やはり俺がドキドキ!させられるのはまちがっている   作:トマト嫌い8マン

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トランプ王国最初の旅、ちょっと色々端折りま〜す


王国の真実

落ちる!

 

落ちる落ちる!

 

というか、落ちてるんだった・・・

 

これ死ぬんじゃね?

 

 

 

長く続くこの落下の中で、正直助かる見込みがない気がしてきた。ここで人生終了、皆さんさようなら〜ってか?などとアホなことを考えてしまった。軽い衝撃を肩に感じ、意識がはっきりとした。

 

「いててて、夢か?いや、ここは?」

 

気がつくと周りは砂だらけだった。さっきまでの落ちていると感じていたのは夢の中でのことだが、この状況は夢じゃないらしい。あの時、突然現れた謎の男の力で、ここに送り込まれてしまったようだ。

 

肩に感じた衝撃は手だった。その相手は俺の意識が戻るのを確認すると周囲を見渡していた。

 

「あ、すまん」

「別に謝られるようなことでもないわよ」

「あいつらは?」

「この辺りじゃなさそうね。ダビィたちもいない」

「そうか。とりあえず探してみるしかなさそうだな」

「そうね」

 

慣れた様子で剣崎は歩き始めた。逸れないようにといそいそと後を追いながら、俺はこの場の異常な空気について考えていた。人が一人も見当たらないのだ。相田たちはこっちに来ているだろうけれども、他に誰もいないようだった。

 

歩くことしばし、あたりに何もないのは変わらなかったが、大きな影が目に止まった。禍々しい姿をしている、黒く巨大な影。全く動く気配はなかったが、その存在そのものが恐ろしく見える。その存在感に圧倒されていると、少し離れた場所から声がした。

 

「八幡くん!まこぴー!」

「お前ら、無事だったのか」

「ねぇ、ラケルたち見てない?」

「どうやら逸れてしまったようでして」

 

妖精たちだけ全然違う場所に落とされてしまったみたいだ。見ず知らずのこの場所で、しかも四人ともプリキュアに変身できない。状況は思ってたよりも悪そうだ。

 

「ねぇ、あれってなんだと思う?」

 

相田が指差したのはその巨大な影。禍々しい表情は動かないが、嫌なエネルギーで満ちているのが離れているここまで伝わってくる。

 

「キングジコチューよ」

「キング、ジコチュー?」

「いい機会だし、そろそろあなたたちにも話すわ。この国、トランプ王国のことを」

「トランプ王国って、シャルルたちが生まれた場所、だよな?」

「ここが、そうなの?」

「私はキュアソード、このトランプ王国を守護する最後の戦士」

「最後、って」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「このトランプ王国は平和な国だったわ。王女様の元で、人々は平和に暮らしていた。けれどある日、奴らが襲って来たの」

「ジコチューのことですわね」

「そう。すぐに大勢の人たちがジコチューにされてしまったわ」

「そんなにすぐに?どうして?」

「人間、災害だとか身に危険が迫る恐怖に会うと、途端に周りが見えなくなっちまう。パニックになれば一斉に逃げまどう。他の連中を見捨ててでも、自分だけは助かりたいという一心になる。つまり、その瞬間誰もが自己中になるってことだ。そこを一斉にまとめてってとこだろ」

 

きっと俺たちの世界は運がいいのだ。奴らがここを攻め落とした時のように、一斉にジコチューを作り始めたら、それこそ終わりだ。奴らがそうしない理由があるとすれば、

 

「キングジコチューは動けないってことなのか?」

「そうよ。王女様は最後まで戦ったの。そしてキングジコチューを封印した。だから今は動けないのよ。あいつらはキングジコチューを復活させるためにジャネジーを集めているの」

「そうだったんだ」

「けど、お前はなんでこっちの世界にいたんだ?それに、最後の戦士ってのは?」

「私のように、この王国を守る戦士は他にもいたのよ。先輩プリキュアや近衛騎士のような戦士たちが。でも、ジコチューの侵略を食い止めようとして、力を失ってしまった」

「だからまこぴーが最後の戦士なのね」

「私は力を使い果たした王女様を連れて王宮にある魔法の鏡に飛び込んだ。どこでもいい、王女様を逃すことができればよかった。でも、奴らの攻撃で移動中に王女様と離れてしまったわ。気がついたら、あなたたちの世界にいて、王女様は見つからなかった」

 

俯き表情が暗くなる剣崎。不安だっただろう。誰も知らない世界に放り出され、一緒に来たはずの人ともはぐれ、いつ会えるかもわからない中、戦い続けた。歌い続けた。それも、たった一人で。

 

「よーし、それならすることは決まったね」

「えっ?」

 

腰に手を当て立つ相田。その表情からは何やら自信があふれていた。その様子に剣崎は戸惑ったようだ。

 

「みんなで王女様を探せばいいんだよ」

「マナ?」

「わたくしたちは王女様を見たこともないのですよ」

 

相田の発言に二人は少し難しそうな表情を浮かべた。全く知らない相手を探すのはやはり難しいだろうし、今俺たちの世界でも起きる戦いがある。あまり余裕はないかもしれないだが、

 

「いや、妥当だな」

「八幡さん?」

「急にどうしたのよ、八幡君まで」

「あいつらジコチューに初めて会った時、あいつらも王女様を探していた。多分、見つかると何か不都合があるんだろう」

「えぇ。王女様を取り戻せたら、きっと奴を完全に封印できるわ」

「そうと決まれば、みんなで頑張ろう!一人より二人、二人より五人!」

「あ、ナチュラルに俺もその数に入ってるんですね」

「当たり前でしょ、何を今更」

「みんなで力を合わせましょう」

 

先ほどまでの暗い雰囲気から一転したこの空気に剣崎は驚き、小さな笑みを浮かべた。

 

「宮殿に行きましょう。そこの鏡からなら戻れるはずよ」

「あの妖精たちもいてくれればいいんだが」

「大丈夫!なんとかなるよ」

 

自信満々の相田に押し切られるように、俺たちは宮殿を目指して歩き出した。途中ジコチューに遭遇しそうになったり、橋から落ちそうになったりと割と生命の危機にも直面したが乗り切った。というかこの四人、運動神経おかしいだろ。なんで運動そこそこ苦手と公言してる菱川まであの中央が崩れた橋飛び越えられるんだよ。

 




マジで今回八幡役立たずじゃね?とか思ってしまいました

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