Fate/Asura's Wrath 悪鬼羅刹と行く第五次聖杯戦争   作:放仮ごdz

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オリキャラの敵マスター登場。単騎でクロナが挑みます。

ところで今更プリズマイリヤのクロと被ってしまう事に気付きました。呼びやすいからしょうがない、うん。楽しんでいただけると幸いです。


#10:放課後の対決、現代のドルイド

士郎side

「先輩。起きてください、先輩」

 

 

その声で、俺は目が覚める。最近はよくある光景だ。桜が居候してから朝は大体こんな感じだ。…ただ、何時もと違うのは。

 

 

「あ、ああ。おはよう桜」

 

「マスター。おはようございます」

 

「ああ。アーチャーもおはよう」

 

 

眠らないと言う、アーチャーが枕元にずっと座っていた事だろうか。しかし寝坊した。これなら起こしてもらってもいいんじゃないか?と聞いてみるとアーチャーは「言われませんでしたので」だとの事。はいはい、俺が悪うござんした。

 

 

「桜は朝練だろ?飯はどうする?」

 

「ライダーが五月蠅かったので私が作りました、マスター」

 

「起きたらアーチャーさんとライダーだけで食事をしていたので、藤村先生と一緒に私も先にいただきました先輩」

 

「そうか。…悪いな、起こしてもらって」

 

 

寝坊した、な。でもよかった、アーチャーもずっとここにいた訳じゃ無いんだな。もしいられたら申し訳が立たない。

 

 

「士郎ー?起きたのー?早くしないとライダーちゃんが全部食べちゃうわよー!」

 

「ああ、今行くよ藤ねえ!」

 

 

聞こえてきた騒がしい声に、ここに来られたら困るので大声で返して置く。…あれ?そういえば…

 

 

「クロ姉は?」

 

「…先程、電話で夜にサーヴァントと接触して戦闘になり、疲れたから今朝は来ないと言ってました」

 

「なんだって!?クロ姉は無事なのか?」

 

「はい。ちょっと元気の無い声でしたが遠坂先輩に助けられたので怪我はないそうです」

 

「そうか、よかった…」

 

 

遠坂が助けてくれたのか。ありがたい。学校で会ったら礼を言わなきゃな。

 

 

「では先輩。私と先生は先に行かせてもらいますね」

 

「おう。俺も飯食って着替えて準備したらすぐ行くよ」

 

「じゃあね士郎ー、遅刻なんかしたら許さないからね!」

 

「はいはい。藤ねえこそ急いで転ぶなよ」

 

 

玄関で二人(と、霊体化したらしいライダー)を見送り、俺は飯を温めているアーチャーの元に向かう。聞きたいことがあったからだ。

 

 

「アーチャー。やっぱり、学校に着いて来るのか?」

 

「イエス。あ、生前はマスターの学校に乱入したりしましたがご安心を。もう満足してますのでその気はありません。霊体化して付き添わせてもらいます」

 

「でもなアーチャー。魔術師ってのは人前じゃ目立ったことができないんだぞ。なんせ魔術協会がそれを禁じているからな。曰く「魔術は秘匿されるもの」この禁を破った魔術師は粛清されちまうって話だ。…聖杯戦争のマスターは皆魔術師なんだろ?なら日中、特に人目の多い学校で襲って来るなんてありえないさ。ライダーは送り迎えのために桜に着いて行ったみたいだけどな」

 

 

桜曰く、ライダーは学生でありながら学校はただご飯を美味しくいただくための場所って認識らしい。授業中もあまり勉強してなかったんだとか。本当に英雄なのか疑いたくなるなアレは。とにかく、学校ではアーチャーは着いて来なくても大丈夫だと思うんだが…

 

 

「それでもです。以前の私ならば命令通り自宅で待機していたのでしょうが今は違います。もう何を言われても着いて行きます」

 

「お前…俺の命令には従うんじゃなかったのか?」

 

「マスターに危険がある場合は別です」

 

「さいですか」

 

 

しょうがないので諦める。このアーチャーは口数が少ないのに中々に頑固者だ。……とりあえず急ぐか、時間がもうない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロナside

ヤバい。眠い、疲れた、気怠いの三拍子だ。学校行きたくねぇけど情報収集のためにはしょうがない。でもバーサーカーは動けないし気を付けないといけないな。とりあえずは凛と一度会わんと。昼に屋上って紙に書いて渡して置くか。廊下で会えるかな?

 

 

「おーい、遠坂!昨夜はクロ姉がお世話になった、礼を言って置おくよ」

 

「…士郎?」

 

 

二年の廊下に差し掛かると、士郎が凛に話しかけている光景が見えた。しかし凛は何も言わずにキッと士郎を睨み付け、こちらに歩いてくる。…今の反応は、まさかね。

 

 

「凛」

 

「…あら、クロ。貴方も衛宮君や間桐さんみたいに何も考えずに来た訳じゃ無いわよね?」

 

「…言って置くけど、士郎に手を出したら協定は無しだから。はいこれ」

 

「…分かった。昼に屋上でね」

 

 

…手を出したらどうしてくれようか。黒鍵四肢に突き刺してじわじわ甚振ってやろうか。ま、もし襲われたとしても当の士郎が許したら許すけども。ま、ちょっとだけだけどね。そんな意を込めて睨んでやったら凛がびくっと震えて辺りを見渡す。そして何故か士郎を睨んだ後自分の教室に引っ込んだ。…さてと。

 

 

「単位は足りてるし、サボるか」

 

 

いや、ただサボるんじゃないよ?アサシンが何をしたのか調べるためにだし。だから…

 

 

「そう、睨まないでランサー。何も悪い事は考えてないから」

 

「…ちっ。勘のいい嬢ちゃんだ」

 

 

階段の踊り場で私の背後に現れる青タイツの男、ランサー。うん、何か私魔術を嫌悪感で察知できるから霊体化しても簡単に分かる。これを使えば、アサシンが何をしたのかを探す事も楽だろう。

 

 

「見張りを命じられたんだろうけど手伝ってくれる?魔術的な痕跡を見付ける事は出来ても、今私サーヴァントいないから」

 

「仮にも敵である俺にそれ言っちゃうかねえ。…よし、マスターからお許しが出たぜ。手伝ってやるよ」

 

「じゃあ行くよ、ランサー。時間が欲しい、多分大量に仕掛けられてる」

 

「そいつぁ面倒だな」

 

 

確かクー・フーリンはキャスター適正もあるんだったか。こういうのも分かるのかな。敵にすれば厄介だけど味方にすれば頼りがいのあるのがこのランサーのサーヴァントだ。兄貴みたいなと言えばいいのか、とりあえず頼りたくなる雰囲気がある。

 

再度霊体化したランサーを引き連れ、先生方の目を潜り抜けて学校中を練り歩く私。その時、何故気付かなかったのだろうか、白昼堂々正門の前に陣取り、煙草を咥えてこちらを睨んでくる黒づくめのフードの男が居た事に。

 

 

「魔術の痕跡が分かるのか?厄介だな、あの女マスター。ランサーと言う事は遠坂か。早めに潰して置くに限るな。ククッ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼。父さんから渡された麻婆豆腐弁当を手に、私はランサーを連れて屋上に向かう。そこには既に、冬場だと言うことを考慮してくれたのか缶コーヒーを傍らに置き、既にサンドイッチを食していた凛がいた。

 

 

「待った?」

 

「待ったわよ。ランサーまで持ってって…成果はあったの?」

 

「あったよ。何個か潰せた」

 

 

私が言うのは、校舎の裏とか林の中の木とかにナイフで刻まれ隠されていた、魔法陣の仕掛け。ナイフって事はアサシンで間違いないだろう、今回の英霊でナイフを使うのはあの英霊だけだ。

 

 

「でもちょっと可笑しい。ギリシャ系統の魔法陣…多分、他者封印・鮮血神殿(ブラッドフォート・アンドロメダ)の呪刻だと思う」

 

「なんですって!?」

 

 

いやそう驚かされましても。王様が見せてくれた、メデューサって反英雄の宝具の原初にそっくりだったから間違いないと思う。アレは厄介だ。下手すれば七日足らずで発動して、学校中の人間を溶かして魔力に還元してしまう恐ろしい代物だ。まあ、呪刻を破壊して魔力を集めさせなければ問題ないのだが。ランサーが封呪のルーンを使えなければ積んでた。多分凛なら破壊できると思うけど、私はそんなことできないから。

 

 

「サーヴァントの宝具級の結界を仕掛けようとしていたんだと思う。でも…あのアサシンがメデューサだとは思えない。しかもちょっと雑だったから多分、アサシンのマスターの命令で仕掛けたんだと思う」

 

「俺もそう思うぜ、マスター。わざわざ刃物で刻んでいるんだ、宝具を疑似的に再現しようとしてんだろ」

 

「ランサーまでそう言うなら間違いなさそうね。でも、その英霊でもないのに使える物なの?」

 

「魔術協会の執行者で現在も宝具を所有している一族がいるって父さんに聞いたからありえない事じゃないと思う。けど、疑似的に再現しようとしているんだから魔術師としての実力は相当高い。キャスターだけでも厄介なのに、アサシンのマスターまで危険人物に入る」

 

「もう、本当にイレギュラーな聖杯戦争ね。で、どうするのクロ。何か案は?」

 

 

あるにはあるが、それは全ての呪刻を私が見つけてランサー陣営で破壊するって言う地味な物だ。これならまだアサシンを見付けてボコボコにするのが一番だろう。

 

 

「妥当だけど、時間がかかるわね」

 

「うん。だけど、そこまでして魔力を集めているって事はアサシンが強力な宝具を使うために準備しているんだと思う。止めないと一般人の被害がさらに広がる」

 

「そうね。じゃあ、放課後から動く?」

 

「うん。二階と三階の踊り場で合流しよう」

 

「オーケー。とりあえず食事よ。クロはなに持ってきたの?」

 

「泰山っぽい麻婆豆腐弁当」

 

「ゲッ…本当に好きね、アンタたち親子は…」

 

 

そんな苦虫噛み潰したような顔しないでくれます?見た目はアレだけど美味いんだよ?王様も苦手みたいだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、ちゃんと授業に出る事無く夕焼けで朱色に染まった屋上の手摺にもたれかかり私は放課後を迎えた。いい風だ。私は風を受けるのが好きだ、何故なら大火事の焼けつくような空気と違い癒してくれる。永遠に浴びていたい。そうすれば、もしかしたら忘れることができるかもしれないから。目に焼き付けた、あの地獄を。

 

…無理だな。バーサーカーを喚んだ時点で、私は怒りに人生を捧げると決めている。あの光景は私の心に刻まれた。だから、絶対に忘れる事は無い。記憶が無くなろうとも、心が覚えているだろう。だから。私から怒りが消える事は無い。ただ、癒すだけだこの風は。

 

 

「なに見てんだ?」

 

「夕焼け。あの赤は好き。…?」

 

 

何気なしに答えたが、今のは誰だ?背後から聞こえてきたこの声は…

 

 

「他にも見えるんじゃないか?例えば…俺達の仕掛けた呪刻とか?」

 

「っ…!」

 

 

振り向き、それを確認すると同時に、私は飛んで来た火球を避けて一跳躍で屋上の真ん中に逃れる。屋上の出入り口に陣取っていたのは、黒づくめの男。しかし普通の人間ではない事は確かだ。こんな不審者と言わんばかりの格好の奴が学校に入って来るなんて魔術が無いと無理だ。

魔術師らしくフードを深く被った黒のローブの下は黒いオフショルダーとレザーパンツ、右手だけ黒の手袋にブーツを身に着け、ローブの上から右肩から左腰まで黒い革ベルトが付けられていて、それは背中に備えた古めかしい杖を装備するための物の様だ。

どう見てもヤバい奴であり、多分アサシンかキャスターのマスターだろう。男は吸っていた煙草を捨てると靴で踏み潰し、杖を構えて来た。私も黒鍵を六本取り出して身構える。

 

 

「何だ、黒鍵てことは代行者か?まあいい…俺はイフ。イフ=リード=ヴァルテル。時計塔の魔術師でドルイドだ」

 

「やっぱり魔術s…ドルイド?」

 

 

ドルイドってケルトの時代の魔術師だよね?現代でドルイドって事は…軽く見積もってもロードクラスか。

 

 

「アンタ、ランサーのマスターだな?遠坂か」

 

「え?」

 

 

あれ、何か勘違いしてる?まあいい、否定しないでおこう。

 

 

「魔術を見破れるその力、他のマスターと組まれたら厄介なんでな。ここで潰させてもらうぜ…まあドルイドと言っても俺はこれ特化なんだがな。Ansuz(アンサズ)!」

 

「っ…防げ!」

 

 

再び放たれた火球を、私は屋上の床に手を付けて改造して壁を作り防御。さらに柵を触手の様に改造して槍として突き出し攻撃。しかしイフは周囲にアンサズのルーン文字を空中に浮かせた煙草の灰で描き円陣にするとそれは炎の環となって柵の槍を防御。ドロドロに熔かせてしまった。何て火力…時計塔の魔術師ってのは嘘じゃなさそうだ。

 

 

「?妙な魔術使うな…お前、本当に遠坂の魔術師か?宝石魔術の使い手だって聞いたぞ」

 

「私は魔術使い。魔術師じゃない!」

 

「無駄だ」

 

 

改造し大気中の水を刀身に集束させた黒鍵を連続で投擲するも、イフは杖を棍棒の様に扱い弾き飛ばしてしまう。…魔術師の癖に肉弾戦だと?

 

 

「隙有り、だ」

 

「っ!?」

 

 

放られる、瞬時に火を点けられた煙草数本。言い様の無い嫌な予感を感じた私は真下の床を改造してトランポリンの様にすると大跳躍。さっきまで私がいた場所は、爆発した煙草による爆炎に包まれる。あんなの喰らえばただじゃすまない。本当に火力特化の魔術師か…

 

 

「おいおい、逃げんなよ」

 

「っ!?」

 

 

背後から聞こえてきた声に、私は黒鍵の刀身を瞬時に硬化して防御。炎を纏った杖による打撃を何とか防ぎ、屋上上空から校庭上空まで吹き飛ばされ落下。見てみると、イフは私の居た空中で炎を足裏から出して飛んでおり、それは魔術の一つ「転移」の物だと分かる。厄介すぎる!

 

 

This anger is like a prison.(この怒りは監獄の如く)―――閉じ込めなさい!」

 

 

落ちる前に、私は改造した黒鍵六本をまるで彼を囲む様に投擲。閉じ込める様に動きを止めた後、同時に刀身が射出され六方向から刃が襲い掛かる。しかし彼は「Ansuz(アンサズ)」で全身に炎を纏い刀身は融解。マフラーをパラグライダーにして何とか人気のない校庭のど真ん中に着地した私はマフラーを黒い槍の様に改造して構えた。黒鍵は消費武器だ、これ以上無駄に使うのは不味い。

 

 

「さあ、どうするランサーのマスターさん?そろそろ名前を教えてくれないかな、呼びづらい」

 

「…クロ。魔術師に本名を名乗る訳がない」

 

「ま、そうだわな。じゃあ続けようぜ!」

 

「上等…!」

 

 

コイツの好みが棒術による接近戦だと言うのなら…同じ土俵で戦うのみ!行くぞオラァ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、士郎side

『マスター、カバンをお忘れです』

 

「おっ。危ない危ない、サンキューアーチャー」

 

 

昨日テレビでやってた殺人事件の影響で放課後の部活時間短縮だって言ってたから、ライダーの事も考えて桜は先に帰っただろう。今日で終わりとはいえ、一成に頼まれた修理に時間がかかったのは痛いな。もうクロ姉は帰ったのだろうか?昼、三年の教室に様子を見に行ったら居なかったが…何かあったのか?

 

 

「アーチャー、念のため校内の見回りをしよう。誰か残ってて俺みたいにサーヴァントと遭遇したら気の毒だから…どうした?」

 

「…すみませんマスター。校内にサーヴァントの気配を察知しました。様子を見て来ますので、ここで待っていてくださいませんか」

 

「お、おう。俺が居たら足手まといだからな、いいぞアーチャー。行って来い」

 

「イエス、マイマスター」

 

 

そう言うと窓を開け、飛び立つアーチャー。…誰か残っていたらどうする気なんだろうかアレ。

 

 

「さて、どうするかな……ん?」

 

「アイツ……約束すっぽかす気なのかしら……いい度胸してるわねクロの奴」

 

「なんだ。まだ残ってたのか、遠坂」

 

 

俺を見下ろす形で、階段の踊り場で遠坂が何故か憤慨していた。クロ姉と待ち合わせしていたのか?ならちょうどいいな。

 

 

「ちょうどよかった。クロ姉知らないか?桜と一緒に帰ってるならいいんだけどさ。昨日の夜、何かあったんだろ?」

 

「…呆れた。朝はサーヴァント連れて来てるから少しは偉いと思ったのに」

 

 

おかしい、話がかみ合ってない。

 

 

「アーチャーが校内にサーヴァントの反応を見付けたって言うからな。俺じゃ足手まといだから一人で行ってもらったんだよ」

 

「なるほど。でもね、今の貴方は敵に襲ってくれと言っている様な物よ」

 

「そうは言うけどさ、魔術師は人目のあるところで騒ぎを起こす事は出来ないんだろ?だったらこんなところで仕掛けてくる訳がないさ」

 

「…本当に甘いわね。じゃあ聞くけど、今ここにその人目はあるのかしら?」

 

 

その言葉を聞き、寒気を感じると共に思い至る。そうだ、今日から部活も短くなってもうほとんど人が…

 

 

「衛宮君。私としては、クロに貴方達に手を出さないって言ったからこんなことはしたくなかったんだけど…自分の置かれた立場が分かってない無謀な行動は目に余る。言ったはずよね?今度会ったら敵だって」

 

「ま、まさか…遠坂…?」

 

「…クロみたいな実力が伴っている奴はいい。アイツは聖杯戦争に向いている性格だしね。でも、あれだけ忠告したのに全く効いてないなんて…衛宮君。クロには悪いけど、貴方はここで消えなさい」

 

 

そう言って左袖をまくり、魔術刻印を浮かばせた左腕をこちらに突きつける遠坂の雰囲気は、冷酷非情な魔術師のそれだ。不味い…遠坂は本気だ。

 

 

「ま、待てよ遠坂!お前正気か!?いくら人気が無いからって絶対に誰も居ないとは限らないだろ!万が一誰かに見られたら…それに俺はお前と戦う気なんか、」

 

「甘いのよ」

 

 

その言葉と共に、放たれる魔力の塊二つが俺の傍に放たれる。…マジだな。

 

 

 

「呆れるわね。この後に及んでまだそんな事言うなんて。貴方、本当にクロの弟分?苦しませはしないから安心なさい。相手が私だったことに感謝なさい!」

 

「っ…!」

 

 

溜まらず走って逃走を試みる。遠坂は本気だ。いきなりアイツと戦う羽目になるなんて最悪だ!確かにクロ姉たちは七人の魔術師による殺し合いだって言ってたけど…!遠坂は学園のアイドルで、俺だってアイツの事は憧れで…!

 

 

「くそっ!同調開始(トレース・オン)!」

 

「抵抗しても無駄よ!アンタみたいな半人前、私に敵う訳がない!」

 

 

追い掛けて来る遠坂の放った光弾を、強化した鞄で受け止める。このまま跳ね返そうと思ったが、遠坂に当たったら不味い。何とか窓に弾き飛ばして粉塵が起こり、俺はそれを利用して逃れる。

…遠坂はクロ姉を探していた。と言う事は学園の何処かに居るはずだ。合流すれば、遠坂を説得してくれるかもしれない…その前に、遠坂を撒かなければ。

 

 

 

 

 

 

 

「イフ=リード=ヴァルテル!魔力の貯蔵は十分か!」

 

「心配してくれなくても結構だ!来いよ魔術使い!」

 

 

校舎内で、校庭で。それぞれの戦いが始まる。しかし、近付く脅威を彼らはまだ知らない。




新キャラ、イフ=リード=ヴァルテル登場。後でイフのステータスも設定欄に追加して置きます。

彼はずばり「通常魔術も使える現代のドルイド」キャスニキモチーフで杖もアレです。ケイネス先生の事も知っている為、聖杯戦争をなめてかかったりは絶対にしません。現実主義者で魔術師って言うより魔術使いに思考が近く、策士でもあります。ただしちょっと猪突猛進の馬鹿。クロナのライバルキャラ的なイメージで作りました。

並行して行われる、原作通りの士郎VS凛。うちの士郎はクロナの影響で思考が無駄に速いので、少しは抵抗可能。どこまで持つかな?

次回はクロナVSイフの対決に乱入者が。全てのマスターとサーヴァントが集いし時、何かが起こる…?次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。

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