真かみさま転生200X(未完)   作:tbc

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激動の月曜日2

 

>2日目(月)11:00

 大阪なう。

 俺からサマナー話を聞き出してほくほく顔のヤマト局長は大阪のジプス局員たちに迎えられ、大阪ジプス本部での会議に向かった。一方で俺たちは影の薄いツンデレボクサー和久井くんを案内役に押し付けられる。(案内するとは言ってない)

 

 和久井くんは原作通りにツンっぷりを発揮し、集合場所の名前と時間だけ伝えて案内役を放棄。その後渾身の階段落ちを披露する和久井くんの姿をメールで見届ける。いや、死に顔動画なんですけどね。

 原作キャラの死に顔動画解決は基本的に主人公に任せれば大丈夫だろうけど、念のためななみちゃんを監視役に押し付けて大阪旅行を満喫する。

 案内役なんかいなくたっても、【マッパー】は便利だよね、HAHAHA!

 

 

 

>2日目(月)11:30

 悪魔狩りしてもしゃーないので【マッパー】で目的地捜索。二週目以降でどこかの駅ホームに魔人時の翁が出るんだけど……どこだったかな。金箔じみたテカテカツヤツヤした構内と、ちょっと古くさいレンガまたは赤銅みたいな色をした電車が印象に残ってるんだが……。

 

 

 

>2日目(月)13:00

 発見。梅田駅だわ、でも全然ツヤツヤテカテカしてねー。ついでに狙ったわけじゃないが和久井くんの階段落ちポイントを発見。梅田ビックマン前……ここか。下手に教えるとヒナコ嬢との遭遇を妨げる可能性はあるが、時間帯的に既に合流した後だろうと思い、メールで梅田駅が死に顔動画の場所だったと主人公たちに知らせた。

 2周目準拠で奴が出現するかは知らないが、メラク討伐後にチェックしておいて損はないだろう。問題は寄る時間があるかどうかって話だけど、【トラポート】持ち悪魔作れるか?

 

 

 

>2日目(月)13:30

 俺氏、デビサバ仕様の邪教の館アプリでは2身合体しか出来ないことに気づく。このままではロクに上位種族が作れないため致命的……。3身合体が可能なアプリはTRPGには存在しないので、どこかで合体施設を借りねばならないだろう。ジプス関係者か、もしくはユーバーさんのコネで使えるかな……?

 とりあえず今は片道分の【トラポート】持ちさえ作れればいいと、悪魔狩り開始。天津神アメノトリフネ、または魔獣カーシーが作れればいいため前者は天使作成のための堕天使と妖精、後者は手持ちの夜魔と組み合わせるための地霊が目当て。

 

 地霊だ!なあ地霊だろうお前、悪魔カード置いてけ!

 

 

 

>2日目(月)14:00

 地霊スダマ、聖獣ユニコーンのめぼしい悪魔を発見し、即撃破して悪魔カードをハント。手持ちの夜魔インプとスダマを合体して、魔獣カーシーを作成する。

 折角見つけたのだから、万が一動画に間に合わなかった場合に備えて死に顔動画にあった階段前で待機していると、やがて主人公御一行様が原作と同じ時間通りにやってきた。新顔のヒナコ嬢も加わっており、杞憂だったか。

 彼らもこの階段が死に顔動画の場所であることを確かめ、和久井くんがまだ来ていないことを知るとそれまで大阪の様子を見ようという話になった。広い場所を探して淀川の畔へやってきた主人公たちは、全体的に崩壊した大阪の全景を見て言葉を無くす。その中で街の一部だけが壊れずに残っていることを不思議に思った彼らが疑問を口に出すが、ななみちゃんが「悪魔がやったものじゃないんですか?」と口にしてしまう。あ、それ今言っちゃダメな奴!

 

 彼らがななみちゃんにそう思った理由を尋ね、その質問がそのまま俺に流れる。それに答えると、電車内で局長に止められた意味がなくなるのだが……悪魔が地震を、あるいはそれに似た大災害を起こすことは可能である、しかし全ての悪魔が出来るわけでなく、特に魔王や神と呼ばれるほど強力な悪魔でなければ無理だと答えた。ジプス局長である峰津院大和はそういった強力な悪魔、あるいは滅ぼしきれない悪魔を封印しており、別の悪魔に対する対抗策として残しているため、悪魔が関わっているか確かめるならばヤマト局長に聞くのが手っ取り早いだろう……と問題を局長に丸投げしつつ、話の方向を逸らした。今はまだポラリスの話をするには早い。

 

 

 

>2日目(月)14:30

 俺から聞いた話で考えこむ主人公たちだったが、死に顔動画のことを思い出して急ぎ梅田駅へ。階段落ちをする前に和久井くんの元へ到着すると、さっきは見かけなかったケータイが沢山落ちていた。誰だよ落としたの。

 暴走アプリから次々と出現する悪魔を分担して潰していく主人公ら。一方で俺はここぞとばかりに拾ったメギド石をポイーし、レベルの暴力で一網打尽にするが流石に数が多すぎる。原作でもこんなに多かったっけ……?

 流石にメギド2発では片付けきれず、氷結に耐性がありそうなめぼしい悪魔がいないことを確認した上で【悪魔変身】。セドナの【アイスバウンド】でまとめて吹き飛ばし。

 4つあったケータイのうち、階段左方に落ちていた2個を潰したところで残りを主人公らとななみちゃんが抑えたらしく、悪魔の出現が止まった。

 残る悪魔を掃討し、和久井くんの無事を確認して死に顔動画のフラグは回避した。命を助けられたのに感謝の言葉も述べずツンツンする和久井くんへヒナコ嬢が突っかかり、ほんの少しだけデレを見せる。それを隠すように大阪ジプス本部へと案内する和久井くん。若いなぁ。

 

 ……しかし、原作での彼の見せ場はこれだけだったという。あまりに人付き合いが悪すぎて、他のキャラにも関わらず、目立った描写がないという肉彦先輩と似たキャラクターながらも更に酷い扱いだった。

 

 

 

>2日目(月)15:00

 会議が終わると言われた時間帯に、きっちりと新世界にあるジプス本部へ到着した。

 和久井くんを通じてヒナコ嬢がジプス加入希望をし、説明があると奥に通される。和久井くんは案内を終えたらすぐに立ち去り、残った東京もの6人にヤマト局長は既に準備出来ていると、奥のモニタールームに案内し、日本各地の都市がどうなったのかの映像を見せられる。

 東京、大阪、名古屋、札幌、福岡、そして別府……別府……?

 ジプスで『連絡が取れた』(=タワーの結界で初撃を凌いだ地)という都市の現状を見せられ、日本全国どこへ行っても災害からは逃げられないことを、通常の地震災害とは違うことを、主人公たちに認識させる。そしてヤマト局長は黙っていてもなんとかなる情勢ではないことを伝え、助かりたいのならば自ら動かなければならないのだと告げた。

 改めて直面した、日常に浸っていた一般人にはあまりに非常すぎる事態に混乱して、考えたいと次々と出て行く主人公の仲間たち。残ったのはヤマト局長に俺、モジャ公、それからななみちゃんだけだ。

 混乱せずこの場に残った3人に局長はやや感心したような物言いで、モジャ公とななみちゃんにも少し考える時間を与えると言葉を残し、俺だけ本部の奥について来るよう伝えてこの場を去った。

 局長についていく前に二人の様子を伺ったが、モジャ公は局長が思った通り、主人公なだけあってブレることなく芯の強い人間であることがその瞳から伺えた。むしろ「あの光景を知っていたのか?」と、こちらが動揺しなかった理由を見抜かれた節がある。曖昧な理屈で答えて質問を流しつつ、今度はななみちゃんの様子を伺うけれど、こっちは単純に俺から事前にある程度聞いていたため心構えが出来ていたこと、やや鈍感であることに加え、俺のことを信頼しきっていたことから全く動揺しなかったようだ。……局長が彼女に過度な評価をしてないか心配になる。

 

 モジャ公には仲間たちの心のケアを薦めておき(特にイオっぱいを慰めて女心を奪うチャンスだよ!と茶化したらななみちゃんにポカポカ叩かれた)、真面目な話をするだろうからとななみちゃんも置いて……置き……置いて行きたかったが、今日東京から大阪まで全く全然同行できてないことからどうしても付いてくるとこちらの言うことに聞く耳持たなかったため、べったりくっつく彼女を引きずりながら局長の元へ向かった。

 局長はななみちゃんまで来たことに驚いたが、俺もそれ以上に驚いたよ。

 ヤマト局長、憂う者と面識あったの? ……あ、ひょっとしてアニメ版の設定が混じったか!

 

 

 

>2日目(月)15:30

 憂う者まで居合わせて、一体何の話をするつもりだと様子見をするつもりが、「また会ったね」と向こうから面識あることを言ってしまったおかげで、先にこちらの事情を話さねばならなくなった。

 しかし以前憂う者が訪ねてきた時の理由と会話内容をそのまま話せば、幾つかヤマトに話した俺の経歴と齟齬が出る可能性が高い。内心嘘を看破されないかと動揺しつつも、憂う者に話した通り、この『現実世界』へ移動するのに俺がある神の力添えを受けており、それが憂う者の言う強大な力を持つ神と思しき悪魔で、(ポラリスと似通った)全能の存在だったと、それぞれに話した内容と齟齬のないよう、なるべく事実に近く、決定的な嘘となる言葉を使わないよう気を払って話した。

 

 途中少し言葉が詰まってしまったところで局長が眉を顰め、真実を隠していることを気取られたかもしれなかったが、特に追求されることもなかったため話を最後まで進めた。

 事情を話し終えた次は、局長が俺を呼び出した要件についてだったが……憂う者と面識があること、今の会話内容から確信を得たと局長は前置きして、俺に問う。

 

「どこで知ったかの話は置いておく。君は今回の災害の首謀者、『ポラリス』を知っているな?」

 

 

 

>2日目(月)16:00

 ここまでストレートに聞かれては、嘘のつきようがない。誤魔化しが通じる雰囲気でもなく……どこで俺『ポラリス』を知っていると思ったのだろうか。やはり、電車内で主人公に話しすぎたのがまずかったか。

 とりあえず、先に局長の質問に答えた。答えはYESである。ポラリスがおおよそ何の目的を持って、何をしようとしているのかも知っている、と。付け加えると、ポラリスがどんな力を持っているのかも知っている、と。そう答えると、局長はつくづく予想した通りの内容を更に問いかけてくる。

 

「ならばポラリスの力を借りれば世界が変えられることも分かっているだろう。

 私は、ポラリスが仕向ける全てのセプテントリオンを倒し、奴の座にて人類の力を示し、その変革の力を以って実力主義の世界を願うつもりだ。

 君は私の世界に賛同する人間か?」

 

 本来なら、4日は後に聞かれるべき質問だ。それが今この場で問われたことにより、敵対する場合のデメリットが非常に大きい。局長やジプスを失った場合、これから数日間のセプテントリオン迎撃は非常に困難になるからだ。

 だからといって賛同するのも、ななみちゃんと交わした「ヒーローたれ」という約束に反する。峰津院大和の理想の世界は、万民を救うヒーローの志に反するものだ。だからといって反対のロナウドの平等主義が最高だとは、とても言えないのだが……。

 

 少し迷ったが、日和るよりはきっちり答える方がむしろ局長の好みに合うだろうと思い、賛同しないが“まだ”敵対はしない、しようにも出来ないと答えた。まだまだ数日、悪魔は増加し、ポラリスの手先であるセプテントリオン(すぐそこにも1体いるが)は続々と繰り出されるだろう。それを前に疲弊しては、乗り越えられるものも乗り越えられないだろうと話す。少なくとも俺は、今いる都市の外にセプテントリオンが現れた場合にジプスの移動手段抜きで、駆けつける手段を持たないし。

 確かに合理的だと呟く局長。俺のとりあえずの解答に納得してもらえ、6体目のセプテントリオンを倒した時に改めて再び答えを尋ねる、ということになった。これで話の一つは終わり。もう一つはそこの闖入者について。

 憂う者くん、君なんでここにいるの? 

 

 ……特に理由無し?前にまたねと言ったからまた会いに来ただ、って?

 お、お前のそのテキトーな行動のせいでどれだけ肝を冷やしたかと思って……

 

 

 詫びに邪教の館アプリに三身合体機能の追加をしてもらうことで話をつけた。

 

 

 

>2日目(月)16:30

 長話を終えて、休憩所で一服。

 局長たちとの会話では一口も言葉を挟まなかったが、ここへ来てななみちゃんが俺に何故実力主義に賛同しなかったのかと問うてきた。実力主義の世界はある意味、俺みたいな人物が一番都合のいい世界だったんじゃないかって?

 

 いや何故ってそりゃ、ななみちゃんとの約束に反するからに決まってるじゃないか。誰が結ばせた約束だと思ってるんだ。

 そう言うと、ななみちゃんは一瞬きょとんとして先輩大好きとの言葉と共にダイブしてきた。もう彼女云々は諦めたけど、公衆の面前ではやっぱり恥ずかしいからそういうのやめなさいってば。

 

 

 




今まで通り一日毎区切りでは書けないため、時間単位で刻み刻み書いてるものの、そのせいか全然物語が進まない……


なお主人公は主要キャラ数人をくん・ちゃん付け等で呼んでいますが、この「世界」内で登場する主要キャラは約1名の名古屋人を除き、殆ど同年代か転生主人公より年上です

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