真かみさま転生200X(未完)   作:tbc

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10/02 9時頃 マコトさん忘れてましたごめんなさい修正
10/02 15時頃 スカイツリーはまだなかったので修正


クリきんとん

 

>0日目(土)15:00  同日

 ロナウドは嫌いだ。原作でジプスの揚げ足を取ることに必死で、大した活躍をしなかった男だという印象があるのだが……。はっきり拒絶しようとしたが、ななみちゃんに口を出された。初対面の相手に理由も言わず拒絶するのは相手に失礼だし、いつも冷静に判断してる先輩らしくないですよって。さほど冷静で真面目でいるつもりはないが、一理ある。

 俺が転生者だと知っているななみちゃんだけならまだしも、ロナウド自身にその内容を言うわけにもいかず(絶対に原作以上に話がこじれてややこしくなるから)、真面目に話を聞いてやる。だがロナウドは、「ジプスやばい」と遠回しに言い、俺たちの危機感をなんとか煽ろうとするだけでイマイチ内容を言おうとしない。こいつは……

 

 原作でのロナウドに何があったか、ある程度知っている俺から逆に踏みこんでやる。

「ジプスが薄汚い手口に手を染めていることを指しているのか?」と。ロナウドが目に見えて動揺する。

 知っているのかと問い返されるも、知らないが珍しくはないことだ、特にジプスのような目的を持つ組織にはなと答える。多分、今のロナウドは悪魔についてよく知らないのではないか?と俺は思っている。

 俺の知る原作のこいつ……栗木ロナウドは元刑事で、峰津院大和(ホウツイン ヤマト)が局長を務める退魔組織ジプスを捜査中だった先輩が口封じされ、その復讐心からジプス及びヤマト局長が犯罪に染めている証拠を独自に捜索している人間だ。それだけなら筋は通るのだが、後のジプスがセプテントリオンという強大な敵と戦う一方で、彼はただひたすら妨害を行うことに専念した結果、仲間の人死の原因の一つになることが問題にあげられる。確かにジプスの動きに不平を漏らしたくもなるが、小を捨てて大につく目的がしっかりしているジプスと、ヤマト局長への反骨心から動いているロナウドとでは反応が異なるのも当然だ。

 しかし、ななみちゃんにはまだそれを教えていない。故に先入観のない彼女は、ロナウドの話を真摯に聞いており、まともに取り合おうとしない俺とロナウドの間を執り成している。これ以上、余計に意地を張ればななみちゃんとの関係もこじれるか。

 ならば仕方ない。原作はだいぶ変わるが、少しロナウドの思想を変えるために、話を続けたいのなら霊地での活動へ同行するように呼びかける。悪魔が出ると聞いているななみちゃんは顔色を変えるが、悪魔なんて存在すら知らないまだ一般人のロナウドは軽く請け負う。

 どうせ後日、悪魔が出現して知るのが早くなるか遅くなるか変わったところで、大筋は変わらない。それより、ここで早いうちにロナウドに釘を刺すことが重要だと俺は感じた。

 

 

 

>0日目(土)15:30

 ストレンジジャーニーの世界観と同じく、まだ一般人である栗木ロナウドには肉眼では悪魔を認識出来ないようだった。しかしながら、ななみちゃんが炎を纏った武器を振りかざし、俺の姿がぼやけた奇怪な輪郭に変化して“何か”と戦っていた姿は認識出来たようである。その実際の相手は魔獣ネコマタである。

 

 一戦終えたところで、これがジプスの本当の裏の仕事だとロナウドに伝える。『悪魔』(といっても見えないものを言葉だけで理解させるのは難しいが)、を倒したり封印するために十分な火力……まさか戦車を持ち出すわけにもいかないため、代わりに悪魔と対抗する相応の力(異能のことだ)を秘めた人間をスカウトし、集めている。俺たちはそのスカウトされた人間だったわけだ、とロナウドに分かりやすく伝える。ななみちゃんも俺より経験は浅いが、悪魔との戦いを前にも経験したことのある異能者であり、こういった薄暗いところに隠れる奴らが人を襲わないように「山狩り」のようなことをしている、と発言を補ってくれる。

 常軌を逸した話に取り乱していたロナウドだが、ようやく復帰しての一言。

「その力は人を支配するために使える武器じゃないのか?」と。お前いい加減にしろよ。

 その問題は例えば黒帯の空手家の拳は凶器だという話や、銃刀法のように政治や法律が関わって、素人の俺が語れる内容じゃない。

 

 話は終わった、まだまだ聞きたいことはあるだろうが今はジプスへの思いを見直すべきだし、俺もよく分からないが明日は悪魔が災害を起こしそうだから避難に備えておけとだけ情報を漏らし、一旦霊地を出て栗木だけ追い出した。体力も防御力もロクにない一般人を守りながらの戦いは危険だし、何より経験値泥棒を連れて行くつもりはない。お前にも分配されてるんだよさっきの経験値。

 必要な分は見せたということだ、これ以上は見せぬ。

 

 

 

>0日目(土)16:00

「先輩、本当のところどこまで知ってるんですか?」と霊地探索している最中に尋ねられる。

 彼女が言ってるのがどの発言の内容を指してるのかは分からないが……だいたい全部知っているし、嘘を言ったつもりはないと返す。ただ一部、擁護する内容はあったかもしれないが。

 ジプスは、ヤマト局長が指揮する只の退魔組織……ではあるのだが、トップのヤマト局長には野心があり、実はポラリスを利用して『実力主義からなる世界』への変革を目論んでいる。そのため全くの善意からジプスを指揮しているわけではなく、ロナウドならそこを衝くことも出来たろうがわざわざそれを言ってやる義理もない。ヤマトの野心は悪しき野望としても、彼が指揮するジプスがやってる退魔や異能の秘匿は全くの悪いことか?

 悪魔や異能の秘匿は、それこそ先ほどロナウドが言った通り、国家が知ることで「異能の力を人の支配に使うこと」に繋がりうる。これが悪化した場合の例が、大破壊後の渋谷を支配するオザワだ。奴は国津神タケミナカタによって渋谷に悪魔が出現するのを防ぐと共に、圧倒的な暴力を振るうことで人々に恐怖を抱かせ、反抗する気を無くさせ統治した。

 あいにく大破壊前に倒れた彼女にその知識も経験も無いが、明治神宮で受けた教育の内容にその辺りの事情を聞いたと答えるななみちゃん。なら話が早い、悪い奴がいるとすれば、それはジプス全体ではなく野心を持つヤマト局長の方だろうと俺は言う。しかしロナウドのように、必ずしも悪い奴とは断言出来ないけどね……。

 俺がななみちゃんを助けた時のように、全くの善意から動く人間はそうそういない。かといって、全くの悪意から動く人間も少ない。ロナウドは善意でジプスとヤマト局長を危険視しているのだろうが、その彼の行動が必ずしも善であるとは限らない。人間を擁護する奴が悪くなって、悪魔側が良い奴に見える、メガテンシリーズではよくあることです。

 要するに「良い」とか「悪い」とか言ってる奴は信用ならないんだよ!

 

 

 

>0日目(土)16:30

 現れた堕天使ガミジンを倒してからまた一息つく。その間に、今度は「なんで先輩は彼を嫌ってたんですか?」と尋ねられる。

 その内容を話すには、これからの原作の流れを説明する必要があると、俺は大雑把にシナリオを語った。

 

 まず、日曜日にポラリスがこの世界を消すために攻撃を仕掛ける。しかしヤマト率いるジプス、東京タワー等のタワーが発する結界により主要都市だけでも防ぐ。

 リセット攻撃を防がれたポラリスは、結界のあるタワーを破壊するため約7体いるセプテントリオンを順次仕掛ける。ジプスは現れたセプテントリオンを討伐しようとするが、その際現れた新参悪魔召喚師、モジャ公(原作主人公)たちの手で最初のセプテントリオンが倒される。セプテントリオンを倒す実力に目をかけたヤマトによって、モジャ公らがジプスに加入させられる(ライフラインがそれ以外で機能していないこともあって加入せざるを得なかった)。

 大阪で第二のセプテントリオン討伐、主人公がヤマトに完全に目をつけられる。しかしジプスが沢山食料を残しているのに(ヤマトの実力がない、人にすがろうとする人間はいらないという実力主義方針のせいで)民衆に配らないことに怒りを募らせ、名古屋にあるジプスの拠点を悪魔召喚アプリを手に入れロナウド率いる民間人たちが襲撃する。この時、応援に来ていた主人公の友人の一人が襲撃に巻き込まれ、行方不明になる。

 次の日、名古屋ジプスの連絡が途絶えた原因を調査しつつ、友人の消息を探しに訪れた主人公がジプスを襲った民間人たちや、ロナウドと戦闘になる。しかしその途中、主人公と同じく名古屋ジプスにスカウトされた民間人出の青年が、主人公の友人を人質にされ抵抗できず暴徒に殺される可能性がある。デビルサバイバー2では多くの人間の仲間が死ぬことがあるが、何かの犠牲や悪魔が原因ではなく、終盤のルート確定前後を除けば同じ人間に殺されるのは唯一この時だけ。

 その殺された仲間は格別すごい能力を秘める人間というわけではないが、だからといって無碍にしていいほど悪い人間でなく、むしろななみちゃんのように天真爛漫ですごく人当たりのいい奴だった。だからこそ彼が殺される原因になった暴徒たちを集めたものの統率しきれず、ジプスに所属している人員だからと青年を殺してしまう状況を作ったロナウドが嫌いだ。

 

と、俺は原作であったこと、俺が思っていることを正直にななみちゃんに伝えた。なおこの話の途中、ふつふつと沸き上がってきた怒りを、まだ途中にも関わらず襲ってきた妖鬼オニを怒りのあまりに瞬殺している。

 

 

 

>0日目(土)17:00

 この霊地の悪魔たちの主として新たに君臨していたボスの妖魔ヤヌスをぶっ飛ばした。ガチガチの物理型なだけあり、正直オルトロスよりも強かったのじゃが。【暗夜剣】クリられた時は格下に負けるかと思った……まあ勝ったわけだが。

 ちなみにななみちゃんは開幕の全体攻撃【夜桜の舞】連発で軽く吹き飛んだ。ごめんね、蘇生手段整ってないのよ。

 

 一仕事終え、麓で待機していたジプスの車に載っけてもらい帰る途中、ななみちゃんがまたロナウドのことを口にしてくる。あれだけ俺が嫌いになる理由を伝えたのに、まだ何か疑問があるのだろうか、と軽く考えてたら意表を突かれた。

「先輩、それなら先輩がロナウドさんの歩む道を踏み違えないよう、導いてあげるべきではないでしょうか!」

 

 その発想はなかった。なかったけど、えー。俺にも事情抜きで好き嫌いはあるよ?

 しかしロナウド魔改造か……1キャラ強化して原作崩壊って転生モノだとよくあるけど、年食ったおっさんをわざわざ強化するってあんま無いな。

 確かに斬新だけど、単に好みに合わねえ!

 そう言ったらななみちゃんはしょげた。え、本気で期待してたの?

 

 

 

>0日目(土)19:00

 ジプスに装備を返却し、帰るその途中でななみちゃんから食事へ誘われる。

 あんまり豪勢なとこ行っても身の丈に合わないし、適当なファミレスに。なおアイドルである彼女は変装として伊達メガネを装着中である。しかも随分とキラキラしたラメを貼ってあってへんてこなのを。確かにメガネに目に行って気づき辛いかもしれないけど……。

 

 俺が肉っぽいものを注文する一方で、彼女はオムライスの後にデザートにパフェやら幾つか注文する。

 仕事の報酬金はかなり貰っちゃったし、お腹に入るなら幾ら注文しても文句をつける気はないけど、わざわざ俺の口にスプーン運んでくるのはなんなの?

 この前、恋人騒動でアイドルとして危うくなりかけたってのにまだクソ女神のイタズラに付き合うつもりかと尋ねる。

 

 

 え、本気? アイドルの方……じゃなくて恋人?

 ……あのクソ女神から何か聞いてない?前の生で何があったかとか。

 ああ、やっぱ聞いてたのね。そうそう、俺恋人作ってたのよ。

 でも色々あって心にダメージを受けた後だし、そういうのはちょっと……

 

 おい馬鹿やめろ恥ずかしい

 

 

 

>0日目(土)21:00

 ななみちゃんが公衆の面前にも関わらずファミレスで告白してきた。大声で。

 恋人騒動再発するぞ……いやしても困らないか、どうせ多分、明日には地震起こってそれどころじゃないしな。

 まさかそれを狙ってあんな恥ずかしいことしやがったってのか。

 くそう、衆目集める断りづらい空気作りやがって。策士か。断れなかったぞおいどうしようアリスさんごめんなさい。

 

 告白受けて、ファミレスから逃げ帰るかのごとく自宅に帰ってきた。つーか逃げ帰った。ななみちゃんも付いてきたけど。彼女は今は別の部屋で、マネージャーと電話をしているようだ。多分、じわじわとネットで炎上しつつあると怒られてるのだろう。怒られろバカヤロー。

 ちなみにななみちゃんは帰るつもりがないようで、今晩はこの狭いアパート内で一緒の布団に共寝である。今までよりやたら狭い住まいだなと気になってたはいたが、わざわざ転生前にしていたナイショ話といいこうなることを最初から狙ってやがったのだろうかあのクソ女神。いや、企んだ一員なのだから、ななみちゃんも有罪だな。

 

 

 ななみちゃんのお叱りの電話が終わるまでの与えられた僅かな猶予で、俺はこの世界のスティーブン、もとい、かつて世界が生まれる前の世界、あるいは未来の果てに行き着く世界で生まれる人間の超進化形態であるらしいユーバー・ゲシュタルトと、現代の利器であるパソコンを通じてメールする。相手の凄さの割に通信方法が見合ってない気がするけど、あとはケータイ電話くらいしか無いのだからマシな方だ。

 ともかく彼と連絡を通じ、悪魔召喚プログラムについて相談する。特に造魔や魔晶武器、俺の変身悪魔を合体させる手段が欲しいと伝える。後にニカイアを通じて貰える悪魔召喚アプリだが、仲魔は問題ないにしてもそれ以外の合体方法については対応していない可能性がある。よって今のうちにスティーブンポジである彼にねだっておけば、インフラが壊滅する前に間に合うのではないか?と思って相談したのだ。

 できれば明日の昼前か、昼頃にまで調達してほしいと無理を言うと、承知してくれた。迷惑をかけるが済まない、代わりに人間は、少なくとも日本国内の主要都市だけでもなんとか救ってみせると彼に約束した。どうせデビサバ2の流れなら、ポラリス倒しつつ日本と世界を救うわけだしね。シュバルツバースが気がかりだけど、きっと内部は内部で調査隊がきっとなんとかしてくれるだろう。というか今更どうしようもねえしな!!

 

 

 ななみちゃんの電話が終わり、ウキウキと部屋にやってきた。つまり時間切れ、ベッドインの時間である。

 あーもー、女の子に好かれること自体は嫌ではないけど、アリスさんへの思いは残したかったのにどうしてこうなった。止めろよクソ女神ー。

 

 ……あいつが俺を喜ばすことするわけねーわな。

 

 

  >ななみちゃんと特別な関係になった

 

 

 


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