ブラック・ブレット〜天童民間警備会社の新入社員〜   作:梨味

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guerrilla fight

 

「前、どうしたの?」

「ん?いや、なんでも……………」

警察の聴取をやっと終え、家路に着くことができた。本来なら聖天子様に夏来を合わせる予定だったのだが、例の事件で聖天子サイドが混乱しているためまた後日になった。

「それで夏来、ホントにケガ無いんだな?」

「もー心配し過ぎだってぇ。私はそんなヤワじゃないよ」

「そうか、ならいいんだけどな…………」

夏来にケガが無いくらい、最初から分かっている。だけど、夏来に何か聞かないと、尋ねないと僕の心が落ち着かない。こんなこと言うべきじゃないと思うが、近い将来に夏来を失ってしまいそうな気がするのだ。

 

「ねぇ、朝ご飯なぁに?」

「え?そうだなぁ……………」

失ってしまいそうなんて、根拠は無い。だけど、こんなことが続いていると思うと…………いや、考え過ぎだろうか。

 

毎日毎日僕らは鉄板の 上で焼かれて 嫌になっちゃうよ

 

「前、携帯鳴ってる。というか、こんどのそれは何?」

「まぁ、気にするな」

着メロが泳げたいやきくんなのはどういいが…………このくだり、いつだかやった気がする。それこそどうでもいいが、聖天子様から電話がかかってきた。例の依頼の件だろうか。だったらわざわざ直接聖天子様がかけてくることじゃないと思うが、何だろうか。

「もしもし」

『前山さんですか。今すぐに警視庁に来てください』

「どうして、でしょうか」

『単刀直入に言うと、ステージ4ガストレアが姿を現しました』

「…………………え?」

ステージ4ガストレア、今回の討伐対象だ。いつ出てもおかしくないため、準備指示は出ていたものの、まさかこんな早く出現するとは。だが……………

「了解しました。すぐ向かいます」

もう、戦う覚悟は腹括って決めている。いつでも来いや!!

「え?どこに向かうの?」

「そんなの後だぁ!」

「うわぁ!?」

 

 

「間も無く着きます!」

「分かりました!」

「どうして私が…………」

「まぁ夏来、そんな落ち込むんじゃないよ。説明してないのは悪かったが、まぁ、うん」

「語彙力の欠如が半端じゃないぞ前さん」

僕の語彙力欠如はどうでもいいが、とりあえず今は三十二区を目指している。何でも、そこにステージ4ガストレア、もとい感染源ガストレアがいるらしい。それにしても、なぜこんなにも遠い三十二区に?と思う。感染源ガストレアは空を飛ぶという一言で片付けられたが、感染源ガストレアはモデルスパイダー、空を飛ぶはずがないのだが。

『前山くん聞こえる?』

「木更さん?どうしました?」

『どうしたじゃないわよ。あなたたち、装備は?』

「「あ………」」

『やっぱりね。そうかと思って、あなたたちの足元にクソ女からの餞別置いといたから、使って』

「木更さん……………」

そのクソ女が誰なのかは分かっている。僕はそうは思わないが、木更さんは異常なまでにその人に敵意を抱いているという。それはそうと、餞別って…………

「「おぉ」」

『さっきからシンクロしてて癪に触るわね………で、多分2つ武器が入ってと思うけど、1つは夏来ちゃん用に特別にカスタムしたアンチマテリアルライフルですって』

「何これメッチャ使いやすい」

『そう、なら良かったわ。それともう1つ、日本刀。超バラニウム使ってるみたいだから、とにかくすごいらしいわよ』

「はぁ」

超バラニウムのすごさはよく分かっとる。例の機械化兵士計画でも使われてるらしい。硬度が高いらしいが、それに比例していい値段するらしい。

 

『前山くん』

「はい?」

『ちゃんと、倒してよね」

「もちろんですよ」

『でも、それ以上に、私を1人にしないで…………』

「木更さん………………大丈夫、言われずともあなたを1人にはさせませんよ。だから、安心してくださいな」

「………………ありがとう。じゃあ、わたしはあなたたちがマズくなったら救援に向かうから、身が危なくなったらすぐに救援信号を出して」

「えぇ。でも、木更さんに出番が無いように、頑張りますよ」

 

 

「アイツだな………」

「大きいね」

「まぁな。じゃあ、夏来、お前はここから狙撃頼むな。パイロット、よろしく」

「おうよ!」

ノリのいいパイロットなようだ。因みに語彙力欠如の指摘をしたのもあのパイロットだ。

「じゃあ、降下する」

 

「気をつけて」

タラップを開き、ヘリから飛び出る。自分の体がどんどん落ちていくのが分かる。そして着地。金具を取り外し、ガストレア目掛けて走る。そこから能力解放。僕は、能力解放すると、戦闘力によって目の色が変わる。今は、水色の目だ。

「!!!」

鞘から刀を取り出し、ガストレアを斬り裂く。轟音にも似た叫び声を上げる。ガストレアからは体液が飛び散るが、一歩後ろに引き、避ける。そして、上空からのアシスト。

「…………………………」

さすが狙撃手といったところだろうか。冷静にガストレアを撃ち抜いている。まぁ、狙撃手に冷静さが無いのも困るが。そして最後に刀の一撃、銃弾1発がガストレアに決まり、KO。

「……………………ふぅ。おい夏来、聞こえるか?終わったぞ」

『うん!案外ショボかったね!』

「あぁ……………」

終わった。その嬉しさなどもあるが、いつも夏来と狙撃しているときの夏来とのギャップに萌えていた。それよりも、ジュラルミンケースを回収しなければ。

「ええと、これかな」

嵐というのは、本当に突然やってくるものだ。

 

「やぁ前山くん、また会ったね」

 

忘れたいが、絶対に頭から離れないこの声。そう、アイツだ。




夏来ちゃんイラスト描いてくれる人いねぇかな…………

次回、夏世ちゃん登場?

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