真かみさま転生200X(未完)   作:tbc

45 / 45
終わらない金曜日


決別の金曜日2

 

>6日目(金)11:30

 シュバルツバース隊との一難が去っても、まだ一難が残っている。ジプスとの対立、そして尤も厄介なセプテントリオン、『ミザール』の出現。初報から人数を揃えるのに時間が経ったこともあり、既にミザールの数はかなり増殖しつつあると予想される。

 だが俺たちには対ミザールに特化した火炎悪魔が、そして大物殺しのななみちゃんが、そして更にある一つの切り札を用意した。それは現在ロナウドが持っており、彼なら十分使いこなせるだろう。

 イクゾー!

 

 

 

>6日目(金)12:00

 ヒノカグツチのちからってすげー!

 

【スクライイング】と【マッパー】で場所を調査後、ジプスとの遭遇に気をつけながら【トラポート】で場所取り。本体を補足できる位置に移動し、レベルが上がったことで丈夫な体を存分に活かし、皆でビルの上から飛び降りてミザール本体へ襲いかかった。そしてななみちゃんの眼が光り、一瞬の連撃で本体を蒸発させる。しかし飛び散るミザール小型中型たちを、ロナウドが振るうヒノカグツチが焼きつくした。原作でジプスがあんなに苦戦したのが嘘のようであるが、実際圧倒的な火力の前には多少の数なんぞ脅威ではない。

 いやしかし、スルト倒した時にドロップした高価な売り物が、こんな活躍するとは思わなんだ。流石はメガテンif...の最強武器なだけはある。個人的には早期に手に入るKフロストロッドのほうが思い入れ深いけど。

 

 

 少し離れた場所にいてヒノカグツチの全体攻撃を喰らわなかった、目につく小型ミザールたちとかの後片付け中にようやくモジャ公たちwithフミっぱいが駆けつけてくる。遅かったじゃないか……

 ジプスが動く前に、ミザールは片付けた。ジプスが倒せなかったミザールを、俺たちはジプスの手を借りずともセプテントリオンを倒し、侵略者ポラリスから人類を守る能力があることをここぞとばかりにモジャ公に誇示した。ヤマトの、ジプスだけに頼る必要が無いことを明らかにした今こそ、実権を振りかざして実力主義の世界を作ろうとするヤマトから離反する時だと俺は彼らに訴える。

 飄々とした性格で反応が知れぬモジャ公。相変わらず悪魔と手を組むことに苦手意識のあるらしいダイチ少年。拍子抜けといった表情で放心したままのイオっぱい。そして、そもそも研究さえ出来ればどこでもいいフミっぱいの4人は、反応が著しくなかった。まあ、この辺は仕方ないとさほど期待していなかった。

 本命は東京四人組の一人、ジョーさん。原作では、実力主義の世界では病気がちな彼女が到底生きられないと察し、平等主義に加担する男だがこの世界ではどうか。反応を伺ったところ、ややこちら寄りではあるが決定的に賛同する様子は見られなかった。ううむ、やはり俺なりの主義主張では彼を惹きつける要素は得られなかったか。

 この場では仲間を得られないと見切った俺は、今夜ジプスへ挑戦状を叩きつけて明日にはヤマトを倒すと彼らに宣言して、東京を立ち去った。それはそうとミザール残党の処理もそっちでよろしく。

 

 

 

>6日目(金)12:30

 名古屋に戻ってきたところで早速明日の対決へ向けて戦力強化の時間である。ミザール討伐を早めた都合上、今日の予定は夜まで特に無い……と思う。ジプスやモジャ公が急に攻めてくる可能性はあるので、それを踏まえても早めに済ませておこうと思う。といっても例によって悪魔を配布するのですが。

 戦力を確認すると、素質の問題か、超人覚醒には至っていないが40レベルを超える市民サマナーが2、3名現れていた。あとは30レベル前半から20レベル程度までまばらに20名ほど。平時なら高レベル悪魔も打倒しうる戦力だが、強烈な全体攻撃が飛び交うシナリオ終盤直前の環境では数合わせにもならない。

 

 とりあえず火力は以前のラミエルで十分だろうと、今回は困った時の全門耐性、耐物理持ちオモイカネを配布。ただし耐性は優秀でも体は脆いので終盤の万能ゲーにはついてこれないかもしらんね。各自で合体することを推奨する。

 

 

 

>6日目(金)13:00

 僅かな揺れが起こる。こんな時勢に地震なんて起こるか?と不審に思い原因を調べたらベリアルから名古屋テレビ塔本来の結界が切られたと報告があった。既に乗っ取って大部分を変更済みなので名古屋に影響はないが、どうやら結界が本来使用していたエネルギー源、龍脈をヤマトが強制的に遮断したらしい。野郎……そこまでしたら戦争じゃねえか!

 ミザールは殆ど片付けたし、セプテントリオン迎撃のため龍脈パワーを用いる必要は無くなったはずだが、あくまで名古屋に対する攻撃だろうか?ベリアル配下の悪魔に指示を出し、東京と大阪の龍脈の状況をチェックさせる。

 

 

 

>6日目(金)14:00

 東京への龍脈パワーの供給が減少し、名古屋は完全に。一方で大阪に減った分の龍脈パワーが集中しているそうだ。また、地震の原因も富士山が噴火したんだとか。富士山には峰津院家が管理する龍脈パワーの出力制御器があるため、決戦に備えて自ら解放したのではないかと。ミザールを倒してわざわざ龍脈を費やし、侵食が進むリスクを無くしたのになんてことするんだあんにゃろー!

 ななみちゃん、ロナウド、それからベリアルとリリスも呼んで名古屋首脳会談を行う。議題はジプスとの決着を本日中に済ませるか、明日に回すかという話。わざわざヤマトが龍脈を解放したのは、原作でミザールに使った龍脈の力をそのまま名古屋の悪魔たちに対して振る舞うのではないかと危惧している。起動するための魔法陣は東京にあるから、使う絶好のタイミングはヤマトら実力主義勢力が大阪に撤収する前の今晩中だろう。ちょうどミザールに対して発動した龍脈の力が俺ら相手にすり替わりかねないわけだが、それを防ぐなら今晩中にヤマトへ攻撃するべきではないか。

 その場合のデメリットは、未だモジャ公ら主人公たちがジプスと行動を共にしている以上、まとめて相手しなければならないこととか、つい先ほど挑戦状を叩きつけると事前告知したのに奇襲を仕掛けるのは、例えそれで下しても不満が溜まるとか。このへんはダーク悪魔であり義理人情を信用しないベリアルとリリスから反対を受けた。故にメリットが大きいとして、ロナウド、ベリアル、リリスの三名の意見から奇襲を行うことが決まった。しかし実際どう奇襲するかについては、結局のところ実働部隊である俺たちが判断する形になる。

 とりあえず……ヤマトが龍脈を使おうとした時に、先んじて出鼻をくじく方針で決まった。

 

 

 

>6日目(金)14:30

 ななみちゃんと共に東京へやってきて、まずは俺一人で東京都庁地下にあるはずの龍脈起動の魔法陣の在り処を捜索する。原作から既にあたりはつけていたので、ジプスの警戒網を抜ければすぐに目的の場所は見つかった。この場で破壊できれば憂いはなくなるのだが、この手のエネルギーを蓄えた仕掛けに力技を行うとろくでもないことが起きる印象がある。東京都庁が大爆発なんて洒落にならんし。

 幾つか戸締まりに細工を施して、後々再侵入しやすいようにした後は地下を脱出、ななみちゃんと二人敵地ながらデートする。夕方に予定が入ったので暇がある今のうちに済ませておこうという話になった。観光名所なんて巡れる状況ではないから、代わりに六本木ヒルズのシャッターが閉じたビルに潜り込んで、服を選んだり試着したり、女の子のわがままに付き合う形だ。ただし泥棒になるので持って帰れません。ななみちゃんにはもっと積極的なアプローチをしてほしかったと後に評されるがモテ力0のダメ男に無茶言わんでください。

 普段は可愛らしい服装を好んで着けてるななみちゃんが、きりっとしたスーツやセクスィーなすらっと大人びたスタイルの装いをするのは、なんというか……子どもが背伸びしてるようで、別の意味で可愛かったと茶化すと赤面して殴りかかってきた。力カンストのマジ殴りは洒落にならんからやめて。

 

 

 

>6日目(金)16:00

 シュバルツバース外であるにも関わらずルイ・サイファー閣下(女装)が俺たちの前に姿を表す。しかも先ほどななみちゃんが着けたのと同じスーツをより完璧に着こなしていたのに草生えた。

 恥じらいのあまり魔晶剣を振り回すななみちゃんを抑えつつ、閣下の御用を伺うが特に用はないという。ただし近いうちにかつては豊穣神であった蝿王様ベルゼブブが降臨するぞ、喜べよ(意訳)という情報を頂く。豊穣神に助力を得たいと常々思ったけど、冷静に考えると豊穣を司るバールとベルゼブブはまるきり別悪魔じゃないですかやだー!

 

 ヒルズを出たところに蝿王様降臨してた。原作より1、2時間は早い上にしかも出現場所が違う……いやある意味合ってるのか?

 

 

 

>6日目(金)16:30

 この蝿王様に豊穣の権能があるかどうか、あるのならば助力を得られないかと尋ねたが鼻で笑われる。唯一神のメシア教に貶められたこの姿は大悪魔ベルゼブブであり、人々が恐れ畏怖するのみの存在であると語る。故に、交渉は決裂し、そのまま戦いになった。

 戦闘では、いつものようにななみちゃんが蝿王様を2ターンで焼き払った。メムアレフ戦と同日のため、リソースは完全回復しておらず火力は不十分だったが、それでもボス一体を相手にするだけなら十分である。近年の蝿王様の代名詞、【死蠅の葬列】(シリーズの多くでは万能相性のダメージ魔法+呪殺相性依存の即死付き、だがTRPG版だと大僧正の【回転説法】と同じく万能相性の即死効果である)が数発飛んでくるがダメージは普通にHPで、即死は根気と命運で耐えて返しのターンで倒しきる。余裕の勝利ではないが、十分にHPが増加し猛攻を幾分か受け切れることもあってもはや並のボス1体であれば全力を尽くすこともなく倒せてしまう。

 問題があるとすれば蝿王様でなく、その出現を感じ取って駆けつけたジプス、およびモジャ公たちだ。蝿王様との戦闘後にやってきたのは仕切り直せて良かったとも、リソースが更に削れたところで戦闘になったのは不味かったとも言えるが。しかしボス悪魔でもなければ、例え万能相性の攻撃が飛んでこようが低下系デバフをかけられようが命を脅かされることもない。TRPGのプレイヤーキャラクターは最終的に防御力が高くなる傾向にあり、また極端なビルドをしない限り高い火力は出ないため、プレイヤーキャラクター同士で殴り合えば防御力が攻撃力よりも高いために泥仕合になりがちだ。そういったデータ同士の決め手となるのは、やはりレベル、相性、そして何よりもスキル構成次第である。

 デビルサバイバー世界で異能者の多くを占めるサマナーというものは、悪魔を使役することで対応力および支援に長ける一方で、攻撃面はレベルの壁を覆せない、防御よりの性能になってしまう。無論、悪魔合体次第で火力を補えなくもないが、スキル継承の問題でやはりレベルの壁、資産の壁に当たり、どうしても何時かは伸び悩むことになる。そして単純な攻撃力を伸ばすのに比べれば、優秀な相性を持つ悪魔の採用や耐性・活泉スキル、メディアラハンなどの回復スキルの継承で防御を補うのは楽である。故にある程度のレベルを持つサマナー同士の殴り合いとは、お互い消耗を繰り返し相手が尽きるのを待つか、幸運の訪れを待つだけのドロドロの泥仕合になる。

 

 モジャ公らと直接は対決しなかったが、彼らの影響を受け優れた悪魔を連れるようになったジプス局員エリートとの戦闘は非常にしんどかった。有効打はほぼななみちゃんの相性を変更した【ベノンザッパー】のみ、落としきれなかった悪魔やサマナー本体を俺の悪魔が習得した【至高の魔弾】で撃ち落とす。それに失敗した場合、【リカーム】や【メディアラハン】でほぼ全回復され、また立て直した連中をななみちゃんと合わせて削りなおす……の繰り返しの戦闘だ。レベル差の地力の差がなければ、決着がつくかも分からないレベルでもっと苦労しただろう。

 なんとかこの場のジプス局員を退け、名古屋に帰還したが今後の戦闘が危ぶまれる。プレイヤー性能のキャラクター同士の殴り合いは不毛で、時間は地力にやや劣るこちらに味方しない。ボス火力が欲しいよ……

 

 

 

>6日目(金)17:00

 リリスさんのほうを熱い目で見る。ベリアルもボス悪魔だが、地力でいえば彼女のほうがレベルが高い分、強い。メムアレフが去った今、消極的な協力をする彼女になんとか積極的になってもらえないものだろうか。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。