前で、私は矢を放ってその胸を射抜き、爆散して破片で周りの陶器兵を巻き込んで倒れて残った陶器兵の頭部を踏み潰しながらバーサーカーは跳躍、両腕に怒のマントラを溜めこみ、それを着地と同時に陶器兵ごと地面に叩き付け炎の衝撃波を放って周りの陶器兵の足場を取る。

上手い、やはり「八神将」として戦ったことが、義兄にして好敵手と何度も力を合わせて死線を潜り抜けて来たからか、連携の基本は分かっているらしい。

 

 

「デヤァアアアッ!」

 

「よっ!」

 

 

そこにセイバーとアサシンが突入すると同時に一閃、頭部を破壊し、六天金剛となって腕を振るい砕いて走り抜けていくバーサーカーの後を駆け抜ける。

 

 

「オラッ!フンッ!そらよっ!」

 

 

さらにその間を、サーヴァントの中でも断トツのスピードで駆け抜けて行ったランサーの飛び蹴りで、刀を手に突進の勢いでバーサーカーを斬ろうとしていた陶器兵は蹴り飛ばされてその奥の弓部隊に激突。体勢が崩れた所に槍の乱舞が叩き込まれ、土屑と化す。

 

 

「くたばれェエエエエッ!」

 

 

飛び上がり、空中でグッと力を溜めこみ、六本腕から怒のマントラを掌に集束し拳に乗せていくつもの光弾を放ち殲滅するバーサーカー。その着地した瞬間を狙って手にしたボウガンの矢を放とうとしていた陶器兵の頭部を、私の上から放たれた弾丸が撃ち抜き、崩れ落ちさせた。見てみるとアインツベルンだった。ライダーがこちら・・・後衛の援護を、アインツベルンが前線の援護をする事にしたらしい。…まあ確かに、それが一番かな。

 

 

「第一射撃隊、構え!」

 

 

突如、そんな声が響き渡り見てみると、キャスターが剣をこちらに掲げていた。その下では、弓矢とボウガンを構えた陶器兵、総勢100数体が・・・って不味い!

 

 

「・・・てぇえええッ!」

 

 

そして、バーサーカー達の居る前衛から、私達のいる後衛まで、降り注ぐ矢の雨。サーヴァント達でも不味いが、人間のこちらがまずヤバい。

 

 

Shield protect us desert(砂漠よ、我等を守る壁となれ)!」

 

 

咄嗟に近くの岩に手を付け、後衛の人達だけを守る巨大な城壁を形作ってそれを防御。途轍もない魔力が消費されたが、歯を食い縛ってそれに耐え切り、壁を砂漠に戻して弓を番える。しかし、見越していたのか私だけに向かって放たれる矢が三つあった。

 

 

「!?」

 

 

咄嗟に再び地面に手を付けようとするが、間に合わない。弓を剣に改造しても私程度の腕じゃ防ぐなんて不可能。どうする・・・!?

 

 

「ウラァアアッ!」

 

「クロナ!」

 

 

その瞬間、跳んで来たバーサーカーが二本を掴んで捻り折り、ライダーの放った弾丸がもう一本を弾いていた。…今の一瞬でここまでできたのは、サーヴァントだからだ。本当にヤバかった。

 

 

「気を付けろ、マスターだろうが」

 

「今のは誰でも油断する。ありがとうバーサーカー、ライダー」

 

「礼は別にいいわ。それより、今のどうする?多分後何回か来るわよ」

 

「全部私に受け止めろと無茶を申すのか」

 

「・・・頑張れ、クロ姉」

 

「士郎!?」

 

 

士郎に頑張れと真顔で言われた。結構ショック。しかし守りに入れと。確かに全員守れそうなの私しかいないけど…私の魔力、持つかな。…あ、魔力と言えば。

 

 

「イフ=リード=ヴァルテル!確か魔力のストックを使って大規模な炎を操ってたよね!?」

 

「他のマスターがいる中で手札を明かすとはやってくれるな。まあ問題は無いが、それがどうした?」

 

「貴方の炎、どうせあの兵隊に効かないんだから防御に集中して、お願い」

 

「…それが最善なんだな?じゃあ任せろ。Ansuz(アンサズ)!」

 

 

そう言って懐から出した煙草の箱から一本抜いて一服したイフは、その火の粉をばら撒いて杖を振るい、火の粉は炎の壁となり放たれた第二陣の矢の雨を全部溶解させて防御。そのでたらめさに唖然とする凛と桜、そしてイリヤ。士郎はいまいちこれがどれだけ凄い事か分かっていないのかちょっと驚いているだけだが…ヤバい、コイツ本気でとんでもないぞ…

 

 

「今手持ちは全部で10本だ。今のは残り九回までだから、それが切れるまでに決めろ!」

 

「頼もしいね。バーサーカー!」

 

「おうっ!」

 

 

私の掛け声に、私達の前で構えるバーサーカー。そして次の瞬間、ドゴンッ!という、地面を蹴っただけでは絶対に起きない轟音と共にバーサーカーは超高速で突進。六本腕を駆使して通り過ぎた兵隊たちを全部残らず頭部を破壊し、アーチャーが上空から放つミニガンの雨も物ともせず、キャスターまで全速力で突っ走った。

 

 

「クロ姉・・・あれが、英雄の力なのか…?」

 

「うん、とんでもないね」

 

「確かにとんでもないけど…うちのセイバーも負けてないわよ」

 

 

そう言うアインツベルンに、セイバーの方を向いてみる。近付く者はバッタバッタと斬り倒し、時に弓矢を放って数体を纏めて貫通して炎上させたり氷漬けにしたり、時にハンマーで叩き飛ばした陶器兵の破片で波状攻撃を仕掛け、緑の風を纏って空中に姿を現し何処からともなく取り出したバクダンをポイポイ降下。

大爆発を起こしてまとめて散らしたり、下半身が砕けても近付いてきた陶器兵をマスターソードで頭部を斬り飛ばし、そこを突いて突進してきた大柄な陶器兵を盾で殴り飛ばしたりで全く敵を寄せ付けていない。

 

 

「…さすが勇者。有象無象の雑魚なんて楽勝か。まあうちのランサー程じゃないけどね」

 

 

そう言いながらガンドを飛ばして近付いて来ていた陶器兵の顔を吹き飛ばす凛。…よく見ればセイバーの遥か隣にいるランサーも突いて斬って薙ぎ払ってと、未だに傷を負っていない。アサシンは…あのチョコネロネみたいな頭をした怪力娘に姿を変えて大剣を手に大暴れしていた。

 

 

「うわぁ…やっぱり、本物の英雄は一味違うねエルメス…」

 

『君だってあんな無双、いくらでもして来ただろう?しかし、アーチャーもそろそろ弾が尽きるけど大丈夫かな…』

 

「心配はいらないみたいよ。やっぱりあの子も私と違って英雄だわ」

 

 

上からそんな会話が聞こえて来て、英霊達の無双を掻い潜り近付いてきた陶器兵に士郎や桜、凛と一緒に応戦しながら空に居るはずのアーチャーを見てみる。

ミニガンをぶん投げて遠方の陶器兵を三体纏めて潰したかと思えば、何か急降下して着地の衝撃波で周りの陶器兵を散らし、散乱した槍やら剣やらを手に取り集めると再び上昇、同時にその衝撃波で接近していた陶器兵を一掃、空中から音速で剣やら槍やらを投擲して再び蹂躙を始めていた。

溜まらず私達と一緒に攻撃しようとしたのか矢の雨がアーチャーに向けて放たれるが、翼で自身をくるんで高速回転し全部弾き飛ばすアーチャーには通じず、イフの放った二回目の炎の壁でこちらにも届かなかった。

 

うわぁ…何だアレ。多対一に強い英霊多すぎじゃない?え、なんなの?英雄って多数に一人で挑んでも大丈夫じゃないとなれんのかね。ライダーもエルメスの言い分だとなれてるっぽいし・・・そう言えば王様もあのアーチャーみたいな戦い方だったっけ。本当、怖いわ英霊。

 

 

ドゴンッ!

 

「ぐぅ・・・っ!?」

 

 

いきなり爆音と共に何かがこちらに向かって飛んで来て何体かの陶器兵を一掃した。何事かと思ってみてみれば、それはキャスターに向かって突進していたはずのバーサーカーだった。何で…!?慌ててキャスターの居た場所を見て、そして私は驚愕する。

 

 

「まさか…あの記述まで本当だって言うの・・・!?」

 

「どうしたんだクロ姉・・・ッ!?」

 

「あ、あんなことが…」

 

「本当に、厄介な英霊ね」

 

「魔術や兵隊たちだけでも面倒だってのに・・・あのバーサーカーが一撃って…」

 

 

私に続く士郎、桜、アインツベルン、凛の言葉。そこにいたのは、鬼だった。いや、冗談ではない。山羊の様な角に野獣の牙が生え、筋骨粒々な熊を超える毛むくじゃらの巨体に、悪魔の如き形相でこちらを睨む土色の怪物。アレがキャスターだってのか…

確かに、エヴリン・オコーネルの書籍ではアー・シン・ハンはシャングリラの泉を浴びて完全復活して不死身の肉体を得た際に三つ首竜や熊の様な獣に変身できる力を手に入れたとあったが…まさかあんな化物とは思わなかった。あのバーサーカーを吹き飛ばすってどんな怪力だ。

 

 

「大丈夫、バーサーカー!?魔力、回した方がいい?」

 

「いらん。マスターはマスターらしく、そこでふんぞり返っていろ!」

 

 

心配して聞いてみたが、そう言ってバーサーカーは再び突進。今度はキャスターと組み合った。…心配したのに嫌な態度だ。何か怒らせたっけ?

 

 

「クロ姉、それより、ヤバいぞ」

 

「え?何が…!?」

 

 

士郎の声に戦況を見直し、そして驚く。可笑しい。あんなにサーヴァント達が暴れて、私達も一体一体確実に倒して行っているはずだ。でも一向に減っていない。今でもキャスターとバーサーカーの殴り合いで周りの陶器兵が吹き飛んでいるのに…何で…?

 

 

「・・・原因はアレみたいね」

 

「アレ?…なるほど。桜、クロナ、士郎。そこの黒いのと赤いのは下に置いといて上がって来て。ちょっと不味いことになってる」

 

 

イリヤとライダーの言葉に、凛とイフをその場に残して上がる私達。そして、その正体に気付いた。…倒す度にその数だけ、あの地下に繋がっている穴からどんどん出てきている。これはもしや…

 

 

「魔術王ソロモンの72柱の魔神と一緒ね。いくら倒しても、数が固定されているからその分補充される」

 

「という事は…」

 

「うん、桜。この勝負、大将を倒す事でしか決して私達に勝利は無いって事。やれやれ、減らない雑魚とかもうそれ雑魚じゃないよね、エルメス」

 

『サモエド仮面呼んでも多勢に無勢だね』

 

「ど、どうするんだクロ姉・・・このままじゃ、いくらアーチャー達が強くても…」

 

「…いずれ、こっちが負ける」

 

 

アインツベルンが名を出した魔術王ソロモン。まさしくそれだ。アイツらは陶器人形だ、アイツは五行魔術を用いて火と水を操れるし、材料ならこの固有結界にはいくらでもある。閉鎖空間に閉じ込め、無限に湧き出る大軍勢で敵をその物量で押し潰す。それがこの宝具の正体。しかも本体も「神」を吹き飛ばす化け物と来た。勝てる訳がない。例え物量を攻める王様でも、切札を使わない限り勝てないだろう。

 

 

「でも手はある。サーヴァント全員をキャスターに送り込んで、あの軍勢を私達だけで相手して時間を稼ぐ。それが最善」

 

「俺達、マスターだけであれを食い止めるってのか?」

 

「無茶です!今でさえギリギリなのに、ライダー達まで抜けたら…」

 

「でも、そうしないとジリ貧だよ。今のところキャスターを倒さない限り、ここからは出られないんだから」

 

 

今も迫り来る軍勢を、イリヤとライダー、そして下の凛とイフが推し止めてくれている。奥の方ではセイバー、アーチャー、ランサー、アサシンが殲滅し、最奥の巨像の前ではバーサーカーが獣の姿のキャスターに投げ飛ばされ、起き上がったところに顎を蹴り飛ばされ、仰向けに倒れている。…急がないと、バーサーカーが危ない。

 

 

「…ライダー、今直ぐキャスターの元に急行して。最悪、私が全魔力を導入してでも桜を守るから」

 

「…分かったわ、桜は任せた。これ使って。行くわよエルメス!」

 

 

私の言葉にポーチを開いてどさっと銃器を大量に置くと、放り投げてバイクになったエルメスに飛び乗って陶器兵を蹴散らしながら突進するライダー。さすがに速いな。

 

 

「士郎、凛、アインツベルン、イフも!自分のサーヴァントに伝えて。キャスターを倒す事に集中しろって」

 

「…話は聞いていたわ。確かに、それが最善ね。ランサー!」

 

「アーチャーも、頼む!」

 

「セイバー、やりなさい!」

 

「相手は皇帝だ、暗殺してやれアサシン!」

 

 

凛を皮切りに、それぞれのサーヴァントに指示するマスターたち。それを聞いたサーヴァントは全員、キャスターの元に向かう…さあ、ここからは私達マスターの正念場だ。腹をくくるか。

 

 

「―――――Tell my anger in an irrational world.(理不尽な世界に我が怒りを伝えよ)

 

 

唱えるは疑似宝具を使う為の呪文。王様の財を模倣するのは怒られるかもしれないけど、今更こんなことを気にしている場合じゃない。手榴弾をありったけ掴み、長く改造して伸ばしたマフラーにくるんで魔力を流し込む。悪魔でもなんでもいい、力を貸せ。

 

 

「両目、脇腹、膝、脊髄。設置完了!」

 

 

マフラーに包まれた大量の手榴弾は一個ずつ、懐中時計型のチェーンマインに変形、私はそれらを軍勢にばら撒き、ある程度が上手いぐあいに設置されたことを確認。黒鍵を改造した不気味な鋏をカチンと鳴らす。

 

 

偽・微睡む爆弾(イリマージュ・チクタクボム)!」

 

 

そして、私達に迫ろうとしていた大軍勢を大爆発が飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人称side

殴る、殴る。いくら投げ飛ばされ、吹き飛ばされ、叩き落とされ、殴り飛ばされ様と、バーサーカーは一心不乱に殴りかかる。

昨夜、キャスターと戦った際にマスターを危険な目に遭わせてしまった。同時に思い出したのだ、生前、巻き込んでしまってみすみす死なせてしまった少女の事を。

 

 

「ウアァアアアアッ!」

 

「無駄だと言っている!」

 

 

また守れなかったと、自分自身に怒りを抱き、それをマントラへと変質させ傷を治しながら殴りかかる。しかし、昨夜の戦闘で宝具を相手に負ったダメージは尋常ではなく、それも伴って動きが疎かになったところを的確に鋭い爪による斬撃を受け、蹴り飛ばされて砂漠に叩き付けられた。

 

 

「いい加減、楽になれ!」

 

「グッ、アァアアアアアアッ!」

 

 

腕を二本、力任せにもぎとられ、激痛に唸りながらも顎を殴りつける。しかしキャスターはその直前で三つ首竜に変身、首を伸ばしてそれを回避し飛翔。

 

 

「無駄な足掻きだ!」

 

 

そのままキャスターは三つの口から炎を吐いてバーサーカーは四本腕で顔を隠しそれに耐えるも腕二本がダメージに耐え切れず吹き飛び、二本腕に戻ったところで歯を食い縛り、バーサーカーは空中に跳び出し拳を繰り出す。

 

 

「当たらなければどうという事は無い!」

 

「があっ!?」

 

 

しかしその直前でキャスターは獣の姿に変わり、急降下と共に組んだ拳をハンマーの様に叩き付け、バーサーカーの拳は届かずに叩き落とされる。着地し、人型に戻るキャスターは満足気に肩を鳴らした。

 

 

「怒りにかられた拳ほど御しやすい物は無いな」

 

「この・・・クソ野郎が…ッ!」

 

「今度こそ死ぬがいい、狂戦士」

 

 

剣を抜き、振り上げるキャスター。力を振り絞り立ち上がろうとするバーサーカーの首に向けて振り下ろす…が。

 

 

「残念だが、彼とはまだ決着を付けていないんでね」

 

「むっ!?」

 

 

剣は弾き飛ばされ、キャスターはバックステップで後退。そこには、マスターソードを構えたセイバーがバーサーカーを守る様に立っていた。

 

 

「オラァ!」

 

「ふんっ!」

 

「ロックンロール!」

 

「ぬうっ!?」

 

 

そこに、背後から突き出された朱槍の穂先をキャスターは剣で上方に弾き返すも、そこに弾丸の雨が襲い、咄嗟にキャスターは三つ首竜に変身し鱗で防ぐ。背後にはランサーが、バーサーカーの背後からはエルメスに搭乗し機関銃を構えたライダーがいた。

 

 

「喰らえッス!」

 

「はあっ!」

 

 

さらに上空から襲い掛かった大剣を、ハイキックで叩き割るキャスター。刃を失った大剣を構えたチョコネロネは着地と同時にフードの少女に戻り、ナイフを片手に突進。キャスターはそれを懐に潜り肩で押し上げて後方に突き飛ばす。

 

 

「不意打ちも効かない、か。正面からの戦いは苦手なんだけど?」

 

 

ナイフを口に咥えて受け身を取り、睨みつけながら徒手格闘の構えを取るアサシン。

 

 

「獣殺しか、腕がなるねえ」

 

 

槍を手に、油断せず構えるランサー。

 

 

「ここで会ったが百年目よ!覚悟しなさい!」

 

『夕べの時代劇?』

 

 

機関銃をポーチに戻して対戦車ライフルを取り出し、エルメスをストラップに戻して構えるライダー。

 

 

「魔物退治は久し振りだ。ガノンを思い出すよ」

 

 

マスターソードと盾を構え、キャスターの出方を窺うセイバー。

 

 

「ドゥルガァアアアアアッ!」

 

 

自分で狂化し、咆哮を上げて今にも飛び掛かる構えを取るバーサーカー。

 

 

「遅れました。マスターの命令を、遂行します…!」

 

 

バーサーカーとセイバーの前に降り立ち、拳を構えるアーチャー。

 

 

「…ふん、この程度で私を倒せると?愚かな」

 

 

獣の姿となり、鼻息荒く挑発するキャスター。

 

 

 

 

六対一と言う、聖杯戦争に置いて前代未聞の決戦が始まる。

 

 

「あと一分。耐えれるか見物だな。愉しませてもらうぞ、クロナよ」

 

 

黄金の王は空で頬杖をつき、笑みを浮かべる。その視線は、自身と同じ弓使い(アーチャー)に注がれていた。




史上まれにみる大ピンチ。もう何でもアリです。こんな序盤でここまでの決戦になったFate二次創作はこれだけだと思う。

※一応念のため。クロナが使った技はFate/GrandOrderのキャスター、メフィストフェレスの宝具っぽいものです。

キャスターの宝具は最強ですが、最強な分弱点も多いです。今回のでいくつかが描写されてますが気付いた人は少ないと思います。しかし物量戦多い英霊ばかりだな…

次回、英霊六騎はキャスターに勝利できるのか、マスターたちは耐えることができるのか。ギルガメッシュ曰くあと一分で勝負は決まる、勝利の鍵はアーチャー?
感想をいただけると励みになります。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。

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