「あ、あはは…最後のはものすごく微妙だね?
八重ちゃん…そう呼んで良い?」
そう聞かれたアタシは
「存在を隠しているアタシがそう呼ばれて嫌な相手には名乗る義理はない、条件はくれぐれも他言無用で頼む…
少なくとも今回の件でいつまでも隠しきれないことを思い知らされたからな…
これからの八とアタシの処遇がどうなるかわからないけど何らかの方法でアタシの口から八にこの事実を伝え詫びると共に一緒に考えたい…
いずれ準備が整い次第公表するからそれまではアンタの胸にしまっておいてほしい」
そう言って頭を下げるアタシは
(少なくともこの手の展開の常套句で死んで償う事はできない
何故ならアタシの死は八の死だからなんの償いにもならないところか余計に迷惑掛けることになるのだからな…)
そう思ってるから最低でもアタシからちゃんと八に告げるまでは知られたくない
それはアタシの責任でありアタシの懺悔なんだかららな…
そう思ったアタシは…
「じゃあ戸塚君、アタシは保護者の元に戻るからこれからは八と共におねがいするね、八も友達居ないのだからから…」
そう言って戸塚と別れて
(少し遅くなっちゃたかな?)
そう思いながら部室に戻ると
ー調理実習室に来なさいー
と、いかにも雪乃らしい達筆で書かれたメモが貼られてたからそれを剥がして調理実習室に行ったはずなのに…
「雪乃…ごめん、変な事聞くようで悪いんだけどここって調理実習室だよね?
アタシ、間違えて炭焼き工房に来ちゃっのかと思ったよ、練炭術師さん…それ一体何なの?
もしかしてクッキーのつもり?調理台に並ぶ道具や材料から察するに…
でも、ハッキリ言ってやるけど自分が可愛いアタシは死にたくないから毒味は断固拒否するっ!
最低でも製造者のアンタが食ってからでなきゃ絶対に無理だからね?」
そうアタシに言われて恐る恐る口に運ぶと涙目で
「苦い…」
そう一言こぼすのを見て山菜なとの毒味の要領で極微量の欠片を舌に乗せて溶かしてみると
エスプレッソより苦くマッカンを遥かに凌駕する甘さ…舌がピリピリする程のこの刺激は一体どうしたら…
「そもそも何でクッキー焼く気になったんだ?」
アタシが聞くと
「ある男の子にお礼がしたくて…」
ほほを染めもしもじしながらはずかしそうに言うのを聞いて
「そうか、成る程…取り敢えずはぜろリア充っ!」
そう毒を吐いてやったら
「な、なんでだし?」
そんなおめでたいことを言ってくるから
「さっきの宣戦布告が聞こえてなかったのか?なんなら明日白の手袋の左手袋を用意しても良いんだかな?
と、そんな冗談はさておくとしてそう言う話ならとりあえず現状を知れ、優しいみんなの葉山くんならこれでも食べてくれるんじゃないのか?
アイツの靴箱に入れてみて確かめてみろよ?
そう提案してやった
この後の下りは後々に影響のでる話となります